66 / 363
第二章
精霊の加護
しおりを挟む2人で話をしていると、目の前を、白くうっすら輝きながら、フワリとゆっくりと精霊が翔んできた。
「私は光の精霊、ルキス。やっとお話しが出来るようになりましたね。」
そう言って、にっこり微笑んだ。
「あ、私はアシュ…」
「ええ、知っていますよ。アシュリー。」
「え?違うぞ?アッシュはアシュレイだぞ!」
レクスがそう言っても、ルキスは微笑んだまま
「貴女には精霊の加護を。私は貴女が大好きなのです。」
頬に手を添えて言う。
「ルキス……私の事を知っているんだな……」
「ええ。もちろん。」
言いながらルキスは、緩やかに辺りを翔んでいる。
「何かあったらお呼びなさいな。貴女の力になりましょう。」
微笑んでルキスは言う。
「ありがとう……ルキス。」
「そこにいる焼きもちやきさんが怒っているから、私は退散いたしますわ。」
言ってルキスはどこかへ消えた。
焼きもちやき?
ゾワリと私の左側に気配がしたので見てみると、左腕に絡み付くように、黒く漂う気の様なモノを纏った精霊がいた。
「やっと分かる様になったか、アシュリー。」
全身黒く、異様な雰囲気が漂っている。
「我は闇の精霊テネブレ。いつでも我を頼ると良い。お前の為なら力になろう。」
テネブレは私の周りをまとわりつくように回りながら、ニヤリと笑って、フッと消えて行った。
呆然としていると
「アッシュ!アッシュはアシュレイじゃないのか?!」
と、レクスが詰め寄る。
少し驚いて
「え?あ、あぁ……私の本当の名前はアシュリーって言うんだ。しかし、それを知っているなんて……」
「そっか……アシュリーだったのか……でも、どっちでもアッシュだ!」
私はレクスを見て
「そうだ。私はアッシュだ。」
言って微笑んだ。
「なら大丈夫だな!」
「そうだな。」
レクスと私は顔を見合せて笑い合う。
精霊の加護。
今までも私の近くにいたのか……
私は、私が思うより、1人ではなかったのかもしれない。
青い石の効果
それは、第六感が身に付くと言う事だった。
光と闇
溢れ出る魔力。
これは関係しているんだろうな……
「ところでさ、アッシュ。」
「ん?なんだ?」
「次はどこにいくのさ?」
「そうだな、今一番近そうなのは、紫の石の場所なんだ。
でも、近いって言っても、かなり遠いと思う。
すごく目を凝らしても、あまり光が見えないんだ。
南の方にありそうだから、とりあえずは南に向かうとするか……」
「そうか。じゃあ、南に行こう!2人で!」
「そうか、二人旅だな。」
「二人旅だ!」
私とレクスは足取りも軽く、南へ行くことにした。
レクスとの旅は、こうして始まった。
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
【完結】選ばれなかった王女は、手紙を残して消えることにした。
曽根原ツタ
恋愛
「お姉様、私はヴィンス様と愛し合っているの。だから邪魔者は――消えてくれない?」
「分かったわ」
「えっ……」
男が生まれない王家の第一王女ノルティマは、次の女王になるべく全てを犠牲にして教育を受けていた。
毎日奴隷のように働かされた挙句、将来王配として彼女を支えるはずだった婚約者ヴィンスは──妹と想いあっていた。
裏切りを知ったノルティマは、手紙を残して王宮を去ることに。
何もかも諦めて、崖から湖に飛び降りたとき──救いの手を差し伸べる男が現れて……?
★小説家になろう様で先行更新中
好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
あなたへの想いを終わりにします
四折 柊
恋愛
シエナは王太子アドリアンの婚約者として体の弱い彼を支えてきた。だがある日彼は視察先で倒れそこで男爵令嬢に看病される。彼女の献身的な看病で医者に見放されていた病が治りアドリアンは健康を手に入れた。男爵令嬢は殿下を治癒した聖女と呼ばれ王城に招かれることになった。いつしかアドリアンは男爵令嬢に夢中になり彼女を正妃に迎えたいと言い出す。男爵令嬢では妃としての能力に問題がある。だからシエナには側室として彼女を支えてほしいと言われた。シエナは今までの献身と恋心を踏み躙られた絶望で彼らの目の前で自身の胸を短剣で刺した…………。(全13話)
婚約者の浮気を目撃した後、私は死にました。けれど戻ってこれたので、人生やり直します
Kouei
恋愛
夜の寝所で裸で抱き合う男女。
女性は従姉、男性は私の婚約者だった。
私は泣きながらその場を走り去った。
涙で歪んだ視界は、足元の階段に気づけなかった。
階段から転がり落ち、頭を強打した私は死んだ……はずだった。
けれど目が覚めた私は、過去に戻っていた!
※この作品は、他サイトにも投稿しています。
悪役令嬢は処刑されました
菜花
ファンタジー
王家の命で王太子と婚約したペネロペ。しかしそれは不幸な婚約と言う他なく、最終的にペネロペは冤罪で処刑される。彼女の処刑後の話と、転生後の話。カクヨム様でも投稿しています。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
召喚アラサー女~ 自由に生きています!
マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。
牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子
信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。
初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった
***
異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います
かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる