慟哭の時

レクフル

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第七章

船で知り合った女

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例に漏れず、俺はまた牢屋に入れられてなぶられている。

ったく……コイツらはどこに行ってもやる事は変わんねぇんだな……

兵達のストレス解消なのか、色んなヤツ等から殴る蹴るを受ける。
体の表面に風魔法を纏い、なるべく内蔵に響かない様にする。
そうしてると、あまりにヘコタレない俺にイライラして、更に暴行は酷くなっていく。

っとに、弱いもんイジメが好きなんだな。
けど、俺はお前等より強ぇけどな!

そろそろ殴るのも疲れてきた様で、そこから尋問が始まった。
普通は先に尋問からだろ!


「お前はどこの奴隷だった?どれくらい逃げてたんだ?」

「知んねぇな……」

「強情な奴隷だな。だからそんだけ痛め付けられたんだろうがな。」

「ぐぁっっ!!」


俺の右の掌に、でっけぇ杭を打ち込まれた。
ったく……字が書けなくなるじゃねぇか!


「お前の名前を言えっ!そこから調べてやる!」

「……奴隷に…名前なんてねぇんじゃ……ねぇか?……あっっくっ!!」


次は左の掌に杭を打ち込まれた。
両手ヤラレたら飯が食えなくなるだろ!

兵達にどこの奴隷だと聞かれても、俺はこの国の奴隷じゃねぇから何も言えねぇ……
両足にも杭を打たれて、まるでどっかの宗教の教祖様みてぇになった。

それからも聞かれるけど何も言えずにいる。
俺が壁に固定されたから、それを的にしてなんか投げてくる。
おいっ!俺をダーツの的にすんじゃねぇよ!
笑いながら、心臓に当たったら1000点な!とか遊んでやがる……
ここの兵達の質が問われるな……
あちこち地味に痛ぇんだぞ!これ!
風魔法で深く刺さらないようにはしてっけどな!

一番に俺をなぶっている奴がニヤリと笑い出す。
なに憎たらしい顔してんだよ!
くっそ!殴りてぇっ!!


「やっぱりお前はあの孤児院の連中を庇っていたんじゃないか?アイツ等をもう一度調べる必要があるか……」

「……ねぇ……よ……かん、けい……なんて……」

「では雇い主を言ってみろ!言えないのなら……」

「…ノエ…………オ……カ………、ニャ……」

「あぁ?!なんだ?!」

「ノエリ………オル………カーニャ………」

「何!?ノエリア・オルカーニャ?!嘘をつくなっ!」

「……聞け……ば…い、い……おれ……は……エリ………アス……だ……」

「そんな……っ!おいっ!すぐに確認しろっ!!」


ここまでされて、ようやく船であった女を思い出した。
けど、本当なら頼りたくなかったんだけどな……


しかしここは寒いな……

全身がすっげぇ寒い……

あぁ……そっか

俺から血が流れていってるから……

だから寒く感じんだな

あれからどんくらい経ったか分かんねぇな

結構血が流れたのかな

段々寒くなっていく

ちょっとこれはヤバいかな

最後に

アシュレイを見たかったな

アシュレイの……笑顔が見たかった

遠くからバタバタした音が聞こえて来たけど

顔を上げんのもしんどくなってきた……

……誰かが

名前……呼んでる……?

うっせぇな

そんなに何回も呼ぶなよ……

少し顔を上げて……

ボヤけた目で何とか見たら

あれは

ノエリア………?

なんだ

アシュレイじゃねぇのか

いや

アシュレイはここに来ちゃダメだから

これで良いのか

ノエリア

そんなビックリした顔すんな

笑っちまう……だ……ろ……

それから俺は全身に激痛を感じながら、暗闇の中に落ちていった……




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