360 / 363
番外編
それぞれの事情 7
しおりを挟む
「ウル!大丈夫か!しっかりしろ!ウル!」
「ん……えっと……ヴァン……?」
目を開けると、ヴァンがいた。
あれ?アタシ、何しててんやろ?
「どうしたん?ヴァン?」
「痛い所とかないか?!頭は大丈夫か?!」
「なんや、頭可笑しいとか言うてんの?」
「そうじゃな……!はぁー……良かった……いつも通りだ……」
「え?なに?なんなん?……あれ、そうか、そうや!アタシ、木から落ちたんや!」
「ここは執務室から見える場所なんだけど、ちょっと休憩しようと思って窓から外を眺めたら、ウルが木の枝にいるのが見えたんだ。楽しそうだなぁって思って見ていたら、急に浮いた感じになって木から落ちたから、慌ててここまでやって来たんだよ!ビックリしたんだからな!」
「そうやったんや。ごめん……」
「あ、いや、謝る事じゃないよ。けど、どうしたんだ?木から落ちるって、不注意でそうなった感じじゃなさそうだったけど……」
「不注意や。バランス崩しただけや。」
「そうかな……至るところに傷みたいなのもあったよ?回復魔法で治したけど。」
「あ、治してくれたん?!ありがとう!すごいやん!もうちゃんと使えんねんな!」
「ウルが教えてくれたからだよ。けど、本当に何かあったんじゃないのか?もしかして……嫌がらせを受けてるとか、そんなんじゃ……」
「違う!そんなんとちゃうねん!なんでも無いし、ホンマにアタシの不注意や!」
「ウル……けど……」
「あ、アタシもう戻らな!ほなまたな!」
走り出そうとして、けど頭がフラついてよろけてしまった。
さっき変な所でも打ったんかな……
「ウル!」
咄嗟にヴァンが支えてくれた。
後ろから抱えられてる感じで、なんか気恥ずかしい感じになって、すぐに離れる。
けど、そうやってすぐに動いたからか、また頭がフラってなって、ヴァンがまた支えてくれた。
「ウル、僕の回復魔法じゃ完全に治せなかったみたいだ。ごめん!ゆっくり休まないと!」
「あ……うん……そうやな……ちょっと休む……」
「何をしているんですの?!」
「エレオノーラ!」
「ヴェンツェル殿下!私というものがありながら、そんな卑しいエルフを抱きかかえるなんてっ!」
「これは仕方がないんだよ!ウルは今頭を打って……!」
「自業自得です!さ、早くお離れになって……」
「まさか……君が……」
「な、何の事ですの?私は何もして等いませんわ。勝手にそこのエルフが木から落ちただけでしょう?」
「……なんで木から落ちたって知ってるんだ……?」
「え……それは今、ヴェンツェル殿下がそう言われたからで……」
「僕はウルが頭を打ったとしか言ってないよ!エレオノーラがしたんだな!ウルにこんな事を!」
「わ、私がそんな事する訳がないじゃないですか!言い掛かりも甚だしいですわ!」
「どうされましたか!?ヴェンツェル殿下!」
「ゾラン!ウルが頭を打ったんだ!すぐに部屋へ運びたい!」
「承知致しました!……やはり貴女でしたか……エレオノーラ嬢……」
「な、なんですの?!濡れ衣ですわ!公爵令嬢に対して失礼ですよ!使用人上がりの分際で!気分が悪いわ!失礼します!」
クラクラする頭を両手で押さえて、何とかしっかりするようにしようとするけど、さっき自分の傷を自分で治したから魔力が足りなくて全然効かへん……
はぁー……情けないなぁー……
自分でなんとかしようと思ったのに……
こんなん知ったら、またお母さんが心配するやん……
「ヴァン……お母さんには言わんといて……」
「え?けど、エリザベートに治して貰わないと!僕の回復魔法じゃこれ以上治せないよ?!」
「ほな……リサに……」
「ウルリーカさん、分かりました。ではラリサ王妃の元へ急ぎましょう!」
ゾランさんに抱き上げられて、リサの部屋まで来た。
ここにはベルンバルトがおるから、アタシもあんまり来たくなかってんけど……
すぐに隣の別室のソファーに寝かされて、リサが回復魔法をかけてくれた。
