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第一部

久しぶりの甘い快楽

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 裏スジを下から上に向かって指が軽く撫でる。僕は「はあっ、ああ……」と悦びに満ちた声を上げるが、口から猿ぐつわが外されることはない。
 やわやわと玉袋を揉まれ、同時に指が先端を弾く。それだけで目の前がチカチカとして、僕は気づけば、ユーリの服に向かって白濁を盛大に飛び散らせていた。

「あ、ああっ、んぁ」
「はは、リヒトの久しぶりだ。美味しいね」

 手に残った少量の白濁をわざとらしく、見せつけるように舐め取って、ユーリは僕の足元に屈み込んだ。出したばかりのソレを口に含まれ、過剰すぎる刺激に僕は「ひっ」と小さく息を呑み込んだ。

「ん、ん、リヒトの、小さくて可愛い」

 舌の生温い感触に腰が跳ね、そのたびにユーリが笑う。その吐息すらも僕は拾い、また緩く熱を持っていく。
 ユーリの優しく、暖かい舌が動くたび、僕は嬌声を個室に響かせる。小便器の流れる音が聞こえたが、今はそれすらも僕を昂らせるひとつにしかならない。

「リヒト、見て」
「……ん」

 ユーリが示したのは、完全に勃ち上がった僕自身だ。出したばかりだというのに、その先端からは透明な汁がまた溢れ出し、てらてらと光を反射する様は、まるでユーリを誘っているようだ。

「どうする? このまま口でイク? それとも」

 僕はユーリが言い切る前に、自ら背中を向け、臀部をユーリに見せつけた。息をするようにはくはくと動く後孔は、早くと言わんばかりに主張している。

「はは。仕方ないな、リヒトは」

 後孔にユーリの息がかかる。次にきた異物感に、僕は何事かと臀部を揺らした。

「あぁほら、動かないで。大丈夫。これはさっきリヒトが出したものだよ」

 まさか。
 後孔で何かが抜き差しを繰り返す。それがユーリの指だとわかった瞬間、僕は中に塗り込まれているのが、先ほど出した自分の白濁だと理解し、恥ずかしくて身じろぎした。

「駄目だって、ほら」
「ふっ……んぐっ」

 指が、腸壁の腹側を何度も擦り上げる。僕の弱い、そのしこりは、ユーリの指からもたらされる刺激に打ち震え、みるみるうちに身体の奥に疼きを蓄積していく。
 ぐぷ、ぐぷ、と白濁と腸液が混じる音。その音に呼応するよう僕はただただ喘ぎ、それほど経たずして、僕はまた欲を吐き出した。
 さっきと比べて多少少なくはあるが、それでもまだドロリと濃いそれは、まだまだユーリからの愛撫を求めてやまないことを証明している。

「ん、ん、んんっ」

 口の端から唾液が落ちるのも、出したばかりのビクつくソレからぽたぽたと名残りが滴るのも構わず、僕はおねだりをするように臀部を左右に振り続ける。ユーリが自分のベルトを外す音すらも耳に快楽として響くなんて、僕は本当、どうしてしまったんだろう。

「リヒト、手、ついて」

 促されるままに便座に手をついて、臀部を高く高く持ち上げた。後孔に触れたその太い熱が、僕の狭い肉壁を掻き分けるようにしてぐりぐりと押し入ってくる。

「ンンッ、あっ、ああっ」

 声が裏返り、頭の中が真っ白になった。
 待ち望んだその昂ぶりは、いとも簡単に僕を快楽の波に連れ去り、そして自ら受け入れるようにユーリを包みこんでいく。

「きつ……、ちょっとリヒト、締めすぎ……」
「あぁっ、あっ、ひうっ」

 きついと言われても、僕だってどうしたらいいかわからない。ごりごりと内側を擦られ、ユーリの猛った熱いモノがしこりを押し潰すたび、僕は太ももを震わせ、また欲をぽたぽたと吐き出した。

「リヒトっ、はは、これ潮吹けそうだね……っ」
「ひっ、んん、ああっ」

 奥を突かれ、ぐりゅ、と自分の腹から音が鳴った気がした。

「ここ、どこかわかる……っ? 結腸まで届いちゃったね」
「ひぐうっ、んは……っ」

 内臓を押し出されるように強く腰を打ち付けられ、僕は涙と涎で顔をぐちゃぐちゃにしながら声を響かせた。
 自身から出された白濁は、もう股の内側だけに留まらず、ずりおろされたスラックスにも、そして床にも、まるで水溜まりのようにみっともなく滴っている。

「あっ、あひっ、ひいっ」

 息も上手く吸えない。前世では死について希薄だったけれど、このままでは死んでしまうかもしれない。
 いや、ユーリに抱かれて死ぬなら、それもいいかもしれないな。

「リヒト……っ」

 余裕のない声が耳元で囁かれ、僕はそれだけで「いっ……」とまた達した。もう出すものがないのか、僕の先端からは、透明な液体がチョロチョロと情けなく出るだけだ。

「くっ、リヒト、リヒトっ」
「ああっ、いっ……、あああっ」

 どろっと腹に吐き出される感覚。続いて目の前に星が飛んだ気がした。
 内側から勢いよく何かがこみ上げてきて、僕はたまらずそれを体外へと漏らしてしまう。白濁とも透明な液体とも違うこれは、例えて言うならまるで排尿してるようで、その背徳感さえも気持ちがよかった。

「リヒト……」

 後ろから抱きしめてくるユーリの手に、僕もそっと重ね――

 気づけば僕は、翌朝、自分の、いつもの煎餅布団で目を覚ました。
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