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第一部
吐き出された欲
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タートルネックを着てきてよかった、と頭の片隅で考えていた。もしこれが、首を丸出しにした服だったなら、会ってすぐにでも首に噛みつかれていただろうから。
「ん、んっ……」
何度も何度も耳を舐め、耳の中まで舌を差し入れてくる。左が終わったと思えば右に、右が終わったと思えばまた左に、という感じに舐められ、僕は既に鞄を抱える手から力を失くしていた。
「昔と変わらず、いや、昔よりももっと可愛くなったんじゃないですか」
「……っ」
返事をするわけにはいかない。
口を開いてしまえば、僕はすぐにでもだらしない声を教室内に響かせてしまうだろうから。
だけどそれがいけなかった。ユーリの加虐心に火がついたのか、こいつは「ふふ」と楽しげな笑い声を響かせ、右手を服の隙間から滑り込ませると、脇腹を指の腹で優しく擦ってきたのだ。
「あっ、んんん……」
たまらず声が漏れ、それに気をよくしたのか、右手は脇腹を擦り続けたままで、左手で服の上から胸の突起を摘み上げてきた。
「ひっ」
「上からでもわかるくらいにしちゃって……。そんなに触って欲しかったんだ?」
「違う、ちが……あぁ」
ピン、と張り詰めた先端は、その強すぎる刺激にも喜びを主張するように、さらに固く、ふっくらと膨らんできている。
服の摩擦と、直接触ってくれないもどかしさに、ゆらゆらと腰が揺れだしていく。それが自分でも恥ずかしく、だけどそれを意識すればするほど、ユーリの動きに集中してしまう。
「そんなに揺らして。あ、ほら、また染み出来てるね」
「ふぇ……?」
言われて股間に視線をやれば、嫌というほどにそこは張り詰め、黒い染みを作っている。いや、朝の刺激で満足出来なかったそれは、染みどころか、ジャージの布を通り越し、もはやぬめぬめと液を滴らせていた。
「やっ、やあっ」
さらに恥ずかしくなり、僕は抱えた鞄を股間に押しつけた。鞄に染みがつくかもとか、こんなことをしてももう無駄なのにとか、そんな心配がないわけではなかったが、今はこうして隠したかった。
「ははは。本当に可愛いな、リヒトは。でもまだそんな余裕があるなんて許せない」
ユーリの声に、僅かな苛立ちが混じる。耳元で歯をギリギリと噛みしめる音が聞こえて、僕の背中に嫌な汗が伝っていく。
「ね、リヒト。さっきの男、一体なんなの」
それは疑問でもなければ、答えを求める言葉でもない。ただわかるのは、下手なことを言ってしまえば、あの何も知らない友人が消されることだけはわかった。
「ゼ、ゼミの、ゼミの友人だ! それ以外、何も、んっ、何もない……っ」
じりじりと服の上から突起を擦られ続け、脇腹は決定的な刺激もないままに、焦れったく、ねっとりと触れられ続けられる。それに耐えながら息も切れぎれに答えれば、ユーリは「そう」と多少安堵したようで、軽く息を吐いた。
それに安堵したのもつかの間、脇腹を探っていた右手が上に向かい、安心しきっていた胸の飾りを指先で弾いた。
「あっ、あああっ」
その刺激に耐えられず、僕は呆気ないほどに嬌声を口から上げ、ジャージの中に欲を吐き出した。
「あーあ。リヒト、大学でこんなに出しちゃうなんて……本当に君は可愛いなぁ」
「誰の、せいで……!」
肩を上下させながら、乱れた息を整える。
濡れたジャージも、もちろんトランクスも気持ち悪いったらありゃしないが、今それを言ったら、ユーリはさらに興奮してしまう。それくらい嫌というほど知っている。
「これで満足しただろ……! 早く、僕を離してくれ!」
「満足? え、何言ってるの、リヒト」