優しい光に包まれて、徐々に痛みとクラクラが無くなってくる。
「ウル、大丈夫?どうしたの?こんなに怪我いっぱいで……」
「え?ラリサ王妃、ウルにまだ怪我があったんですか?」
「服に隠れてみえてませんでしたが、至るところにあったようです。かなり魔力を使いました。」
「ウルリーカさん、これはやはりエレオノーラ嬢がされたんですか?」
「いや、それは!その……!」
「この前の事が原因なんだね。」
「この前の事とは何ですか?ヴェンツェル殿下?」
「前にエレオノーラとウルが言い合いになってね。けど、ウルは何も悪くないんだ。エレオノーラがエルフを悪く言うから……」
「そうだったんですね。こちらでも調べていたんです。以前、ウルリーカさんが受けた魔法を使える人や集団を。風で切られたような怪我と、水と氷の魔法……この組み合わせでエルフに反対意見を持つ者で探していました。何組かいたんですが、この中に先程のエレオノーラ嬢と取り巻きも含まれておりまして……」
「ちょっと待て、ゾラン!ウルは以前もこんな事をされたのかい?!」
「えぇ……以前は水に濡らされてから氷魔法で凍らされておりました。発見が遅ければ命にも関わる程の影響があったんです!」
「けど、ミーシャが見付けてくれたから、大事には至らんかったやん!今日もヴァンが助けてくれたし……」
「一歩間違えば大変な事になってたじゃないか!これは簡単に済まして良いことではないっ!」
「ヴァン、そうかもやけど……」
「ウルリーカさん。お母さんの事を……エリザベートさんの事を気にしてるんだね?」
「……あ、それは……その……」
「エルフと言うことが原因で苛められていたとなると、エリザベートさんが悲しい思いをする、そう考えていたんじゃないのかな?」
「だって……お母さんは村長の娘で……お母さんは皆から村長の娘として崇められてたし慕われててん!だからお母さんがいなくなっても皆がアタシに優しくしてくれたし、お母さんはすごい人やったって、エルフの誇りやって言われてたから……!せやのにアタシが、エルフが原因でこんな事されてたって分かったら……お母さんが悲しむやんか!」
「ウルが一人で耐えてたって事を知ったら、エリザベートはもっと悲しむんじゃないかしら。母親は子供の事を一番に考えるのよ?誰よりも、自分よりも子供の事を想うのよ?」
「せやけど……!」
「髪も切られたのね……エリザベートみたいに伸ばし続けるって言ってたのに……エルフにとって髪は、精霊の力が宿ると言われて大切にされているのに……」
「それもエレオノーラが?!やり過ぎだろ!」
「怒らんといて!ヴァン!アタシがあの時いらん事言うたからアカンかってん!アタシも悪いねん!」
「悪くないよ!ウルは何も悪くない!あんな言い方されたら、誰だって怒って当然なんだ!」
「ヴェンツェル殿下、確認させて頂けますか?ヴェンツェル殿下はエレオノーラ嬢と婚約を結ばれていらっしゃいますよね?」
「それは……!母上が勝手にっ!」
「ヴェンツェル殿下の意思ではないと?」
「当然だ!僕にも選ぶ権利はあって良い筈だ!」
「では婚約破棄の意思はおありですか?」
「出来ればそうしたい!けど母上に……」
「分かりました。この件はこちらにお任せ頂けますか?それとウルリーカさん。」
「はい……」
「今回の事はウルリーカさんの意向を汲んで、エリザベートさんには何も言わない。それは安心してね。けれど、僕はこのままでは済まさない。貴女はリドディルク様とアシュリー王妃の客人としてこの帝城に招かれているんだ。その大切な客人にこんな事をして、只で済ますと思ったら大間違いだ……!」
「ゾランさん……」
「ゾランが怒ると怖いからな。ではこの件はゾランに任せる。頼んだぞ。」
「畏まりました。ウルリーカさん。リドディルク様が貴女に回復魔法を教える先生の仕事を与えたのは、少しでも人とエルフが接する機会をつくろうと思われたからなんだよ。この国の人々にはまだ偏見があって、人以外の存在には排他的思考を持っているからね。だからエルフ族の方や獣人族・ドワーフ族達にも理解を示そうとしない。これはリドディルク様が正そうとされている事なんだ。だからウルリーカさんが思うより、ウルリーカさんが受けた事は大きな事なんだよ。」
「そうやったんですね……」
「だから、自分の事でって考えなくても良いんだよ。分かったかい?」
「はい……」
ゾランさんはニッコリ微笑むと、礼をしてから踵を返して部屋から出て行った。
やっぱり格好良いなぁ。ゾランさんは。
そう思ってゾランさんを見送ってたら、なんか髪が触られてる感じがあって、なんやろ?って思って横を見ると、ヴァンが悲しそうな顔でアタシの短くなった髪を触っていた。
「え……ヴァン?」
「綺麗な髪だったのに……」
「あ、でも髪はまた伸びるし!それに、アタシ猫っ毛やから、そんな綺麗とかちゃうかったやん?」
「そんな事ないよ。鮮やかな銀色で緩やかなウェーブの髪が綺麗だった。それをこんな風に……許せないよ……!」
「な、何言うてんの……!あ、そうや、アタシ何も言わんとここに来たから、お母さん心配してるかも知れへん!リサが治してくれたから体はもう平気やし、仕事に戻るわ!」
「あ、ウル!」
「ほなな!ありがとう、ヴァン!」
なんか気恥ずかしくなって、すぐにリサの部屋から出て午後の練習に戻った。
お母さんは私が来ないのを心配してたけど、お昼寝してもうて寝過ごした!って言ったら疑惑の目を向けながらも優しく笑って許してくれた。
これ以上心配させたない。
せやからアタシは笑うねん。
笑ったるねん。
「ん……えっと……ヴァン……?」
目を開けると、ヴァンがいた。
あれ?アタシ、何しててんやろ?
「どうしたん?ヴァン?」
「痛い所とかないか?!頭は大丈夫か?!」
「なんや、頭可笑しいとか言うてんの?」
「そうじゃな……!はぁー……良かった……いつも通りだ……」
「え?なに?なんなん?……あれ、そうか、そうや!アタシ、木から落ちたんや!」
「ここは執務室から見える場所なんだけど、ちょっと休憩しようと思って窓から外を眺めたら、ウルが木の枝にいるのが見えたんだ。楽しそうだなぁって思って見ていたら、急に浮いた感じになって木から落ちたから、慌ててここまでやって来たんだよ!ビックリしたんだからな!」
「そうやったんや。ごめん……」
「あ、いや、謝る事じゃないよ。けど、どうしたんだ?木から落ちるって、不注意でそうなった感じじゃなさそうだったけど……」
「不注意や。バランス崩しただけや。」
「そうかな……至るところに傷みたいなのもあったよ?回復魔法で治したけど。」
「あ、治してくれたん?!ありがとう!すごいやん!もうちゃんと使えんねんな!」
「ウルが教えてくれたからだよ。けど、本当に何かあったんじゃないのか?もしかして……嫌がらせを受けてるとか、そんなんじゃ……」
「違う!そんなんとちゃうねん!なんでも無いし、ホンマにアタシの不注意や!」
「ウル……けど……」
「あ、アタシもう戻らな!ほなまたな!」
走り出そうとして、けど頭がフラついてよろけてしまった。
さっき変な所でも打ったんかな……
「ウル!」
咄嗟にヴァンが支えてくれた。
後ろから抱えられてる感じで、なんか気恥ずかしい感じになって、すぐに離れる。
けど、そうやってすぐに動いたからか、また頭がフラってなって、ヴァンがまた支えてくれた。
「ウル、僕の回復魔法じゃ完全に治せなかったみたいだ。ごめん!ゆっくり休まないと!」
「あ……うん……そうやな……ちょっと休む……」
「何をしているんですの?!」
「エレオノーラ!」
「ヴェンツェル殿下!私というものがありながら、そんな卑しいエルフを抱きかかえるなんてっ!」
「これは仕方がないんだよ!ウルは今頭を打って……!」
「自業自得です!さ、早くお離れになって……」
「まさか……君が……」
「な、何の事ですの?私は何もして等いませんわ。勝手にそこのエルフが木から落ちただけでしょう?」
「……なんで木から落ちたって知ってるんだ……?」
「え……それは今、ヴェンツェル殿下がそう言われたからで……」
「僕はウルが頭を打ったとしか言ってないよ!エレオノーラがしたんだな!ウルにこんな事を!」
「わ、私がそんな事する訳がないじゃないですか!言い掛かりも甚だしいですわ!」
「どうされましたか!?ヴェンツェル殿下!」
「ゾラン!ウルが頭を打ったんだ!すぐに部屋へ運びたい!」
「承知致しました!……やはり貴女でしたか……エレオノーラ嬢……」
「な、なんですの?!濡れ衣ですわ!公爵令嬢に対して失礼ですよ!使用人上がりの分際で!気分が悪いわ!失礼します!」
クラクラする頭を両手で押さえて、何とかしっかりするようにしようとするけど、さっき自分の傷を自分で治したから魔力が足りなくて全然効かへん……
はぁー……情けないなぁー……
自分でなんとかしようと思ったのに……
こんなん知ったら、またお母さんが心配するやん……
「ヴァン……お母さんには言わんといて……」
「え?けど、エリザベートに治して貰わないと!僕の回復魔法じゃこれ以上治せないよ?!」
「ほな……リサに……」
「ウルリーカさん、分かりました。ではラリサ王妃の元へ急ぎましょう!」
ゾランさんに抱き上げられて、リサの部屋まで来た。
ここにはベルンバルトがおるから、アタシもあんまり来たくなかってんけど……
すぐに隣の別室のソファーに寝かされて、リサが回復魔法をかけてくれた。
優しい光に包まれて、徐々に痛みとクラクラが無くなってくる。
「ウル、大丈夫?どうしたの?こんなに怪我いっぱいで……」
「え?ラリサ王妃、ウルにまだ怪我があったんですか?」
「服に隠れてみえてませんでしたが、至るところにあったようです。かなり魔力を使いました。」
「ウルリーカさん、これはやはりエレオノーラ嬢がされたんですか?」
「いや、それは!その……!」
「この前の事が原因なんだね。」
「この前の事とは何ですか?ヴェンツェル殿下?」
「前にエレオノーラとウルが言い合いになってね。けど、ウルは何も悪くないんだ。エレオノーラがエルフを悪く言うから……」
「そうだったんですね。こちらでも調べていたんです。以前、ウルリーカさんが受けた魔法を使える人や集団を。風で切られたような怪我と、水と氷の魔法……この組み合わせでエルフに反対意見を持つ者で探していました。何組かいたんですが、この中に先程のエレオノーラ嬢と取り巻きも含まれておりまして……」
「ちょっと待て、ゾラン!ウルは以前もこんな事をされたのかい?!」
「えぇ……以前は水に濡らされてから氷魔法で凍らされておりました。発見が遅ければ命にも関わる程の影響があったんです!」
「けど、ミーシャが見付けてくれたから、大事には至らんかったやん!今日もヴァンが助けてくれたし……」
「一歩間違えば大変な事になってたじゃないか!これは簡単に済まして良いことではないっ!」
「ヴァン、そうかもやけど……」
「ウルリーカさん。お母さんの事を……エリザベートさんの事を気にしてるんだね?」
「……あ、それは……その……」
「エルフと言うことが原因で苛められていたとなると、エリザベートさんが悲しい思いをする、そう考えていたんじゃないのかな?」
「だって……お母さんは村長の娘で……お母さんは皆から村長の娘として崇められてたし慕われててん!だからお母さんがいなくなっても皆がアタシに優しくしてくれたし、お母さんはすごい人やったって、エルフの誇りやって言われてたから……!せやのにアタシが、エルフが原因でこんな事されてたって分かったら……お母さんが悲しむやんか!」
「ウルが一人で耐えてたって事を知ったら、エリザベートはもっと悲しむんじゃないかしら。母親は子供の事を一番に考えるのよ?誰よりも、自分よりも子供の事を想うのよ?」
「せやけど……!」
