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55話 突然の来訪者
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ボリスは程なくして拘束を解かれた。
今後二度と公爵領には立ち入らない、暴言等の悪い言葉は使えない、等の制約の魔法をモリエール家お抱えの術師にかけられ、ルストスレーム家に送り返したのだ。
そしてボリスを寄越したルストスレーム家にも公爵家への侮辱罪を科せ、今後のルストスレーム家への支援を永久剥奪、そして公爵家との断絶を宣言した。
ボリス騒動の一部始終を見、リュシアンからルストスレーム家の真実を聞かされたセヴランも、シオンを見る目が大きく変わっていた。
その事からセヴランもシオンに謝罪をした。満足な食事を意図的に提供しなかった事は、公爵夫人に対する冒涜だと恥じた。
そうしてシオンを取り巻く環境は、モリエール家に来た当初より格段に良くなっていったのだ。
シオンの体調も良くなり、買ってきた花の苗も植え替えし、庭の手入れも少しずつ出来るようになっていった。
身に余る待遇。
今世ではこんなに穏やかな気持ちで生活できた事はなく、シオンはこれまでにない幸せを感じていた。
リュシアンも優しく接してくれていて、ぎこちなくも少しずつ距離が近づいているように感じている。
だが、気になることがある。
今日もシオンを訪ねに部屋へやって来たリュシアンにオズオズと聞いてみる事にした。
「あの……ルマの街なんですが……」
「ルマの街? ……あぁ、先日行った街だな。それがどうかしたのか?」
「街の人達が言ってた事なんですが、その……昔、ルマの街に疫病が蔓延したと……」
「そうだ。あの街が一番被害にあったそうだ。しかしそれを一人の少女が救った。だからあの街の人達はその少女の容姿に似ている者に感謝の念を告げるだろう?」
「はい、ご存知だったんですね」
「当然だ。あれはノアの功績だからな」
「ノア……」
「あ、いや、何でもない」
思わず口を滑らせたように、しまったと言いたげな顔をするリュシアンだったが、それを見てシオンは自分の事を知ってくれている、覚えてくれていると胸が暖かくなった。
「あの、その疫病にはその後感染した人はいないんですか?」
「そうだな。完全に浄化されたと考えられる。だから心配する事はない」
「そうなんですね」
良かったと言わんばかりに、シオンは表情を緩める。その顔に見惚れてしまうリュシアンは、日に日にシオンが気になって仕方がなくなっていた。
初めて会った時は、フィグネリアに似たその顔を見るのが苦痛でしかなかった。なるべく視界に入れたくなかった。
だが、今のシオンはフィグネリアを思い起こさせる要因が何ひとつ無いように感じられるのだ。
銀に輝くサラリとした髪も、アメジストの様な美しい瞳も、スラリとした鼻も、程よく厚みのある唇も、透き通るように白い肌も何もかも、あのふしだらで醜悪なフィグネリアとは似ても似つかない。
シオンとフィグネリアは全く違うと、今なら大声で皆に言ってやれる。リュシアンは本気でそう思っていた。
呆然とシオンを見つめるリュシアンを不思議に感じるシオン。
「あの、リュシアン様? どうかなさいましたか?」
「え? いや、何でもない! あ、いや、そうだな、あの疫病に関しては今も色々対策は練っている。まぁ、他の疾患もそうなのだが」
取り繕うように話すリュシアンだが、言った内容にシオンは食いついた。
「対策って、どんな事なんですか?」
「あぁ……薬を開発しているところだ。どんな病気でも治せる万能薬を魔術師、魔導具師、薬学士、医術士と合同で研究している。が、思うように進まない為、何年もかかっているのだが」
「そうなんですね」
「だがもう少しなんだ。もう少しで臨床実験も出来るようになる」
「凄いですね……!」
「亡くなった父上が昔疫病を患ってから、病に苦しむ人々を救いたいと医療に力を入れるようになってな。だからモリエール家は医療の技術、薬学の技術共にこの国トップとなっている」
「そうだったんですね。凄い事てす。申し訳ありません。わたくしは何も知りませんでした」
「それは……シオンの育った環境では仕方がなかっただろう。そんな事は気にしなくていい。気にして欲しくないんだ」
「はい……」
