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義兄が溺愛してきます

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 公爵邸へ着くと、公爵様が執事さんに指示を出し、執事さんがメイドさんたちに指示を出していた。きっと貴族の決まりみたいなものがあるのだろう。

 「坊ちゃまのお世話をさせていただくことになりましたアメリアと申します。こちらへどうぞ。」

 執事さんに指示されたメイドさんの一人がこちらに寄ってきた。なんだか嫌悪感を示されていて、事務的に淡々とことが進む。突然やってきた平民、それもつい先日まで貧民街にいた僕の世話なんてしたくないのだろう。

 そのあとはされるがままに、お風呂で洗われて服を着替えさせられた。

 その夜、食堂に行くと、公爵様とおそらくその息子であろう人が待っていた。これから父と兄になる人だが、まだ家族としては認識できない。
 
 「テオドール君、待っていたよ。まずかけなさい。」

 「はい」

 こちらからは声をかけづらく、あちらから話しかけてきてくれたのは助かった。

 「自己紹介がまだだったね。私はセリオス=ロックスだ。君の実の父にあたる。これまで君にはつらい思いをさせてきた。本当に申し訳ない。

 それで、こっちは長男のレオナルドだ。レオナルド、挨拶を。」

 「レオナルドだ。よろしく頼むよ。私は君の兄だ、頼ってくれていい。」

 レオナルドは、言葉こそ多くないが優しく微笑みかけてくれた。どうやら受け入れてくれているらしい。僕が子供だからだろうか。

 「僕はテオドールです。セリオス様、レオナルド様、よろしくお願いします。」

 「様など付けなくていい。私は君の父親だ。私もテオドールと呼ぶから、父と呼んでくれないか?」

 「しかし、、、」

 「頼むよ、私はテオドールに様をつけて呼ばれるような人間ではない。これまでのテオドールの人生に対して罪がある。これからは償っていきたいんだ。」

 セリオス様の顔は苦しそうだった。申し訳ないと何度も謝られた。僕はセリオス様を苦しませたいわけじゃない。だからセリオス様の要望に応えることにした。

 「お、、とう、さま」

 「ああ、ありがとうテオドール。」

 「私のことも兄と呼んでくれ。」

 お父様と呼んでみると、横から兄と呼ぶようにと言われた。

 「え、」

 「父上のことはお父様と呼ぶのに、私のことは読んでくれないのか?私だけ家族になれないのかな?」

 最初は悲しげな表情を見せたレオナルド様だが、だんだん意地悪そうな表情が混ざってきた。このひと悪い人だ。

 「お、お義兄、さま」

 「うん、ありがとう、テオ」

 ま、まぶしい。なんだこの人。すごくうれしそうにするし、いきなりテオって呼ばれた!
 父も兄も超絶イケメンだ。二人とも金髪碧眼の高身長で、引き締まった体をしている。きっとモテるだろう。

 「さあ、夕食を食べよう。」

 それからどんどんご飯が運ばれてきた。見たこともないような食べ物がたくさんあったが、どれもおいしくてびっくりした。結局食べきれなかったが、みんな当然のようにしていた。すごくもったいないし、残した分だけでもお母さんと僕二人で食べたら3日くらい持つんじゃないかと思った。やっぱり貴族ってすごいんだと実感した。

 部屋に戻るとすごく暇だった。
 特にやることもなく、アメリアさんに話しかけてみた。

 「あ、あの、何かすることありませんか?」

 「はあ、いえ、好きになさってください。」

 相変わらず冷たい反応だったが、特にすることはないそうだ、いつもなら、洗い物をしたりお母さんとお話ししたりしているんだけどそういうわけにもいかない。
 そう思っていると、扉をノックする音が聞こえた。

 「はい!」

 「私だ、レオナルドだ。入っていいかい?」

 「ど、どうぞ。」

 突然訪ねてくるなんて何かあったのかな?

 「どうされたのですか、お義兄様」

 「うーん、特に用があったわけではないのだけれど、テオとお話ししたくてね。ああ、君は下がっていいよ。」

 お義兄さまはアメリアさんを下がらせると、僕の隣に座った。
 お話っていいっても何を話したらいいんだろう。

 「あ、あの、お義兄様はいつもどんなことをなさっているのですか?」

 「私は学園があるときは学園に行って、帰ってきたら剣の鍛錬や領地運営の勉強をしているかな。今は学園もないから、父上の手伝いとかだね。
 そんなこと聞いてどうしたんだい?」

 「いえ、あの、やることがなくて、、」

 「ああ、なるほどね。たぶんしばらくしたら家庭教師がつくと思うからすぐにやることができるよ。しばらくは私と過ごそう?
 そうだ、今日は一緒に寝ようか。」

 「え、」

 「嫌かい?」

 また寂しそうな顔をする。それは反則だと思う。

 「嫌じゃ、ないです。」

 「そっか、じゃあ決まりだね。」

 結局一緒に寝ることになってしまった。


 「あの、お義兄様、こんなにくっつかなくても、、」

 一緒にベッドに入ると、お義兄様は僕にぴったりとくっついてきた。そのうち僕の背中に手をまわしてきて、僕は抱きかかえられるようになった。

 「ふふっ、テオはあったかいね。ねえテオ、私のことはレオって呼んでくれないかい?」

 「それは、さすがに、、
 うっ、わかりました。レオ、義兄さま。」

 断ろうとしたが、例のごとく悲しげな顔を見せられたら結局断れなかった。

 その日から、僕とレオ義兄様との距離はどんどん縮まった。毎日一緒に寝るし、家庭教師がついて勉強や剣や弓の稽古が始まってからも、わからないところは教えてくれるし、剣のコツなんかを教えてくれた。

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