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第二部
二人分のお湯
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ユーリは一旦シャワーで髪を洗い流すと、僕の脇に手を入れるようにして立ち上がらせた。湯船にでも浸かるのかなと思っていると、臀部にユーリの手が伸びてきて、やわやわと緩く揉み解されていく。
「あ……、な、何、ユーリ?」
「こっち洗ってないでしょ? 洗うついでに解そうかなと」
逆じゃないのかと言いたかったけれど、肌を滑るユーリの指がやけに優しくて、僕の口から「ぁ……」と甘く蕩けそうな吐息しか出なかった。
くちゅ、くちゅ、とユーリの指が浅いところを撫でる。その刺激に耐えきれず、僕は「ユーリっ」とすがるように名前を呼んだ。
「やだっ、おねがい……、もっと奥……っ」
「リヒトのしたいことは叶えてあげたいし、叶えるつもりだけど、リヒトを大事にしないのとは別だよ」
この状態は大事にしてると言えるのか? なんて言葉が発せられることはなく「んあっ」と声とともに身体を仰け反らせた。だけど僕だけ好き勝手されるのも癪だから、僕は右手をそっとユーリのモノへと伸ばした。
「……っ、へぇ、やれるの?」
「僕だって、男、だし……っ。好きなとこぐら、いっ」
指が中を微かに掠め、僕は腰を震わせた。同時に足が痛んで、僕の口から明らかに違うくぐもった声が出た。
ユーリは今までのが嘘のように触れていた手を引っ込め、代わりに僕の手を取って、先に湯船に入るよう促した。そっと足をかけ、お湯に足をつける。ちょっとだけ浮力がかかるのか、幾分かラクになった。
「じゃ、俺も」
続いてユーリも入り、先に肩まで浸かる。おいでというように手を広げられたから、僕もユーリに背中を向ける形で、おずおずと湯船に浸かった。
お湯が零れていき、排水口へと吸い込まれていく。二人が入ってもまだ余裕のある湯船は、最初から僕と住むことを想定して借りたのではないかと思わせた。
「あったかい……」
「それはよかった」
背中に伝わるユーリの温もりと、お湯の温かさも相まって、僕の身体はすぐに暖まっていく。そこに加えて、肩口にユーリの吐息がかかるものだから、僕はまた身体が熱くなるのを感じた。
「ね、リヒト」
「ん?」
「噛みたい」
それこそ前世は、許可を取ることなんてしなかったのに。少しは成長したのかな、なんて思いながら、僕は苦笑して「いいよ」と噛みやすいよう、少しだけ首を傾けた。
ユーリの熱い舌先が何回か移動する。まるで注射する前の消毒みたいだ、なんて思っていると、チリッとした痛みが走った。
「んっ」
「はっ……、リヒト、可愛い」
次第に肩口の痛みが増していき、つ、と血がお湯に流れて溶けていく。どれだけ強く噛むんだと文句のひとつでも言いたいが、その後労るように啄まれてはそれも出来ない。
腰に当たるユーリの熱が僕にも伝わって、次第に身体が熱くなってくる。濁り湯なら多少弄ってもバレないだろうか。
なるべくお湯を揺らさないよう、気を使いながら左手を自身に伸ばしていく。が「リヒト」と手を掴まれ、僕の思惑は簡単に阻止されてしまう。
「何しようとしてたの?」
「な、何もっ」
「ならいいよ」
ユーリは鼻で笑うようにして僕の手を諌めると、代わりに右手を僕の下半身へと伸ばしていく。てっきりユーリからの刺激を期待していたのだけど、ユーリは僕には触れず、その奥、ソレと後孔の間の、何もない箇所をゆっくりと擦り始めた。
「ひぁ……っ、ぇ、なんっ……」
「やっぱりリヒト、こっちの才能もあるね」
指先がその場所を擦り、時に優しく、トン、トンとリズムよくノックされる。それはユーリに中を押されている感覚によく似ていて、僕は「ひぐっ、んぁ」と身体を仰け反らせて足を震えさせた。
「ぇ、なに……僕、え?」
「簡単にイけたね。いい子いい子」
「イけ、へ? んぁっ、だめっ」
再びトントンと甘い痺れを与えられる。驚いて動けば、お湯が派手に跳ねて湯船から溢れていった。
「ここはね、前立腺に近い場所で、リヒトなら外側でもイけるんじゃないかって思ってたんだよね」
「ぁ……や、それっ、だめ、んんぁ……っ」
射精とは違う快楽の波が絶えず押し寄せてくる。口の端から涎が滑り落ち、血と混ざりあうようにお湯に溶けていく。
「何回イけるかな。数えてみよっか」
「やだぁ……っ、おねが、ひうっ」
身体がガクガクと震え、目からは涙が溢れてくる。それでもやめてくれないユーリは、面白がるように優しくそこを何度も擦り続ける。
「いぃっ、あ、あん、いぎ……っ」
「三回目かな。十回、目指そっか」
「むりぃっ、やだ、むりいいいぃぃ……っ」
目の前をパチパチと何かが走る。頭が焼き切れそうな感覚はあるのに、ユーリは手を緩めてはくれない。
「あああっ……、あぐっ、んぁぁ」
「四回目」
待って、これをあと六回も? いや、ユーリのことだ。それで終わるわけがない。
「リヒト、次で五回目だね。このまま女の子になっちゃうんじゃない? ま、俺はリヒトならどっちでもいいし、なんならふたなりでも」
「ひっ……、んっ……だめ、はき……そ」
「うんうん、五回目……ん? 吐きそう?」
もう限界だった。
熱い、暑い、頭が、世界がぐるぐる回って――
