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九月
大改造! 屹立パワーで大☆学祭! その2
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始業式一発目から盛大に遅刻した。それもこれも、あの駄女神のせいだ。
更に牧地から「二人で仲良く遅刻なんて♪」と言われたばっかりに、クラス中から野次が飛んでくる始末。猫汰と太刀根(特に猫汰)からは、ものすごい負のオーラを向けられた気がした。
始業式の後は普通に授業だ。といっても、宿題や課題の確認と、前期の復習を少し。本格的な授業は明日からになる。
そうして、地獄の放課後がやって来たわけだ。
「はぁ……」
四月に来てから一度も来ていない生徒会室。相変わらず豪勢な扉だこと。入る勇気も度胸もないが、これが生徒会の役目ならば仕方がない。
「会長、二年の御竿護っす。入りますよー」
ヤル気の“ヤ”の字すら感じさせない掛け声と一緒に扉を開けた。
「屹立! 我が部の経費がこれだけとは、一体どういうことだ!」
一番奥の机に座る会長。その一番豪勢な机をバンッと叩いて、会長に詰め寄っているのは確か……。
「騒がしいぞ、益州虎。オレはさっきも言ったはずだ。どの部にも、公平に、平等に、経費は分け与えているとな」
「嘘をつけ、嘘を! ならばなぜ我が剣道部の経費が、他の部と比べて半分なのだ!」
唾でも飛ばしそうな益州虎(たぶん名字は益州)先輩とは反対に、座ったままの会長は退屈だと言わんばかりに息をひとつついた。
「それも説明したはずだが? 貴様の健康診断結果、中間考査、更には六月の体育祭。そのどれもで、貴様は結果を出していない。部長である貴様がそれでは、部の経費も出すわけにはいくまい」
そういえば、そんなことも言ってたかもしれない。だから皆張り切るんだとも。
とりあえず俺は小さく「失礼しまーす」と言って、なるべく音を立てないようにして扉を閉めた。それから生徒会室を改めて見回せば、初めて見る役員の生徒たちが、各々の机で何かしら作業をしているところだった。
「ん? あぁ、護くんか。キミの席はこちらだ」
会長が柔らかく微笑んで示したのは、
「……いや、そこ席じゃなく、会長の膝っすよね」
「何、遠慮することはない。座り心地も保証しよう。まぁ、気持ち良すぎて、意識を飛ばしてしまうかも、しれんがな」
「遠慮します、立ってます」
誰があんなとこ座るか。座ったらそのまま人生終わっちまうわ。
「屹立!」
俺たちのやり取りに構わず、益州先輩が声を荒げた。ちなみに机に手はついたままだ。
「それなら俺と勝負しろ! 俺が勝ったら部の経費を上げてもらおうか!」
「ほう……? それで、その勝負を受けるにあたり、オレのメリットはなんだ? 貴様の賭けるものは?」
会長の顔は楽しそうではあるものの、勝負を受ける気にはまだなっていないらしい。手に持ったペン(高そうな万年筆に見える)をくるりと回してみせ、挑発するように益州先輩にちらりと視線をやった。
「俺の、俺の賭けるものは……」
ずびし、と益州先輩に指を差される。
「彼だ」
「おいちょっと待て、いや待ってください。なんで俺なんすか」
「何を言っているんだ! 一緒に武道場にいた仲だろう!?」
「四月のこと? 四月のこと言ってんの? あれなら益州先輩とはほとんど関わってない……」
揉める俺と益州先輩(もう先輩と呼びたくない)を眺めていた会長が、喉を鳴らして笑い、それからゆったりとした動作で立ち上がった。王者の風格、いや人外オーラ増し増しで。
「いいだろう。オレが勝った場合、護くんの護くんごと頂くとしよう」
「おいやめろその言い方。色々気持ちわr」
「俺が勝ったら経費を上げてもらうからな」
「構わん。まぁ、貴様がオレに勝つなぞ、奇跡すら霞むほどに有り得んがな」
「待って、ねぇ、俺の意思。俺の意思はどこにいっちゃったの」
止める俺のことなど見えていないようで、会長は「貴様が勝負を決めろ」と自信満々に言い放ちながら扉へと歩いていく。対する益州は「剣道だ、今から部活だからな」と得意気に鼻を鳴らして後をついていく。
「ちょっと、俺! 俺は嫌なんですけど!」
そうして俺はというと、二人を止めるため、嫌々ながらも後をついていくハメになった。
更に牧地から「二人で仲良く遅刻なんて♪」と言われたばっかりに、クラス中から野次が飛んでくる始末。猫汰と太刀根(特に猫汰)からは、ものすごい負のオーラを向けられた気がした。
始業式の後は普通に授業だ。といっても、宿題や課題の確認と、前期の復習を少し。本格的な授業は明日からになる。
そうして、地獄の放課後がやって来たわけだ。
「はぁ……」
四月に来てから一度も来ていない生徒会室。相変わらず豪勢な扉だこと。入る勇気も度胸もないが、これが生徒会の役目ならば仕方がない。
「会長、二年の御竿護っす。入りますよー」
ヤル気の“ヤ”の字すら感じさせない掛け声と一緒に扉を開けた。
「屹立! 我が部の経費がこれだけとは、一体どういうことだ!」
一番奥の机に座る会長。その一番豪勢な机をバンッと叩いて、会長に詰め寄っているのは確か……。
「騒がしいぞ、益州虎。オレはさっきも言ったはずだ。どの部にも、公平に、平等に、経費は分け与えているとな」
「嘘をつけ、嘘を! ならばなぜ我が剣道部の経費が、他の部と比べて半分なのだ!」
唾でも飛ばしそうな益州虎(たぶん名字は益州)先輩とは反対に、座ったままの会長は退屈だと言わんばかりに息をひとつついた。
「それも説明したはずだが? 貴様の健康診断結果、中間考査、更には六月の体育祭。そのどれもで、貴様は結果を出していない。部長である貴様がそれでは、部の経費も出すわけにはいくまい」
そういえば、そんなことも言ってたかもしれない。だから皆張り切るんだとも。
とりあえず俺は小さく「失礼しまーす」と言って、なるべく音を立てないようにして扉を閉めた。それから生徒会室を改めて見回せば、初めて見る役員の生徒たちが、各々の机で何かしら作業をしているところだった。
「ん? あぁ、護くんか。キミの席はこちらだ」
会長が柔らかく微笑んで示したのは、
「……いや、そこ席じゃなく、会長の膝っすよね」
「何、遠慮することはない。座り心地も保証しよう。まぁ、気持ち良すぎて、意識を飛ばしてしまうかも、しれんがな」
「遠慮します、立ってます」
誰があんなとこ座るか。座ったらそのまま人生終わっちまうわ。
「屹立!」
俺たちのやり取りに構わず、益州先輩が声を荒げた。ちなみに机に手はついたままだ。
「それなら俺と勝負しろ! 俺が勝ったら部の経費を上げてもらおうか!」
「ほう……? それで、その勝負を受けるにあたり、オレのメリットはなんだ? 貴様の賭けるものは?」
会長の顔は楽しそうではあるものの、勝負を受ける気にはまだなっていないらしい。手に持ったペン(高そうな万年筆に見える)をくるりと回してみせ、挑発するように益州先輩にちらりと視線をやった。
「俺の、俺の賭けるものは……」
ずびし、と益州先輩に指を差される。
「彼だ」
「おいちょっと待て、いや待ってください。なんで俺なんすか」
「何を言っているんだ! 一緒に武道場にいた仲だろう!?」
「四月のこと? 四月のこと言ってんの? あれなら益州先輩とはほとんど関わってない……」
揉める俺と益州先輩(もう先輩と呼びたくない)を眺めていた会長が、喉を鳴らして笑い、それからゆったりとした動作で立ち上がった。王者の風格、いや人外オーラ増し増しで。
「いいだろう。オレが勝った場合、護くんの護くんごと頂くとしよう」
「おいやめろその言い方。色々気持ちわr」
「俺が勝ったら経費を上げてもらうからな」
「構わん。まぁ、貴様がオレに勝つなぞ、奇跡すら霞むほどに有り得んがな」
「待って、ねぇ、俺の意思。俺の意思はどこにいっちゃったの」
止める俺のことなど見えていないようで、会長は「貴様が勝負を決めろ」と自信満々に言い放ちながら扉へと歩いていく。対する益州は「剣道だ、今から部活だからな」と得意気に鼻を鳴らして後をついていく。
「ちょっと、俺! 俺は嫌なんですけど!」
そうして俺はというと、二人を止めるため、嫌々ながらも後をついていくハメになった。
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