その冷たい声に、ぞくりと背筋に寒気が走った。
僕がまた何か口にするより早く、ユーリは左手を僕の頭に移動させ、そのまま強く床に押しつけた。ゴツッと鈍い音がして、同時に痛みが身体を駆け抜ける。
「いっ!? な、何する……」
頭は床に、臀部はユーリに突き出す形になってしまい、僕は慌てて抱えていた鞄から手を離し、すぐに拒否するよう後ろに手を伸ばす。が、その手は虚しく空を切っただけでなんの意味もなかった。
「やっと、やっとリヒトに会えたんだ。会えたらやりたかったこと、たくさんあったんだ。だから」
ジャージが、履いていたトランクスごと引き下ろされる。まだ素肌に当たる空気は冷たく、僕は一瞬、その寒さに身を縮こませた。
「ね、ほら見て、糸引いてる。昔よりもっと人間臭くなったね。嬉しいよ」
「やめっ、それだけは……っ」
反論する間もなく、ユーリは右手で僕のモノを優しく包むように握ると、そのままやわやわと揉みだした。まだ微かに芯を持っていたそれはすぐに快楽を拾い上げ、すぐに硬さを持ち始めていく。
「あっ、ああ……、ひうっ」
出したばかりの白濁を全体に塗るように、優しく上下にゆるゆると動かされ、そのたびに自分ではない声が口から漏れた。
先端を少し強く押され、僕は驚きと微かに走った痛みに臀部を左右に揺らした。
「ああぁ、いひゃい、それやだぁぁっ」
「やだ? そう言うわりに、こっちは俺を誘ってるようにしか見えないよ?」
「ひっ」
ユーリは動かしていた右手を離すと、その手を僕の後孔へと移動させた。僕の欲に濡れていたその指先で、入口を軽く触れるように撫でていく。
「んぁ、んん……っ」
「リヒト、わかる? ちょっと触っただけで、リヒトのほうから吸い付いてきてるよ」
「嘘、うそだ、ちがう……」
口ではそう言っても、自分でもわかっていた。そこはまるで呼吸するように動き、近くにあるユーリの指先を招き入れようとしていることを。
だからせめて、頭でも、口でも、受け入れてないと言い聞かせていないと、自分が狂ってしまいそうだったのが怖かった。
「ん、んっ……」
何度も何度も耳を舐め、耳の中まで舌を差し入れてくる。左が終わったと思えば右に、右が終わったと思えばまた左に、という感じに舐められ、僕は既に鞄を抱える手から力を失くしていた。
「昔と変わらず、いや、昔よりももっと可愛くなったんじゃないですか」
「……っ」
返事をするわけにはいかない。
口を開いてしまえば、僕はすぐにでもだらしない声を教室内に響かせてしまうだろうから。
だけどそれがいけなかった。ユーリの加虐心に火がついたのか、こいつは「ふふ」と楽しげな笑い声を響かせ、右手を服の隙間から滑り込ませると、脇腹を指の腹で優しく擦ってきたのだ。
「あっ、んんん……」
たまらず声が漏れ、それに気をよくしたのか、右手は脇腹を擦り続けたままで、左手で服の上から胸の突起を摘み上げてきた。
「ひっ」
「上からでもわかるくらいにしちゃって……。そんなに触って欲しかったんだ?」
「違う、ちが……あぁ」
ピン、と張り詰めた先端は、その強すぎる刺激にも喜びを主張するように、さらに固く、ふっくらと膨らんできている。
服の摩擦と、直接触ってくれないもどかしさに、ゆらゆらと腰が揺れだしていく。それが自分でも恥ずかしく、だけどそれを意識すればするほど、ユーリの動きに集中してしまう。
「そんなに揺らして。あ、ほら、また染み出来てるね」
「ふぇ……?」
言われて股間に視線をやれば、嫌というほどにそこは張り詰め、黒い染みを作っている。いや、朝の刺激で満足出来なかったそれは、染みどころか、ジャージの布を通り越し、もはやぬめぬめと液を滴らせていた。
「やっ、やあっ」
さらに恥ずかしくなり、僕は抱えた鞄を股間に押しつけた。鞄に染みがつくかもとか、こんなことをしてももう無駄なのにとか、そんな心配がないわけではなかったが、今はこうして隠したかった。
「ははは。本当に可愛いな、リヒトは。でもまだそんな余裕があるなんて許せない」
ユーリの声に、僅かな苛立ちが混じる。耳元で歯をギリギリと噛みしめる音が聞こえて、僕の背中に嫌な汗が伝っていく。
「ね、リヒト。さっきの男、一体なんなの」
それは疑問でもなければ、答えを求める言葉でもない。ただわかるのは、下手なことを言ってしまえば、あの何も知らない友人が消されることだけはわかった。
「ゼ、ゼミの、ゼミの友人だ! それ以外、何も、んっ、何もない……っ」
じりじりと服の上から突起を擦られ続け、脇腹は決定的な刺激もないままに、焦れったく、ねっとりと触れられ続けられる。それに耐えながら息も切れぎれに答えれば、ユーリは「そう」と多少安堵したようで、軽く息を吐いた。
それに安堵したのもつかの間、脇腹を探っていた右手が上に向かい、安心しきっていた胸の飾りを指先で弾いた。
「あっ、あああっ」
その刺激に耐えられず、僕は呆気ないほどに嬌声を口から上げ、ジャージの中に欲を吐き出した。
「あーあ。リヒト、大学でこんなに出しちゃうなんて……本当に君は可愛いなぁ」
「誰の、せいで……!」
肩を上下させながら、乱れた息を整える。
濡れたジャージも、もちろんトランクスも気持ち悪いったらありゃしないが、今それを言ったら、ユーリはさらに興奮してしまう。それくらい嫌というほど知っている。
「これで満足しただろ……! 早く、僕を離してくれ!」
「満足? え、何言ってるの、リヒト」
その冷たい声に、ぞくりと背筋に寒気が走った。
僕がまた何か口にするより早く、ユーリは左手を僕の頭に移動させ、そのまま強く床に押しつけた。ゴツッと鈍い音がして、同時に痛みが身体を駆け抜ける。
「いっ!? な、何する……」
頭は床に、臀部はユーリに突き出す形になってしまい、僕は慌てて抱えていた鞄から手を離し、すぐに拒否するよう後ろに手を伸ばす。が、その手は虚しく空を切っただけでなんの意味もなかった。
「やっと、やっとリヒトに会えたんだ。会えたらやりたかったこと、たくさんあったんだ。だから」
ジャージが、履いていたトランクスごと引き下ろされる。まだ素肌に当たる空気は冷たく、僕は一瞬、その寒さに身を縮こませた。
「ね、ほら見て、糸引いてる。昔よりもっと人間臭くなったね。嬉しいよ」
「やめっ、それだけは……っ」
反論する間もなく、ユーリは右手で僕のモノを優しく包むように握ると、そのままやわやわと揉みだした。まだ微かに芯を持っていたそれはすぐに快楽を拾い上げ、すぐに硬さを持ち始めていく。
「あっ、ああ……、ひうっ」
出したばかりの白濁を全体に塗るように、優しく上下にゆるゆると動かされ、そのたびに自分ではない声が口から漏れた。
先端を少し強く押され、僕は驚きと微かに走った痛みに臀部を左右に揺らした。
「ああぁ、いひゃい、それやだぁぁっ」
「やだ? そう言うわりに、こっちは俺を誘ってるようにしか見えないよ?」
「ひっ」
ユーリは動かしていた右手を離すと、その手を僕の後孔へと移動させた。僕の欲に濡れていたその指先で、入口を軽く触れるように撫でていく。
「んぁ、んん……っ」
「リヒト、わかる? ちょっと触っただけで、リヒトのほうから吸い付いてきてるよ」
「嘘、うそだ、ちがう……」
口ではそう言っても、自分でもわかっていた。そこはまるで呼吸するように動き、近くにあるユーリの指先を招き入れようとしていることを。
だからせめて、頭でも、口でも、受け入れてないと言い聞かせていないと、自分が狂ってしまいそうだったのが怖かった。
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