「う、ううう……、げぼっ」
「リヒト? リヒトー!?」
浴槽から身を乗り出した僕は、そのまま勢いよく口から何か、いやもう、なんか全てを、吐き出した。
「あ……、な、何、ユーリ?」
「こっち洗ってないでしょ? 洗うついでに解そうかなと」
逆じゃないのかと言いたかったけれど、肌を滑るユーリの指がやけに優しくて、僕の口から「ぁ……」と甘く蕩けそうな吐息しか出なかった。
くちゅ、くちゅ、とユーリの指が浅いところを撫でる。その刺激に耐えきれず、僕は「ユーリっ」とすがるように名前を呼んだ。
「やだっ、おねがい……、もっと奥……っ」
「リヒトのしたいことは叶えてあげたいし、叶えるつもりだけど、リヒトを大事にしないのとは別だよ」
この状態は大事にしてると言えるのか? なんて言葉が発せられることはなく「んあっ」と声とともに身体を仰け反らせた。だけど僕だけ好き勝手されるのも癪だから、僕は右手をそっとユーリのモノへと伸ばした。
「……っ、へぇ、やれるの?」
「僕だって、男、だし……っ。好きなとこぐら、いっ」
指が中を微かに掠め、僕は腰を震わせた。同時に足が痛んで、僕の口から明らかに違うくぐもった声が出た。
ユーリは今までのが嘘のように触れていた手を引っ込め、代わりに僕の手を取って、先に湯船に入るよう促した。そっと足をかけ、お湯に足をつける。ちょっとだけ浮力がかかるのか、幾分かラクになった。
「じゃ、俺も」
続いてユーリも入り、先に肩まで浸かる。おいでというように手を広げられたから、僕もユーリに背中を向ける形で、おずおずと湯船に浸かった。
お湯が零れていき、排水口へと吸い込まれていく。二人が入ってもまだ余裕のある湯船は、最初から僕と住むことを想定して借りたのではないかと思わせた。
「あったかい……」
「それはよかった」
背中に伝わるユーリの温もりと、お湯の温かさも相まって、僕の身体はすぐに暖まっていく。そこに加えて、肩口にユーリの吐息がかかるものだから、僕はまた身体が熱くなるのを感じた。
「ね、リヒト」
「ん?」
「噛みたい」
それこそ前世は、許可を取ることなんてしなかったのに。少しは成長したのかな、なんて思いながら、僕は苦笑して「いいよ」と噛みやすいよう、少しだけ首を傾けた。
ユーリの熱い舌先が何回か移動する。まるで注射する前の消毒みたいだ、なんて思っていると、チリッとした痛みが走った。
「んっ」
「はっ……、リヒト、可愛い」
次第に肩口の痛みが増していき、つ、と血がお湯に流れて溶けていく。どれだけ強く噛むんだと文句のひとつでも言いたいが、その後労るように啄まれてはそれも出来ない。
腰に当たるユーリの熱が僕にも伝わって、次第に身体が熱くなってくる。濁り湯なら多少弄ってもバレないだろうか。
なるべくお湯を揺らさないよう、気を使いながら左手を自身に伸ばしていく。が「リヒト」と手を掴まれ、僕の思惑は簡単に阻止されてしまう。
「何しようとしてたの?」
「な、何もっ」
「ならいいよ」
ユーリは鼻で笑うようにして僕の手を諌めると、代わりに右手を僕の下半身へと伸ばしていく。てっきりユーリからの刺激を期待していたのだけど、ユーリは僕には触れず、その奥、ソレと後孔の間の、何もない箇所をゆっくりと擦り始めた。
「ひぁ……っ、ぇ、なんっ……」
「やっぱりリヒト、こっちの才能もあるね」
指先がその場所を擦り、時に優しく、トン、トンとリズムよくノックされる。それはユーリに中を押されている感覚によく似ていて、僕は「ひぐっ、んぁ」と身体を仰け反らせて足を震えさせた。
「ぇ、なに……僕、え?」
「簡単にイけたね。いい子いい子」
「イけ、へ? んぁっ、だめっ」
再びトントンと甘い痺れを与えられる。驚いて動けば、お湯が派手に跳ねて湯船から溢れていった。
「ここはね、前立腺に近い場所で、リヒトなら外側でもイけるんじゃないかって思ってたんだよね」
「ぁ……や、それっ、だめ、んんぁ……っ」
射精とは違う快楽の波が絶えず押し寄せてくる。口の端から涎が滑り落ち、血と混ざりあうようにお湯に溶けていく。
「何回イけるかな。数えてみよっか」
「やだぁ……っ、おねが、ひうっ」
身体がガクガクと震え、目からは涙が溢れてくる。それでもやめてくれないユーリは、面白がるように優しくそこを何度も擦り続ける。
「いぃっ、あ、あん、いぎ……っ」
「三回目かな。十回、目指そっか」
「むりぃっ、やだ、むりいいいぃぃ……っ」
目の前をパチパチと何かが走る。頭が焼き切れそうな感覚はあるのに、ユーリは手を緩めてはくれない。
「あああっ……、あぐっ、んぁぁ」
「四回目」
待って、これをあと六回も? いや、ユーリのことだ。それで終わるわけがない。
「リヒト、次で五回目だね。このまま女の子になっちゃうんじゃない? ま、俺はリヒトならどっちでもいいし、なんならふたなりでも」
「ひっ……、んっ……だめ、はき……そ」
「うんうん、五回目……ん? 吐きそう?」
もう限界だった。
熱い、暑い、頭が、世界がぐるぐる回って――
「う、ううう……、げぼっ」
「リヒト? リヒトー!?」
浴槽から身を乗り出した僕は、そのまま勢いよく口から何か、いやもう、なんか全てを、吐き出した。
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