29 / 56
一ノ瀬紅羽の場合
29話
しおりを挟む
薄暗くなった空からは、雨が降り始めていた。
そういえば、颯介、傘持っていったっけ? いつもの鞄片手に「いってきますね」と出ていった後ろ姿を思い出す。
開けっ放しの収納ボックスから颯介のパーカーを引っ掴んで、シャツの上から着込んだ。見つけた折り畳み傘を右手に持って、慌てて靴を履いて、渡された合鍵で鍵をかけて、会社に向かって走り出す。
「……っ、ぅ……!」
なぁ、颯介。一目惚れって言ってたよな。それって一体いつなんだよ。僕、お前の口からそれを聞いてない。勝手にあの居酒屋の日を言ってるもんだと思ってたよ。
なぁ、なんで傘を今でも持ってるんだよ。返すタイミングなんて、この数ヶ月いくらでもあっただろう。僕が忘れてると思ってたのか? そう思われてたことが、僕は一番悲しい。
「はっ……、はあっ」
息が上がる。
折り畳み傘を持っているのに、雨の中、差さずに走る僕の姿はとても滑稽に見えるだろう。
それでも、僕はこの傘を、あいつに渡したかった。
遠目に会社が見えてきた。
スーツを着たリーマンと多くすれ違う。
中には同僚もいたはずだけど、今の僕には正直どうでもよかった。
会社のエントランスで、空を憂鬱そうに見上げる颯介がいる。
「……ぅ、け……っ」
息が切れた状態じゃ声が出ない。
でも言わないと。呼ばないと気づいてもらえない。
「そ……っ、すけ……、そーすけ!」
「え? 紅羽、さん?」
驚きで目を丸くする颯介の前に立って、とりあえず上がってしまった息を整える。隣を通り過ぎるリーマンたちは、次々に傘を差して帰路へとついている。
「か、傘、お前、持ってってなかったって思い出して……」
自信満々に折り畳み傘を差し出す。颯介はそれに目を見開いてから「ちょ、ちょっと」と頭を抱えて小さく息を吐いた。
「えぇと、そう、ですね。とりあえず、紅羽さ……先輩がその傘を使ってください」
「へ?」
折角持ってきたのに、こいつは何を言ってるんだろう。首を傾げる僕を横に、颯介は鞄から小さな筒状の物体を取り出すと、器用に片手でカバーを外しだした。
「は、ああああ!?」
棒を伸ばしたそれは明らかに傘で、それを見た僕からは怒りの雄叫びがつい上がってしまう。
「おい! それはどういうことだ!? 僕が傘を持ってきた流れはどうするんだよ!」
「わかったんで、ちょっと落ち着いて……」
「落ち着けるか、馬鹿! 颯介なんか――」
濡れながら走ってきた僕は一体なんだったんだ。涙ぐみながらキッと颯介を睨めば、颯介は小さくため息をついてから「少し、黙ってくれません?」と怒りを含んだ声で見下ろしてきた。
「……はい」
「流石にここじゃ目立つんで、家に帰りましょうか」
「はい」
言われるままに僕も傘を開いて、来た道を二人で歩き出す。帰り道、ひと言も話さない颯介がやけに怖かった。
家に帰り、僕は颯介に促されるままにシャワーを浴びた。空気がビリビリとひりつくようなあの感覚は、颯介が怒っていたり苛ついたりするとたまに感じるものだ。
つまり、今颯介はすこぶる機嫌が悪い。絶対に僕のせいだ。いや、落ち着いて考えてもみろ。今僕は会社を休んでいる。その立場で会社まで行って、しかも颯介に罵声を浴びせるなんて馬鹿だろ。
髪と身体をタオルで拭いて、用意してくれた颯介の服を着込んで、脱衣所からそっと顔を覗かせる。
「……」
無言でキッチンに立って、今日の夕飯を作っている。カレーだ。僕が颯介に言われた通りに買ってきたからわかる。
「あの、颯介……」
「声、よかったですね」
「へぁ!?」
あ。
言われてみれば、普通に話せている。
息しか出なかったのが嘘みたいだ。
「あ、え、と、ありがと……」
「あとは弱火で煮込んでからルウを入れるだけなんで……、少し話しましょうか」
「はい」
コンロを弱めた颯介が先に部屋へ入る。気まずいながらもついていくしかなく、僕は颯介に示されるままベッドへと上がり正座をした。
「とりあえず、あれはどういう惨状ですか……」
あれ、と視線で示されたのは、僕が中途半端に放り出した洗濯物たち。畳んでボックスに入れようと思ったのに、途中で颯介の匂いが嗅ぎたくなって、頭ごと突っ込んだあれだ。
「あの……、匂いが、その、いい匂いがして……。それで、頭から突っ込みました」
「それであれですか」
半開きのボックスからは服や下着類が飛び出し、床にまで散乱している。ちなみにそれが玄関まで続いているものだから、颯介が怒るのも無理はない。
「め、面目ない」
まともに颯介の顔も見れなくなって、申し訳なさから俯いた。頭の上から小さく息を吐く声が聞こえる。やっぱり駄目だよな。だって僕はβだ。Ωでもないのに、こんなこと……。
「……?」
俯く僕の頭に、何かがふわりと被せられた。途端に鼻をくすぐる香りに顔を上げれば、颯介がネクタイを外して僕に被せていた。続けてYシャツも渡されて、僕は「なん、で?」と半泣きで首を傾げる。
「なんでって……。欲しくないなら洗濯しますけど」
「ほじい」
鼻をすすって、渡されたシャツに顔を埋めた。鼻水がつくのも構わずにぐりぐりと顔を押し付ければ、愛しくて堪らない香りに頭がぼーっとしてくる。
「紅羽さん」
「ん……」
名前を呼ばれて顔を上げれば、颯介が片膝をベッドに乗せて僕に近づこうとしていた。思わず尻もちをつくように逃げてしまって、そのまま壁に追い詰められてしまう。
「なんで逃げるんですか」
顔の横に手が置かれ、いわゆる壁ドンみたいにされて逃げ場を塞がれた。
「は、恥ずかしい、から」
「今さら何を言って」
「だって僕はβだ……! こんな、こんな、Ωみたいなこと、おかしいだろ……」
βなのにαと恋をして、βなのにΩみたいなことをして、βなのにβに馬鹿にされて。
「僕は一体なんなんだよ!? 変なんだ。ずっと、ずっとΩみたいで、僕はβなのに……」
こんなこと颯介に言ってどうするんだよ。
そうだ。傘、言わなきゃ。あの次の日、行けなくてごめんって。そういえばピアスどうしたんだ? 色々聞きたい。
「……俺はαですけど」
「ん……?」
「面倒くさかったんですよね。いっそのこと、不真面目になってやろうかと思って、髪染めたりピアス開けてみたりしたんです。ね、αらしくないですよね」
にやりと笑ったその表情は、あの日見た意地悪なものと同じだった。
「αだからΩと、とか、βだからβと、とか、そんなの気にしなくていいと俺は思ってます。それでもあなたが、紅羽さんが気になるのなら」
顎に手をやられ、そのまま軽く唇を合わせて、でもすぐに離れていく。
「俺が紅羽さんをΩにします。だから、俺と番になってください」
どうやって、とか。
今でも番だと言ってるのに、とか。
気にしてるのは僕だけなのか、とか。
でもそんなのは、もうどうでもいい。
「僕も……、なりたい。颯介と、番になりたい……っ」
そう答えた僕の口を、颯介が、貪るように、噛みつくように、激しく塞いだ。
そういえば、颯介、傘持っていったっけ? いつもの鞄片手に「いってきますね」と出ていった後ろ姿を思い出す。
開けっ放しの収納ボックスから颯介のパーカーを引っ掴んで、シャツの上から着込んだ。見つけた折り畳み傘を右手に持って、慌てて靴を履いて、渡された合鍵で鍵をかけて、会社に向かって走り出す。
「……っ、ぅ……!」
なぁ、颯介。一目惚れって言ってたよな。それって一体いつなんだよ。僕、お前の口からそれを聞いてない。勝手にあの居酒屋の日を言ってるもんだと思ってたよ。
なぁ、なんで傘を今でも持ってるんだよ。返すタイミングなんて、この数ヶ月いくらでもあっただろう。僕が忘れてると思ってたのか? そう思われてたことが、僕は一番悲しい。
「はっ……、はあっ」
息が上がる。
折り畳み傘を持っているのに、雨の中、差さずに走る僕の姿はとても滑稽に見えるだろう。
それでも、僕はこの傘を、あいつに渡したかった。
遠目に会社が見えてきた。
スーツを着たリーマンと多くすれ違う。
中には同僚もいたはずだけど、今の僕には正直どうでもよかった。
会社のエントランスで、空を憂鬱そうに見上げる颯介がいる。
「……ぅ、け……っ」
息が切れた状態じゃ声が出ない。
でも言わないと。呼ばないと気づいてもらえない。
「そ……っ、すけ……、そーすけ!」
「え? 紅羽、さん?」
驚きで目を丸くする颯介の前に立って、とりあえず上がってしまった息を整える。隣を通り過ぎるリーマンたちは、次々に傘を差して帰路へとついている。
「か、傘、お前、持ってってなかったって思い出して……」
自信満々に折り畳み傘を差し出す。颯介はそれに目を見開いてから「ちょ、ちょっと」と頭を抱えて小さく息を吐いた。
「えぇと、そう、ですね。とりあえず、紅羽さ……先輩がその傘を使ってください」
「へ?」
折角持ってきたのに、こいつは何を言ってるんだろう。首を傾げる僕を横に、颯介は鞄から小さな筒状の物体を取り出すと、器用に片手でカバーを外しだした。
「は、ああああ!?」
棒を伸ばしたそれは明らかに傘で、それを見た僕からは怒りの雄叫びがつい上がってしまう。
「おい! それはどういうことだ!? 僕が傘を持ってきた流れはどうするんだよ!」
「わかったんで、ちょっと落ち着いて……」
「落ち着けるか、馬鹿! 颯介なんか――」
濡れながら走ってきた僕は一体なんだったんだ。涙ぐみながらキッと颯介を睨めば、颯介は小さくため息をついてから「少し、黙ってくれません?」と怒りを含んだ声で見下ろしてきた。
「……はい」
「流石にここじゃ目立つんで、家に帰りましょうか」
「はい」
言われるままに僕も傘を開いて、来た道を二人で歩き出す。帰り道、ひと言も話さない颯介がやけに怖かった。
家に帰り、僕は颯介に促されるままにシャワーを浴びた。空気がビリビリとひりつくようなあの感覚は、颯介が怒っていたり苛ついたりするとたまに感じるものだ。
つまり、今颯介はすこぶる機嫌が悪い。絶対に僕のせいだ。いや、落ち着いて考えてもみろ。今僕は会社を休んでいる。その立場で会社まで行って、しかも颯介に罵声を浴びせるなんて馬鹿だろ。
髪と身体をタオルで拭いて、用意してくれた颯介の服を着込んで、脱衣所からそっと顔を覗かせる。
「……」
無言でキッチンに立って、今日の夕飯を作っている。カレーだ。僕が颯介に言われた通りに買ってきたからわかる。
「あの、颯介……」
「声、よかったですね」
「へぁ!?」
あ。
言われてみれば、普通に話せている。
息しか出なかったのが嘘みたいだ。
「あ、え、と、ありがと……」
「あとは弱火で煮込んでからルウを入れるだけなんで……、少し話しましょうか」
「はい」
コンロを弱めた颯介が先に部屋へ入る。気まずいながらもついていくしかなく、僕は颯介に示されるままベッドへと上がり正座をした。
「とりあえず、あれはどういう惨状ですか……」
あれ、と視線で示されたのは、僕が中途半端に放り出した洗濯物たち。畳んでボックスに入れようと思ったのに、途中で颯介の匂いが嗅ぎたくなって、頭ごと突っ込んだあれだ。
「あの……、匂いが、その、いい匂いがして……。それで、頭から突っ込みました」
「それであれですか」
半開きのボックスからは服や下着類が飛び出し、床にまで散乱している。ちなみにそれが玄関まで続いているものだから、颯介が怒るのも無理はない。
「め、面目ない」
まともに颯介の顔も見れなくなって、申し訳なさから俯いた。頭の上から小さく息を吐く声が聞こえる。やっぱり駄目だよな。だって僕はβだ。Ωでもないのに、こんなこと……。
「……?」
俯く僕の頭に、何かがふわりと被せられた。途端に鼻をくすぐる香りに顔を上げれば、颯介がネクタイを外して僕に被せていた。続けてYシャツも渡されて、僕は「なん、で?」と半泣きで首を傾げる。
「なんでって……。欲しくないなら洗濯しますけど」
「ほじい」
鼻をすすって、渡されたシャツに顔を埋めた。鼻水がつくのも構わずにぐりぐりと顔を押し付ければ、愛しくて堪らない香りに頭がぼーっとしてくる。
「紅羽さん」
「ん……」
名前を呼ばれて顔を上げれば、颯介が片膝をベッドに乗せて僕に近づこうとしていた。思わず尻もちをつくように逃げてしまって、そのまま壁に追い詰められてしまう。
「なんで逃げるんですか」
顔の横に手が置かれ、いわゆる壁ドンみたいにされて逃げ場を塞がれた。
「は、恥ずかしい、から」
「今さら何を言って」
「だって僕はβだ……! こんな、こんな、Ωみたいなこと、おかしいだろ……」
βなのにαと恋をして、βなのにΩみたいなことをして、βなのにβに馬鹿にされて。
「僕は一体なんなんだよ!? 変なんだ。ずっと、ずっとΩみたいで、僕はβなのに……」
こんなこと颯介に言ってどうするんだよ。
そうだ。傘、言わなきゃ。あの次の日、行けなくてごめんって。そういえばピアスどうしたんだ? 色々聞きたい。
「……俺はαですけど」
「ん……?」
「面倒くさかったんですよね。いっそのこと、不真面目になってやろうかと思って、髪染めたりピアス開けてみたりしたんです。ね、αらしくないですよね」
にやりと笑ったその表情は、あの日見た意地悪なものと同じだった。
「αだからΩと、とか、βだからβと、とか、そんなの気にしなくていいと俺は思ってます。それでもあなたが、紅羽さんが気になるのなら」
顎に手をやられ、そのまま軽く唇を合わせて、でもすぐに離れていく。
「俺が紅羽さんをΩにします。だから、俺と番になってください」
どうやって、とか。
今でも番だと言ってるのに、とか。
気にしてるのは僕だけなのか、とか。
でもそんなのは、もうどうでもいい。
「僕も……、なりたい。颯介と、番になりたい……っ」
そう答えた僕の口を、颯介が、貪るように、噛みつくように、激しく塞いだ。
185
お気に入りに追加
528
あなたにおすすめの小説
変なαとΩに両脇を包囲されたβが、色々奪われながら頑張る話
ベポ田
BL
ヒトの性別が、雄と雌、さらにα、β、Ωの三種類のバース性に分類される世界。総人口の僅か5%しか存在しないαとΩは、フェロモンの分泌器官・受容体の発達度合いで、さらにI型、II型、Ⅲ型に分類される。
βである主人公・九条博人の通う私立帝高校高校は、αやΩ、さらにI型、II型が多く所属する伝統ある名門校だった。
そんな魔境のなかで、変なI型αとII型Ωに理不尽に執着されては、色々な物を奪われ、手に入れながら頑張る不憫なβの話。
イベントにて頒布予定の合同誌サンプルです。
3部構成のうち、1部まで公開予定です。
イラストは、漫画・イラスト担当のいぽいぽさんが描いたものです。
最新はTwitterに掲載しています。
生徒会長の包囲
きの
BL
昔から自分に自信が持てず、ネガティブな考えばっかりしてしまう高校生、朔太。
何もかもだめだめで、どんくさい朔太を周りは遠巻きにするが、彼の幼なじみである生徒会長だけは、見放したりなんかしなくて______。
不定期更新です。
初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。
孤独を癒して
星屑
BL
運命の番として出会った2人。
「運命」という言葉がピッタリの出会い方をした、
デロデロに甘やかしたいアルファと、守られるだけじゃないオメガの話。
*不定期更新。
*感想などいただけると励みになります。
*完結は絶対させます!
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
その溺愛は伝わりづらい!気弱なスパダリ御曹司にノンケの僕は落とされました
海野幻創
BL
人好きのする端正な顔立ちを持ち、文武両道でなんでも無難にこなせることのできた生田雅紀(いくたまさき)は、小さい頃から多くの友人に囲まれていた。
しかし他人との付き合いは広く浅くの最小限に留めるタイプで、女性とも身体だけの付き合いしかしてこなかった。
偶然出会った久世透(くぜとおる)は、嫉妬を覚えるほどのスタイルと美貌をもち、引け目を感じるほどの高学歴で、議員の孫であり大企業役員の息子だった。
御曹司であることにふさわしく、スマートに大金を使ってみせるところがありながら、生田の前では捨てられた子犬のようにおどおどして気弱な様子を見せ、そのギャップを生田は面白がっていたのだが……。
これまで他人と深くは関わってこなかったはずなのに、会うたびに違う一面を見せる久世は、いつしか生田にとって離れがたい存在となっていく。
【続編】
「その溺愛は行き場を彷徨う……気弱なスパダリ御曹司は政略結婚を回避したい」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/962473946/911896785
どうせ全部、知ってるくせに。
楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】
親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。
飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。
※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる