2 / 7
第2話 やっぱり分かっていないのね
しおりを挟む「貴様!この期に及んでまだアイリをいじめるのか!」
まったく、この状況でそんな言葉を言える殿下を逆に尊敬しますわ。
「はい?殿下の目には今のやりとりが、わたくしが、デプス嬢をいじめてあるように見えたのですか?」
「うるさい!もともと私は貴様が気に入らなかったのだ!
いつもいつも私を見下したような態度を取り、私を馬鹿にしていたではないか!」
はて?殿下を馬鹿にした?
ええ、たしかに、頭の残念な方だとは思っておりました。
実際、社交界では、王太子殿下は顔だけは王族らしく美しいものではあっても、それ以外が全て最低と言われておりましたし。
王太子殿下より、第二王子殿下の方が数倍、いえ、数十倍優れていることは周知の事実。
しかし、わたくしがそれを口にしたことはありませんわ。
これでもわたくしは元婚約者でしたので当然といえば当然ですが。
「婚約の破棄は承諾いたしますわ!
しかし!その理由を、しっかりとお聞かせ願いますわ?」
「なに!?だからそれは、貴様がアイリをいじめたからだと、」
「ですから、それに関しては、まったく証拠がない、どころか、わたくしには不可能なものまであるということはすでに明白です。」
「そんなもの!アイリにだって多少の勘違いはある!
だいたい、お前が誰かにやらせたに決まっている!」
そんなに声を張り上げて何を宣っているのやら。
はあ、この不毛な会話はまだ続きますの?
「ですから、証拠はありますの?
もちろん、証拠もなしに私を断罪しようとしているのではありませんわよね?」
「なに?証拠など、アイリの証言で十分ではないか!」
本当に呆れる。
周りをご覧になってわからないのかしら。
今周りにあなたの味方は1人もいないのですよ?
それどころか、このままいけば王家も国も破滅ですわよ?
「それでは証拠にはなりませんわよ?」
「なっ!?ふざけるな!
貴様!アイリが嘘をついているというのか!」
「ちなみにお聞きしますが、殿下とそこのデプス嬢とは、どのようなご関係でいらっしゃいますか?」
「ふんっ!まあ、教えてやろう、私とアイリは愛し合った仲、真実の愛で結ばれているのだ!」
はい、浮気を声高らかに宣言致しましたわね?
ここにいるすべての方々が証人ですわよ。
それと、デプス嬢が何故か胸を張っているのがイラつきますわね。
さっきまで殿下に泣きついていたのはなんだったのでしょう。
殿下もあの程度の令嬢に騙されるなど、全くもってバ、いえ、少々頭が残念ですわね。
「分かりました。では、殿下とアイリーン嬢は真実の愛で結ばれており、それにあたり、わたくしとの婚約は障害となっている状態のため、婚約破棄をする。と、それでよろしいですか?」
「なんだ、物分かりがいいではないか。
そういうことだ、悪く思わないでくれ。」
ふふ、偉そうにしてますけど、わたくしに無実の罪をなすりつけようとしたこと、浮気をして婚約破棄をすること、その罪をすべて償っていただきますわよ?
「しかし殿下、殿下はわたくしとの婚約破棄によって生じる損害を、どう補填するおつもりですか?」
「なに?貴様との婚約破棄に損害などないわ!」
やっぱり分かっていないようね。
わたくしとあなたの婚約の意味を。
0
お気に入りに追加
56
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

