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豪宴客船編
来訪する神客
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「ん~」
トイレから出た結城はさっぱりした気分で伸びをした。朝食も他の身支度も終えて、次は今日の予定を考える。
特に依頼が入っておらず、警察署から拾得物についての連絡も来ていない。アテナの鍛錬は午後からで、マスクマンやシロガネも狩りに出る予定もなさそうだ。
では午前中は昨日思いついたように、媛寿と一緒にクロランに日本語の文字を教えようかと考えた。声を出して話すことができないクロランだが、日本語の文字を書けるようになれば意思疎通が断然楽になる。幸いにもクロランは日本語自体は理解しているようなので、あるいは短期間でマスターできるかもしれないと見込んでいた。
明確に意思を伝える術を身に付けられれば、クロランの事情が詳しく分かるかもしれない。それは情報が不透明な獣人という種族についても知ることができるチャンスだった。
クロランを元いた場所に帰すためにも有用な情報たりえた。
そうと決まれば媛寿やアテナを誘って、結城は早速取りかかろうとした。
(え~と、マジックペンとスケッチブックと、あとは適当な絵本でもなかったかな)
準備する物を思い浮かべながら廊下の奥に歩いていこうとした結城だったが、不意に玄関のドアノッカーが音を立てた。
「ん? お客さん? 依頼かな?」
古屋敷まで辿り着けるのは神霊のように特別な存在か、特別な事情の人間かのどちらかなので、来客は極端に少ない。神霊が訪ねてくることも稀なので、結城は単なる依頼者かと思ってドアを開けた。
「は~い、どなたで―――」
「よぉ、コバちゃん。久しぶりや―――」
来客が挨拶を言い終わる前に、結城はドアを素早く閉めた。
「ちょお! コバちゃん! 何で閉め出すんや! ワシ普通に用があって来たんやで!」
「あなたの言う『普通』が普通だった例がないからですよ!」
「そんなぁ! 払いは良かったやろ? 別にワシ上前はねたわけでも騙くらかしたわけでもあらへんのに!」
「そういう問題じゃないんです! とにかく今は変な依頼は受けられません! お引取りを―――」
「ユウキ、何の騒ぎですか?」
ドアを死守しようとしていた結城の背中に、同じく来客に気付いてやって来たアテナが声をかけた。
「あっ、アテナ様」
「おっ! その声はアテナちゃんか? ちょうどええわ。おいしい話持ってきたから入れて~な」
「……」
アテナの気配に気付いた来客の声を聞いて、アテナは数秒黙っていたが、すぐに踵を返した。
「ユウキ、そのまま抑えていなさい。部屋から槍と神盾を持ってきます」
「あ~! ちょっと! 物騒なことなしにして! 話だけでも聞いてや~! 嫌やったら断ってくれてもええから~!」
「そうして話を聞かせて最後には断れないようにするつもりでしょう」
「分かった分かった! じゃあせめてお土産だけでも渡させて。美味い茶菓子たんまり持ってきたわけやし」
「……チーズケーキはありますか?」
「もちやもち。ちゃ~んと持って来とるし、入れたって~」
アテナはまた数秒沈黙したが、やがて結城に向き直って指示をした。
「ユウキ、入れてさしあげなさい」
「あっ、はい……」
結城自身、まるで気乗りしなかったが、アテナがそう判断したからには従うことにした。警戒心を緩めることなく、ドアをゆっくりと開ける。
「いや~、参った参った。このまんま閉め出しくらったらどーしょーかと思ったわ」
飄々とドアをくぐってきたのは、麦わら帽子にサングラスとアロハシャツで、思い切りハワイを満喫していますといった風体の中年男だった。だが、出で立ちよりも印象的なのは、その男の表情、これ以上ないほどのエビス顔の方だった。
「ってかね、コバちゃん。閉め出しはあんまりとちゃう? これでもワシが直で訪ねてくるってそうそうないし、普通やったらどこん家でもありがたがるもんやで?」
