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第三章
銀髪の部族の村
しおりを挟む拘束されたまま、村まで連れていかれる。
その間、マリーは村の男達に、私の事は恩人だと訴えるが、拘束を解かれる事はなかった。
「アッシュ!アッシュ!大丈夫か?!」
レクスが心配そうに私の周りをうろうろしている。
私は微笑んで、レクスの方に頷く。
暫く歩くと、村が見えてきた。
村の前には、村長と思わしき老人や、屈強そうな若者が並んでいた。
皆が、銀の髪だった。
マリーが村長の元まで走っていき、訴えかける、
「村長!聞いてください!この人は私の恩人なんです!早く拘束を解いてください!」
「マリー。もしそうであったとしても、迂闊に拘束を解くことはできん。キチンと調べてからでないと、この村の存亡に関わる事になりかねん。」
「そんな!お願いします!」
「マリー、大丈夫だよ。今は大人しくしといた方が良さそうだ。」
「アシュレイ様っ!」
涙を流しながら、マリーはいきなり私に抱きつきに来た。
私もビックリしたが、セルジと言う男がもっと驚いた様で
「マリー!何をしている?!離れるんだ!」
「嫌です!アシュレイ様!ごめんなさいぃぃぃぃ!」
困った顔をしていると、村長の後ろの方から
「マリー!」
と、大声で名前を呼びながら男女の夫婦らしき者達がやって来た。
恐らくマリーの両親だろう。
声のした方を見たマリーは
「お父さん!お母さん!」
言うなり、母親に頬をぶたれた。
「こんなとをして!まずは落ち着きなさい!」
ポロポロと涙を流してるマリーを、母親は抱き締める。
「心配したのよ…無事で良かったわ。」
そう言って、マリーを村の方へ連れていった。
「マリーの父のガルフと言います。娘がお世話になったようですね。
しかし、すぐに拘束を解くことはできません。申し訳ないのですが、暫くはこのままで我慢して頂けますか?」
「分かりました。」
「アッシュは助けたんだぞ!何も悪くないんだぞ!」
レクスは私を庇ってくれるが、今は仕方がないだろう。
私は拘束されたまま、村の中まで連れていかれた。
村は周りはかなり強い結界を張っていて、外部からの侵入者をかなり警戒しているのが分かる。
村には広い畑があり、色んな野菜が育てられるのが分かる。
牛鴨や鳥もいて、酪農されているのも目につく。
本当に自給自足だな。
作業をしていた人達が、私を見て手を止める。
余所者が珍しいんだろうな。
晩御飯の用意をしているのか、至るところから美味しそうな匂いがしてくる。
子供達が集まって遊んでいる。
私を見つけて不思議そうに見上げる。
可愛いな。
思わず微笑んでしまう。
この村はいいな。
暖かさを感じる。
私が周りを見ながら微笑んでいるのを見て、私を連れていく者達は不思議そうに私を見ていた。
こいつ、囚われているのに笑ってるとは怪しいヤツだ、とか思われているのだろうか。
村の奥の方に、地下へ下る階段が見えた。
そこを降りて行くと、牢屋の様な場所があった。
「申し訳ないが、暫くここで過ごしてくれ。食事は後で持ってくる。」
男はそう言って、牢に私を入れて立ち去った。
牢の奥の方に人影が見える。
私の他にも誰かいたようだ。
人影がこちらに歩いてきた。
よく見ると、それはディルクだった。
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