【本編完結済】前世の英雄(ストーカー)が今世でも後輩(ストーカー)な件。

とかげになりたい僕

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第四部

犬でも猫でも、例えば蟻でも

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 舌先で軽くつつかれただけで、僕の腰は大袈裟なほどに跳ねる。それにユーリが笑ったのが聞こえたけれど、ほとばしる先走りを舐め取られては批難の声さえ上げられない。

「ん、んあっ……」

 裏スジに、唾液をたっぷり絡ませた舌先が走り、腰にぞくぞくと痺れが走る。それだけで危うく達しそうになるけれど、スカートをきつく握りしめてなんとか耐えた。

「リヒト、皺になっちゃうよ? いいの?」
「お前、が、変にする、からっ」
「変? 変って、どんな感じ?」

 やわやわと玉袋を揉まれ、僕の口から「ひんっ」と鼻から抜けるような声が上がる。けれどすぐにハッとして声を抑えようと口を引き結んだ。
 ユーリが愉しそうに笑うたびに息がかかり、それにさえ僕は快感を感じ、さらに腰をひくつかせた。

「辛いでしょ。出していいよ」
「や、やだ、こんなとこで……っ」
「大丈夫。全部飲んであげるから」

 そういう問題ではないのに、スカートから覗くユーリの笑顔はやけに妖艶で、いけない場所でいけないことをしているという罪悪感がさらに熱を上げていく。
 先端部分に舌を這わされ、カリをゆっくりと扱かれ、さらにやわやわと玉袋を揉まれれば、ユーリに慣らされた身体はあっけなく欲を吐き出すしかなかった。
 ユーリは僕の全てを絞り尽くすように、手を下から上に向かってゆっくり動かした。それに合わせて僕もユーリの口内に全部を出していく。口を離したユーリの喉がこくりと動くのを見て、僕は顔だけでなく耳まで赤くなるのを感じた。

「ぁ……、やだ、ほんとにのんで……」
「ん、飲むって言ったでしょ。リヒトのなら大歓迎だよ」
「……変態」

 なんにしろこれで満足しただろうか。
 ほっと肩を撫で下ろしたのも束の間、ユーリがカチャカチャとベルトを緩めていた。僕は顔を引きつらせながら「ユーリ?」と見上げる。

「まさか、ここでする、の?」

 家でもましてや大学でもない。
 けれどユーリは優しく微笑んで、

「うん。だってオレは満足してないし?」

とさも当たり前のように言ってきた。僕は慌ててスカートから手を離して、ユーリの胸板を押し返した。

「待って、流石にここじゃ駄目だって。帰ったら、ね、帰ったらいいから。そうだ、今日はお風呂で」

 ユーリはそんな僕の手を取って、優しく指先に口づけた。それに安堵し、わかってくれたと思ったのに。

「リヒトの頼みでも無理」
「ぇ……やっ」

 ごりっと腹の内側から抉られる感覚に、一瞬目の前が白く染まり、身体が後ろへ倒れていく。けれど続けて襲いかかる波と、背中に伝わる手の暖かさに、僕はすぐに意識を現実へと引き戻した。

「あ、ああっ、ユーリっ」
「ちょっと、慣らしてないから、きつい、ね」

 ユーリは僕の背中を机へと倒し、そのまま指を絡め、慣らすように緩く抜き差しを繰り返した。
 最初は圧迫感で辛かったそこは、既に覚えてしまったユーリの形にすぐに馴染み、さらに奥へいざなおうと自分の意思とは反対に収縮しだした。

「流石リヒト。慣らさなくても、だいぶいけるね」
「違う、これは勝手、に」
「つまり、リヒトの身体は無意識に俺の形を覚えてるってことだ」

 まるで核心をついたその言葉に、僕は「そんなことっ」と否定しかけるが、浅いところをゆるゆると揺さぶられ、その声はすぐに嬌声へと変わった。

「ああぁっ、あ、んあっ」
「はは、こうしてるとリヒト、本当に女の子みたい」

 まるで僕が男なのを否定されてるようで、気づけば僕の口からは、

「……子が」
「んー?」
「女の子が、よかった、の?」

と嫌な言葉が出ていた。すぐに「ごめ……っ」と顔を背けると、絡めていた指を解かれて「リーヒト」と代わりに頬を優しく撫でられる。

「ごめんね、そういう意味じゃないよ。俺はリヒトが好きだから、例えば極端な話、リヒトが犬でも猫でも、なんなら蟻だって愛せるよ」
「なんだよ、それ」
「飼育キットに入った蟻リヒトが、毎日一生懸命巣を作る。俺はそれを眺めて、たまに指に乗っけて好きだよって言うんだ。素敵でしょ」

 頬を撫でる手に自分のを重ね、頬を擦り寄せてからちらりとユーリを見る。

「ただの変態なんだよ、それは」
「はは、そうだよ。だから」

 ぐっ、と奥を突かれ、僕の口から「あぐっ」と色気も何もない声が漏れた。

「リヒトは、ちゃんと俺を見てないと。俺は、リヒトしか、リヒトだから、好き、なんだからっ、さ」

 浅いところを擦られ、奥の奥をつつかれ、僕もまた限界が近くなってきた。

「んあっ、あぁ、あ、待って、中は、だめ……っ」
「中しか出すとこないからダーメ」
「や、やだっ、あああっ」

 一番奥の深いところに、熱いものが広がっていく。胸を大きく上下させ息を必死で取り込んでから、僕はユーリの頬を目掛けて「出すなって言っただろ」とグーパンをお見舞いしてやった。
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