転生人生~人外への転生を何度繰り返せばいいんですか

山羊のシモン

文字の大きさ
上 下
6 / 9

第6話 転生したら「○○ウ」だった件

しおりを挟む
 暗い──
 とうとう念願のあの世なのか。それとも無に帰したのだろうか。
 だったらどうして思考できる?
 転生を繰り返して、何かを超越したのかもしれない。
 神への一歩。

 少し酔いしれているとき、髪の毛を切られる。首の太さを確認された。すると程なくして近くで妙な音がしはじめた。何かを掘っているかのようだ。
 そして一気に身体が持ち上げられる。

 眩しい太陽さんこんにちは。

 神への階段を上っていると思っていた自分を呪う。

 それにしても今度はなんだ?
 地中に埋もれていたゴミというわけでもないとは思うが、これまでのことを考えると一概に否定はできない。
 毛を刈られているから不法に投棄されたものではないと信じたい。根菜あたりだろうか。どうせなら美人の手で美味しくしてくれ。

「立派に育ったのぉ」

 爺さんかよ。
 かわいい嫁と同居していることに期待するしかない。淡いけど。

 大きな日本家屋らしきところに連れていかれた。
 すぐに調理に取り掛かるつもりか、念入りに泥を落としている。そして──

 痛い。

 皮膚を包丁の背でゴリゴリとこそげ落されている。俺は根菜ではないのか。そうだとすると、こんなことはされない。ピーラーで剃られるか、桂剥きのようにされるかのはずだ。

 こんなことをされるということは、つまりゴボウ。
 マジかぁ……

 細く切り刻まれて水の中に突っ込まれる。
 窒息の心配はない。体中の悪いなにかが出ていく気持ちよさ。これがデトックスってやつなのだろうか。人間じゃないけど。
 そもそも俺はデトックスなんて健康法を信じちゃいない。だが、ゴボウである今ならばアクが抜けていっているということだ。

 悪くない──

 人参だろうか、皮を向かれて5センチの細切りにされている音が聞こえる。

 きんぴらごぼうだな──

 ここまで転生を繰り返すと、分析するだけの余裕が生まれる。

 ごま油の香りが辺りを包み込みはじめた。赤唐辛子、好きだったなぁ。
 そろそろ鍋に投入されるというわけか。熱いのはイヤだが仕方ない。ゴボウだからな──

 どうせなら美味く作ってくれよ──そう願いながら俺は炒められていく。そして意識が遠くなっていった。最後に聞こえたのは決して若くない女性の声。

次回 転生したら「ト○○○○○○○ー」だった件
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する

美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」 御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。 ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。 ✳︎不定期更新です。 21/12/17 1巻発売! 22/05/25 2巻発売! コミカライズ決定! 20/11/19 HOTランキング1位 ありがとうございます!

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

過程をすっ飛ばすことにしました

こうやさい
ファンタジー
 ある日、前世の乙女ゲームの中に悪役令嬢として転生したことに気づいたけど、ここどう考えても生活しづらい。  どうせざまぁされて追放されるわけだし、過程すっ飛ばしてもよくね?  そのいろいろが重要なんだろうと思いつつそれもすっ飛ばしました(爆)。  深く考えないでください。

処理中です...