【完結保証】「不貞を黙認せよ」ですって? いいえ、それなら婚約を破棄させていただきますわ
ネコ
恋愛
バニラ王国の侯爵令嬢アロマは、政略結婚で王弟殿下・マルスロッドと婚約した。
だが、マルスロッドには、アロマの親友・ナンシーと不貞行為をしているとの噂がたびたび……。
そのことをアロマが尋ねると、マルスロッドは逆上して「黙っていろ」と圧力をかける。
表面上は夫婦円満を装うものの、内心では深く傷つくアロマ。
そんな折、アロマはナンシーから「彼は本気で私を愛している」と告げられる。
ついに堪忍袋の緒が切れたアロマは、マルスロッドに婚約破棄を申し出る。
するとマルスロッドは「お前が不貞行為をしたことにするならいい」と言う。
アロマは不名誉な思いをしてでも、今の環境よりはマシと思ってそれを承諾する。
こうして、表向きにはアロマが悪いという形で婚約破棄が成立。
しかし、アロマは王弟相手に不貞行為をしたということで、侯爵家にいられなくなる。
仕方なくアロマが向かった先は、バニラ王国の宗主国たるエスターローゼン帝国。
侯爵令嬢という地位ですらなくなったアロマは一般人として帝国で暮らすことになる。
……はずだったのだが、帝国へ向かう途中に皇太子のライトと出会ったことで状況は一変してしまう。
これは、アロマが隣国で報われ、マルスロッドとナンシーが破滅する物語。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
下げ渡された婚約者
相生紗季
ファンタジー
マグナリード王家第三王子のアルフレッドは、優秀な兄と姉のおかげで、政務に干渉することなく気ままに過ごしていた。
しかしある日、第一王子である兄が言った。
「ルイーザとの婚約を破棄する」
愛する人を見つけた兄は、政治のために決められた許嫁との婚約を破棄したいらしい。
「あのルイーザが受け入れたのか?」
「代わりの婿を用意するならという条件付きで」
「代わり?」
「お前だ、アルフレッド!」
おさがりの婚約者なんて聞いてない!
しかもルイーザは誰もが畏れる冷酷な侯爵令嬢。
アルフレッドが怯えながらもルイーザのもとへと訪ねると、彼女は氷のような瞳から――涙をこぼした。
「あいつは、僕たちのことなんかどうでもいいんだ」
「ふたりで見返そう――あいつから王位を奪うんだ」

ご安心を、2度とその手を求める事はありません
ポチ
恋愛
大好きな婚約者様。 ‘’愛してる‘’ その言葉私の宝物だった。例え貴方の気持ちが私から離れたとしても。お飾りの妻になるかもしれないとしても・・・
それでも、私は貴方を想っていたい。 独り過ごす刻もそれだけで幸せを感じられた。たった一つの希望

私はあなたの婚約者ではないんです!
凪ルナ
恋愛
3歳のとき、前世を思い出した私。私ことアメリア・レンドールは乙女ゲーム『サクラ咲く出会い〜君と恋する』(通称『サク君』)の悪役令嬢だった。『サク君』では、私は第三皇子の婚約者だったけど、ぶっちゃけ好みじゃないし、第三皇子の腹違いの兄のサブキャラな皇太子様の方が好きだった。前世を思い出した後、皇太子様の同級生な3つ上の兄に引っ付いて回った結果、皇太子様にも可愛がられるようになり、見事、皇太子エディック殿下の婚約者の座に収まる事が出来た。
これはそんな私が第三皇子に婚約破棄?されそうになり、私が第三皇子と頭お花畑ヒロインにざまぁすることから始まる物語である。
いや、1つ言わせて?
だから、そもそも私あなたの婚約者ではないんです!
ーーーーーーーーーーーー
なんかしばらく色々忙しかったし、色々細かい設定考えてたら更新遅くなりそう…。
元々ゆるゆるふわふわ設定だったもの。
ただいま、更新準備中。しばしお待ちください( ^ω^ )
お気に入り登録100件突破!(2019年1月31日)
お気に入り登録200件突破!(同日)
お気に入り登録300件突破!(同日)
投稿した次の日開いてみたら100件超えてて吃驚しています。
(えっ、これあってるよね?壊れてない?大丈夫?
あっ、壊れてないのね。おーけーおーけー)
ありがとうございます!
お気に入り登録1000件突破!(2019年2月1日)
お気に入り登録2000件突破!(同日)
お気に入り登録5000件突破!(2019年2月13日)
ありがとうございます!
【注】
作者は豆腐メンタルなので、誹謗中傷はおやめ下さい。
誤字脱字等の間違いは多いと思います。指摘してくださるとありがたいです。
感想への返信は遅くなると思います。
突発的に思いついた話なので、設定はゆるゆるです。
誤字脱字等をご指摘いただいたみなさん、ありがとうございました。
婚約破棄された悪役令嬢。そして国は滅んだ❗私のせい?知らんがな
朋 美緒(とも みお)
ファンタジー
婚約破棄されて国外追放の公爵令嬢、しかし地獄に落ちたのは彼女ではなかった。
!逆転チートな婚約破棄劇場!
!王宮、そして誰も居なくなった!
!国が滅んだ?私のせい?しらんがな!
18話で完結

【完】断罪イベントが始まりましたが破滅するのは私ではありません2
咲貴
恋愛
王立魔法学園の卒業パーティー。
卒業生であり、王太子ルーファスの婚約者である公爵令嬢のジェシカは、希少な光属性で『白百合の乙女』である子爵令嬢のユリアに断罪されそうになる。
身に覚えの無い罪を認めるように言われ、絶体絶命かと思われたその時……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる