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第四部
もどかしいのに
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大晦日。
夕方にはスーパーがお休みに入るから、少し早めの買い物に出かけた。お蕎麦、みかん、それからお餅、おせち料理は出来合いのをいくつか。
早めのお風呂に入って、お蕎麦を食べて、年末によく流れるテレビを適当につける。穏やかに流れる時間が嬉しくて、つい、除夜の鐘をつきに行こうと誘うのを忘れていた。
時計を見れば二十二時を過ぎたあたりだ。今から出れば全然間に合う。その後、初詣もしよう。
そう、言いたかっただけなのに。
ユーリに軽く首元を噛まれたのがいけなかった。
「あっ、んああ、あああ……っ」
僕は一糸纏わぬ姿で、ソファに座るユーリに跨り、自分の中にユーリを受け入れていた。ユーリはほとんど乱れていないのに、僕だけがみっともない声を響かせている。
動けない、やめて、ベッドがいい、そのどれもを突っぱねられて、もう腰はぐずぐずで、自分では支えることすら出来ない。
「おねがっ……、ユーリ……ぁ」
「リヒト可愛い。もっと、もっと俺に縋って。俺以外のこと、なんにも考えられなくなって」
「や、あ……っ」
身体をユーリに預けて、その背中に爪を立てて、肩口に顔を埋めて、止まらない嬌声と涎を流し続けて。こんな醜態、可愛いはずがない。なのにユーリはそれも興奮するのか、僕の中でその質量を増した。
「ぅえ……、ひぐっ、おねが、おねがい……っ」
この体勢は、ユーリのモノが刺さっている感覚がして、すごく怖い。入っちゃいけないところまで無理やり暴かれそうで、そうしたら、僕はさらに醜態を晒しそうで。
「リヒト、まだ、なんか考えてる……?」
「んあ、ああアッ、んうッ」
そうだ、鐘。鐘をつこうって……。
「他のこと考える余裕があるとか、許せない。駄目だよ。リヒトは俺のことしか考えちゃ駄目」
「か、ね……、つきに、いこって……」
「鐘? あぁ、除夜の鐘ね。んー」
そう言い、ユーリは僕の腰を支えてソファに横たえると僕の中から出ていった。その意外な行動に、身体が疼いて仕方がない僕は「ユーリ……?」と首を少しだけ傾げた。
リビングの真っ白な天井、それとは真逆のユーリの意地悪な笑み。
「除夜の鐘、行くんだよね?」
「ぇ、あ、それは……」
足を軽く持ち上げられて、ユーリが自分のモノを後ろに擦りつけてくる。先端がぬるぬると滑るたび、僕の口からは「んンッ」と少し甲高い声が上がった。けれどユーリは絶対に入れてくれない。
「ぁ……」
「俺はどっちでもいいよ? リヒトが望むほうをしてあげる」
「どっち……?」
「そう、どっちでも」
なら鐘を……と言いかけて、ユーリがにやりと笑うのが見えた。擦りつけていたモノを僕の股の間にやり、僕自身とユーリのモノが上手く擦れるように当ててくる。
「んぁ……ッ」
やけに滑りがよくて、お互いの裏スジが擦れ合うたびに変な声が口から溢れていく。なのにやけにユーリは余裕そうで「どっち?」と妖艶な笑みを向けてくる。
「や、あぁっ、それ、やだあっ」
「ふぅん、そっか。嫌なら仕方ないね。除夜の鐘、つきにいこっか」
「え……」
急に離れてしまった熱に、僕は無意識に「待って」とユーリの背中に手を回す。ユーリが愉しそうに笑うのが悔しい。悔しいのに、この熱をどうにかしてほしくて、僕は両足をユーリの腰に回して離れないようにした。
「やじゃない。やじゃないから、おねがい……」
「鐘は? いいの?」
「もういい。いいから、おねがい。このままはいやだ。ユーリ、ユーリのがほしい」
ユーリの顔が、心底嬉しそうに、歪む。僕を見て、僕だけを求めて、僕だけを愛してくれるその目に、身体に甘い痺れが走るのを感じる。
「本当、リヒトは欲しがりさんだなぁ」
軽く僕の額に口づけて、それから耳、首、肩、鎖骨にも音を立てながら軽く啄んでいく。それだけでぞくぞくと全身が震えて、僕の口からは「あっ、あ」と小さな声が漏れ出していった。
ユーリが腰に回した僕の足を優しく解いていく。やっと欲しいものをくれると思ったのに、何喰わぬ顔で離れたユーリは、
「でも、あげないよ」
と行為中に見せる甘い笑顔を僕へと向けた。
「や、やだ、ユーリ、ユーリ……!」
ユーリは本当にこれ以上するつもりがないのか、せっせと服を着込んでいく。しまいには床へ脱ぎ散らかした僕の下着も手に取って「はい」と着せようとしてくるものだから、僕は思わずユーリの顔面目掛けて蹴りを繰り出した。
「よっ……と」
それを難なく受け止めたユーリは、そのまま親指を口に含んで、指の間にも舌を這わせてから口を離した。
「ほら、早く着替えて。初詣は明日でもいいけど、鐘は今日しかないんだから」
「こ、の……っ」
立ち上がったユーリを見て、これは本当にしてくれないやつだと理解した。元はあっちからやりだしたことなのに。