「……とりあえず居間にどうぞ、恵比須様」
「え~と、ちょお待ってね~」
リビングに通されソファに座った恵比須は、持参した白い布袋に手を入れてごそごそとまさぐった。
「は~い、これ媛寿ちゃんに~」
「おお~! ふじやのスペシャルアイスケーキ!」
『不死屋』のロゴが入ったケーキの箱を差し出され、媛寿は歓声を上げた。
「んでもってアテナちゃんにはこれね~」
同じく『不死屋』のロゴが入った箱を手渡し、アテナは箱の中を検めると、
「確かに」
と言って頷いた。心なしか口角が少し上がっている。
「マッちゃんにはこれ~」
「O!? I☆7→(おっ!? それは!)」
マスクマンの前に置かれたのは、近頃CMでよく見かける『タピオカドリンク・ココナッツミルク仕立て』だった。店が近場になくて残念がっていただけに、マスクマンはガラにもなく食いついていた。
「シロちゃんには~、ほいこれ~」
「太、い」
シロガネにはコッペパンから極太のソーセージがはみ出した、日本では滅多に見かけないような本場のホットドッグが出された。表情はそのままに、シロガネは目を輝かせている。
「そんでもって最後は~、って、あれ? そんな娘前におったっけ?」
恵比須がさらに袋から土産を取り出そうとして、結城が座るソファの後ろにいるクロランに気が付いた。クロランはやはり恵比須を警戒しているのか、獣耳が完全に垂れて少し怯えた目をしている。
「ああ、この娘はちょっと事情がありまして。それより恵比須様もそんな袋持ってませんでしたよね?」
「ああ、これ? 布袋に借りたんや。いろいろ入るし、かさばる荷物が多い時便利やで~」
妖怪や神話に疎い結城でも、七福神は知っている。ただ気になるのは、布袋の持っている頭陀袋を借りてきて、布袋自身は大丈夫なのかと、神の側の事情とはいえ心配になる結城だった。
「ん~、そんな娘おるなんて知らんかったから、大したモンあらへんな。これで勘弁したってや」
そう言うと恵比須は袋からカラフルなリボンでくくられたクッキーの包みを取り出した。クロランは結城の背中から出てこないので、代わりに結城がそれを受け取った。
「さ~て、土産も行き渡ったところで早速話やねんけど……」
恵比須はアロハシャツの胸ポケットから一枚の写真を取り出し、それをテーブルの真ん中に置いた。
「これって……船、ですか?」
写真に写っているのは埠頭に停泊している客船だった。ただ、その傍らに人の姿もまばらにあり、その人と船体を対比すると、驚くほどに巨大な客船だと分かる。
「クイーン・アグリッピーナ号。全長361メートル、全幅65メートル、高さ72メートル。世界最大の豪華客船『オアシス・オブ・ザ・シーズ』とほぼ同スペックの船やで。ってゆーてもロイヤル・カリビアン・インターナショナル社は関係あらへんし、建造もSTX造船とちゃう。おまけに中身もだいぶ改造されとるから、よーできたコピー品やな」
「コ、コピー品!? こんなのを!?」
世界最大級の客船をコピーしてしまうという途方もない所業に、結城は気が遠くなりそうになった。一体どんな人間がそんなことをやってのけてしまうのか。
媛寿はといえば、
「おー、『ながと』よりおっき~」
と写真をかざして何やら感心している。
「それでエビス、本題は何ですか? 私たちをこの船に招待するとでも?」
少し呆けて青くなっている結城をよそに、アテナが代わって恵比須に問いただした。チーズケーキは受け取っても、まだ警戒は解いていない。
「いやいやアテナちゃん、そんな恐い目で見んといて。まぁ、半分は正解や。この船に乗ってもらいたいっちゅーのはな」
「え? これに? 乗る?」
我に返った結城は、恵比須の言葉に思わず聞き返した。
「そや。チケットはワシが余分含めて六枚取ってある。そんでこの船に乗ってほしいんや」
恵比須はまた胸ポケットに手をいれ、チケット袋を取り出してひらひらと振って見せた。
