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本編

7.貴方は人間であってほしい

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 ルリは自分で言っておきながら、アーロがどんな顔で自分をみるのか怖すぎて、視線を下げてしまっていた。

 しかしながら、もう勝負は決した。というかこのまま決める予定である。

 もうアーロの言うことなど真に受けていたら、事態は一生進まない。

 気づくのが遅かった自分も大概だが、さきばしり言い訳ばかりのアーロも大概だ。



 汗でしっとりした肌に触れる。アーロの腹筋は鍛え抜かれて、鋼のようだ。

 指を溝に沿わせ、その深さに興奮する。

 師匠は武闘派である。

 賢者の仕事とは世界の調整だ。

 その方法は賢者によって異なるが、アーロの場合は対話である。主に拳の(※武器は使用するものとする)。



 アーロに拾われたとき、ルリはまだ幼かった。

 竜穴でうずくまっていたところを竜との対話に来たアーロに拾われたのだ。



(それ以前の記憶がほとんどないけど、もうそれはそれでいい。そう思えたのは師匠――とヘンデリク様のおかげで)



 それからずっと一緒にいる。

 師匠と弟子で、家族で、――これからどうなりたいのか。今すぐに決めたかった。



「ルリ……」



「わ」



 視線を合わせることができないうちに、アーロは体を起こした。

 バランスが崩れて、ルリはふらつくも、伸ばされたアーロの手によって、バランスは保たれる。



「し、ししょ」



「名前を読んでほしい」



 その言葉にルリはやっと腹筋からアーロの目に視線を移した。

 澄んだ新緑の瞳がじっと自分を見つめてくる。



「……アーロ」



「いい子だ」



 にこりと笑ったアーロは、ルリの顎に手を伸ばし、引き寄せる。

 目を閉じるタイミングを失ったまま、ルリはアーロと口づけをした。



「ん」



(よかった)



 やっぱり、どうせなら初めてくらいアーロからしてほしかったから。



 重なった唇は少しカサカサしてる。

 閉じられた上唇と下唇の間に舌を差し入れられ、そのまま口腔内を蹂躙される。

 深々と差し込められた下の動きにルリは硬直した。

 大本、誘ったのはルリだが、ルリは経験がない。

 そもそもこれまでの人生で深くかかわった異性といえば、アーロとヘンデリクくらいだ。

 学校だって、結局近づく男は“剣聖”アーロや“ハイエルフ”ヘンデリクに興味を持つ人ばかりで、ようするに恋愛は完全初心者だ。



(師匠だってそんなに経験ないと思ったのに……)



 顔は良いし能力も高いし賢者だが、しかし、彼は厭世的である。

 あったとしてもそんなにないんじゃないかなぁ女の影なんて過去も見えないしと思ったので自ら積極的に言ったわけだが……、思惑は結構外れたようだ。



「んんっ」



 ふと気づいたときに完全に抱え込まれ、キスも続いて息もできなかった。

 こういう時は鼻で息をすると聞いた……と思いつつ、鼻で息したら師匠に鼻息があたるのでは?!とためらっているうちに、限界になった。

 アーロの肩をたたき、唇を逃がしてもらう。



「……その。そ。そのししょ」



「アーロ」



「アーロ、私、慣れてないからゆっくり……」



息も切れ切れにそれだけ伝えると、アーロはにっこりわらった。



「僕も初めてだから大丈夫……」



 目が輝いている。この目は知っている。仕事で大物と対峙した時、よくこんな目をしていた。

――大丈夫じゃない気がする。



「ルリ、止められない代わりに、優しくするから……!」



「それは是非……あっ?!」



 アーロの手がルリの服を脱がせ始めた。するするとボタンが外され、ブラウスとシュミーズが抜き取られる。そのままスカートの背中の編み込みをほどかれ、スカートも抜き取られる。

 パンツとブラジャーだけになった状態でルリは困惑する。なぜこんなに脱がせるのがうまいのか……!?

