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本編
6.私、師匠のことが好きです
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ルリはアーロを見た。
大体、20代後半くらいに見えるおとこのひとだ。
賢者になってから、様々な仕事をしていくうえでいつのまにか老化が遅くなったという話を聞いたことがある。出会ったときからあまり変わったところはない。
いや、昔はもっと、険しい顔をしていたような気がする。
視線は泳ぎ、眉は少し下がっている。肌は汗ばみ、ひげが少し伸びている。
(久々にみたな、こんな近くで……)
当たり前のようにそばにいるから、改めてみるなんてことなかったな。
「師匠、私、その。また、師匠と話すことができるようになってうれしいです。」
「は、話す?」
「ええ、だって。久々にこんなにお話しできませんでした、ずっとにゃーにゃ―言ってるし」
「そう、だな、たしかに」
「ねぇ、師匠。私、師匠の言ってたさみしいが、少しわかりましたよ」
「そう」
「そりゃ私の手紙勝手に読んで捨てようとしてのは許さないですけど、すこしはその……考えてもいいかなって……今後のこと……しっかり話してから決めたいし……。そ、それに、好きって言うのはですねあの」
「うんうん」
「……師匠聞いてます?」
「そうだな」
「……師匠!!」
「ん゛?!」
途中から目をつぶり、適当な返事しかしなくなったアーロの肩をたたく。
顔がやけに赤い。
「やっぱり聞いてないじゃないですか!なんなんですか!あんなに話したがっていたのに!大事な話してるのに!!」
「い、いや、ルリ。今日はその、やめよう……!?今はちょっと話を聞くことができないっていうか」
「今日じゃないとだめです!」
「せめて、服を着させてくれ!あと1時間くらいとってくれたらはなせるようになるから!!」
アーロは目をつぶったままルリの肩をつかみ、起き上がる。
「わ、ちょっ」バランスを崩した、ルリが腰を落とす。
今まで見えていなかったものが、見えるようになり、そして。
「…………し、ししょ……」
「だーー!そこはダメ、ちょ、は、離れて……!生理現象だから許して……!」
「ああああ、ああ、あのっ」
アーロの股間には元気になってしまった逸物がそこにあった。
丸見えである。
丸見え。
(ふ。太くて…長い…)
はじめてみるその雄々しい姿にルリは赤面する。
「いいいいいつから」
思わずわきにあったシーツでとりあえず股間を隠すも、元気に天を向くその存在感は隠しきれない。アーロの太ももの上に乗ったままルリは聞く。
いや、聞いてる場合じゃないかも、とは一瞬は思ったのではあるが。
「え、いやさっきからだって僕の上に乗ってくるのが悪いよ!?君は若くて可愛い女の子なんだから!しかも、僕のことすき、とか、いうし……。その君にとっての好きはその、こういう好きじゃないとはわかってるんだ、だからその」
「わかくて、可愛い……」
「わかってる、これはセクハラなるもの!ほんと、ごめん、こんなんなのに、きみのこと、かぞくだって……弟子だって……」
「かぞく……」
「きみのこと、す、すきなんだよ……きみがわかくてかわいいだけじゃなくって、ルリだから好きなんだ。でも。ほんとう、ごめん。猫になっていいように君に触っちゃったし、それでその、言い訳もできない……こんなかっこ悪い姿見せたくなかったんだけど」
「まぁ、全裸シーツで弟子が膝の上は……」
ルリの言葉にアーロはがたがたと震え始める。
脱ぎ散らかしてあった服っぽいものを顔にかぶり、さらに言い募る。
「もう、今度こそだめだよね、見下げ果てたよね。僕のこと見放して捨てるのは良いけど、せめて明日話し合ってからにしよう!?少しは綺麗なお別れの言葉くらい考えておくからぁ……」
半泣きを越え完全に泣いていた。
アーロの膂力であれば、膝の上にのってるルリくらい簡単に動かせるはずだがしかし。
先ほど、散々触ったことに後悔しているのか、今や顔を隠して仰向けに横たわりシーツを股間に乗せているだけである。
(う……恥ずかしい存在なのに可愛い……。そして、まったく好きの意味が伝わっていない……!!)