だからモリエール公爵領では病に苦しむ人々は少ないんだとシオンは理解した。
もう自分の力がなくても、人々が苦しまなくても良いんだとホッとしたのだ。
自分の魔力が多く体に宿っても、もう力は使いたくないと思っていたシオンだが、その能力があるのに何もしないと言う事に心苦しく感じていたのも事実だった。
でももう必要ない。魔法を使わなければ利用される事もない。だからリュシアンの話してくれた事でシオンは胸を撫で下ろしたのだった。
そんなある日のこと。
モリエール家に突然、クレメンティナ王女が訪れた。
クレメンティナ王女とは狩猟大会で会った時以来で、アウルベアに襲われシオンが傷付いた事に対し、寸前まで一緒にいたとしてモリエール家に見舞いの手紙や品を贈ってきていたのだ。
シオンにも気遣うような手紙を寄越したが、あの時の、お茶の席で蔑むように言ってきた事を覚えているシオンは、手紙に書かれてあるありふれた気遣いの文章を鵜呑みにはしていなかった。
シオンはメリエルに代筆を頼みお礼の手紙を送った。もちろんリュシアンも感謝の手紙を返し、祝い返しの品を贈った。
リュシアンに宛てられた手紙の内容をシオンは知らなかったが、実はシオンの見舞いに伺いたいと何度も書かれてあったのだ。
しかし、幼い頃よりクレメンティナ王女の事を知るリュシアンは、ただの見舞いというだけの意図ではないと推察していた。だから訪問を悉く断っていたのだ。
王家の唯一の娘で王女であるクレメンティナは、これまで何でも思い通りに出来たししてきたし、何も我慢もする必要がなく育った。
しかし、リュシアンの事だけは思うようにいかなかった。
リュシアンを我がモノにしたい。その思いはとどまる事を知らず、シオンと結婚をしたと知ってもなお、心はリュシアンを求めてやまなかった。
そんなクレメンティナの事を知っているからこそ見舞いを断っていたのだが、リュシアンの許可も得ず面会の約束もせず、いきなりモリエール家にやって来たのだ。しかも侍女も護衛もつけずたった一人で。
王女を無下にする訳にはいかず、ひとまずセヴランがクレメンティナを応接室に案内した。
セヴランは報告せねばと、訓練場で騎士達に稽古をつけているリュシアンの元へと急ぎ駆けて行く。
幼い頃はモリエール家にも出入りしていたクレメンティナは、勝手知ったる邸とばかりに歩き回り、シオンが何処にいるのかを使用人達から聞き出し、別邸へと向かったのであった。
今後二度と公爵領には立ち入らない、暴言等の悪い言葉は使えない、等の制約の魔法をモリエール家お抱えの術師にかけられ、ルストスレーム家に送り返したのだ。
そしてボリスを寄越したルストスレーム家にも公爵家への侮辱罪を科せ、今後のルストスレーム家への支援を永久剥奪、そして公爵家との断絶を宣言した。
ボリス騒動の一部始終を見、リュシアンからルストスレーム家の真実を聞かされたセヴランも、シオンを見る目が大きく変わっていた。
その事からセヴランもシオンに謝罪をした。満足な食事を意図的に提供しなかった事は、公爵夫人に対する冒涜だと恥じた。
そうしてシオンを取り巻く環境は、モリエール家に来た当初より格段に良くなっていったのだ。
シオンの体調も良くなり、買ってきた花の苗も植え替えし、庭の手入れも少しずつ出来るようになっていった。
身に余る待遇。
今世ではこんなに穏やかな気持ちで生活できた事はなく、シオンはこれまでにない幸せを感じていた。
リュシアンも優しく接してくれていて、ぎこちなくも少しずつ距離が近づいているように感じている。
だが、気になることがある。
今日もシオンを訪ねに部屋へやって来たリュシアンにオズオズと聞いてみる事にした。
「あの……ルマの街なんですが……」
「ルマの街? ……あぁ、先日行った街だな。それがどうかしたのか?」
「街の人達が言ってた事なんですが、その……昔、ルマの街に疫病が蔓延したと……」
「そうだ。あの街が一番被害にあったそうだ。しかしそれを一人の少女が救った。だからあの街の人達はその少女の容姿に似ている者に感謝の念を告げるだろう?」
「はい、ご存知だったんですね」
「当然だ。あれはノアの功績だからな」
「ノア……」
「あ、いや、何でもない」
思わず口を滑らせたように、しまったと言いたげな顔をするリュシアンだったが、それを見てシオンは自分の事を知ってくれている、覚えてくれていると胸が暖かくなった。
「あの、その疫病にはその後感染した人はいないんですか?」
「そうだな。完全に浄化されたと考えられる。だから心配する事はない」
「そうなんですね」
良かったと言わんばかりに、シオンは表情を緩める。その顔に見惚れてしまうリュシアンは、日に日にシオンが気になって仕方がなくなっていた。
初めて会った時は、フィグネリアに似たその顔を見るのが苦痛でしかなかった。なるべく視界に入れたくなかった。
だが、今のシオンはフィグネリアを思い起こさせる要因が何ひとつ無いように感じられるのだ。
銀に輝くサラリとした髪も、アメジストの様な美しい瞳も、スラリとした鼻も、程よく厚みのある唇も、透き通るように白い肌も何もかも、あのふしだらで醜悪なフィグネリアとは似ても似つかない。
シオンとフィグネリアは全く違うと、今なら大声で皆に言ってやれる。リュシアンは本気でそう思っていた。
呆然とシオンを見つめるリュシアンを不思議に感じるシオン。
「あの、リュシアン様? どうかなさいましたか?」
「え? いや、何でもない! あ、いや、そうだな、あの疫病に関しては今も色々対策は練っている。まぁ、他の疾患もそうなのだが」
取り繕うように話すリュシアンだが、言った内容にシオンは食いついた。
「対策って、どんな事なんですか?」
「あぁ……薬を開発しているところだ。どんな病気でも治せる万能薬を魔術師、魔導具師、薬学士、医術士と合同で研究している。が、思うように進まない為、何年もかかっているのだが」
「そうなんですね」
「だがもう少しなんだ。もう少しで臨床実験も出来るようになる」
「凄いですね……!」
「亡くなった父上が昔疫病を患ってから、病に苦しむ人々を救いたいと医療に力を入れるようになってな。だからモリエール家は医療の技術、薬学の技術共にこの国トップとなっている」
「そうだったんですね。凄い事てす。申し訳ありません。わたくしは何も知りませんでした」
「それは……シオンの育った環境では仕方がなかっただろう。そんな事は気にしなくていい。気にして欲しくないんだ」
「はい……」
だからモリエール公爵領では病に苦しむ人々は少ないんだとシオンは理解した。
もう自分の力がなくても、人々が苦しまなくても良いんだとホッとしたのだ。
自分の魔力が多く体に宿っても、もう力は使いたくないと思っていたシオンだが、その能力があるのに何もしないと言う事に心苦しく感じていたのも事実だった。
でももう必要ない。魔法を使わなければ利用される事もない。だからリュシアンの話してくれた事でシオンは胸を撫で下ろしたのだった。
そんなある日のこと。
モリエール家に突然、クレメンティナ王女が訪れた。
クレメンティナ王女とは狩猟大会で会った時以来で、アウルベアに襲われシオンが傷付いた事に対し、寸前まで一緒にいたとしてモリエール家に見舞いの手紙や品を贈ってきていたのだ。
シオンにも気遣うような手紙を寄越したが、あの時の、お茶の席で蔑むように言ってきた事を覚えているシオンは、手紙に書かれてあるありふれた気遣いの文章を鵜呑みにはしていなかった。
シオンはメリエルに代筆を頼みお礼の手紙を送った。もちろんリュシアンも感謝の手紙を返し、祝い返しの品を贈った。
リュシアンに宛てられた手紙の内容をシオンは知らなかったが、実はシオンの見舞いに伺いたいと何度も書かれてあったのだ。
しかし、幼い頃よりクレメンティナ王女の事を知るリュシアンは、ただの見舞いというだけの意図ではないと推察していた。だから訪問を悉く断っていたのだ。
王家の唯一の娘で王女であるクレメンティナは、これまで何でも思い通りに出来たししてきたし、何も我慢もする必要がなく育った。
しかし、リュシアンの事だけは思うようにいかなかった。
リュシアンを我がモノにしたい。その思いはとどまる事を知らず、シオンと結婚をしたと知ってもなお、心はリュシアンを求めてやまなかった。
そんなクレメンティナの事を知っているからこそ見舞いを断っていたのだが、リュシアンの許可も得ず面会の約束もせず、いきなりモリエール家にやって来たのだ。しかも侍女も護衛もつけずたった一人で。
王女を無下にする訳にはいかず、ひとまずセヴランがクレメンティナを応接室に案内した。
セヴランは報告せねばと、訓練場で騎士達に稽古をつけているリュシアンの元へと急ぎ駆けて行く。
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