誰も映画を観てくれないので、殺人鬼を幼女化してノベライズする

因幡雄介

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エイリアン コヴェナント

新惑星とモンキーダンス

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*内容をさらにわかりやすくした『映画チャットノベライズ(笑)』のブログもよろしくお願いします。


映画ノベライズブログ(https://inaba20151011.hatenablog.jp/entry/2019/10/15/113951)


 門平善照はアンドロイドだ。

 有名学校バーモンダによって製造された新型。

 人間の命は有限だが、俺は無限の命を持っている。

 十一年前、俺と同じ型番であるアンドロイドが、宇宙船モンキー号とともに行方不明になった。

 現在、俺は宇宙船サンダー号を操縦している。

 船内には二千人の冷凍睡眠者と、一千人の胎芽が積まれていた。

 船員は冷凍睡眠していたのだが、俺が太陽に間違えて操縦してしまったので、あわててみんなをビンタして起こした。

 起きた船員には宇宙嵐がきたと説明しておく。

 頬を押さえながら、船のプログラムを直し始める人間たち。

 ちょろいもんだ。

 船の修理をしていると、とある信号を拾った。

 その信号には女性のはげしい息づかいと、何かをたたく音が聞こえてきた。

 人間の男たちがぜひ彼女に会いたいと、反乱を起こす。

 副船長の美雪雪音が、



「反対よ船長! こんなあやしい信号のために船の燃料は使えないわ!」

「だがねぇ。もしかしたら人が住める惑星かもしれない。調査してみる必要はあるだろ?」

「だめです!」

「しかし、船の中のトイレがすべて壊れているんだよ? どうやって排便するの?」

「船の中ですればいいわ!」



 と、反対したが、やる気のない半目の船長と女性陣の説得により、しぶしぶ折れていた。

 モンキー号は信号を追って惑星に向かう。

 美雪は俺のとなりでシクシク泣き、



「どうしてみんな私の言うことを聞いてくれないのかしら?」

「太陽に突っ込みましょうか?」

「ふふ。おもしろい冗談を言うアンドロイドね。いいわ。そう設定しておいて」

「了解しました」



「破壊のあとに想像はあるのよ!」と、酒の臭いをただよわせながら、美雪は太陽行きを設定。

 まあ、落ち着けば元に戻すだろ。

 信号が発信された惑星に到着。

 サンダー号とふたりの操縦士、侍を残して、小型船で出発。

 小型船に船員をひとり残して、俺たちは外に出ていった。



「空気がおいしいな!」

「おい! 小麦があるぜ!」

「人が住んでいたんだな」



 クルーたちのテンションが上がっていく。

 この惑星はじゅうぶん人が住める土地だ。



「だけど人の気配がしませんね」



 リアナ恵子が銃をかまえつつ、不穏なことを言った。

 信号を追って森に入ると、リアナが地質調査したいと言う。

 美雪が許可を出し、戦闘員をひとりおいて、俺たちは森を探っていった。



「何……これ……」



 森が切り分けられていると思ったら、モンキー号が胴体着陸していた。

 焼け焦げたあとがなくなっている。

 かなりの年月がたった証拠だ。

 近くに洞窟があったので、乗組員たちと入ってみる。

 そこには、大男が着るような宇宙服と、信号の発信装置が置かれていた。

 発信装置を起動させてみる。

 映像が空間に映し出され、女性がはげしく動いている。

 両腕を上下に振り、顔は恍惚(こうこつ)として、薬でトリップしたかのように。

 美雪が手を口にやり、



「――モンキーダンスだわ」



 昔、若い女子の間ではやった、ダイエット用のダンスだ。

 今ではダサすぎて誰も踊らないのだが、当時は道端でもようしゃなく女性たちは踊り狂っていた。

 これを知っているということは、やってたな。美雪。

 認識票と写真を見つける。



『モンテカルロ・マンダム』



 男なんだか、女なんだかよくわからず、商品名のような名前だ。

 写真では女性がピースしていて、となりには灰色のゴリラがいた。

 旦那か?



「これは?」

「どうやら行方不明になった宇宙船、モンキー号の乗組員のようですね」

「なぜここでモンキーダンスを?」

「さあ」



 美雪の疑問には、アンドロイドの俺でさえ答えられない。



『たっ大変です! 戦闘員がケガをしたので、着陸船の中に運んだら、急激に体調が悪化して、あれが出てきて!』

「えっ? あなたもモンキーダンスを!?」

『はっ!? 何を言って……きゃあああああああっ! ぬるぬるするぅ!』



 リアナの悲鳴が無線から響いてきた。


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