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レバノン杉騒動
守護神を倒すモノ その2
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「おおああ!」
込められるだけの力を込めて、エーラは担いでいた岩をズワワに投擲する。
「ガアア!」
神光による防御を持つズワワでも、さすがに投擲されてくる岩をただ無視することはできなかったらしい。
今度は飛んでくる岩を目視していたズワワは、空いていた腕を振るい、裏拳で岩を粉砕した。
「ビー!」
エーラがビーの名を呼び、
「うっりゃああ!」
跳躍したビーが、背中まで振りかぶった斧を、ズワワ目がけて唐竹割りを敢行する。
「甘いがぁ!」
ズワワは巨大斧を持っている方の腕を振り上げ、ビーの振るった刃を己の刃で弾き返した。
エーラが隙を作り、ビーが仕留めに来ることを読んでいたのだ。
「まずはお前がら#ぶっ潰しでや―――がっ!?」
ビーに対して再び巨大斧の刃を落とそうとしたズワワの後頭部に、エーラの放った岩が命中し砕けた。
「ぐっ―――ごのー!」
神光によってダメージはないものの、一抱えもある岩を何度も投げつけられては、いよいよズワワも苛立ってきていた。
「お前もいいがげんに―――」
「てえぇやああぁ!」
エーラに怒りを顕にしたズワワの隙をつき、ビーが斧を構えて跳び上がる。が、
「来るど思っでだぁ!」
それを見越していたズワワは、片手でビーの体を鷲掴みにしてしまった。
「ビー!」
「さっぎはよぐも岩投げでぐれだな?」
ビーを握り締めたまま、ズワワはエーラに向き直った。
「返しでやるがー!」
腕を振りかぶったズワワは、今度はエーラに対してビーを投げつけるという形で仕返した。
「うあ!」
「ぎう!」
エーラは何とかビーを受け止めようとしたが、ビーだけならまだしも、ビーの斧まで一緒になっては、衝撃を殺しきることはできなかった。
盛大な土埃は舞ったが、常人であれば二人とも助からないところ、エーラとビーはもつれ合うように倒れただけで無事だった。
しかし、それこそズワワが狙っていたことだった。
もつれ合ったままでは、すぐに反撃の体勢は取れない。
「山の肥やしになるがー!」
二人に向かって巨大斧を振り下ろすズワワ。
それを避けきれないと思った二人は目を瞑りかかったが、
「うおおおああああ!」
腰に佩いた剣を抜き放ち、それを迫る刃に翳して立つ者がいた。
二人を守らんと決死の覚悟で前へと踏み出した、荒雲勇男だった。
「イサオ!?」「イサオ!?」
勇男の参戦に驚くエーラとビーだったが、その時にはもう勇男は地面に完全に埋もれていた。
ゼウス神謹製の剣はズワワの一撃でも折れることはなかったが、受けた衝撃はいかんともしがたく、あえなく勇男は土に沈むことになってしまった。
「何だお前は。勝手に割り込んでぎで潰れだだげだが?」
勇ましく前へと出てきたわりには、あまりにもあっけなく地面に沈んだ勇男に、ズワワもやや困惑したようだった。
「よ、よっくもイサオをー!」
勇男を叩き潰されたことに怒り心頭となったビーは、素早く起き上がると斧でズワワに切りつけた。
「がっ!?」
ビーの袈裟切りを巨大斧で防いだズワワだが、
「うわあああ!」
ビーは間髪入れずに攻撃を続ける。
怒りに任せた出鱈目な連撃ではあるが、ズワワもビーの気迫に押され、防ぐだけで手一杯の状態だった。
「イサオ! おいイサオ! 大丈夫か!」
ズワワがビーに手を焼いているうちに、エーラは地面に沈んでいる勇男の安否を確認する。かろうじて翳した剣が表面に見えていた。
「だ、大丈夫だ。死ぬかと思ったけど死んでない」
土の下から勇男の声が聞こえ、エーラは安堵の息を吐いた。
「無茶するなよ。真っ二つになったかと思ったぞ」
「わ、悪い。ホントは作戦を伝えるだけにしようと思ってたんだが……」
「作戦? ズワワを倒せる秘策でもあるのか?」
「うまくいくかどうかはやってみないとな……エーラ、いまは時間を稼いでくれ。その時が来たらやってもらいたいことがあるんだ」
勇男は土の中に埋もれながら、エーラにここからの動きを伝えた。
込められるだけの力を込めて、エーラは担いでいた岩をズワワに投擲する。
「ガアア!」
神光による防御を持つズワワでも、さすがに投擲されてくる岩をただ無視することはできなかったらしい。
今度は飛んでくる岩を目視していたズワワは、空いていた腕を振るい、裏拳で岩を粉砕した。
「ビー!」
エーラがビーの名を呼び、
「うっりゃああ!」
跳躍したビーが、背中まで振りかぶった斧を、ズワワ目がけて唐竹割りを敢行する。
「甘いがぁ!」
ズワワは巨大斧を持っている方の腕を振り上げ、ビーの振るった刃を己の刃で弾き返した。
エーラが隙を作り、ビーが仕留めに来ることを読んでいたのだ。
「まずはお前がら#ぶっ潰しでや―――がっ!?」
ビーに対して再び巨大斧の刃を落とそうとしたズワワの後頭部に、エーラの放った岩が命中し砕けた。
「ぐっ―――ごのー!」
神光によってダメージはないものの、一抱えもある岩を何度も投げつけられては、いよいよズワワも苛立ってきていた。
「お前もいいがげんに―――」
「てえぇやああぁ!」
エーラに怒りを顕にしたズワワの隙をつき、ビーが斧を構えて跳び上がる。が、
「来るど思っでだぁ!」
それを見越していたズワワは、片手でビーの体を鷲掴みにしてしまった。
「ビー!」
「さっぎはよぐも岩投げでぐれだな?」
ビーを握り締めたまま、ズワワはエーラに向き直った。
「返しでやるがー!」
腕を振りかぶったズワワは、今度はエーラに対してビーを投げつけるという形で仕返した。
「うあ!」
「ぎう!」
エーラは何とかビーを受け止めようとしたが、ビーだけならまだしも、ビーの斧まで一緒になっては、衝撃を殺しきることはできなかった。
盛大な土埃は舞ったが、常人であれば二人とも助からないところ、エーラとビーはもつれ合うように倒れただけで無事だった。
しかし、それこそズワワが狙っていたことだった。
もつれ合ったままでは、すぐに反撃の体勢は取れない。
「山の肥やしになるがー!」
二人に向かって巨大斧を振り下ろすズワワ。
それを避けきれないと思った二人は目を瞑りかかったが、
「うおおおああああ!」
腰に佩いた剣を抜き放ち、それを迫る刃に翳して立つ者がいた。
二人を守らんと決死の覚悟で前へと踏み出した、荒雲勇男だった。
「イサオ!?」「イサオ!?」
勇男の参戦に驚くエーラとビーだったが、その時にはもう勇男は地面に完全に埋もれていた。
ゼウス神謹製の剣はズワワの一撃でも折れることはなかったが、受けた衝撃はいかんともしがたく、あえなく勇男は土に沈むことになってしまった。
「何だお前は。勝手に割り込んでぎで潰れだだげだが?」
勇ましく前へと出てきたわりには、あまりにもあっけなく地面に沈んだ勇男に、ズワワもやや困惑したようだった。
「よ、よっくもイサオをー!」
勇男を叩き潰されたことに怒り心頭となったビーは、素早く起き上がると斧でズワワに切りつけた。
「がっ!?」
ビーの袈裟切りを巨大斧で防いだズワワだが、
「うわあああ!」
ビーは間髪入れずに攻撃を続ける。
怒りに任せた出鱈目な連撃ではあるが、ズワワもビーの気迫に押され、防ぐだけで手一杯の状態だった。
「イサオ! おいイサオ! 大丈夫か!」
ズワワがビーに手を焼いているうちに、エーラは地面に沈んでいる勇男の安否を確認する。かろうじて翳した剣が表面に見えていた。
「だ、大丈夫だ。死ぬかと思ったけど死んでない」
土の下から勇男の声が聞こえ、エーラは安堵の息を吐いた。
「無茶するなよ。真っ二つになったかと思ったぞ」
「わ、悪い。ホントは作戦を伝えるだけにしようと思ってたんだが……」
「作戦? ズワワを倒せる秘策でもあるのか?」
「うまくいくかどうかはやってみないとな……エーラ、いまは時間を稼いでくれ。その時が来たらやってもらいたいことがあるんだ」
勇男は土の中に埋もれながら、エーラにここからの動きを伝えた。
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