93 / 170
第四部
犬でも猫でも、例えば蟻でも
しおりを挟む
舌先で軽くつつかれただけで、僕の腰は大袈裟なほどに跳ねる。それにユーリが笑ったのが聞こえたけれど、迸る先走りを舐め取られては批難の声さえ上げられない。
「ん、んあっ……」
裏スジに、唾液をたっぷり絡ませた舌先が走り、腰にぞくぞくと痺れが走る。それだけで危うく達しそうになるけれど、スカートをきつく握りしめてなんとか耐えた。
「リヒト、皺になっちゃうよ? いいの?」
「お前、が、変にする、からっ」
「変? 変って、どんな感じ?」
やわやわと玉袋を揉まれ、僕の口から「ひんっ」と鼻から抜けるような声が上がる。けれどすぐにハッとして声を抑えようと口を引き結んだ。
ユーリが愉しそうに笑うたびに息がかかり、それにさえ僕は快感を感じ、さらに腰をひくつかせた。
「辛いでしょ。出していいよ」
「や、やだ、こんなとこで……っ」
「大丈夫。全部飲んであげるから」
そういう問題ではないのに、スカートから覗くユーリの笑顔はやけに妖艶で、いけない場所でいけないことをしているという罪悪感がさらに熱を上げていく。
先端部分に舌を這わされ、カリをゆっくりと扱かれ、さらにやわやわと玉袋を揉まれれば、ユーリに慣らされた身体はあっけなく欲を吐き出すしかなかった。
ユーリは僕の全てを絞り尽くすように、手を下から上に向かってゆっくり動かした。それに合わせて僕もユーリの口内に全部を出していく。口を離したユーリの喉がこくりと動くのを見て、僕は顔だけでなく耳まで赤くなるのを感じた。
「ぁ……、やだ、ほんとにのんで……」
「ん、飲むって言ったでしょ。リヒトのなら大歓迎だよ」
「……変態」
なんにしろこれで満足しただろうか。
ほっと肩を撫で下ろしたのも束の間、ユーリがカチャカチャとベルトを緩めていた。僕は顔を引きつらせながら「ユーリ?」と見上げる。
「まさか、ここでする、の?」
家でもましてや大学でもない。
けれどユーリは優しく微笑んで、
「うん。だってオレは満足してないし?」
とさも当たり前のように言ってきた。僕は慌ててスカートから手を離して、ユーリの胸板を押し返した。
「待って、流石にここじゃ駄目だって。帰ったら、ね、帰ったらいいから。そうだ、今日はお風呂で」
ユーリはそんな僕の手を取って、優しく指先に口づけた。それに安堵し、わかってくれたと思ったのに。
「リヒトの頼みでも無理」
「ぇ……やっ」
ごりっと腹の内側から抉られる感覚に、一瞬目の前が白く染まり、身体が後ろへ倒れていく。けれど続けて襲いかかる波と、背中に伝わる手の暖かさに、僕はすぐに意識を現実へと引き戻した。
「あ、ああっ、ユーリっ」
「ちょっと、慣らしてないから、きつい、ね」
ユーリは僕の背中を机へと倒し、そのまま指を絡め、慣らすように緩く抜き差しを繰り返した。
最初は圧迫感で辛かったそこは、既に覚えてしまったユーリの形にすぐに馴染み、さらに奥へ誘おうと自分の意思とは反対に収縮しだした。
「流石リヒト。慣らさなくても、だいぶいけるね」
「違う、これは勝手、に」
「つまり、リヒトの身体は無意識に俺の形を覚えてるってことだ」
まるで核心をついたその言葉に、僕は「そんなことっ」と否定しかけるが、浅いところをゆるゆると揺さぶられ、その声はすぐに嬌声へと変わった。
「ああぁっ、あ、んあっ」
「はは、こうしてるとリヒト、本当に女の子みたい」
まるで僕が男なのを否定されてるようで、気づけば僕の口からは、
「……子が」
「んー?」
「女の子が、よかった、の?」
と嫌な言葉が出ていた。すぐに「ごめ……っ」と顔を背けると、絡めていた指を解かれて「リーヒト」と代わりに頬を優しく撫でられる。
「ごめんね、そういう意味じゃないよ。俺はリヒトが好きだから、例えば極端な話、リヒトが犬でも猫でも、なんなら蟻だって愛せるよ」
「なんだよ、それ」
「飼育キットに入った蟻リヒトが、毎日一生懸命巣を作る。俺はそれを眺めて、たまに指に乗っけて好きだよって言うんだ。素敵でしょ」
頬を撫でる手に自分のを重ね、頬を擦り寄せてからちらりとユーリを見る。
「ただの変態なんだよ、それは」
「はは、そうだよ。だから」
ぐっ、と奥を突かれ、僕の口から「あぐっ」と色気も何もない声が漏れた。
「リヒトは、ちゃんと俺を見てないと。俺は、リヒトしか、リヒトだから、好き、なんだからっ、さ」
浅いところを擦られ、奥の奥をつつかれ、僕もまた限界が近くなってきた。
「んあっ、あぁ、あ、待って、中は、だめ……っ」
「中しか出すとこないからダーメ」
「や、やだっ、あああっ」
