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家の中は真っ暗だった。
窓から太陽が入ってきていないのか?
清掃されておらず、物が散らかり放題。
床には割れた陶器の食器。
イスは横に転がっている。
ほこりが一斉に舞い上がり、黒いシミが点々とある。
生ゴミの臭いが充満し、重い空気がのしかかった。
私はむせてしまった。
この人を寄せつけない空間。
喉の痛みと、目のかゆみを我慢しながら、中を調査していく。
奇妙なものを一つ見つけた。
窓ガラスが何か黒いペンキのようなもので塗られている。
太陽の明かりが入ってこられない訳だ。
――なぜこんなことを?
ガラスを磨いて、美しい光を入れるのならまだしも、わざわざ黒く塗ったのはなぜなのか。
前の住人は頭がおかしくなってしまったのか。
外からは暗い中身しか見えなかったので、こんな施工をしているとは思わなかった。
玄関のすぐそばにある階段を上ってみる。
家は二階建てだ。
おもしろいことに、上には一つのドアと大きな部屋だけあって、天井に窓が設置されている。
もちろん窓は黒く塗られている。
脚立を使って、塗ったか。
壁に設置された取ってを下げると、窓が開く仕組みになっている。
私は取ってを下げてみた。
窓はあっさり開いた。
昼すぎの太陽がわれこそはと入ってくる。
まぶしかったので、すぐに取ってを上げて窓を閉める。
おしゃれな造りだが、徹底的に光り対策を施しているようだ。
壁紙は破れているが、海洋生物が描かれていた。
住人はアーティストだったか。
アザラシみたいな体格をした生物が泳いでいるようだが、頭の部分が破れている。
あとはクジラやイルカも描かれている。
さぞ明かりがあれば、神秘な海を演出されていただろう。
すべて頭の部分が破れているが。
再び一階に下りていき、何かないか探っていった。
レンガで積み重なった、暖炉の中に何かあった。
一冊の本だ。
焦げて灰になった砂漠の中に埋まっている。
手に取ってみると、汚れてもいないし、破れてもいない。
燃やそうとしていたのか?
本を開けてみるが、焦げた箇所はどこにもない。
これが奇妙な点二つ目だった。
――死者の書?
表紙のタイトルは外国語なのか、見たこともない文字が並んでいたが、頭の中でタイトルが浮かんだ。
なぜかはわからない。
理由も思いつかない。
ただ、この本はそうだと心の中で思ってしまった。
中身が燃えてしまった、もう一冊の本を手に取ってみる。
表紙には聖書と書かれていた。
悪魔が持っていそうな死者の書は無事で、天使が持っていそうな聖書が燃えているとは。
救いがないな。
私は聖書を暖炉に入れ、死者の書を机の上に置いた。
変な臭いが鼻をついた。
風が床から吹き荒れている。
小さく、囁くように。
私は木造の床を調べていくと、台所から流れてきていることを突き止める。
両手でちりをはらっていくと、床に扉のようなものを見つけた。
雑に切り抜いたあとがある。
隙間に手を入れて、開けてみると、暗い地下へと続く階段があった。
造りはしっかりしていて、大人ひとり、立って下りていける広さだ。
奇妙な点、三だな。
湿気でもやっとするし、カビ臭い。
暗すぎるから、明かりがないと下りられない。
懐中電灯をあとで買うか。
地下探索はあきらめ、まだ入ってない部屋を見回っていく。
とある部屋に入ったとき、床に丸い図形が書かれていた。
魔法陣というやつだろうか。
複雑な文字と数字が規則正しく丸の中で踊っている。
色は赤なので、暗くてもはっきりわかる。
隙間から入る光のおかげで、まだ薄暗い家の中が見えているが、照明は必要になるだろう。
なぜこんなものを描いたのか。
アートにしては薄気味悪いが……。
奇妙な点、その四かな。
壁に寄せられたベッドの上に、古いノートが置かれてあった。
なんとなく魔法陣を踏みたくなかったので、避けつつ、ベッドまで近づき、ノートを取った。
開けてみると、前の住民らしき人の日記が書かれてあった。
窓から太陽が入ってきていないのか?