 もとから手先は器用なんだ師匠、ということを思い出しつつ。



「ルリ、きれいだ……」



 座ったままアーロと向き合っていたルリだったが、肩をつかまれ、くるりとベッドに押し倒された。



「ぱ、ぱんつとブラジャー……!?」



「外すけど、ちょっとまってこう、こうちょっと」



 言いながらアーロはルリの胸に顔を寄せる。



「いいにおい……」胸の谷間に顔を押し当て、深呼吸される。



「鼻息がくすぐったいです」



「ごめんでもずっとやりたくて……」



「へ変態……」



「えっ」



「いいですいいです、話が進まなくなるのでさっさとしてください!!」



 アーロはさっきの思い切りのいい発言が何だったのか。



「ごめんごめん」



 またへたれたが、復活も早かった。

 動き始めたアーロにルリはひっくり返され、ブラジャーのホックが外される。

 そして、うなじに生暖かい感触がうねる。



「ひぁっ」



 な。なめられてる!

 アーロの手は脇の横から差し込まれ、胸をつかんだ。

 大きな手がルリの両胸をもむ。



「やわらかい……」



「ししょ……ッちょっと痛いですぅ」



 途切れることのない謝罪の言葉のまま、とルリの身体に体重をかけきっていたアーロが身体を起こし、ルリの腰を持ち上げる。

 耳に口づけされながら、胸をもまれていると、ルリは腰に何かが当たっていることに気づいた。



(これ、先ほどのあれ……)



 嬌声を押さえつつ、ルリは手を伸ばした。



「!!る、ルリっ」



 さっきちょっと触ったときも思ったが、――硬い。あとでかい。



(師匠は私より頭一つとちょっと大きい……)



 今のうちに高ぶりを少しで良いから抑えた方が良いのではないか。

 ルリが考えながら、それを触っていた。しかし、



「ぎゃ」



「ごめん!!」



 ルリの上半身を支えていたはずのアーロが、のしかかってきた、

 耳元の息がとても荒い。



「るり、るり、ルリ………ごめん、ごめん、もうだめ……」



「師匠、あ、アーロ、まって……!」



「君と繋がりたい、繋がりたいんだ……」



 アーロが逆上せたような荒い息でささやく。

 耳にかかる息と、その余裕のない低い声にルリは背筋がしびれるのを感じた。

 アーロはルリを再びひっくり返した。

 視線があう。熱い視線に思わず腹の奥がうずいた。



(なにこれ……!?)



 ルリは羞恥のあまり目を閉じた。



「ルリ、ルリ……」



 アーロはそんなルリに気づかず、胸に唇を寄せた。なめ、さする。そして、吸った。



「ししょ……ししょうぅう」



 泣くような声に、アーロは動きを止めない。

 ルリの胸はそんなに大きくないのだ、食事はしっかりとっているはずなのにやせ形から抜け出せない。

 その胸をアーロがもみ、そして、ちうちうと吸っている。



(目を開けたいけど開けたらやばい気がするぅ…)



 自覚があるのだ。全身はほてり、腹の奥がうずく。足の間、秘めやかなそこが、いまやしどとに濡れている。

 今ですらこんな状態なのに、目を開けて、見てしまったらどんなことになるのだろう。

 ルリは怖くて、身をよじり、アーロの頭を抱いた。

 しっとりした髪に手を這わせる。

 ぴくりとアーロは一瞬動きを止めたが、すぐにまた動き始める

 部屋に響くのは、我慢しきれなかった言葉にならない嬌声にアーロの荒い息づかい、そしてなめる音。

 永遠にも感じられるそれをルリがかみしめていた。そのとき、



「――きゃッ」



「もう無理……!」



 ルリの抱えていたアーロの頭が跳ね起き、思わずルリは手を放す。

 そして、思わず目を開けたルリはアーロと目が合った。



「~~!し、う、アーロ……」



「ルリ、もういいかな?もういいよね」



「あの、あの」



 ルリの唇にアーロのそれが重なった。

 アーロの手は、今後はルリの身体を探るようにたどる。むさぼられながら、ルリは身をよじる。

 腹をなで、腰をたどり、太ももに至る。

 太ももの柔らかさと滑らかさを感じるようにアーロの大きな手が動き、そして、きわどいところをなでる。ブラジャーはいつのまにか身体から離れていたが、パンツはまだ着けたままだ。左右をひもで結んだそれはアーロの手によってほどかれる。



「………」



 じれるくらいゆっくりと、ひもがほどかれていく、ルリは必死に息をこらえてその動きを感じていた。

 おびえる気配にアーロは気づいたのだろうか、ふ、と息を吐く気配のあと、ルリが身につけるモノは全て失われていた。

 そして、彼の手が湿るその場所に触れた。ぬるり、と探るように優しく指がルリの秘所を触る。



「ルリ……」



 うれしそうな声に、恥ずかしくてたまらなくなる。

 アーロはそれ以上何も言わなかった。

 ただ、ルリの秘所を縦になぞり、柔らかさを確かめる。そして、秘芯をつまみ愛撫する。

 はじめは遠慮がちにゆっくりだったその動きは徐々に遠慮がなくなっていく。

 今から自分の入る場所を探すのだ、そういう意思をもつ動きに変わり、また、ルリが身動ぎしたところを執拗に攻めるようになった。



(き、きもちいよう……)



 無意識にアーロの頭を抱えながらルリは半泣きだった。

 ぬるぬるなのは知っていたけど、触られて気持ちが良いと思える状態にまでなってしまっていたのはちょっと悔しい。

 あと、アーロの動きに迷いがないことも。

 ルリがあぅあぅと唇を噛んでいる間に、アーロの指はルリの秘所を本格的に開拓しだした。

 まずは一本、ルリの身体に何かが入り込む気配がする。

 思わず、小さな嬌声を上げたルリに痛みを感じていないことを理解したらしいアーロは先を急ぐ。

 再び口でルリの胸をなめ、吸いながら、アーロの手はルリの身体を開いていく。



「3本……入った……」



 アーロが呟いたのは、ルリはもう体中が溶けてしまっているのではないかと思い始めたときだった。繰り返される愛撫で、もう体力は残っていないのだ。しかし、これで終わりではない。



「あーろ……」



「ごめん、ルリ、でももう少しだから……」



 ルリはボンヤリと涙目でアーロを眺める。

 いったん身体を起こしたアーロはルリの足を開き、少し笑った。

 そんなところみるなと言いたいルリだったが、そんな元気はとうになくなっている。



「……僕ももう、限界で……」



 頬を赤らめ、アーロはルリに自分をなすりつける。

 目だけでそれを確認したルリは(無理じゃないか?)と他人事のように思った。

 雄々しく滾ったそれは大柄なアーロの体格に比例して大きい。最初に見掛けたときよりも更に大きい。



「……本当にごめんねルリ……あとでいくらでも文句言って良いから……」



 認知力が低下したルリはその言葉にぼんやりと「うん」と返す。



 その言葉にアーロはうれしそうに微笑み、「良かった」と良いながら、ゆっくりとルリに押し込む。



「うぐ」ルリは身体をこわばらせた。



 やっぱり、すんなりとはいかない。というかめちゃくちゃ痛い。

 思い返せばルリ自身は何度か波を越えた気がしたが、アーロはまだ一度もたっしていない。



(しまった、師匠に任せきりにしない方が良かった……)



 ルリの後悔にはアーロは気づいていない。



「ルリ、るり……きみのなかすごく熱くて気持ちい……」



「あ、あーろ」



「好き……好き……」



「ちょっと、まっ」



「愛してる」



 徐々に入り込むそれに待ったとかけようとしたが、口づけられむさぼられ、言葉にならない。

 そのまま、痛みを叫ぶまもなく、ルリの身体はアーロのそれで支配された。



 もうそうなってしまえば、話はついたようなものだった。



「ルリ!ルリ……ッ」



「痛いッ、からぁ!少しま、って、えっひぁッ」



「ごめんとまれない」



 強い律動にルリの身体が押しつぶされる。



(やっぱり、師匠に任せるんじゃなかった!!!)



 ルリは一心不乱といっていい勢いで自分を貪るアーロを見た。

 欲情した顔で、蕩け切って、うなされるように愛をつぶやき続ける、自分の師匠。



 (まぁ、いいか)



 結局、そう落ち着くまで時間がかかっただけだ。

 師匠に人間であってほしい理由。

 それがこの関係につながるのであれば、それでもいい。



 ――あとで、説教したいことは山ほどあるけど。
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