【本編完結済】僕はあんたのΩじゃない!

とかげになりたい僕

文字の大きさ
上 下
7 / 56
一ノ瀬紅羽の場合

7話

しおりを挟む
 真っ白な天井、そこにかかるシーリングライト。明かりは恥ずかしいから消してほしいと言ったら、薄暗くだけされた。薄オレンジの明かりを背景にする十三とさは、いつも見る姿よりもなんだか頼もしくて、それだけで動悸が激しくなる。

「んん……」

 スエットをまくられ、両方の乳首をくりくりとこねくり回される。たまに右を爪先で弾かれ、左を強く引っ張られ、そのたびに僕の口からは厭らしい声が溢れた。

「やっ、ふぅんんっ」
「先輩、ここ、こうされるの好きです?」

 ツンと立った右側を親指と人差し指でつままれ、そのまま緩く上下に動かされる。

「ひあぁっ」

 途端に腰が飛び跳ね、僕は自身から軽く白濁を滴らせた。

「は……、これだけでイクとか、先輩弱すぎですって」
「ひ、ぐ……っ、だっ、て」

 自分でシたことが、ないわけじゃない。でもどうにもそれは気持ちよくなくて、ここまでの快楽を得たことなんてなかった。
 初めて“気持ちいい”というのを知って、そしてそれが十三の手から与えられたものだとわからせられて、僕は色んな感情がごちゃ混ぜになる。もうなんて言ったらいいのかわからず、とりあえず顔を見られたくなくて、両腕で顔を隠した。

「先輩、顔、隠さないでください」
「い、いやだっ」

 絶対に変な顔をしているに違いない。仮にも僕を好きだと言ってくれる十三には、そんな変顔を晒したくはなかった、のに。

「紅羽さん」
「……っ、せんぱいを、つけろって……! んあっ」

 反論しようとしたところに、左の突起を十三の舌が這い、あろうことかそのまま吸われた。ちゅっ、ちゅっと小さな音を立てながら、何度も角度を変え、時にきつく時に優しく吸われていく。

「ん、はぁ、んんっ」

 カリッと甘噛までされたのに、不思議とそれは痛みなど全く感じず、むしろ僕の胸の中に甘い痺れを残す。お腹の奥がきゅうっと締まるような、なんだか切ない感覚に、僕は堪らず「そ、すけ」とやつの名前を呼んで手を伸ばしていた。

「紅羽さん……っ」

 身体を少し起こした十三が僕の腕を首に回させる。そのまま唇を合わせれば、互いの唾液が混ざり合い、僕の口の端を伝っていく。
 僕より厚く少し固い舌が、僕の舌裏を這うように犯す。どう応えればいいのか、どう舌を動かせばいいのかわからない僕は、ただその動きを受け入れることしか出来ない。

「ふ……、んくっ」

 少し苦しくなって、我慢出来ずに口呼吸をした。僕から送られた酸素に驚いたのか、十三が口を離してから「先輩……」と何か言いたげに僕を少し冷ややかな目で見てきた。

「鼻で息してください。これじゃ毎回、人口呼吸になっちゃいますよ」
「そんな、言われて、も……」

 僕は真っ赤であろう顔を隠すために、ぐいと腕に力を込めて、少しだけ十三との距離を詰める。そうして肩口に顔を埋めるようにしてから、

「きんちょ、して……、ぐちゃぐちゃで、わかんなくなる……からっ」

となんとかそれだけを口にした。

「……っ、紅羽さん」

 余裕のない声で名前を呼ばれて、十三の大きな腕で抱きしめられる。僕にはもう“先輩”と訂正する余裕もなくて、必死でその身体を抱きしめ返す。腰に回されていた十三の両手が、僕の尻をやわやわと揉み出し、その指先が窄みを掠めた。

「ふぁっ……!?」

 いきなりの刺激にまた身体が跳ねる。勃ち上がる熱は恥ずかしいくらいにスエットを押し上げて、そこには濃い染みを作っている。

「紅羽さん、壁側、向いてくれます……?」

 荒い息づかいの十三に言われるままに、少し気怠い身体を動かす。体の右側を下にするように寝て壁側を向けば、今度は背後から十三に抱きしめられる。その際にうなじをねっとりと舐められ、緩く噛まれた。

「へぁ!? な、なんでっ、かん……!?」
「紅羽さんβでしょ。番わないから大丈夫ですよ」
「そ、そういう、もんだいじゃ」

 何度も何度も噛まれ、そのたびに労るように舐められ、首筋に熱い息がかかる。
 僕はβだ。何度噛んだって十三の言う通り番うことはなく、それが無性に切ない。

「紅羽さん、ちょっと……挿入いれないから……っ」
「ぇ……?」

 十三に左足を軽く持ち上げられたかと思えば、股間部分に何か熱いモノが押し当てられた。それが十三のモノだと気づくよりも早く、十三はぬるぬると腰を動かし始めた。

「あ、あん……っ、やだ、これっ」
「足、しっかり閉じてて……っ」

 太ももの合間を、十三の固くて太いモノが出入りしている。直接挿入いれられたわけでもないのに、腰を打ちつけてくる動きが心地よくて、僕の口からは自然と涎とともに声が溢れ出していく。

「ぅぅん……っ、はっ、ああっ」

 さらに十三の左手で自身の竿を握られ、先をぐりぐりと親指でこねられる。

「ど……じ、は、やらあっ」
「紅羽さん、声、抑えて……っ」
「んっ、んああぁ、ひうっ」

 出ちゃうんだから仕方ないだろ! と言いたいのに、僕の口から違う声しか出ない。

「く、そっ」

 左手は僕の竿を握り込んだままで、右手をなんとか動かした十三が僕の口を塞ぐ。

「んんーっ、ふーーっ」
「いい子だから、ちょっと声、我慢してください」
「ふうっ、んんんっ」

 竿と窄みの間の、何もないはずの場所を執拗に擦られ、僕は自然に身体ががくがくと震えだした。視界に花火が弾けるような感覚と、次に身体の中から何かが込み上げてきて――

「んん……っ」

 僕は思いきり、十三のベッドを汚す羽目になってしまった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【本編完結済】巣作り出来ないΩくん

こうらい ゆあ
BL
発情期事故で初恋の人とは番になれた。番になったはずなのに、彼は僕を愛してはくれない。 悲しくて寂しい日々もある日終わりを告げる。 心も体も壊れた僕を助けてくれたのは、『運命の番』だと言う彼で…

とまどいの花嫁は、夫から逃げられない

椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ 初夜、夫は愛人の家へと行った。 戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。 「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」 と言い置いて。 やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に 彼女は強い違和感を感じる。 夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り 突然彼女を溺愛し始めたからだ ______________________ ✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定) ✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです ✴︎なろうさんにも投稿しています 私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

元ベータ後天性オメガ

桜 晴樹
BL
懲りずにオメガバースです。 ベータだった主人公がある日を境にオメガになってしまう。 主人公(受) 17歳男子高校生。黒髪平凡顔。身長170cm。 ベータからオメガに。後天性の性(バース)転換。 藤宮春樹(ふじみやはるき) 友人兼ライバル(攻) 金髪イケメン身長182cm ベータを偽っているアルファ 名前決まりました(1月26日) 決まるまではナナシくん‥。 大上礼央(おおかみれお) 名前の由来、狼とライオン(レオ)から‥ ⭐︎コメント受付中 前作の"番なんて要らない"は、編集作業につき、更新停滞中です。 宜しければ其方も読んで頂ければ喜びます。

【完結】選ばれない僕の生きる道

谷絵 ちぐり
BL
三度、婚約解消された僕。 選ばれない僕が幸せを選ぶ話。 ※地名などは架空(と作者が思ってる)のものです ※設定は独自のものです

王冠にかける恋【完結】番外編更新中

毬谷
BL
完結済み・番外編更新中 ◆ 国立天風学園にはこんな噂があった。 『この学園に在籍する生徒は全員オメガである』 もちろん、根も歯もない噂だったが、学園になんら関わりのない国民たちはその噂を疑うことはなかった。 何故そんな噂が出回ったかというと、出入りの業者がこんなことを漏らしたからである。 『生徒たちは、全員首輪をしている』 ◆ 王制がある現代のとある国。 次期国王である第一王子・五鳳院景(ごおういんけい)も通う超エリート校・国立天風学園。 そこの生徒である笠間真加(かさままなか)は、ある日「ハル」という名前しかわからない謎の生徒と出会って…… ◆ オメガバース学園もの 超ロイヤルアルファ×(比較的)普通の男子高校生オメガです。

【完結】忘れてください

仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。 貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。 夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。 貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。 もういいの。 私は貴方を解放する覚悟を決めた。 貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。 私の事は忘れてください。 ※6月26日初回完結  7月12日2回目完結しました。 お読みいただきありがとうございます。

生徒会長の包囲

きの
BL
昔から自分に自信が持てず、ネガティブな考えばっかりしてしまう高校生、朔太。 何もかもだめだめで、どんくさい朔太を周りは遠巻きにするが、彼の幼なじみである生徒会長だけは、見放したりなんかしなくて______。 不定期更新です。

【短編】旦那様、2年後に消えますので、その日まで恩返しをさせてください

あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
「二年後には消えますので、ベネディック様。どうかその日まで、いつかの恩返しをさせてください」 「恩? 私と君は初対面だったはず」 「そうかもしれませんが、そうではないのかもしれません」 「意味がわからない──が、これでアルフの、弟の奇病も治るのならいいだろう」 奇病を癒すため魔法都市、最後の薬師フェリーネはベネディック・バルテルスと契約結婚を持ちかける。 彼女の目的は遺産目当てや、玉の輿ではなく──?

処理中です...