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14 砂漠の町で商人をします
しおりを挟む(…事は動いている、とはどういうことだ?)
大穴が空いた砂漠の縁で、底へと誘う流砂に巻き込まれずにすんだリーゼたちは呼吸を整えていた。
いまだ激しく立つ砂煙に目を細め、ベールの上から手で口元を押さえながら、リーゼは先ほど砂へと飲み込まれていった男が吐き捨てた言葉の意味を考える。
(もしかしてこれは陽動で……裏で何かが進んでいる?)
リーゼはハッとして、錫杖を手に取り、立ち上がった。
視界の隅ではサリームの父親が膝をつきながら激しく咳き込んでいて、それを心配したサリームが彼の背を摩っている様子を確認するとそちらへと向かう。
そして彼らの横に片膝をついたリーゼは、自分の推測が間違っていなければ一大事は免れないと考え、慎重に二人へと告げた。
正体を隠すなど、もうなりふり構っていられない。
「おそらく、彼らの本当の狙いは遺跡だ」
「……何!?」
サリームの父親がリーゼの言葉に振り向き、大声をあげる。その隙に砂埃を吸い込んだようで、げほげほと再び激しく咳込みはじめた。
サリームは「父さん、落ちついて」と彼の背を労わるように撫でながら、しかし彼も驚きを隠せないように「遺跡ですか?」と表情を歪ませてリーゼを見た。リーゼは頷く。
「彼らは元々遺跡周辺に潜伏していた」
「……あ! 遺跡に行った時、警備の人たちがそう言ってましたね!」
サリームは思い出したように目を見開き、納得してみせた。彼に背を摩られていたサリームの父親も「遺跡には魔獣の亡骸と共にたくさんの宝が埋められている」と表情を歪ませて苦しそうに言った。
(……宝欲しさとかならまだいいのだが)
リーゼは一つの懸念を頭を振って打ち消し、錫杖を地面について立ち上がった。
「向かわれるのですか?」とサリームに声を掛けられる。リーゼは静かに頷き、彼らに背を向けた。
遺跡に向かうため、奥で待機させているバクータの群れのある方へと歩を進めていると、走って追いついてきたサリームに「リーゼさん! 待ってください!」と慌てたように呼び止められて、リーゼは立ち止まり振り向いた。
「僕も連れて行ってください! 力になれるか分からないですけど!」
リーゼは目元を綻ばせて、「行こう」と頷いた。
サリームの父親を戦火の止んだ戦場に一人残し、二人は遺跡に向かうため、広大な砂漠を駆けはじめた。
途中、サリームが「あの……さっきのは事故ですから! あまり気を落とさないでください!」と慰めるように言った。
おそらく黒装束の男との一連のやりとりのことで、バクータに跨りながら物思いに耽っていたリーゼを心配したのか声を掛けてきた。
「大丈夫だ、気にしていない」
それは全くの虚勢だが、サリームには心配を掛けたくなく、リーゼは目元を緩ませて気にも留めていない風を装って言った。
今は他にやるべきことがあり、自分のことで他人まで思い煩わせている場合ではないと思ったのだ。
古代遺跡・セメンティスの前まで着き、バクータに歩みを止めるようリーゼは手綱を引っ張って指示を出した。
巨大な崖に彫られた遺跡の入り口は、四日前に訪れた時とは様子が変わり、あれだけ多くいたはずの警備隊が今は一人もいない。
やはり、商隊の襲撃騒動は撹乱するために起こされたようだった。
警備隊や町の人間の戦力をあちらに向かわせるように仕向け、本当の狙いは遺跡の中にある。
「行こう」
「……はい!」
リーゼとサリームの二人は周りを警戒しながら遺跡の中へと入っていった。途中、人員が割かれて手薄になる中、遺跡の警備を任されたのか数人の警備隊の格好をした男たちが倒れていて、リーゼは彼らに治癒術を施しながら先へと進んだ。
砂漠の町イスワンの始祖セメンティスの祭壇のある間まで着くとリーゼは目を見開いた。
「……召喚陣?」
静かに声を上げたサリームも呆然としたように目を瞠る。そこには既に陣が張られていて、どうやら懸念は当たってしまったようだとリーゼは錫杖を掴み直した。
(彼らの目的は、宝なんかではない)
「サリーム、あれは召喚陣などではない」
「……え? あ、本当だ。何かが違う!」
それは数日前にサリームが作り上げた陣と似ているが、召喚陣なんかではない。よく見ると端に書き足された跡があったり、黒い邪気を帯びていたりと決定的に違う。
リーゼはそれが何であるか知っていた。救いの旅の最中で数度目にしたことのあるそれは──
(彼らの目的は、ここに眠る神獣の蘇生召喚だ!)
「なんでこんな大事な時に女に逃げられるんだ!」
「仕方ねぇだろ、朝見たら檻から消えてたんだ! 新入に代わりの女を町から連れてくるように言ってあるから少し待ってくれ!」
「早く召喚して合流しねぇと、あっちが全滅しちまうぞ!」
陣を囲んで大声で話す二人の男の声には聞き覚えがあり、リーゼが覗き見ると、数日前に町の目抜き通りで一悶着あった男たちだった。
町にいた時の軽装と違い、今は戦場にいた盗賊と同じ黒い衣服を着ているが、顔は隠されていない。
蘇生召喚陣は禁忌とされていて、召喚にはイスワンに住む処女の生き血と、黒魔術を纏わせたナイフを使う。
男たちはどうやら用意していた女に逃げられたようで、今は陣を張りながら新しい女が連れてこられるのを待っているらしい。
しかしリーゼは不審に思う。黒魔術を使い世界に危害を及ぼす魔物や人ならざる者たちを、勇者一行は救いの旅の過程でその全てを葬り去ったはずだった。
(本当に黒魔術が施されたナイフを持っているのか?)
リーゼはすぐさま錫杖を振り上げて、目の前の男たちに攻撃をしかけた。光の礫が男たちを襲い、その隙にサリームに耳打ちをして指示を出す。
「なんだ!? 痛っ! 痛ぇ!」
「こ、これは聖魔術!? 一体誰が!?」
身体中を飛び交う光に切り裂かれながらも、声を上げて辺りを見回す男たちの前にリーゼは立ちはだかった。その隙にサリームも身を屈ませ、体を隠しながら走り出し、リーゼとは別行動を取る。
「お前は……その碧色の目、あの時の女か?」
「ちょうど良いじゃねぇか、お前はイスワンの女で、それに顔を隠してるってことは処女だろ。結婚してるって言ったって、まだ旦那に肌を見せていない証拠だ」
リーゼを捕らえようと男たちはそれぞれ鈍器や刃のような武器を手に持ち、じわじわと近づいてくる。男たちの後ろではサリームがゆっくりではあるが陣へと到達し、蘇生召喚陣を無効にするために動き出していた。
(……よし)
さらに男たちを引きつけるように、リーゼは遺跡の中を後退りする。それを追うように男たちも前進しながらにやにやと下品な顔をしてリーゼを舐めるように見ていた。
本当はすぐにでも強攻撃を仕掛けて捕らえたいところだが、万が一にもこの遥か古代から続く歴史のあるこの遺跡を傷つけることをリーゼは避けたかった。
それに男たちを逆上させ、自棄になった彼らが攻撃を散発させることも恐れている。
(一発勝負だ)
リーゼは錫杖へと魔力を流すと、コン、とその先で軽く地面をついた。
すると、すぐさま二筋の光が遺跡の地面を流れるように伝っていき、一筋ずつ男たちの足元まで辿り着くと植物の蔓のように絡みついた。
「な、なんだこれは!?」
「ぐ……! 動けねぇ!」
光の蔓はどんどんと伸び、男たちの足先から徐々に体を覆っていき、動きを制御していく。男たちの腕を締め上げ、肩まで巻き付かせると、リーゼは蔓の成長を止めた。
男たちはその締め付けから武器を落とし、苦しそうにもがいている。
「お、お前何者だ」
男たちが懸命にどうにか逃げようと指先で光の蔓を引っ掻くが、それはリーゼが術を解除させないといつまで経っても巻き付いたままその身を離さない、頑丈な蔓だ。
「私はサリームのお嫁さんだ」
リーゼは男たちの武器を錫杖の先で一突きして粉々にしながら真顔でそう言った。
二人の男を捕らえたリーゼが、陣を解体するサリームを手伝おうと男たちの横を通りすぎようとした時だった。
突然、ピッ──と腕に刃物で切られたような痛みが走り去る感覚をおぼえ、そして一瞬のうちに体に力が入らなくなり、リーゼは片膝をついた。
(──何だ!?)
「……リーゼさん!?」
奥からサリームの焦ったような声が耳に届く。
リーゼは急激に重たくなった頭を懸命に動かして、横にいる男の方へと傾けると、光の蔓の間から伸びている刃物の先が見えた。
それは鋭利なナイフで、周りには黒い靄を纏わせている。
(本当に持っていたのか)
黒魔術はとっくに消え去ったと思っていた。それは悪意の塊で、使うだけで人を蝕み、内側から人をじわじわと殺していく。
黒魔術を施した武器が生み出された時は必ず贄として人が死に、血が流れている。
リーゼや他の仲間たちは救いの旅でそれらから人々を守り、それらで壊れる人々を助け、それらを失くすために戦ってきたのだ。
しかし今ここにあるものは何だ? 生き残りの残骸か?
リーゼが生なら、黒魔術は死だった。
聖道を極め、聖属性の魔力が多く流れるリーゼの身体は、その裏で悪意に満ちた黒魔術やそれを用いた魔道具などに人一倍蝕まれてしまう。
「……本当に聖属性の使い手にはよく効くんだな」
男はそう言うと、体に巻き付いていた光の蔓を、その黒魔術が施されたナイフで切り裂いていった。体が自由になると、その黒く燻んだ刃を一瞬だけ見てから「一緒に来い」と、動けないままでいるリーゼを抱え上げ、蘇生召喚陣のある方へと歩き始める。
「おい、俺も解放してから行けよ!」
「待っとけ、先に化物を召喚してから助けてやる」
男達の会話に、ぼんやりとし始めた意識の中でリーゼは残念だなと吐き捨てた。
リーゼは砂漠の町イスワンの人間でも、女性でも、処女でもない。
召喚条件の全ての条件を満たさずして召喚なんかできるわけもなく、しかしそれも男たちが言っていたように新しく町の女を連れてこられたら終わりだ。
「聖職者の血で生き返らせてもらえるなんて、さぞ化物も喜ぶだろうな」
男のぼさぼさとした黒い髪がベールの上から頬に刺さり気分が悪い。しかし、リーゼを担ぎ直しながら下劣にそう言った男が、次の瞬間──「おい、やめろ!」と心底焦ったように叫んだ。
「リーゼさん! 今助けるから!」
サリームの声が遠くなった耳に届き、リーゼは力を振り絞って顔を上げた。
蘇生召喚陣が作動しないように書き足された部分を消し、中途半端な召喚陣の真ん中に立っていたサリームは、男たちによって用意されていた酒を飲んだ。それから、親指の先を手に持っていたナイフで切り裂き、そのまま溢れた血を陣の真ん中へと塗りつけた。
──そして呪文を唱える。
その瞬間、目を覆いたくなるような閃光が召喚陣の中心から広がっていき、同時に獣の鳴き声が遺跡内に響き渡った。
あまりの眩しさに目を瞑ったリーゼが、次にゆっくりと瞼を開くと──そこには彼の肌と同じ色をした小さな猿に似た魔獣と、その傍でひっくり返っているサリームがいた。
(……良かった、成功したんだ)
「お前! 陣を無駄にしやがって! 許さねぇぞ!」
「リーゼさんを助けて!」
魔猿はサリームの声に走り出すと、すぐに男の足元まで跳んできて男の足に絡みついた。男が振り払おうと足を蹴り上げるが、それをものともせずに軽々と体を登り、顔まで来ると頬を力のかぎり引っ張った。
「痛てぇ! おい! やめろ!」
「大丈夫か!」
男の焦ったような声に、光の蔓に絡まったままのもう一人の男が形勢が変わった雰囲気に動じて声を上げた。
男が小猿を両手で捕まえようとして、その拍子にリーゼは地面へと落とされて「……う!」と小さく呻いた。
「リーゼさん!」と駆けつけようとしたサリームに、ようやく魔猿を顔から引き剥がし、そのまま投げ捨てた男は「待て!」と大声を上げた。
「その猿をどうにかしろ! お前も近づくな! さもなくばこの女を殺す!」
「……な!」
男はふたたび動けずに地面に倒れていたリーゼの腕を持ち上げ、首元に黒く燻んだナイフを当ててそう言った。
サリームは慌ててふたたび飛び付こうとしていた魔猿を捕まえると、従うように後ろへと下がった。
「妻を殺されたくなければ言うことを聞け!」
「分かったから、その人に手を出さないでくれ!」
黒く燻んだナイフを近づけられ、リーゼはそこから沸き立つ瘴気に胸が苦しくなり、肩で呼吸をした。
リーゼは意識が落ちそうな寸前で、せめてサリームだけでも逃そうと回らない頭で策を探していた時──
「おい、新人!遅いじゃねぇか!」と、まだ光の蔓に絡まれたまま身動きが出来ずにいたもう一人の男が声を上げた。
(…………あの男は)
片目だけ開けて、リーゼがぼやける視界で周りの様子を確認すると、入り口から一人の黒装束の男がこちらへと歩いてくる姿が見えた。
その男は体躯の良さからして、先ほど砂漠でリーゼと一戦交え、リーゼに口付けてきた男で、リーゼは視界に入れたくなくて目を瞑った。
「おい! 俺を解放してくれ!」
「おい新人! こっちは良いから先にあいつを解放してやれ! てか女連れて来れてねぇじゃねぇか!」
近づいてくる黒装束の男に、リーゼを捕まえている男は「まぁ、代わりが自分から来たから別にいいけどよ」と、リーゼの腕を乱暴に引っ張って笑った。
その瞬間──近くまで来た黒装束の男は、リーゼを捕まえている男を渾身の力で殴りつけた。
「おい新人! なに……」
黒装束の男の暴挙に奥の方から喚き立てたもう一人の男にも何か飛ばしたのか、怒鳴り声が途中で止む。
男に腕を離され、地面へと再び倒れ込んだリーゼへと近づいてきた黒装束の男は、力が出せずに横たわったままでいたリーゼを優しく抱き上げると、祭壇の方へと歩き出した。
「リーゼさんを離せ!」
近くからサリームの声がして、続いて魔猿が飛びかかるために地面を蹴るような音がしたが、それもすぐに止んだ。
リーゼは震える手を伸ばし、黒装束の男の胸元へと触れて「サリームは……いじめないで、カイン」とお願いした。
男──カインは「ちょっと気を失ってもらっただけだ」と腕の力を強めてぎゅっとリーゼを抱え直す。
広い遺跡の中、砂漠の町イスワンの始祖、セメンティスが見守る祭壇の上へと下ろされたリーゼは、カインによって顔を覆っていた白いベールを脱がされた。
白くさらさらとした透き通った髪と、整った綺麗な顔立ちが露わになる。
カインはリーゼの白い頬をひと撫ですると、どこからか瓶を取り出してリーゼの口元へと近づけてきた。
「リーゼ、飲め」
「あなたに、助けられたくない」
「こんな時まで強情張るな、それにこれはお前が作ったもんだから助けたうちに入らない」
「それ眠くなる、寝たらあなたから、逃げられない」
口元へと瓶を押し付けてくるカインに、それでもリーゼは震える唇を引き結んだ。
カインは顔に巻かれた黒い布を外すと、瓶の中身を一気に煽った。それからリーゼの後頭部を支え、顎に手をあてその小さな口を開かせて、そのままリーゼに深く口付けた。
(……血の味がする)
こくん、と喉を鳴らしてリーゼは彼から送られる全ての液体を飲み干した。カインはそれを確認すると唇を離して、顔を上げる。
「……少し寝てろ」
薄れゆく意識の中で、男を見ると唇に傷が出来ていることに気づいた。それはリーゼが付けたもので、さっき感じた血の味の原因だった。
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