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第一章 異世界の洗礼編
第二十話 地道な努力が大切です。
しおりを挟む乾いたパンツを装備し、お買い物に出かけます。
今日は助言に従い、装備を整えます。
手持ちは、金貨七枚と銀貨銅貨が少し。
武器屋で、中古品を見て行きます。
「あ、ロングソード……カッコいい……」
店員さんに断って、持ってみます。
……持ち上がらない……。
ロングソードは諦めて、ショートソードを持ちます。
う、重い……。
両手で、やっと振れそうな感じです。
でも、盾も欲しいので、片手で振れないと意味がありません。
店員さんに相談して、少し小ぶりなショートソードを出して貰いました。
うん、コレなら大丈夫。
あとは、盾です。
こちらも、店員さんに勧められた、私の体格に合ったものを選びます。
ついでに荷物用の鞄も、店の隅から見つけ出します。
ショートソード(中古)とスモールシールド(中古)と鞄をげっとです。
……全部で金貨六枚でした。
装備を整えて、ギルドでパーティ募集してみます。
Fランク、無職。弱そうな女の子。
……うん、撃沈です。
身体目当ての冒険者に、
「その顔と身体なら、高く買ってやるぜ」
男所帯のパーティに、
「ウチに入らねぇか? 悪い思いはしねぇぜ」
下心丸出しで誘われたり。
半日で、声を掛けてきたのは、全員そんなのでした。
仕方なく、一人で角ウサギの討伐依頼を受注します。
一匹討伐して、銀貨三枚です。
討伐したウサギを入れる袋も借ります。
街を出て、近くの森の側まで歩いて行きます。
少し歩き回っていると、
「……いた!」
角ウサギです。
……思ったより、大きいな……。
ウサギサイズかと思ってましたが、中型犬サイズはあります。
額に生えた角も、鋭そうです。
向こうも、こちらに気が付きました。
いざ、初めての戦闘です。
……! ……! ……!
「うぅ、もう無理ぃ……」
角ウサギが、何度も突進してきます。
盾で受けますが、受ける度に後ろに転げてしまいます。
後ろに倒れては、スカートの中を晒します。
幸いなのか周りに人はおらず、見られることもありません。助けて貰うこともできませんが。
「いたた……、うわっ、っぶな……」
起き上がりを狙って、角ウサギが飛びかかってきました。何とか躱すことが出来ました。
右手の剣を握り直し、また立ち向かいます。
「わわわっ、ひゃん!」
どうにも締まらない悲鳴を上げて、また転びます。
意識せず悲鳴が出るので仕方ありません。
そろそろ、体力が尽きてきました。
主に転び続けた事で。
「うぅ、ジリ貧だよぅ……」
砂で汚れた顔を拭いながら、相対します。
その時、
「風刃(ウィンドカッター)!」
誰かの声とともに、角ウサギの毛が飛びます。
「えっ!?」
「大丈夫? 手助けがいる?」
「お願い!」
誰か知らないけれど、助けてくれるらしいです。
「風刃(ウィンドカッター)!」
また角ウサギの毛が舞います。
あれ、ダメージ入って無いのではないでしょうか?
「ひゃっ!」
角ウサギの突進を受けます。
「風刃(ウィンドカッター)!」
ギャン!と角ウサギが鳴きました。
「いたた、この」
起き上がり、剣を構えます。
「風刃(ウィンドカッター)!」
角ウサギの足から血が吹き出しました。
ヨタヨタとしています。
「今よ!」
「はいっ!」
盾を前に、素早く近付きます。
上から剣を叩きつけます。
スカッ!
もう一度。
「えいっ!!」
今度は、剣が深々と刺さりました。
ピクピクしていた角ウサギはすぐに動かなくなりました。
「ふぅー……あ、ありがとう!」
近付いてきた助っ人に、お礼を述べます。
金髪、碧眼で、耳がピンと伸びています。
初めて見ました、エルフ……の、幼女?
童顔で、美しいというよりは可愛らしい顔、背は百三十センチ程。私の肩辺りまでしかありません。
しかし特徴的な耳はエルフのそれです。
そして、幼女には不釣り合いな爆乳。胸の主張が激しいです。今の私も負けてないけど。
以前なら嫉妬したかも……?
「助かりました……エルフさん」
「コルネットよ。怪我はない?」
心配そうに、そう尋ねられます。
「はい、大丈夫です。転んで汚れてるだけなんで。あ、レンです」
二人で角ウサギを回収します。
「君、一人なの?」
「はい、パーティ組んでくれる人居なさそうだったので……」
「丁度いい、ボクと組まない?」
いい提案ですが、よくわからない人と組むのも怖いです。
「えっと……コルネットさんも、一人?」
「コルネでいいよ。……そうなの、さっきの見たでしょ、魔法が弱過ぎて、誰も相手にしてくれないの。」
「あー……」
「でも、二人なら上手く行くと思わない?」
「そうだね、いいかも……。でも今日はコレ持ってギルドに行かないと……」
角ウサギの入った袋を指差します。
一匹持つのが限界です。
「うん、じゃあ一緒に街まで帰って、ご飯食べよ?」
「はい!」
こうして、パーティを組む流れになりました。
「……そうなんだ、仕方なく冒険者にね……」
夕飯時、コルネと一緒にご飯を食べながら、お互いの身の上を話しました。転生のことは伏せて、記憶喪失ということにしています。
分からないことが多いから、その方が都合がいいですし。
「コルネは?」
「ボクは……」
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そして、この見た目で二十歳、祖先にドワーフがいた影響だとか。
身の上話で打ち解けて、パーティを組むことにしました。
節約の為、二人一緒の宿に泊まる事にします。
「レンちゃんも大変だったよね……。記憶もなく、放り出されて、行く当てもないなんて……」
さっき食堂で話した私の記憶喪失設定に、コルネが心底同情してくれました。
部屋の扉を開けて、先にコルネが入ります。
私が部屋に入ると、先に入ったコルネが、ベッドの脇に立ちこちらに向けて手を広げています。
「レンちゃん、来て……」
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