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竜の恩讐編
頼るもの その1
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金毛稲荷神宮の拝殿の前。
賽銭箱になけなしの小遣いを投入した少年は、これ以上ないくらい丁寧に二拝二拍手一拝をし、熱心に願い事を心の中で繰り返した。
祀られたる神様に希うことはたった一つ。
クラスの気になっている女子と付き合えますように、だった。
最初こそは口数も少なく、クラスにもあまり馴染んでいない、むしろ敬遠されているような女子だった。
特有のオーラのようなものを纏っており、言動もかなり独特だったが、成績は校内でもトップクラスで、スポーツでも右に出る者はいない。
良くも悪くも両極端な面があるせいか、クラスメイトどころか教師でさえ、その女子を敬遠している有様だった。
ただ、少年にとってはそういったミステリアスで孤高な部分が、初対面の時から気になっていた。
毎日、目で追っているうちに、日に日にその想いは強くなり、少年はいつしか抑え込めないほどの気持ちを抱えるようになっていた。
すぐにでも告白したいのだが、相手があまりにもミステリアスなため、どんな答えが返ってくるかまるで予想できない。
あるいは全くつり合わないとあっさり振られるかもしれない。
進退窮まった少年が取ったのは、たまたま下校時に目についた、近辺ではそこそこ大きな神社に祈願することだった。
この際、祀られている神様は関係ない。大きな神社の神様なら、自分の熱き想いを汲み取り、願いを聞き届けてくれるだろうと考え、少年が勢い勇んで境内まで駆けてきた。
今こそ一世一代の願いのために、精神力の続く限り念じていた少年の背中に、
「こ~んに~ちわ~」
なにやら間延びした声で挨拶が掛けられた。
少年が振り向くと、一体いつの間に近付かれたのか、ほんの数歩前のところに巫女が立っていた。
念じるのに夢中で気付かなかったのか、とそこまではいいのだが、少年は接近されたこと以上に巫女の姿に驚いていた。
白衣に緋袴、さらに千早も纏った、かなり位の高い巫女であることは解ったが、ウェーブのかかった金色の髪と、切れ長で妖しく光る眼は、震えがくるような美貌と相まってこの世の者と思えなかった。
「ふむふむ、恋愛成就のお願いですね~?」
巫女が何の気なしにそう聞いてきたので、少年は飛び出しそうになった心臓を手で押さえた。願い事は何度も心の中で唱えたが、決して口に出していなかったはずだった。
「ふふふ~、驚いてますね~?」
動揺している少年との数歩の距離を、巫女は滑るようにすんなりと零にした。足音も、足が地面を擦る音も一切させずに。
「だ~いじょうぶですよ~。お願い事は叶いますよ~」
「ホ、ホントですか!?」
巫女の得体の知れなさに慄いていた少年だったが、その言葉を聞いてようやく声が出た。
「本当ですよ~。でもですね~、ちょ~っとだけ足りませんね~」
「た、足りないって……もしかしてお賽銭が!?」
「違いますよ~。そーゆーのは気持ちでいいんですよ~。あなたのお願い事が叶うには~、あなた自身に足りないものがあるんですよ~?」
「ボ、ボクに足りないもの?」
「そうですよ~」
巫女は少年に合わせるようにしゃがむと、少年の耳元にそっと顔を寄せ、
「女の子に告白するための秘訣、教えて差し上げますよ~?」
と、甘い声で囁いた。
「そ、そんなのあるんですか!?」
「ついてきてくれたら~、みっちりばっちり教えて差し上げますけど~?」
巫女は慈愛に満ちた笑顔で、少年に手を差し出した。
「い、行きます! ボク行きます!」
「は~い。では参りましょ~」
巫女は少年の手を引き、本殿の奥へと誘っていった。少年には見えないように、獣の顔で笑みを浮かべながら。
「はぁ……はぁ……はひ……」
「ふふふ~、なかなか良かったですよ~」
拝殿の奥に設けられた、特に何も置かれていない和室。その真ん中に敷かれた布団の上に、少年と、すでに狐耳と九本の尾を現した白面金毛九尾の狐ことキュウが身を横たえていた。
布団の横には少年が着ていた服と、キュウが纏っていた巫女装束が無造作に脱ぎ捨てられている。
「ひ、ひどいよ、巫女さん……告白の秘訣を教えてくれるって言ったのに……」
「これが秘訣ですよ~。女の子に告白するには~、女の子を知って度胸を付けるのが一番なんですよ~」
(ホントはクイーン・アグリッピーナ号で結城さんを食べられなかったからムラムラしてただけですけど)
慈母の声で少年に説く一方で、キュウの顔にはまだまだ治まりきらない獣欲が表れていた。
「これで彼女さんができても困らないですよ~」
「はうっ!」
妖しく動くキュウの右手が、少年の下腹部を撫で擦り、少年は未体験の感覚に腰を跳ねさせた。
同時に、これ以上ここにいては危険だと本能で悟り、激しい雨音が聞こえる障子の向こうへ逃げようとするが、
「ダ~メですよ~」
すぐに金色の尾に両手足を絡め取られ、布団の上に押さえつけられた。
「これから第二回戦に突入するんですから~」
「ひっ!」
布団の上に磔にされた格好になった少年は、見下ろしてくるキュウの獣の眼に背筋を震わせた。
恐怖で脳裏が冷たくなっているはずなのに、なぜか心臓が早鐘を打ち、体中が異様に熱くなっている。まるで見えない力に肉体を操られているかのように。
「それでは~」
キュウが少年に覆い被さろうとした時、
「キュウ様!」
障子が勢いよく開かれ、黒髪の巫女が慌てた声を上げた。
「千夏さ~ん、いまイイところだったんですよ~?」
「あんた、この前安産祈願に来た女食ったとこじゃないか。旦那もろとも」
「まだまだ足りませんよ~。あと四、五人くらいはイイ参拝客が来たら食べたいですね~」
「あんまり参拝客に手を出してると、また稲荷神に怒られるぞ。けど今はそんなことより――――――」
千夏は一度だけ呼吸を整えると、
「結城が刺された」
静かに、しかし真剣な表情でそれだけ告げた。
「……何かの冗談ですか?」
「冗談かどうかは来てみれば分かる」
千夏は真剣な様子を崩さない。それを見て取ったキュウも、これまでとは打って変わり、恍惚としていた表情が消え失せた。
そして組み敷いていた少年を一瞥すると、
「あなたはもう帰りなさい」
と言って指をパチリと鳴らした。
「へっ?」
分けの分からぬまま、少年が間の抜けた声を上げた時には、もう布団の上には少年の姿はなくなっていた。布団の横にある衣服だけを残して。
「結城さんは?」
立ち上がったキュウがまた指を鳴らすと、脱ぎ捨てられていた巫女装束が消え、それをいつの間にかキュウが身に纏っていた。
「本殿の裏口」
千夏からそう聞くや否や、キュウは裏口のある方向の壁に駆け出し、壁に溶け込むように透過していった。
千夏もキュウの後を追い、再び廊下を走って本殿の裏口を目指す。
「結城さん! っ!?」
壁をすり抜けて本殿の裏口まで来たキュウは、信じ難い光景に息を詰まらせた。
雨でびしょ濡れになった結城が、マスクマンに肩を借りているが、ほとんど自分の足で立てておらず、死体のように脱力している。
おそらくシロガネのエプロンを破って作ったであろう、即席の包帯が巻かれた胸には、鮮血の染みが赤々と滲んでいた。
そんな結城とマスクマンの横にはシロガネが立っているが、その小脇には媛寿が抱えられている。
こちらも何があったのか、全く覇気がなく、光を失った瞳は死体と見間違えてしまいそうだった。
キュウの目から見ても、それはあり得ない光景だった。
小林結城という人間において、危難はあれど、本格的に命に関わる事態が起こることはないはずだった。小林結城についている神霊たちが、それを許さないはずだから。
「KΣ、Pξ1→(キュウ、頼む)」
「結城を、助けて」
マスクマンとシロガネの切実な願いに、キュウは口元を引き締めて頷いた。
賽銭箱になけなしの小遣いを投入した少年は、これ以上ないくらい丁寧に二拝二拍手一拝をし、熱心に願い事を心の中で繰り返した。
祀られたる神様に希うことはたった一つ。
クラスの気になっている女子と付き合えますように、だった。
最初こそは口数も少なく、クラスにもあまり馴染んでいない、むしろ敬遠されているような女子だった。
特有のオーラのようなものを纏っており、言動もかなり独特だったが、成績は校内でもトップクラスで、スポーツでも右に出る者はいない。
良くも悪くも両極端な面があるせいか、クラスメイトどころか教師でさえ、その女子を敬遠している有様だった。
ただ、少年にとってはそういったミステリアスで孤高な部分が、初対面の時から気になっていた。
毎日、目で追っているうちに、日に日にその想いは強くなり、少年はいつしか抑え込めないほどの気持ちを抱えるようになっていた。
すぐにでも告白したいのだが、相手があまりにもミステリアスなため、どんな答えが返ってくるかまるで予想できない。
あるいは全くつり合わないとあっさり振られるかもしれない。
進退窮まった少年が取ったのは、たまたま下校時に目についた、近辺ではそこそこ大きな神社に祈願することだった。
この際、祀られている神様は関係ない。大きな神社の神様なら、自分の熱き想いを汲み取り、願いを聞き届けてくれるだろうと考え、少年が勢い勇んで境内まで駆けてきた。
今こそ一世一代の願いのために、精神力の続く限り念じていた少年の背中に、
「こ~んに~ちわ~」
なにやら間延びした声で挨拶が掛けられた。
少年が振り向くと、一体いつの間に近付かれたのか、ほんの数歩前のところに巫女が立っていた。
念じるのに夢中で気付かなかったのか、とそこまではいいのだが、少年は接近されたこと以上に巫女の姿に驚いていた。
白衣に緋袴、さらに千早も纏った、かなり位の高い巫女であることは解ったが、ウェーブのかかった金色の髪と、切れ長で妖しく光る眼は、震えがくるような美貌と相まってこの世の者と思えなかった。
「ふむふむ、恋愛成就のお願いですね~?」
巫女が何の気なしにそう聞いてきたので、少年は飛び出しそうになった心臓を手で押さえた。願い事は何度も心の中で唱えたが、決して口に出していなかったはずだった。
「ふふふ~、驚いてますね~?」
動揺している少年との数歩の距離を、巫女は滑るようにすんなりと零にした。足音も、足が地面を擦る音も一切させずに。
「だ~いじょうぶですよ~。お願い事は叶いますよ~」
「ホ、ホントですか!?」
巫女の得体の知れなさに慄いていた少年だったが、その言葉を聞いてようやく声が出た。
「本当ですよ~。でもですね~、ちょ~っとだけ足りませんね~」
「た、足りないって……もしかしてお賽銭が!?」
「違いますよ~。そーゆーのは気持ちでいいんですよ~。あなたのお願い事が叶うには~、あなた自身に足りないものがあるんですよ~?」
「ボ、ボクに足りないもの?」
「そうですよ~」
巫女は少年に合わせるようにしゃがむと、少年の耳元にそっと顔を寄せ、
「女の子に告白するための秘訣、教えて差し上げますよ~?」
と、甘い声で囁いた。
「そ、そんなのあるんですか!?」
「ついてきてくれたら~、みっちりばっちり教えて差し上げますけど~?」
巫女は慈愛に満ちた笑顔で、少年に手を差し出した。
「い、行きます! ボク行きます!」
「は~い。では参りましょ~」
巫女は少年の手を引き、本殿の奥へと誘っていった。少年には見えないように、獣の顔で笑みを浮かべながら。
「はぁ……はぁ……はひ……」
「ふふふ~、なかなか良かったですよ~」
拝殿の奥に設けられた、特に何も置かれていない和室。その真ん中に敷かれた布団の上に、少年と、すでに狐耳と九本の尾を現した白面金毛九尾の狐ことキュウが身を横たえていた。
布団の横には少年が着ていた服と、キュウが纏っていた巫女装束が無造作に脱ぎ捨てられている。
「ひ、ひどいよ、巫女さん……告白の秘訣を教えてくれるって言ったのに……」
「これが秘訣ですよ~。女の子に告白するには~、女の子を知って度胸を付けるのが一番なんですよ~」
(ホントはクイーン・アグリッピーナ号で結城さんを食べられなかったからムラムラしてただけですけど)
慈母の声で少年に説く一方で、キュウの顔にはまだまだ治まりきらない獣欲が表れていた。
「これで彼女さんができても困らないですよ~」
「はうっ!」
妖しく動くキュウの右手が、少年の下腹部を撫で擦り、少年は未体験の感覚に腰を跳ねさせた。
同時に、これ以上ここにいては危険だと本能で悟り、激しい雨音が聞こえる障子の向こうへ逃げようとするが、
「ダ~メですよ~」
すぐに金色の尾に両手足を絡め取られ、布団の上に押さえつけられた。
「これから第二回戦に突入するんですから~」
「ひっ!」
布団の上に磔にされた格好になった少年は、見下ろしてくるキュウの獣の眼に背筋を震わせた。
恐怖で脳裏が冷たくなっているはずなのに、なぜか心臓が早鐘を打ち、体中が異様に熱くなっている。まるで見えない力に肉体を操られているかのように。
「それでは~」
キュウが少年に覆い被さろうとした時、
「キュウ様!」
障子が勢いよく開かれ、黒髪の巫女が慌てた声を上げた。
「千夏さ~ん、いまイイところだったんですよ~?」
「あんた、この前安産祈願に来た女食ったとこじゃないか。旦那もろとも」
「まだまだ足りませんよ~。あと四、五人くらいはイイ参拝客が来たら食べたいですね~」
「あんまり参拝客に手を出してると、また稲荷神に怒られるぞ。けど今はそんなことより――――――」
千夏は一度だけ呼吸を整えると、
「結城が刺された」
静かに、しかし真剣な表情でそれだけ告げた。
「……何かの冗談ですか?」
「冗談かどうかは来てみれば分かる」
千夏は真剣な様子を崩さない。それを見て取ったキュウも、これまでとは打って変わり、恍惚としていた表情が消え失せた。
そして組み敷いていた少年を一瞥すると、
「あなたはもう帰りなさい」
と言って指をパチリと鳴らした。
「へっ?」
分けの分からぬまま、少年が間の抜けた声を上げた時には、もう布団の上には少年の姿はなくなっていた。布団の横にある衣服だけを残して。
「結城さんは?」
立ち上がったキュウがまた指を鳴らすと、脱ぎ捨てられていた巫女装束が消え、それをいつの間にかキュウが身に纏っていた。
「本殿の裏口」
千夏からそう聞くや否や、キュウは裏口のある方向の壁に駆け出し、壁に溶け込むように透過していった。
千夏もキュウの後を追い、再び廊下を走って本殿の裏口を目指す。
「結城さん! っ!?」
壁をすり抜けて本殿の裏口まで来たキュウは、信じ難い光景に息を詰まらせた。
雨でびしょ濡れになった結城が、マスクマンに肩を借りているが、ほとんど自分の足で立てておらず、死体のように脱力している。
おそらくシロガネのエプロンを破って作ったであろう、即席の包帯が巻かれた胸には、鮮血の染みが赤々と滲んでいた。
そんな結城とマスクマンの横にはシロガネが立っているが、その小脇には媛寿が抱えられている。
こちらも何があったのか、全く覇気がなく、光を失った瞳は死体と見間違えてしまいそうだった。
キュウの目から見ても、それはあり得ない光景だった。
小林結城という人間において、危難はあれど、本格的に命に関わる事態が起こることはないはずだった。小林結城についている神霊たちが、それを許さないはずだから。
「KΣ、Pξ1→(キュウ、頼む)」
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