「る、るり……きみがぼくをきらいになるのもわかるよ」
「師匠、きらいにはなりませんよ」
「そう?!」手が少し動き、目が見えた。
うるんだ新緑の瞳に、ルリは笑った。そして。
「――私、師匠のことが好きです。師匠と同じ意味の好きです。好き同士なのでセックスしましょう」と続けた。
「え?」
汗に濡れしっとりしたアーロの顔がほころんだ。が、次の瞬間固まった。
「る、ルリ……?途中からおかしくないか?」
「おかしくないですよ」
ルリは顔を赤らめ、アーロの股間をみた。
シーツ越しではあるがわかる。当然のことながらまだ元気だ。
アーロの膝の上に座りなおしたあと、手を伸ばす。
あ、かたい……。つぶやいたルリの声にアーロはびくっとした。
「というか、師匠、この状況で断るほうが凄いと思いますよ」
「いやいやいやいや」
◇◇◇
アーロは混乱していた。
ここ数日自分のやらかしたことについての後悔はままある。
どう触っても猫的に解釈されるので、通常よりハグの回数は増やしたのとか。
さっきも勢いあまって色々触りすぎた気がする、
しかし、しかしだ。
なぜこんなことに。
「師匠……その、私思ったんです。師匠に任せていたらたぶん一生かかっても私、師匠と結婚できません」
「えっけ、けっこん!?」
「師匠はとってもヘタレ野郎なので……」
「ヘタレ」
「ヘタレですよね、私はやっと気づいたんですけど、師匠、あなたもっとまえに気づいてましてよね?弟子以上に思ってるって」
「その」
「いつ気づいたかとかそんなのどうでもいいですよ、ただ、私は師匠のことが好きだし、師匠も私のことが好きなら――」
やっちゃいましょ?
何かを振り切ってしまったらしい弟子は見たことのない表情をしていた。
大体、20代後半くらいに見えるおとこのひとだ。
賢者になってから、様々な仕事をしていくうえでいつのまにか老化が遅くなったという話を聞いたことがある。出会ったときからあまり変わったところはない。
いや、昔はもっと、険しい顔をしていたような気がする。
視線は泳ぎ、眉は少し下がっている。肌は汗ばみ、ひげが少し伸びている。
(久々にみたな、こんな近くで……)
当たり前のようにそばにいるから、改めてみるなんてことなかったな。
「師匠、私、その。また、師匠と話すことができるようになってうれしいです。」
「は、話す?」
「ええ、だって。久々にこんなにお話しできませんでした、ずっとにゃーにゃ―言ってるし」
「そう、だな、たしかに」
「ねぇ、師匠。私、師匠の言ってたさみしいが、少しわかりましたよ」
「そう」
「そりゃ私の手紙勝手に読んで捨てようとしてのは許さないですけど、すこしはその……考えてもいいかなって……今後のこと……しっかり話してから決めたいし……。そ、それに、好きって言うのはですねあの」
「うんうん」
「……師匠聞いてます?」
「そうだな」
「……師匠!!」
「ん゛?!」
途中から目をつぶり、適当な返事しかしなくなったアーロの肩をたたく。
顔がやけに赤い。
「やっぱり聞いてないじゃないですか!なんなんですか!あんなに話したがっていたのに!大事な話してるのに!!」
「い、いや、ルリ。今日はその、やめよう……!?今はちょっと話を聞くことができないっていうか」
「今日じゃないとだめです!」
「せめて、服を着させてくれ!あと1時間くらいとってくれたらはなせるようになるから!!」
アーロは目をつぶったままルリの肩をつかみ、起き上がる。
「わ、ちょっ」バランスを崩した、ルリが腰を落とす。
今まで見えていなかったものが、見えるようになり、そして。
「…………し、ししょ……」
「だーー!そこはダメ、ちょ、は、離れて……!生理現象だから許して……!」
「ああああ、ああ、あのっ」
アーロの股間には元気になってしまった逸物がそこにあった。
丸見えである。
丸見え。
(ふ。太くて…長い…)
はじめてみるその雄々しい姿にルリは赤面する。
「いいいいいつから」
思わずわきにあったシーツでとりあえず股間を隠すも、元気に天を向くその存在感は隠しきれない。アーロの太ももの上に乗ったままルリは聞く。
いや、聞いてる場合じゃないかも、とは一瞬は思ったのではあるが。
「え、いやさっきからだって僕の上に乗ってくるのが悪いよ!?君は若くて可愛い女の子なんだから!しかも、僕のことすき、とか、いうし……。その君にとっての好きはその、こういう好きじゃないとはわかってるんだ、だからその」
「わかくて、可愛い……」
「わかってる、これはセクハラなるもの!ほんと、ごめん、こんなんなのに、きみのこと、かぞくだって……弟子だって……」
「かぞく……」
「きみのこと、す、すきなんだよ……きみがわかくてかわいいだけじゃなくって、ルリだから好きなんだ。でも。ほんとう、ごめん。猫になっていいように君に触っちゃったし、それでその、言い訳もできない……こんなかっこ悪い姿見せたくなかったんだけど」
「まぁ、全裸シーツで弟子が膝の上は……」
ルリの言葉にアーロはがたがたと震え始める。
脱ぎ散らかしてあった服っぽいものを顔にかぶり、さらに言い募る。
「もう、今度こそだめだよね、見下げ果てたよね。僕のこと見放して捨てるのは良いけど、せめて明日話し合ってからにしよう!?少しは綺麗なお別れの言葉くらい考えておくからぁ……」
半泣きを越え完全に泣いていた。
アーロの膂力であれば、膝の上にのってるルリくらい簡単に動かせるはずだがしかし。
先ほど、散々触ったことに後悔しているのか、今や顔を隠して仰向けに横たわりシーツを股間に乗せているだけである。
(う……恥ずかしい存在なのに可愛い……。そして、まったく好きの意味が伝わっていない……!!)
「る、るり……きみがぼくをきらいになるのもわかるよ」
「師匠、きらいにはなりませんよ」
「そう?!」手が少し動き、目が見えた。
うるんだ新緑の瞳に、ルリは笑った。そして。
「――私、師匠のことが好きです。師匠と同じ意味の好きです。好き同士なのでセックスしましょう」と続けた。
「え?」
汗に濡れしっとりしたアーロの顔がほころんだ。が、次の瞬間固まった。
「る、ルリ……?途中からおかしくないか?」
「おかしくないですよ」
ルリは顔を赤らめ、アーロの股間をみた。
シーツ越しではあるがわかる。当然のことながらまだ元気だ。
アーロの膝の上に座りなおしたあと、手を伸ばす。
あ、かたい……。つぶやいたルリの声にアーロはびくっとした。
「というか、師匠、この状況で断るほうが凄いと思いますよ」
「いやいやいやいや」
◇◇◇
アーロは混乱していた。
ここ数日自分のやらかしたことについての後悔はままある。
どう触っても猫的に解釈されるので、通常よりハグの回数は増やしたのとか。
さっきも勢いあまって色々触りすぎた気がする、
しかし、しかしだ。
なぜこんなことに。
「師匠……その、私思ったんです。師匠に任せていたらたぶん一生かかっても私、師匠と結婚できません」
「えっけ、けっこん!?」
「師匠はとってもヘタレ野郎なので……」
「ヘタレ」
「ヘタレですよね、私はやっと気づいたんですけど、師匠、あなたもっとまえに気づいてましてよね?弟子以上に思ってるって」
「その」
「いつ気づいたかとかそんなのどうでもいいですよ、ただ、私は師匠のことが好きだし、師匠も私のことが好きなら――」
やっちゃいましょ?
何かを振り切ってしまったらしい弟子は見たことのない表情をしていた。
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