言い出しても仕方ないし、僕は慌てて下着やら服やらを着込むと、既に玄関で待つユーリの元へと急いだ。
夕方にはスーパーがお休みに入るから、少し早めの買い物に出かけた。お蕎麦、みかん、それからお餅、おせち料理は出来合いのをいくつか。
早めのお風呂に入って、お蕎麦を食べて、年末によく流れるテレビを適当につける。穏やかに流れる時間が嬉しくて、つい、除夜の鐘をつきに行こうと誘うのを忘れていた。
時計を見れば二十二時を過ぎたあたりだ。今から出れば全然間に合う。その後、初詣もしよう。
そう、言いたかっただけなのに。
ユーリに軽く首元を噛まれたのがいけなかった。
「あっ、んああ、あああ……っ」
僕は一糸纏わぬ姿で、ソファに座るユーリに跨り、自分の中にユーリを受け入れていた。ユーリはほとんど乱れていないのに、僕だけがみっともない声を響かせている。
動けない、やめて、ベッドがいい、そのどれもを突っぱねられて、もう腰はぐずぐずで、自分では支えることすら出来ない。
「おねがっ……、ユーリ……ぁ」
「リヒト可愛い。もっと、もっと俺に縋って。俺以外のこと、なんにも考えられなくなって」
「や、あ……っ」
身体をユーリに預けて、その背中に爪を立てて、肩口に顔を埋めて、止まらない嬌声と涎を流し続けて。こんな醜態、可愛いはずがない。なのにユーリはそれも興奮するのか、僕の中でその質量を増した。
「ぅえ……、ひぐっ、おねが、おねがい……っ」
この体勢は、ユーリのモノが刺さっている感覚がして、すごく怖い。入っちゃいけないところまで無理やり暴かれそうで、そうしたら、僕はさらに醜態を晒しそうで。
「リヒト、まだ、なんか考えてる……?」
「んあ、ああアッ、んうッ」
そうだ、鐘。鐘をつこうって……。
「他のこと考える余裕があるとか、許せない。駄目だよ。リヒトは俺のことしか考えちゃ駄目」
「か、ね……、つきに、いこって……」
「鐘? あぁ、除夜の鐘ね。んー」
そう言い、ユーリは僕の腰を支えてソファに横たえると僕の中から出ていった。その意外な行動に、身体が疼いて仕方がない僕は「ユーリ……?」と首を少しだけ傾げた。
リビングの真っ白な天井、それとは真逆のユーリの意地悪な笑み。
「除夜の鐘、行くんだよね?」
「ぇ、あ、それは……」
足を軽く持ち上げられて、ユーリが自分のモノを後ろに擦りつけてくる。先端がぬるぬると滑るたび、僕の口からは「んンッ」と少し甲高い声が上がった。けれどユーリは絶対に入れてくれない。
「ぁ……」
「俺はどっちでもいいよ? リヒトが望むほうをしてあげる」
「どっち……?」
「そう、どっちでも」
なら鐘を……と言いかけて、ユーリがにやりと笑うのが見えた。擦りつけていたモノを僕の股の間にやり、僕自身とユーリのモノが上手く擦れるように当ててくる。
「んぁ……ッ」
やけに滑りがよくて、お互いの裏スジが擦れ合うたびに変な声が口から溢れていく。なのにやけにユーリは余裕そうで「どっち?」と妖艶な笑みを向けてくる。
「や、あぁっ、それ、やだあっ」
「ふぅん、そっか。嫌なら仕方ないね。除夜の鐘、つきにいこっか」
「え……」
急に離れてしまった熱に、僕は無意識に「待って」とユーリの背中に手を回す。ユーリが愉しそうに笑うのが悔しい。悔しいのに、この熱をどうにかしてほしくて、僕は両足をユーリの腰に回して離れないようにした。
「やじゃない。やじゃないから、おねがい……」
「鐘は? いいの?」
「もういい。いいから、おねがい。このままはいやだ。ユーリ、ユーリのがほしい」
ユーリの顔が、心底嬉しそうに、歪む。僕を見て、僕だけを求めて、僕だけを愛してくれるその目に、身体に甘い痺れが走るのを感じる。
「本当、リヒトは欲しがりさんだなぁ」
軽く僕の額に口づけて、それから耳、首、肩、鎖骨にも音を立てながら軽く啄んでいく。それだけでぞくぞくと全身が震えて、僕の口からは「あっ、あ」と小さな声が漏れ出していった。
ユーリが腰に回した僕の足を優しく解いていく。やっと欲しいものをくれると思ったのに、何喰わぬ顔で離れたユーリは、
「でも、あげないよ」
と行為中に見せる甘い笑顔を僕へと向けた。
「や、やだ、ユーリ、ユーリ……!」
ユーリは本当にこれ以上するつもりがないのか、せっせと服を着込んでいく。しまいには床へ脱ぎ散らかした僕の下着も手に取って「はい」と着せようとしてくるものだから、僕は思わずユーリの顔面目掛けて蹴りを繰り出した。
「よっ……と」
それを難なく受け止めたユーリは、そのまま親指を口に含んで、指の間にも舌を這わせてから口を離した。
「ほら、早く着替えて。初詣は明日でもいいけど、鐘は今日しかないんだから」
「こ、の……っ」
立ち上がったユーリを見て、これは本当にしてくれないやつだと理解した。元はあっちからやりだしたことなのに。
言い出しても仕方ないし、僕は慌てて下着やら服やらを着込むと、既に玄関で待つユーリの元へと急いだ。
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