清掃されておらず、物が散らかり放題。
床には割れた陶器の食器。
イスは横に転がっている。
ほこりが一斉に舞い上がり、黒いシミが点々とある。
生ゴミの臭いが充満し、重い空気がのしかかった。
私はむせてしまった。
この人を寄せつけない空間。
喉の痛みと、目のかゆみを我慢しながら、中を調査していく。
奇妙なものを一つ見つけた。
窓ガラスが何か黒いペンキのようなもので塗られている。
太陽の明かりが入ってこられない訳だ。
――なぜこんなことを?
ガラスを磨いて、美しい光を入れるのならまだしも、わざわざ黒く塗ったのはなぜなのか。
前の住人は頭がおかしくなってしまったのか。
外からは暗い中身しか見えなかったので、こんな施工をしているとは思わなかった。
玄関のすぐそばにある階段を上ってみる。
家は二階建てだ。
おもしろいことに、上には一つのドアと大きな部屋だけあって、天井に窓が設置されている。
もちろん窓は黒く塗られている。
脚立を使って、塗ったか。
壁に設置された取ってを下げると、窓が開く仕組みになっている。
私は取ってを下げてみた。
窓はあっさり開いた。
昼すぎの太陽がわれこそはと入ってくる。
まぶしかったので、すぐに取ってを上げて窓を閉める。
おしゃれな造りだが、徹底的に光り対策を施しているようだ。
壁紙は破れているが、海洋生物が描かれていた。
住人はアーティストだったか。
アザラシみたいな体格をした生物が泳いでいるようだが、頭の部分が破れている。
あとはクジラやイルカも描かれている。
さぞ明かりがあれば、神秘な海を演出されていただろう。
すべて頭の部分が破れているが。
再び一階に下りていき、何かないか探っていった。
レンガで積み重なった、暖炉の中に何かあった。
一冊の本だ。
焦げて灰になった砂漠の中に埋まっている。
手に取ってみると、汚れてもいないし、破れてもいない。
燃やそうとしていたのか?
本を開けてみるが、焦げた箇所はどこにもない。
これが奇妙な点二つ目だった。
――死者の書?
表紙のタイトルは外国語なのか、見たこともない文字が並んでいたが、頭の中でタイトルが浮かんだ。
なぜかはわからない。
理由も思いつかない。
ただ、この本はそうだと心の中で思ってしまった。
中身が燃えてしまった、もう一冊の本を手に取ってみる。
表紙には聖書と書かれていた。
悪魔が持っていそうな死者の書は無事で、天使が持っていそうな聖書が燃えているとは。
救いがないな。
私は聖書を暖炉に入れ、死者の書を机の上に置いた。
変な臭いが鼻をついた。
風が床から吹き荒れている。
小さく、囁くように。
私は木造の床を調べていくと、台所から流れてきていることを突き止める。
両手でちりをはらっていくと、床に扉のようなものを見つけた。
雑に切り抜いたあとがある。
隙間に手を入れて、開けてみると、暗い地下へと続く階段があった。
造りはしっかりしていて、大人ひとり、立って下りていける広さだ。
奇妙な点、三だな。
湿気でもやっとするし、カビ臭い。
暗すぎるから、明かりがないと下りられない。
懐中電灯をあとで買うか。
地下探索はあきらめ、まだ入ってない部屋を見回っていく。
とある部屋に入ったとき、床に丸い図形が書かれていた。
魔法陣というやつだろうか。
複雑な文字と数字が規則正しく丸の中で踊っている。
色は赤なので、暗くてもはっきりわかる。
隙間から入る光のおかげで、まだ薄暗い家の中が見えているが、照明は必要になるだろう。
なぜこんなものを描いたのか。
アートにしては薄気味悪いが……。
奇妙な点、その四かな。
壁に寄せられたベッドの上に、古いノートが置かれてあった。
なんとなく魔法陣を踏みたくなかったので、避けつつ、ベッドまで近づき、ノートを取った。
開けてみると、前の住民らしき人の日記が書かれてあった。
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