一番奥の深いところに、熱いものが広がっていく。胸を大きく上下させ息を必死で取り込んでから、僕はユーリの頬を目掛けて「出すなって言っただろ」とグーパンをお見舞いしてやった。
「ん、んあっ……」
裏スジに、唾液をたっぷり絡ませた舌先が走り、腰にぞくぞくと痺れが走る。それだけで危うく達しそうになるけれど、スカートをきつく握りしめてなんとか耐えた。
「リヒト、皺になっちゃうよ? いいの?」
「お前、が、変にする、からっ」
「変? 変って、どんな感じ?」
やわやわと玉袋を揉まれ、僕の口から「ひんっ」と鼻から抜けるような声が上がる。けれどすぐにハッとして声を抑えようと口を引き結んだ。
ユーリが愉しそうに笑うたびに息がかかり、それにさえ僕は快感を感じ、さらに腰をひくつかせた。
「辛いでしょ。出していいよ」
「や、やだ、こんなとこで……っ」
「大丈夫。全部飲んであげるから」
そういう問題ではないのに、スカートから覗くユーリの笑顔はやけに妖艶で、いけない場所でいけないことをしているという罪悪感がさらに熱を上げていく。
先端部分に舌を這わされ、カリをゆっくりと扱かれ、さらにやわやわと玉袋を揉まれれば、ユーリに慣らされた身体はあっけなく欲を吐き出すしかなかった。
ユーリは僕の全てを絞り尽くすように、手を下から上に向かってゆっくり動かした。それに合わせて僕もユーリの口内に全部を出していく。口を離したユーリの喉がこくりと動くのを見て、僕は顔だけでなく耳まで赤くなるのを感じた。
「ぁ……、やだ、ほんとにのんで……」
「ん、飲むって言ったでしょ。リヒトのなら大歓迎だよ」
「……変態」
なんにしろこれで満足しただろうか。
ほっと肩を撫で下ろしたのも束の間、ユーリがカチャカチャとベルトを緩めていた。僕は顔を引きつらせながら「ユーリ?」と見上げる。
「まさか、ここでする、の?」
家でもましてや大学でもない。
けれどユーリは優しく微笑んで、
「うん。だってオレは満足してないし?」
とさも当たり前のように言ってきた。僕は慌ててスカートから手を離して、ユーリの胸板を押し返した。
「待って、流石にここじゃ駄目だって。帰ったら、ね、帰ったらいいから。そうだ、今日はお風呂で」
ユーリはそんな僕の手を取って、優しく指先に口づけた。それに安堵し、わかってくれたと思ったのに。
「リヒトの頼みでも無理」
「ぇ……やっ」
ごりっと腹の内側から抉られる感覚に、一瞬目の前が白く染まり、身体が後ろへ倒れていく。けれど続けて襲いかかる波と、背中に伝わる手の暖かさに、僕はすぐに意識を現実へと引き戻した。
「あ、ああっ、ユーリっ」
「ちょっと、慣らしてないから、きつい、ね」
ユーリは僕の背中を机へと倒し、そのまま指を絡め、慣らすように緩く抜き差しを繰り返した。
最初は圧迫感で辛かったそこは、既に覚えてしまったユーリの形にすぐに馴染み、さらに奥へ誘おうと自分の意思とは反対に収縮しだした。
「流石リヒト。慣らさなくても、だいぶいけるね」
「違う、これは勝手、に」
「つまり、リヒトの身体は無意識に俺の形を覚えてるってことだ」
まるで核心をついたその言葉に、僕は「そんなことっ」と否定しかけるが、浅いところをゆるゆると揺さぶられ、その声はすぐに嬌声へと変わった。
「ああぁっ、あ、んあっ」
「はは、こうしてるとリヒト、本当に女の子みたい」
まるで僕が男なのを否定されてるようで、気づけば僕の口からは、
「……子が」
「んー?」
「女の子が、よかった、の?」
と嫌な言葉が出ていた。すぐに「ごめ……っ」と顔を背けると、絡めていた指を解かれて「リーヒト」と代わりに頬を優しく撫でられる。
「ごめんね、そういう意味じゃないよ。俺はリヒトが好きだから、例えば極端な話、リヒトが犬でも猫でも、なんなら蟻だって愛せるよ」
「なんだよ、それ」
「飼育キットに入った蟻リヒトが、毎日一生懸命巣を作る。俺はそれを眺めて、たまに指に乗っけて好きだよって言うんだ。素敵でしょ」
頬を撫でる手に自分のを重ね、頬を擦り寄せてからちらりとユーリを見る。
「ただの変態なんだよ、それは」
「はは、そうだよ。だから」
ぐっ、と奥を突かれ、僕の口から「あぐっ」と色気も何もない声が漏れた。
「リヒトは、ちゃんと俺を見てないと。俺は、リヒトしか、リヒトだから、好き、なんだからっ、さ」
浅いところを擦られ、奥の奥をつつかれ、僕もまた限界が近くなってきた。
「んあっ、あぁ、あ、待って、中は、だめ……っ」
「中しか出すとこないからダーメ」
「や、やだっ、あああっ」
一番奥の深いところに、熱いものが広がっていく。胸を大きく上下させ息を必死で取り込んでから、僕はユーリの頬を目掛けて「出すなって言っただろ」とグーパンをお見舞いしてやった。
58
お気に入りに追加
547
あなたにおすすめの小説
平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます
ふくやまぴーす
BL
旧題:平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます〜利害一致の契約結婚じゃなかったの?〜
名前も見た目もザ・平凡な19歳佐藤翔はある日突然初対面の美形双子御曹司に「自分たちを助けると思って結婚して欲しい」と頼まれる。
愛のない形だけの結婚だと高を括ってOKしたら思ってたのと違う展開に…
「二人は別に俺のこと好きじゃないですよねっ?なんでいきなりこんなこと……!」
美形双子御曹司×健気、お人好し、ちょっぴり貧乏な愛され主人公のラブコメBLです。
🐶2024.2.15 アンダルシュノベルズ様より書籍発売🐶
応援していただいたみなさまのおかげです。
本当にありがとうございました!

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

生徒会長の包囲
きの
BL
昔から自分に自信が持てず、ネガティブな考えばっかりしてしまう高校生、朔太。
何もかもだめだめで、どんくさい朔太を周りは遠巻きにするが、彼の幼なじみである生徒会長だけは、見放したりなんかしなくて______。
不定期更新です。
【完結】相談する相手を、間違えました
ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。
自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・
***
執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。
ただ、それだけです。
***
他サイトにも、掲載しています。
てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。
***
エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。
ありがとうございました。
***
閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。
ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*)
***
2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。
余命僅かの悪役令息に転生したけど、攻略対象者達が何やら離してくれない
上総啓
BL
ある日トラックに轢かれて死んだ成瀬は、前世のめり込んでいたBLゲームの悪役令息フェリアルに転生した。
フェリアルはゲーム内の悪役として15歳で断罪される運命。
前世で周囲からの愛情に恵まれなかった成瀬は、今世でも誰にも愛されない事実に絶望し、転生直後にゲーム通りの人生を受け入れようと諦観する。
声すら発さず、家族に対しても無反応を貫き人形のように接するフェリアル。そんなフェリアルに周囲の過保護と溺愛は予想外に増していき、いつの間にかゲームのシナリオとズレた展開が巻き起こっていく。
気付けば兄達は勿論、妖艶な魔塔主や最恐の暗殺者、次期大公に皇太子…ゲームの攻略対象者達がフェリアルに執着するようになり…――?
周囲の愛に疎い悪役令息の無自覚総愛されライフ。
※最終的に固定カプ
転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!
めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。
ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。
兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。
義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!?
このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。
※タイトル変更(2024/11/27)

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる