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一章

十話 『醜悪な冒険者と黄金の姫の救済』

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 背中を打って、肺が萎み窒息状態に陥った。
 胸から臍までのラインがパックリと開き、外に出てはいなけい臓物が、傷口から露出している。
 致命傷……

 せめてもと、クロだけは逃がそうと声を懸けるが……

「クロ……?」
「……」
 
 気絶していた。
 クロは動けない。コータも動けない。
 そんな中、不死王が、指先に魔方陣を展開し起動した。

《死黒閃(デス・バースト)》

 小さいが、当たれば確実に、命を刈り取る死の黒閃。

「まだ……それは撃てるのか……」

 今のコータには、避ける事も出来ない。

「クソ……」

 起動。
 黒閃が、コータに直撃するコースで、撃ち出された。

 クロもコータも動けない。
 持ってきたアイテムも、仕掛けた罠も、神剣という切り札すら全て使った。
 今度こそ、本当に……万策尽きた。

「ふっ……ま、最後は、悪くなかった」

 黒閃が、目前まで迫り、コータが諦めた時……

 ダンッ!

 黒閃とコータの間に、リゲルが降臨した。

「なっ……!」
「ふんっ。無様」

 リゲルは、リゲルの登場に、驚くコータを一瞥して、嘲笑。
 それから、片手長剣を構え……

 飛来する黒閃を、一刀両断。
 斬り捨てた……

 弱っているとはいえ、不死王の魔術攻撃。
 コータでも、躱す事は出来ても、切り捨てるなんて目茶苦茶な事は出来ない。
 だが、リゲルは意図も容易くそれを成した。

「そうか……それが三本目の神剣……《ラグナロク》」

 かつて、世界に居たという、終末の神龍、ラグナロクを封印したと、言われる神剣。

「だが……なんで来た?」

 神剣ラグナロクは、神の剣ではなく、神を封印した剣。
 グラムや、アスカロンと違い、神光を放つ事が出来ない。
 神光を放てないと言うことは、不死王を浄化する事が出来ない。

 だからこそ、コータは、リゲルが、ラグナロクも持っていることを予測していたが、持ってこようとはしなかった。
 
 それは、リゲルもわかっているはず。
 ……倒せないのに、何故、死にに来た? コータは、そう聞いていた。
 その問いに、答えたのは……

「馬鹿ぁ……っ。そんなの、アナタを助けてくださいと、アナタのもとに私を連れていってくださいと……私が頼んだからに決まってるいじゃないですかー!」
「っ!」

 リゲルに背負われた、ロニエスだった。

「お前……まで……なんで……?」

 コータが救おうとしたお姫様が、そこにいた。
 コータが守りたかったお姫様が、そこにいた。

「そんなのっ!――」

 ロニエスは、リゲルの背中から落ちるように、コータの胸に飛び降りて……

「――まだ、ちゃんとっ! アナタに、私の名前を呼んで貰ってないからに、決まっているじゃないですかぁッ!」
「そんな事で……」
「アナタにとってとは『そんな事』でも、私にとっては大事なことなんです!」
「……そうか」
「ハイっ。そうなんです」

 ロニエスは、微笑みながら、コータの身体にしがみつき、

「だから、もう……置いていかないで……くださいね?」

 ロニエスが今日、服用している筈の万能薬をコータに振り掛けた。
 つまり、ロニエスは、まだ、薬を飲んでいないという事……

「……アナタが私の命を救ったじゃありませんか。……勝手に死ぬなんて、無責任ですよっ」
「……」

 万能薬は、コータの傷を癒し、一命は取り留めたが、それでも、コータが動ける状態には程遠かった。
 そしてそれは、薬を飲んでいないロニエスも同じ……

「姫様……どういたしますか?」

 リゲルがそれを前提に、ロニエスに確認し、ロニエスはそのままコータに、

「どうしたら良いですか?」

 と、答えを委ねた。
 それが阿保らしいと、コータは薄く笑ってから、ロニエスの肩を抱き寄せて頭を撫でた。

「助かった」
「あっ……ふぁっ。気持ちいですぅ~」

 それだけで、何故か天に登っている表情のロニエスを、横に置き、今度は、気絶しているクロを膝にのせて、ロニエスと同じように撫でながら……

「リゲル。ロニエスとクロを連れて逃げられるか?」
「当然だ……が」
「が?」

 リゲルはチラリとロニエスを見ると、ロニエスはコクリと頷いて、

「私はアナタを置いて、絶対に逃げませんので」
「と、言うことだ」
「チッ……」
「舌打ちっ! メッです」
「うるせー」

 ならば、俺とクロとロニエス。三人を連れて逃げられるか?
 と、聞こうとした口を、無理やり閉じる。

 そんなこと、聞かなくても出来ないと分かる上に、それを言うのはコータのプライドが許さない。

「さて……」

 だとしたらどうするか……コータがそう頭を悩ませた時。
 不死王が新たな動きを見せた。

 地面に巨大な魔方陣。

「なんだ!?」
「《死霊召喚(デス・コーリング)》。不死王の奴、この期に及んで、仲間を呼ぶ気だ」

 今、アンデットの大量召喚などされたらどうなるか、想像する必要もない。
 だが、打ち消し用のマジッククリスタルはもうなかった。

 起動!

 魔術方陣が扉となってアンデットモンスターが現れる。

「さて、スケルトンか、ボーンナイトか……どっちでも同じか」

 スケルトン千体だろうと、ボーンナイト十体だろうと、今のコータ達にとっては同じく絶望しか出てこない。
 そう思っていたコータは、

 ドスンっ

「なっ……んだ? アレは……」

 召喚された、アンデットモンスターの姿に、更に濃い絶望を植え付けられた。

「ここに来て、向こうも切り札か。三年前は……使えなかったのか?」

 体格が、山ほど有る、鎧武者ドクロ。
 装備している武器が、骨剣ではなく、魔刀ヤマギリ……

「クソ……先ずはアレをどうにかしないとな……」
 
 言いながら、コータは、どうにか出来る訳がないと思っていた。
 思っていたのだが、

「アレをどうにか出来れば、不死王はどうにかなるのだな?」
「あ?」
「ならば、アレは私が露払いをしよう」

 リゲルは、そういって、神剣ラグナロクを掲げた。

「《神の龍よ・我が肉体に宿り・敵を滅ぼし給え》!! 心霊変幻! 《ラグナロク》」

 ラグナロクは、物理にも魔術にも、特化していない。
 そのため、神剣の中では、グラムとアスカロンより、一歩劣ると思われている。
 実際、コータはそう思っていたし、コータが使うのならそうであった。

 だが、神剣の正当継承者。リゲル・ウォークレアが、使うとなると、ラグナロクは真の力を発揮する。
 神気を弾くコータでは絶対に使えない力。

 神剣ラグナロクに封印された神龍の力をその身に宿し、一時的だが、存在を神龍に同化させる力であった。
 そして、本当に、リゲルは、とぐろを巻く巨大な神龍に姿を変えたのだ。

「グオオオオオオオオオオオオオオオオオーーっ!」

 もちろん、変わったのは姿だけではなく、その力も神龍のものになっている。
 だから、大きく息を吐くだけで、

《神龍の息吹(ゴッド・ブレス)》

 最強の神聖属性のブレスを吐き出した。
 それは、一瞬で、鎧武者ドクロを浄化。消滅させる。
 ここで、コータは再び、勝機を見た。

「リゲル! そのまま、不死王も浄化しろ!」
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオ――」

 リゲルは答えるまでもなく、《神龍の息吹》で不死王を浄化する。

「■■■■■■■■■■■■■■ーーッッ!」

 だが、不死王の魔力は、全損した時から少し回復してしまった。
 白灰化して崩れた半身も、元に戻って、ラグナロクの浄化を耐え凌いだ。

(チッ……無理か。全損させた瞬間に、神気を叩き込まなきゃイケなかった)

 更に、コータを絶望にたたき付けるのは、一度壊した無敵の衣《デス・ローブ》が、もうすぐ復活すると言うこと。
 そうなればもう、弱っているなんて関係なくなる。

(リゲルの神気も減ってきた……今度こそ終わりなのか?)

 先程から、絶望を見せられすぎて、コータの頭には、諦めばかりが浮かんで来る。
 そんな時、コータの服をロニエスが引いた。

「大丈夫です。アナタなら絶対に不死王を倒せますよ」
「……っ!」

 言われて、コータは思い出した。
 そういえば、ロニエスは最初に不死王の復活を聞いたときから、そんなことを言っていたと……

「なんで、そんな事が分かるんだ?」
「だってアナタは一度、《妖精(ハイエルフ)の姫》を守る騎士さまとして、不死王を倒しているじゃないですかー」
「……っ!」
「だとするのなら、《黄金の姫》を守る騎士さま……私の騎士さまとしても、倒せるに決まっているじゃないですかー!」
「呆れたな……お前は、何時から俺の正体に気付いていたんだよ」
「内緒です。今のアナタは、私の騎士さまなんですから」

 そうだったなと、コータはロニエスの頭を撫でた。
 そして、ロニエスのおかげで、一つ思い出した。

「そういえば、まだ、一つだけ、浄化する方法はあったな」
「本当ですかー! ふふふっ♪ なら、早く倒しちゃってくださいよー♪」
「……他人事だな」
「いえいえ。アナタは他人ではありませんよ……あっ。違いますからね?」
「……」

 コータは、こんな時に色気づく、ロニエスの肩に手を置いて、不死王を浄化する唯一の方法を教える事にした。

「……そういえば、言ったよな? 不死王を最後に倒したのは聖女だって」
「……ハイ。それが何か?」
「そして、その補佐をしたのは、《ハイエルフの王女》エルフィオネだ」
「え? じゃ、アナタは?」
「そう、良く考えたら、三年前、不死王を倒したのは、エルフィオネの騎士じゃない。エルフィオネと聖女マリアの二人だ」

 三年前の不死王戦。
 勇者がしたのは、無敵属性のローブを壊すところまで、そこから先は、

「二人の《世界三大美女》が倒したんだ」

 コータは、リゲルのブレスに抗い続けている、不死王を指差した。

「さて、そろそろ出番だぜ? 《世界三大美女》が一人。『黄金の姫』ロニエス・ヒーラレルラ」
「え? ……私、ですかー!?」
「他に誰がいる。頼むぞ? 黄金の姫の騎士を、勝ち馬に乗せてくれ」
「ええええええええぇぇぇ~っ。いきなり過ぎますよぉ~」

 無理です。と、縋り付くロニエスに、コータは一言。

「やれ」
「で、でもぅっ。どうすればぁ……?」

 遠回しだが、やり方を聞いて来るという事は、やるという事。
 この状況で、やろうとする、その鋼の様な心に、コータは、他の『三大美女』と同じモノを見た。

「不死王を《悩殺》しろ」
「え? でも――」

 アンデットには、魅了は効かない。
 ロニエスにそういったのは、コータ。そしてそれは、本当のこと。
 だが、ロニエスの魅了だけは違う。

「お前は神を馬鹿にしていたがな……聖女が、『慈愛の神』の恩恵を受けているように、妖精(ハイエルフ)は、『魔の神』の恩恵を……天女(ロニエス)は、『美の神』の恩恵を受けているんだ」
「私が神様の恩恵を」

《世界三大美女》とは、神聖の力を身に宿す、三人の女性の事。
 神の御子だからこそ、その容姿は、他人より優れて生まれ落ちる。
 
「そうだ。だから、お前の持つ《美神》の神気で、不死王を浄化するんだ!」
「っ!」

 それが、コータが思い出し、見つけた最後の希望。

(つまり、不死王を倒せないとしたら、それは、私が、この人の前のお姫様に劣っているって事ですか!? そうですか! そんなの! 認めませんよっ!)
 
「……わかりました。やってみます」

 ロニエスは、すぐに覚悟を決めて、王宮を出てから三ヶ月。
 コータに教えてもらい、コントロール出来るようになった《魅了》を発動する。

 立ち込める甘い蜜のフェルモンが、コータの理性を消し飛ばしかけるほど、強く発動した。
 しかし、不死王に変化はない。

「ど、どうして……」
「いや、それで良い」

 言って、コータは立ち上がり、ロニエスをお姫様抱っこ。
 そのままゆっくりと、不死王の元に歩み寄った……その時、リゲルの神龍化が終わる。

「不死王に触れ」
「ハイ」
「■■■■ッ!」
「き、効いています?」

 効いている。
 ロニエスに触られた不死王が、浄化の光に包まれる。

 今の不死王は、リゲルのお陰で、再び魔力を使いきって、浄化に抗うだけで、精一杯。
 コータとロニエスを振り払う事すら出来ない。

 つまり、そこまで追い詰めているということ。 
 後少し……

 コータは、ロニエスに耳打ちし、浄化の詞を反趨させる。

《かしこみかしこみ願い奉ります。この憐れなる人のなれ果てに、かしこみかしこみ、救いの温情を、救いの聖光を!》

 不死王を包む光が強くなる。
 浄化魔術《サンクチュアリ》
 アンデットを浄化させるための魔術だ。

「■■■■■ーーッッ!」

 光が、不死王の身体を灰に変え、ボロボロと崩れていく……
 だが、これではまだ、足りない。
 完全に浄化しきらなければ、不死王は何度でも蘇る。
 ……後、もう一歩!
 
「俺の理性を飛ばしても良い。全力でやれ!」
「全力……全力……全力? ……そんなの分かるわけ……っあ!」

 ロニエスが全力で魅了を使う方法。それを、ロニエスは、思いついた。

「わかりました」

 呟き、ロニエスは、コータの仮面を取り外した。
 
「おい」
「まってください。心の準備を」
「オイ!」

 コータにせかされて、ロニエスは大きく深呼吸。
 仮面を胸でぎゅっと抱きしめて、コータに……

「私はアナタが好きです。とても、とても、好きなんです。これからもずっと一緒にいてください!」

 そういった……コータへの恋心。
 それが、ロニエスの力の本質。だからこその告白……でも、

「そうか……」

 コータの返事はそれだけだった。

(そうか? そうかって! そうかってぇ! なんですかぁああああああああああああああああーーっ!)

 ロニエスの恋の感情が、爆発。
 その瞬間。サンクチュアリの光が、眩しいほど強く輝きをはなった。

「■■■■■■……●●……っ……」

 光が消えた後はもう、不死王の身体と魂が完全に浄化され、白灰が残るだけ。
 コータとロニエスが、不死王を倒したのである。
 ……勝利。


《エピローグ》

 不死王を討伐してから三日後。
 コータは、ロニエスを連れて大聖堂に来ていた。

「なんで、不死王を倒した功績を、リゲルさんの手柄にしちゃったんですかー。もーっ!」

 この前、会ったときより脂がでっぷりとのっている枢機卿が、一千万ミスルを確認している間、ロニエスは、暇なのかコータに突っ掛かっている。
 コータは、身を乗り出して来るロニエスを退けながら、

「もう、英雄は勘弁してくれ」
「あ……ハイ。そうでしたね」

 ロニエスは、コータが過去、勇者に祭り上げられ、どうなったかを思い出し、渋い顔を作った。
 コータは、そんなロニエスの頭をわしゃわしゃ撫でて、

「悪評の高い俺より、ウォークレアの名を持つ、リゲルの方が角が立たない。それだけだ」
「……ハイ」

 コータとロニエスしかいない聖堂は、音が良く響く。
 ロニエスの沈痛の声が響き、二人の間に沈黙が流れた。

「一千万ミスル。確かに……只今、聖女様を呼んでまいります。くれぐれも……粗相の無いようにお願いしますよ」

 その重たい沈黙を破ったのは、ミスルを数え終えた枢機卿。

「ああ……粗相、ね」

 枢機卿の言う、粗相という言葉には、深い意味があった。
 それを、コータは理解したうえで、

「分かってる。速く聖女を呼んでくれ」

 そういった。

「では、少々お待ちを」

 枢機卿が、聖堂の奥へと消えていく。
 その、カラカラとした足音が消えたところで、コータの袖をロニエスが、遠慮ガチに引く。

「聖女さまって……そんなにも敬わないといけない存在ですか?」
「不満か?」
「ハイ……だって」

 ロニエスの言いたい事は、コータも分かる。
 聖女の奇跡を求めて来た、人間に法外な献上金を納金させる。
 出来ない者が、外で、慈悲を求めているにも関わらず、何もしない。餓えて死するものまでいるというのにだ。

 それでは、ロニエスが、不満に思うのも無理は無い。

「私……聖女さまに、救われたくありませんっ。て、言ったらどうしますか?」
「俺の努力を返せと言いたいな……」

 不死王との戦いは、コータの人生でも、一ニを争うほど、危ない戦いだった。
 何度、死ぬと思ったかわからない。
 今のロニエスの台詞は、コータのその奮闘を無下にするもの……

「ううぅ……だから来てるじゃないですか」
「だが。聖女に会って、見て話して、本当にお前がそう思うなら、それでも良いさ」
「え? 本当ですか?」
「ああ。人には救って貰う人を、方法を、選ぶ権利ぐらいあるからな」
「ふふっ……私、やっぱりアナタのことが――」

 ロニエスが、顔を赤くして、コータに寄り掛かり、続きを言おとする前に、

「ま、傲慢だがな」

 と、コータは釘を刺すのだった。

「うぅ……でもぉ」

 それでも、まだ、うなだれるロニエスに、

「とにかく、何度も言ってるだろ? 選ぶのはお前だ。だから、お前は、俺への配慮なんかしなくて良い。誰の思惑にも従わなくていい。聖女に不満があるなら、直接聖女に言ってやれ」
「……それでも、嫌だと思った時は?」
「それが、誠意と真心を持って選択したものなら、そこから先は『お姫様を守る騎士』の仕事だ」
「……ハイ。わかりました。ちゃんと、見極めます」
「それで良い」

 それから、暫し静寂。
 ロニエスの小さい吐息だけが、コータの耳に響いていた。
 そして、遂に聖女が姿を現す。

 枢機卿が開けた大扉から、聖女は聖堂に立ち入ると、そのまま壇上に登った。
 コータとロニエスより、数段高い場所。

「す、凄いです。何か……空気が綺麗になりました」

 聖女が聖堂に現れた、それだけで、聖堂全体の空気が浄化され、静謐さがたち込める。
 聖堂がいる壇上は、もはや数秒前とは別空間のように、見える程だ。

「我が主、ソフィア様の慈悲を頼りに、お越しになられた旅の方ですね。もう、安心してくださいませ。ソフィア様に代わり、私(わたくし)が、救いを授けましょう……」
「っ」

 つらつらと語る聖女の声に、ロニエスは言葉を失った。

(とても……綺麗な声。心と身体が洗われるようです)

 聖女は、そんなロニエスとコータを見とめて、首を傾げる。

「仮面と……ベールです……か? ふふふ、貴方方は、顔を隠して、御神の慈悲を受けるお積りなのですか?」
「……っ。これは……」

 聖女の問い掛けに、固まるロニエスの肩を、コータが叩いて、代わりに答える。

「ベールはそっちも同じだろ? それとも、身分を隠す俺達みたいな冒険者には、御神の慈悲とやらは受けられないのか?」
「これは……」

 奇しくも、聖女(マリア)と天女(ロニエス)が同じ反応を見せる。
 当然だ。どちらも同じ、顔を晒すことの出来ない理由がある。

 天女を見ると、人間誰しも持っている色欲が全て消し飛ぶように、
 聖女を見ると、人間誰しも持っている欲望が全て消し飛んでしまう。
 聖女のそれが良いことかどうかは、人によるが、欲望が全て消してしまう事は、人一人の人格を変えてしまう事。

