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第4話 お父様、落ち着いてください

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わたくしたちは今、公爵領へ向かっています。
使用人たちにこれからの事、これまでの事を説明しすると、全員が家族を連れて、公爵領へとついてくることになりました。
そして、お父様へはすでに早馬をだしてあります。

「ねえセレナ、あのバカのことはどう思っていたんだい?」

「どうも何も、わたくしは貴族としての義務であの方と婚約関係にあっただけです。あの方にこれと言って何か感情は持ち合わせておりませんわ。
まあ、頭の残念な方でしたので、これまでたくさん迷惑をかけられてきましたけど、今回婚約破棄をできてせいせいしましたわ。」

「そう?それならよかったよ。」

お兄様は心配してくださったのね。
貴族令嬢にとって婚約破棄をすることは傷物になるということ。
そして、その相手が好意を持っている人であったなら、その令嬢の心に負う傷は計り知れないものとなります。

「あ、でも、新しく婚約するというのは、しばらくはウンザリですわ。」

「ふふ、まあ、父上だってセレナを手放したくないと思ってるから、セレナが何も言わなくたって新しい縁談はすべて断るさ。」

「たしかに、そうですわね。」

お父様が登場する前にお伝えしておきますが、お父様は家族愛が強い方です。
そのため、お母様やお兄様、わたくしを溺愛しております。
ですから、今回の婚約破棄も、お父様はすぐに対応するでしょうし、その内容はかなりのものになるのではないかと思うのです。





お兄様とそんなことを話していると、公爵領についたようですわ。
王都から公爵領は、馬車でおよそ7時間。
公爵領は、王国の東に位置しております。

「セレちゃーん!!!大丈夫だったかい?
ああ、こんなかわいいセレちゃんに婚約破棄なんて、あのバカ王子にはほとほと愛想がついた!絶対に許さん!」

公爵家につくと、すぐにお父様が飛び出してきました。
いつも通り、わたくしに抱き着いてきました。
いつも通りですよ。

「父上、セレナが困っています。放してあげてください。」

すかさずお兄様が止めに入ってくださいました。
さすがお兄様ですわ。

「何を言うんだフィーベルト。婚約破棄で傷心の愛娘を慰めたいと思うのは父親として当然ではないか。」

お父様は食い下がります。

「婚約破棄云々にかかわらず、父上はいつも通りではないですか。」

「お父様?」

「どうしたんだいセレナ?」

「今回の婚約破棄に対する対応について話し合いたいのですが。」

「あ、ああ、そういえばそうだったね。
アリスも中で待ってるから、執務室にいこう。」

わたくしが婚約破棄について切り出すと、お父様も真剣な表情になります。
お父様とて、事の重大性はわかっているのです。

わたくしたちは、執務室へ向かうのです。
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