「髪も切られたのね……エリザベートみたいに伸ばし続けるって言ってたのに……エルフにとって髪は、精霊の力が宿ると言われて大切にされているのに……」
「それもエレオノーラが?!やり過ぎだろ!」
「怒らんといて!ヴァン!アタシがあの時いらん事言うたからアカンかってん!アタシも悪いねん!」
「悪くないよ!ウルは何も悪くない!あんな言い方されたら、誰だって怒って当然なんだ!」
「ヴェンツェル殿下、確認させて頂けますか?ヴェンツェル殿下はエレオノーラ嬢と婚約を結ばれていらっしゃいますよね?」
「それは……!母上が勝手にっ!」
「ヴェンツェル殿下の意思ではないと?」
「当然だ!僕にも選ぶ権利はあって良い筈だ!」
「では婚約破棄の意思はおありですか?」
「出来ればそうしたい!けど母上に……」
「分かりました。この件はこちらにお任せ頂けますか?それとウルリーカさん。」
「はい……」
「今回の事はウルリーカさんの意向を汲んで、エリザベートさんには何も言わない。それは安心してね。けれど、僕はこのままでは済まさない。貴女はリドディルク様とアシュリー王妃の客人としてこの帝城に招かれているんだ。その大切な客人にこんな事をして、只で済ますと思ったら大間違いだ……!」
「ゾランさん……」
「ゾランが怒ると怖いからな。ではこの件はゾランに任せる。頼んだぞ。」
「畏まりました。ウルリーカさん。リドディルク様が貴女に回復魔法を教える先生の仕事を与えたのは、少しでも人とエルフが接する機会をつくろうと思われたからなんだよ。この国の人々にはまだ偏見があって、人以外の存在には排他的思考を持っているからね。だからエルフ族の方や獣人族・ドワーフ族達にも理解を示そうとしない。これはリドディルク様が正そうとされている事なんだ。だからウルリーカさんが思うより、ウルリーカさんが受けた事は大きな事なんだよ。」
「そうやったんですね……」
「だから、自分の事でって考えなくても良いんだよ。分かったかい?」
「はい……」
ゾランさんはニッコリ微笑むと、礼をしてから踵を返して部屋から出て行った。
やっぱり格好良いなぁ。ゾランさんは。
そう思ってゾランさんを見送ってたら、なんか髪が触られてる感じがあって、なんやろ?って思って横を見ると、ヴァンが悲しそうな顔でアタシの短くなった髪を触っていた。
「え……ヴァン?」
「綺麗な髪だったのに……」
「あ、でも髪はまた伸びるし!それに、アタシ猫っ毛やから、そんな綺麗とかちゃうかったやん?」
「そんな事ないよ。鮮やかな銀色で緩やかなウェーブの髪が綺麗だった。それをこんな風に……許せないよ……!」
「な、何言うてんの……!あ、そうや、アタシ何も言わんとここに来たから、お母さん心配してるかも知れへん!リサが治してくれたから体はもう平気やし、仕事に戻るわ!」
「あ、ウル!」
「ほなな!ありがとう、ヴァン!」
なんか気恥ずかしくなって、すぐにリサの部屋から出て午後の練習に戻った。
お母さんは私が来ないのを心配してたけど、お昼寝してもうて寝過ごした!って言ったら疑惑の目を向けながらも優しく笑って許してくれた。
これ以上心配させたない。
せやからアタシは笑うねん。
笑ったるねん。
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
【完結】選ばれなかった王女は、手紙を残して消えることにした。
曽根原ツタ
恋愛
「お姉様、私はヴィンス様と愛し合っているの。だから邪魔者は――消えてくれない?」
「分かったわ」
「えっ……」
男が生まれない王家の第一王女ノルティマは、次の女王になるべく全てを犠牲にして教育を受けていた。
毎日奴隷のように働かされた挙句、将来王配として彼女を支えるはずだった婚約者ヴィンスは──妹と想いあっていた。
裏切りを知ったノルティマは、手紙を残して王宮を去ることに。
何もかも諦めて、崖から湖に飛び降りたとき──救いの手を差し伸べる男が現れて……?