 少なくとも、聖女マリアは、それを望んでいない。

「……そうですね。やはり、失礼ですよね? 少しなら、抑えられるはずです」

 マリアが一人で、納得し、ベールを脱いだ。
 あらわになるその顔は、眩しいほど神々しい。
 その美しさは、

「とても……綺麗です……」

 基準がオーク顔のコータなロニエスに、そう言わせる程のものだった。
 コータは呆けているロニエスの頭をわしゃわしゃ撫でながら、

「どうだ? これが、本物だ。お前の媚びへつらった美とは違うだろう?」
「私が偽物でみたいに言わないでくださいよぉ……でも、言いたいことは伝わるから悔しいですっ」

 コータがからかって、ロニエスが凹む。
 もう、何時ものことになってしまったそんな様子を、見ていたマリアは、

「安心してください。貴方様達が何処のどなたであろうと、望むなら、神の慈悲は等しく平等に降り注ぎます」

 神の慈悲は等しく平等に降り注ぎます。その言葉がロニエスに聖女への不信感を呼び覚ませる。

「それは、本心ですか?」
「ええ。聖女に嘘は付けませんので……」

 慈愛の神の御子に嘘は付けない。
 マリアは、本心しか言葉に出来ない制約を持っている。
 それが、嘘でないことは、嘘を見抜けるロニエスには、分かった。
 だからこそ、募る不信感。

「でしたら何故! お金を持っている人しか貴女に会えないんですか? 外の惨状を放置しているんですか! あんなにも、アナタの奇跡を求めているのにぃ!」
「……? 何のことですか?」

 ロニエスの激昂に、マリアはきょとんと首を捻った。

「「……ぇ?」」

 ロニエスには分かる。マリアの反応は本心。
 ロニエスとマリアが、同時に困惑した時、

「こ、困りますな。聖女様にそんな戯言(ざれごと)を吹き込まれては……困りますな。戯言は……ですよね?」

 慌てた枢機卿が、マリアとロニエスの間に割って入り、コータに目配せした。
 粗相するなとは、聖女に余計な事を喋るなという意味だった。
 コータは、それを知っていて、

「ふん。さて、どうだったかな?」
「貴様ぁあああっ! 全員生きて出られるとおもうなよぉおお!」

 枢機卿が、狂ったように怒り、手を鳴らすと顔を隠した、勢強な暗殺部隊が現れる。
 それを見て、コータは壇上にあがり、枢機卿から聖女を奪い庇う。

「聖女様。コイツを連れて、外を見てきてくれないか?」
「残念ですが……その、必要がありますね。貴方様はどうなさりますか?」

 コータは、答える前にマリアを持ち上げて、暗殺部隊を牽制。
 壇上から飛び降り、ロニエスも持ち上げて、さらに飛び下がった。
 着地した場所は、聖堂の外へと続く扉の前。

「俺は、粗野な冒険者にしか出来ないことをする。聖女様は、聖女様にしか出来ないことをする。平等なんて言ってないで、選べよ? 君が救いたい人々を」

 聖女とて、まだ十六歳の少女。コータが守るべき子供の一人。
 だから、何時もロニエスやクロにやっている時の癖で、聖女の頭をわしゃわしゃと撫でていた。

「……ぇ?」

 かつて、聖女に同じように頭を撫でながら、同じようなことを言っていた男がいた。

「勇者……様?」
「ちっ……。人違いだ」
「っ……! 生きて……っ」

 聖女から一粒の涙が流れ落ちる。
 コータは、その涙をすくって、小瓶に入れ聖女に渡す。

「ここで泣くことが、君の選択か? その涙の使い道か?」
「……いいえ。私は、無垢なる人々の災厄を払います」
「そうか……」
「ふふ、変わりませんね」

 聖女はそういうと、コータの背中をふわりと抱いて、

「勇者様に、御神の御加護があらんことを」

 言って、ロニエスに肩を貸しながら外へと出て行った。
 そして、外に溢れ返っていた全ての救済を求める人間に、癒しの奇跡を起こし、その命を救う。
 御礼にせめてもと、少ない対価を払おうとする者にも、優しく微笑んで、

「我が御神は、望む者に、等しく救済を与えます。もう、そんなもの必要ありませんよ?」

 そうして、聖女は、休まず救済を続け、本当に望むもの全てを救ってしまった。

 救済を終えた聖女が、聖堂に戻ると、
 聖堂には、激しい戦いの痕跡が残っていたが、既に闘いは終わった後。
 コータも聖堂の椅子で寛いでいた。

 その足元には、縄にかけられた暗殺部隊と、身ぐるみを剥がれた枢機卿。

「おおっ。聖女様っっ! どうか御慈悲を……」

 と、脂肪を揺らしながら聖女の足元に、縋る枢機卿に、聖女マリアは、恐ろしく冷たい瞳で見下ろした。

「貴方に必要なのは聖女の救済ではなく、罪を償う贖罪と、悔い改める心です。ですよね? 勇者様」
「さてな」
「ふふ」

 聖女は微笑んで、コータの膝の上に乗り、その胸で寛ぐ。
 
「おい……」
「エルフィオネ様との婚約は破棄されたのですよね?」
「勇者はな」
「では――」

 聖女が、コータに身を乗り出して、何かを言おうとしたその時。

「それはダメェエエエエーーっ」

 ハッと嫌な予感に襲われた、ロニエスがコータの仮面を外す。

「よく見てください。この人は、勇者さまじゃないですよぉ! 醜い冒険者コータさまです」
「おい」

 そして、聖女を押し退けるように、コータの膝に潜り込んだ。
 そのせいで、聖女がドテンと床に落ち、頭をぶつけたが、ロニエスに悪い気は一ミスルも浮かばなかった。

 そんな二人は、暫く、年相応の少女の様に揉めていた二人が何故か意気投合。ガッチリと握手を交わして女の友情。
 そうして、落ち着いた所で、ロニエスが弱々しくコータの袖を引く、

「これが聖女様なんですね?」
「ああ……あれが、聖女だ。で、お前の選択は?」
「この方になら救って貰いたいです」
「……そうか」

 コータはそれだけで、何も言わない。
 それで良いとも悪いとも何も言わない。

「本当にずるい人です」

 もし、聖女にロニエスを癒すこと出来たなら、ロニエスとコータの冒険が終わる。
 それなのに、コータは何一つ言わない。

(アナタも選んでくださいよ。私を……何か、言ってくださいよっ。アナタは私の騎士さまじゃないですか! 私を救うのはアナタだって言ったじゃないですか! ……ひどい人です)

 そんなロニエスの心の叫びもコータには届かない。
 届かないまま、

「では、見てみましょう。良いですね?」
「……ハイ。良いみたいです」

 チラリとコータを見るが、最後まで、コータは何も言ってはくれなかった。

「ではでは……なるほど。ハイ。わかりましたよ?」
「速いっ! 速いですよ!」

 聖女の診察もまた、感傷に浸る暇さえ与えてはくれなかった。
 そして、そんなときばっかり、コータは喋る。

「で、どうなんだ?」
「はい。とても珍しい事ですが、お子さんの身体には、強力な神様の加護が宿っています」

 そんなことは、当たり前。
 ロニエスは、《黄金の姫》、天女の名を持つ、神子なのだから……

「……で?」
「お子さんじゃないですよぉ~っ。恋人一歩手前です」
「ふふっ。そうでしたか。失礼致しました」

 ロニエスが必死になって言うと、聖女は素直に頭を下げる。
 コータは、安定の無視。

「で?」
「身体に宿る加護が強すぎて、悪い影響を与えています。これは我が主とは違う神様の加護ですね?」
「……」

 コータは、聖女の見つめる視線に、ロニエスの正体に気付かれた事を悟った。

「ま、もう、隠すこともないか。コイツは美神の御子。ロニエス・ヒーラレルラだ」
「でしょうね。……では、コレを」

 聖女がそう言ってロニエスの首にかけたのは、聖女マリアが、産まれたときから付けていた、十字架。

「え?」

 ロニエスは、十字架が首に架かった瞬間から、自分の身に変化が起きたことを悟った。
 そして、誰の手も借りることなく、コータの膝から降りると、歩き回り始めた。
 
「歩けますっ。歩けますっっ!」
「ふふふ」

 聖女はロニエスが居なくなったコータの膝にコータ向きで座って寛ぎながら、

「御神の加護で、美神の加護を相殺しています。それを付けていれば、特殊な力は使えなくなりますが日常生活には支障がなくなるはずです」
「ふふっ、みて、見てください。走ることも出来ますよーっ」

 ドテンっ。
 はしゃぎ過ぎたロニエスが足をもつれさせて、転んでしまう。
 歩けるようにはなっただけで、身体が歩くという行為になれていないのだ。

「ま、アレは慣れれば良いだけだな」
「そうですね。ですが勇者様。お忘れなきように、あくまで相殺しているだけです。十字架を外すのはもちろんの事。御神をおとしめる言動をとれば、元に戻ってしまいますので」
「じゃ、アイツを、ソフィア聖教に入信させれば良いか?」
「いいえ。そこまでしなくとも、御神はロニエス様を見捨てたりは致しません。強要した信仰心に意味はありませんので」

 コータは、聖女の説明をそこまで聞いて、

「さて、ならもう、俺は行く」
「「……っ!!」」

 聖女とロニエスが同時に凍りつく。
 聖女にとっては、三年ぶりのコータとの再開。胸に秘めた想いは、魔王との大戦中からどれ程膨らんでいるか……

 ロニエスにとっては、身体の救済はコータとの旅の終着点。
 ここを目指して進んできたが、心の何処かでは、旅が終着をしないことを望んでいた。

「勇者様っ! わたくし……」

 先に、言葉を発したのは聖女。
 そんな聖女に、コータは、

(勇者様……か。俺も、そろそろ過去に向き合うときか……でも)

 それはきっと、ロニエスとの旅がなければ、一生思うことのなかった決意。

「もう少し聖都にいるつもりだ。いずれ……話す」
「……はい。何時までも、お待ちしております」

 コータは、聖女を下ろして立ち上がり、聖堂の外へ向かって行く。一人で……
 そんなコータに、ロニエスは涙が出ても声は出ない。
 
(コータ……さま。どうして、何も言ってはくれないのですかぁ? 酷いですよぉ……)

 ぽろぽろ涙をこぼし、頭を下げるロニエス。
 しばらくして、コータの足音が消えてしまった。

「はぁうっ! 酷いぃ。酷いです。うう、ううっわあああんっ」

 声を上げての号泣。その時、肩を触られた。誰に?
 顔を上げて見てみると……コータだった。

「ぁ……?」
「何してるんだ? 行くぞ。ロニエス」
「……ぇ? 行く? ロニエス? 何処に? なんでいま? ……っいじわる」

 コータは呂律の回っていないロニエスに、手を伸ばす。

「なんだよ。歩けないのか? それとも……ここに残るのか?」
「……?」

 ロニエスにはコータが何を言いたいのかわからない。
 ここで終わりと、コータはずっと言っていたから……

「選ぶのはお前だ……が、俺も、選んだぞ? 俺のお姫様はお前だと」
「お姫様?」
「身体の救済は終わった。ここからは、心の救済だな」
「……っ!」

 それは一生を掛けてするものだとコータは言っていた。
 つまり、

「俺じゃ……ダメか?」
「っっ!!」

 選べ。ロニエス。
 コータはそういっている。
 一生を掛けて、付き添い、傷を癒す相手に、コータでは不足かと、そう聞いていている。

「俺は、お前が望むなら、お前の心も救う騎士になりたい」

 そうすることが、コータの救いにもなる。
 そして、その救いは……

「ハイっ!! 救ってください。……救ってください~」
「ああ。任せろ」
「……馬鹿ぁ~っ。ふふ……アナタは……コータさまはやっぱり、私の運命の救世主じゃないですかー」
「……さてな」

 ロニエスの心の救いでもあった。
 コータの手をとって、胸に飛びつき、抱き上げられる。

 コレが、醜悪な騎士と黄金の姫の本当の門出であった

《一章完》
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