巨大客船とそのコピーだけでも驚いていた結城だったが、さらに乗船しろと言われて頭の中が真っ白になった。
トイレから出た結城はさっぱりした気分で伸びをした。朝食も他の身支度も終えて、次は今日の予定を考える。
特に依頼が入っておらず、警察署から拾得物についての連絡も来ていない。アテナの鍛錬は午後からで、マスクマンやシロガネも狩りに出る予定もなさそうだ。
では午前中は昨日思いついたように、媛寿と一緒にクロランに日本語の文字を教えようかと考えた。声を出して話すことができないクロランだが、日本語の文字を書けるようになれば意思疎通が断然楽になる。幸いにもクロランは日本語自体は理解しているようなので、あるいは短期間でマスターできるかもしれないと見込んでいた。
明確に意思を伝える術を身に付けられれば、クロランの事情が詳しく分かるかもしれない。それは情報が不透明な獣人という種族についても知ることができるチャンスだった。
クロランを元いた場所に帰すためにも有用な情報たりえた。
そうと決まれば媛寿やアテナを誘って、結城は早速取りかかろうとした。
(え~と、マジックペンとスケッチブックと、あとは適当な絵本でもなかったかな)
準備する物を思い浮かべながら廊下の奥に歩いていこうとした結城だったが、不意に玄関のドアノッカーが音を立てた。
「ん? お客さん? 依頼かな?」
古屋敷まで辿り着けるのは神霊のように特別な存在か、特別な事情の人間かのどちらかなので、来客は極端に少ない。神霊が訪ねてくることも稀なので、結城は単なる依頼者かと思ってドアを開けた。
「は~い、どなたで―――」
「よぉ、コバちゃん。久しぶりや―――」
来客が挨拶を言い終わる前に、結城はドアを素早く閉めた。
「ちょお! コバちゃん! 何で閉め出すんや! ワシ普通に用があって来たんやで!」
「あなたの言う『普通』が普通だった例がないからですよ!」
「そんなぁ! 払いは良かったやろ? 別にワシ上前はねたわけでも騙くらかしたわけでもあらへんのに!」
「そういう問題じゃないんです! とにかく今は変な依頼は受けられません! お引取りを―――」
「ユウキ、何の騒ぎですか?」
ドアを死守しようとしていた結城の背中に、同じく来客に気付いてやって来たアテナが声をかけた。
「あっ、アテナ様」
「おっ! その声はアテナちゃんか? ちょうどええわ。おいしい話持ってきたから入れて~な」
「……」
アテナの気配に気付いた来客の声を聞いて、アテナは数秒黙っていたが、すぐに踵を返した。
「ユウキ、そのまま抑えていなさい。部屋から槍と神盾を持ってきます」
「あ~! ちょっと! 物騒なことなしにして! 話だけでも聞いてや~! 嫌やったら断ってくれてもええから~!」
「そうして話を聞かせて最後には断れないようにするつもりでしょう」
「分かった分かった! じゃあせめてお土産だけでも渡させて。美味い茶菓子たんまり持ってきたわけやし」
「……チーズケーキはありますか?」
「もちやもち。ちゃ~んと持って来とるし、入れたって~」
アテナはまた数秒沈黙したが、やがて結城に向き直って指示をした。
「ユウキ、入れてさしあげなさい」
「あっ、はい……」
結城自身、まるで気乗りしなかったが、アテナがそう判断したからには従うことにした。警戒心を緩めることなく、ドアをゆっくりと開ける。
「いや~、参った参った。このまんま閉め出しくらったらどーしょーかと思ったわ」
飄々とドアをくぐってきたのは、麦わら帽子にサングラスとアロハシャツで、思い切りハワイを満喫していますといった風体の中年男だった。だが、出で立ちよりも印象的なのは、その男の表情、これ以上ないほどのエビス顔の方だった。
「ってかね、コバちゃん。閉め出しはあんまりとちゃう? これでもワシが直で訪ねてくるってそうそうないし、普通やったらどこん家でもありがたがるもんやで?」
「……とりあえず居間にどうぞ、恵比須様」
「え~と、ちょお待ってね~」
リビングに通されソファに座った恵比須は、持参した白い布袋に手を入れてごそごそとまさぐった。
「は~い、これ媛寿ちゃんに~」
「おお~! ふじやのスペシャルアイスケーキ!」
『不死屋』のロゴが入ったケーキの箱を差し出され、媛寿は歓声を上げた。
「んでもってアテナちゃんにはこれね~」
同じく『不死屋』のロゴが入った箱を手渡し、アテナは箱の中を検めると、
「確かに」
と言って頷いた。心なしか口角が少し上がっている。
「マッちゃんにはこれ~」
「O!? I☆7→(おっ!? それは!)」
マスクマンの前に置かれたのは、近頃CMでよく見かける『タピオカドリンク・ココナッツミルク仕立て』だった。店が近場になくて残念がっていただけに、マスクマンはガラにもなく食いついていた。
「シロちゃんには~、ほいこれ~」
「太、い」
シロガネにはコッペパンから極太のソーセージがはみ出した、日本では滅多に見かけないような本場のホットドッグが出された。表情はそのままに、シロガネは目を輝かせている。
「そんでもって最後は~、って、あれ? そんな娘前におったっけ?」
恵比須がさらに袋から土産を取り出そうとして、結城が座るソファの後ろにいるクロランに気が付いた。クロランはやはり恵比須を警戒しているのか、獣耳が完全に垂れて少し怯えた目をしている。
「ああ、この娘はちょっと事情がありまして。それより恵比須様もそんな袋持ってませんでしたよね?」
「ああ、これ? 布袋に借りたんや。いろいろ入るし、かさばる荷物が多い時便利やで~」
妖怪や神話に疎い結城でも、七福神は知っている。ただ気になるのは、布袋の持っている頭陀袋を借りてきて、布袋自身は大丈夫なのかと、神の側の事情とはいえ心配になる結城だった。
「ん~、そんな娘おるなんて知らんかったから、大したモンあらへんな。これで勘弁したってや」
そう言うと恵比須は袋からカラフルなリボンでくくられたクッキーの包みを取り出した。クロランは結城の背中から出てこないので、代わりに結城がそれを受け取った。
「さ~て、土産も行き渡ったところで早速話やねんけど……」
恵比須はアロハシャツの胸ポケットから一枚の写真を取り出し、それをテーブルの真ん中に置いた。
「これって……船、ですか?」
写真に写っているのは埠頭に停泊している客船だった。ただ、その傍らに人の姿もまばらにあり、その人と船体を対比すると、驚くほどに巨大な客船だと分かる。
「クイーン・アグリッピーナ号。全長361メートル、全幅65メートル、高さ72メートル。世界最大の豪華客船『オアシス・オブ・ザ・シーズ』とほぼ同スペックの船やで。ってゆーてもロイヤル・カリビアン・インターナショナル社は関係あらへんし、建造もSTX造船とちゃう。おまけに中身もだいぶ改造されとるから、よーできたコピー品やな」
「コ、コピー品!? こんなのを!?」
世界最大級の客船をコピーしてしまうという途方もない所業に、結城は気が遠くなりそうになった。一体どんな人間がそんなことをやってのけてしまうのか。
媛寿はといえば、
「おー、『ながと』よりおっき~」
と写真をかざして何やら感心している。
「それでエビス、本題は何ですか? 私たちをこの船に招待するとでも?」
少し呆けて青くなっている結城をよそに、アテナが代わって恵比須に問いただした。チーズケーキは受け取っても、まだ警戒は解いていない。
「いやいやアテナちゃん、そんな恐い目で見んといて。まぁ、半分は正解や。この船に乗ってもらいたいっちゅーのはな」
「え? これに? 乗る?」
我に返った結城は、恵比須の言葉に思わず聞き返した。
「そや。チケットはワシが余分含めて六枚取ってある。そんでこの船に乗ってほしいんや」
恵比須はまた胸ポケットに手をいれ、チケット袋を取り出してひらひらと振って見せた。
巨大客船とそのコピーだけでも驚いていた結城だったが、さらに乗船しろと言われて頭の中が真っ白になった。
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