★小説家になろう様で先行更新中
好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
あなたへの想いを終わりにします
四折 柊
恋愛
シエナは王太子アドリアンの婚約者として体の弱い彼を支えてきた。だがある日彼は視察先で倒れそこで男爵令嬢に看病される。彼女の献身的な看病で医者に見放されていた病が治りアドリアンは健康を手に入れた。男爵令嬢は殿下を治癒した聖女と呼ばれ王城に招かれることになった。いつしかアドリアンは男爵令嬢に夢中になり彼女を正妃に迎えたいと言い出す。男爵令嬢では妃としての能力に問題がある。だからシエナには側室として彼女を支えてほしいと言われた。シエナは今までの献身と恋心を踏み躙られた絶望で彼らの目の前で自身の胸を短剣で刺した…………。(全13話)
婚約者の浮気を目撃した後、私は死にました。けれど戻ってこれたので、人生やり直します
Kouei
恋愛
夜の寝所で裸で抱き合う男女。
女性は従姉、男性は私の婚約者だった。
私は泣きながらその場を走り去った。
涙で歪んだ視界は、足元の階段に気づけなかった。
階段から転がり落ち、頭を強打した私は死んだ……はずだった。
けれど目が覚めた私は、過去に戻っていた!
※この作品は、他サイトにも投稿しています。
【完結】婚約破棄されて修道院へ送られたので、今後は自分のために頑張ります!
猫石
ファンタジー
「ミズリーシャ・ザナスリー。 公爵の家門を盾に他者を蹂躙し、悪逆非道を尽くしたお前の所業! 決して許してはおけない! よって我がの名の元にお前にはここで婚約破棄を言い渡す! 今後は修道女としてその身を神を捧げ、生涯後悔しながら生きていくがいい!」
無実の罪を着せられた私は、その瞬間に前世の記憶を取り戻した。
色々と足りない王太子殿下と婚約破棄でき、その後の自由も確約されると踏んだ私は、意気揚々と王都のはずれにある小さな修道院へ向かったのだった。
注意⚠️このお話には、妊娠出産、新生児育児のお話がバリバリ出てきます。(訳ありもあります)お嫌いな方は自衛をお願いします!
2023/10/12 作者の気持ち的に、断罪部分を最後の番外にしました。
2023/10/31第16回ファンタジー小説大賞奨励賞頂きました。応援・投票ありがとうございました!
☆このお話は完全フィクションです、創作です、妄想の作り話です。現実世界と混同せず、あぁ、ファンタジーだもんな、と、念頭に置いてお読みください。
☆作者の趣味嗜好作品です。イラッとしたり、ムカッとしたりした時には、そっと別の素敵な作家さんの作品を検索してお読みください。(自己防衛大事!)
☆誤字脱字、誤変換が多いのは、作者のせいです。頑張って音読してチェックして!頑張ってますが、ごめんなさい、許してください。
★小説家になろう様でも公開しています。
悪役令嬢は処刑されました
菜花
ファンタジー
王家の命で王太子と婚約したペネロペ。しかしそれは不幸な婚約と言う他なく、最終的にペネロペは冤罪で処刑される。彼女の処刑後の話と、転生後の話。カクヨム様でも投稿しています。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる