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化生の群編

接合

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「シロガネ、大丈夫!?」
「う~、ん~」
 倒れていたシロガネに駆け寄った結城ゆうきは、急いで抱き起こすと安否を確かめようとした。
 胴体の三箇所を鬼に刺し貫かれたシロガネは、人間なら絶命していてもおかしくない状態だった。活動用に作った仮初の肉体がいくら傷付いたとしても、『本体』が破壊されなければいくらでも修復は可能だ。
 それを知っていたとしても、結城にはシロガネがここまで負傷することは気が気でなかった。
 シロガネはよろよろと右手を持ち上げると、結城の顔の前で親指を立てて見せた。
「ちょっと、痛い。でも、大丈夫」
「よ、よかった~」
 結城は全身から力が抜ける感覚を感じながら、安堵の溜め息を漏らした。シロガネは良い意味でも悪い意味でも嘘がないので、大丈夫と言ったなら特に問題がないということだ。
「結城、心配、した?」
「そりゃそうだよ。いくらなんでもあんな場面見たら」
「…、…」
「? どうしたの、シロガネ?」
 急に黙ってしまったシロガネに、結城は首を傾げた。相変わらず無表情なので、心境を察するのは難しい。
「じゃあ、慰めて」
「うおっ!」
 シロガネはエプロンドレスのポケットからあるものを取り出し、結城の目の前に突き出した。
 シロガネがコレクションしているオトナの玩具単語モザイク必須のモノの一つだった。すでにスイッチが入って怪しい稼動音を発している。
「えっ!? ちょっ!? 何でそんなもの持って!? 慰めるって!?」
「結城、ワタシと一緒に、寝る」
「そ、それって―――」
「で、ワタシが結城に、突っ込む」
「やめてくれない!? そういうの!! って、シロガネけっこう元気なんじゃないの!?」
 結城とシロガネがとんでもない遣り取りをしている後ろで、アテナと千夏ちなつが呆れ顔で立っていた。
「思っていたより心配する必要はなかったようですね」
「こいつ、いつもこんなんなのか?」
 アテナは大怪我を負っても平常運転なシロガネに辟易し、その手のことにはディープな千夏もシロガネの様子に顔を引きつらせていた。
「あっ、そうだ。シロガネ、もうしばらく大丈夫そう?」
「大丈、夫」
 シロガネは左手でピースサインを作り、右手の玩具オモチャと一緒に結城の顔の前に突き出した。
「……とりあえずソレはしまっておいて。僕はまだちょっと灯恵ともえさんに話が……あれ?」
 シロガネをそっと地面に寝かせ、立ち上がった結城だったが、 朱月あかつき灯恵の姿が見当たらなかった。てっきり端の方で戦いの成り行きを見守っているものと思っていたが。
「そのひとを止めなさい!」
 急に張り上げられた怒号に、結城は思わず体を強張らせた。怒号の主は雛祈ひなぎだった。
 ひどく焦った表情をしているが、なぜ怒鳴られたのか分からず、結城は呆気に取られて立ち尽くすだけだった。
 だが、雛祈が指し示していた人差し指に気付き、結城は何となくその先を追った。
 そこで見たものは、雛祈に怒鳴られたこと以上に結城を驚かせた。
 うつ伏せに倒れた首のない鬼の亡き骸の前に、朱月灯恵が膝をついていた。いつの間に移動していたのか。
 だが、灯恵がやろうとしていたことは、素人の結城から見ても重大なことだった。
 灯恵は首の切断面に、鬼の首を合わせようとする直前だった。その首は朱月成磨あかつきせいまが変化した鬼のものではなく、百五十年前の螺久道村らくどうむらに現れ、すでに木乃伊ミイラとなっていた鬼の首だった。
「灯恵さ―――」
 そのことに気付いた時には遅かった。もはや切断面までは1cmほどの間しか空いていなかった。結城が声をかけようとしたその瞬間、首は肉体に接合された。
「さぁ、これがあなたの新しい体よ、悪路王あくろおう
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