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七章 冒険編

百六十六 気になるよね

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 「さてと。気を取り直して話を進めようか。ね。ロニエ」
 「ええ。そうですね.......。デリカさんとヒカル様が仲よくなったので良しとしましょうか」

 ちょっと色々あってロニエが拗ねたりしたけれど、そこはロニエだ。引きずらずにすぐに前を向いてくれる。
 俺の可愛い相棒にして最高の嫁だ。

 「さて、では、本題に入りたいと思います。ヒカル様どうぞ」
 「ん? んん? 俺?」

 姿勢を正してロニエの話と言うのに耳を傾けていたら、いきなり話を振られてパニクる。
 知らない.......何この無茶振り.......でもロニエのキラッキラッしている目には俺に対する期待しかない。
 ここで素直に何の事? とかは言えない。男が廃る。

 「ささ、ヒカル様どうぞ」
 「.......」

 ーーーノロニエ!! 共有!
 ーーー旦那様.......無駄かと思いますよ。
 ーーー良いから! 早くロニエに気付かれる!
 ーーー仕方ないですね。どうぞ。

 ロニエと思考をリンクさせてロニエの考えを読み取る。
 これぞ裏技だ。

 ーーーヒカル様ならば! 言わなくてもロニエの考えを理解しているに決まっています! ヒカル様に出来ない筈など無いのですから! ああ! ああ! ヒカル様! もっとロニエを抱きしめてください。

 ・・・・・・・

 とりあえず。ロニエを抱きしめてあげる。

 さてと。どうするか。
 共有は無駄だった。ロニエの奴。何も考えて無いよ。
 分かる分けないよ~
 どうしよ.......

 適当に何か言っておくか。

 「イリア達の事だよね」
 「違います」
 「だよね。違うよね。知ってたよ。わざとだよ」

 違ったって! どしよう。分からないんだけれど。

 「フフフ。流石はヒカル様からかいがいがあります」
 「だよね。そうだよね、からかってたんだよね。よかった。ロニエに失望されるかと思って焦っちゃったよ」
 「ロニエがヒカル様を失望することはありませんよ。大好きですから」

 眩しい笑顔で恥ずかしい事を言ってくれるロニエに何かをしてあげたくなる。
 んー。

 「ロニエ。ミルク食べる?」
 「貰います!」
 「じゃああげる。びゅうぅっーて出してあげるから口を開いて」
 「あっ! ロニエがやります! ヒカル様は大きくしていてくれれば良いのです」

 俺が大きくギンギンになったミルク製造機を刺激して噴射しようとするとロニエが待ちきれないのか噴射機ごとペロリと食べてしまう。

 「って! なにしてるのよ! いい加減に本題に入りなさいよ! 待ちくたびれたわ」
 「待ちくたびれた? じゃあセレナにもあげるよ」
 「! 嬉しいわ。ダーリンのミルクたくさん頂くわ」
 「王様.......ヒムートにも.......分けて欲しいです」
 「光! ワタシも欲しくなっちゃったわぁ」

 意外と大人気なので一人一ミルクだけとという条件でミルク製造機を稼動させた。
 皆、グビグビ飲んで幸せそうな表情していたのでいい気分だ。

 俺も。

 「ロニエ。ロニエ。愛液飲ませて、ついでにおしっこも」 
 「良いですよ。とろーりした出来立てをあげますね」
 「セレナも頂戴」
 「嫌よ!」
 「ヒムートは?」
 「嫌です!」
 「デリカは?」
 「あげちゃうわぁ」

 とまあ。結局乱交気味になるのはもう基本ルートなのでご愛嬌。

 そのあとも色々エッチ方面に話がそれで最後はロニエと何時も通り繋がりながら話すことになった。
 こうしていると、ロニエも俺も滅多な事ではエッチ方面に走ることも無くなる。

 「セレナの体調も戻って来たので三日後、北の端。『巫女の神殿』へと向かいます」

 そして。ロニエは本題をサラリと口にした。
 その瞬間。デリカ、イリア。ヒムートが表情を固くしたがロニエはそのまま続きを話した。

 「巫女の神殿は元々。ルミアさんの種族ツネキ族の聖地です。だいぶ昔に滅んだとされていて代々立ち入りは禁止されていますが。今のヒカル様に入れない場所などありません。なにせ世界の王ですから」
 「そうね。ダーリンを止められる人なんていないわね」

 五大国全てを制覇し、小国の姫達を側室として集めたのはそれが理由だったのかとロニエの計画の凄さを知る。

 俺がルミアの為に動くことを予想しすでに手を打っているとは流石過ぎる。

 「普通なら【勇者協会】や各国の政治的問題が邪魔で入れない所ですが。政治的問題は、ヒカル様の手腕のお陰でヒカル様の行動こそが政治そのものになっていますし、勇者協会には勇者であるアルランさんとノートンさんがこちらにはいます。まずまず手を出しては来ないでしょう」
 「ん? 勇者協会? 何それ」

 聞き慣れない不穏な単語を聞いて、聞き直してしまう。
 すると、ロニエが目を細めた。

 「気になりますか?」
 「うん。なる」
 「では。要注意しておきましょう.......」

 ロニエは表情動かさずなにかしらを考えてからニコッと笑った。可愛い。
 もう食べちゃいたい。

 「セレナ。面倒です。潰してきてください」
 「任せなさい。ダーリンに盾突こうと言うのなら後悔すらさせないわ」
 「一応、世界維持をしている機構ですが.......ロニエも同感です。何か起こる前に手は打っておきましょう」

 こうして、勇者協会は滅ぶ事になる。

 「って! 勇者協会滅ぼしちゃうの!?」
 「はい。ヒカル様が反応したのです。どうせ何か余計なことをしてヒカル様を困らせます。最初に潰しておくのが一番良いのです」
 「ふふん。別に私も鬼じゃないわ。記憶と存在の抹消だけで殺しはしないわよ」
 「いやいや、それほぼ死んでるよ。存在消されちゃってるよ! アルランのリセットと同じようなことしてるよ」
 
 俺が反応しただけで消されるとか理不尽にも程があるきがするが、

 「まあ、良いか。セレナが人殺しをする分けでも無いし、危なそうな橋を先に叩いて置いて損は無いからね。でも気をつけるんだよ」 
 「ふふん。大丈夫よ。ダーリンは私のお腹でも舐めてれば良いのよ」
 「うん。セレナのお腹ペロペロするよ」

  とまあ。こんな感じでアルランとノートンを使って反旗を翻そうとしていた勇者協会はその実態も知られないまま。文字通り闇に葬られる事になった。

 「そんなことより、ダーリン。遠征に行くのよね?」
 「ん? うん。まあそうだね。行くよ」

 そこでセレナの瞳が少し変わる。今までの気の抜けていた可愛いらしい瞳から、しっかりと意思の入った力強い瞳になる。

 「誰を誰を連れて行くのかしら?」
 「ん? ああ。そゆこと。もちろんセレナは連れていくよ。大丈夫だよ」
 「当然ね、来るなと言われても付いていくわ」
 「セレナを置いていく訳無いでしょ、エッチできなくなっちゃうよ」
 
 遠征。何時も、遠出をするときは人数を絞って来た。今回も例に漏れず搾るのだろうと思っているセレナの事を安心させてあげる。
 セレナは絶対連れていくと確約する。

 「ダーリンの事だから、どうせロニエも連れていくのよね?」
 「うん。それは当たり前だよ。ロニエと俺は一心同体俺がいるところにロニエがいて」
 「ロニエが居るところにヒカル様がいます。ロニエはヒカル様から離れません」
 「うん。それで良いよ。ロニエ。ロニエは何も気にせず俺の隣にいていいんだよ。というかむしろ居なきゃ駄目だよ」

 ロニエを置いていく選択しはセレナを置いていく選択し以上に無いものだ。セレナ。ロニエは鉄板。絶対俺の隣に居てもらう。

 「もちろん、ルミアさんも一緒に来てもらいます。ルミアさんが来なければ意味はありませんから」
 「そうだね。ルミアを人間に戻すために行くのに連れていかないなんて意味が無さ過ぎるからね」
 「ぐるる」

 こうして、巫女の神殿行きパーティーメンバーが着々と揃っていく。
 そんな中。

 「光! ワタシも行きたいわぁ」
 
 デリカがそう口を開いた。
 それに俺が答える前に。

 「天野様! 私も、私も天野様にお供させてください」

 メルディが続いた。
 
 メルディとデリカが視線をバチバチぶつけ始める。

 それを見て久しぶりに【ふと】思ってしまった。

 「ヒカル様!! 辞めーー」
 「ルミアとデリカ、メルディにセレナ。誰が一番強いの?」

 と.......。

 これが、この言葉が全ての始まりなった。
 そう。少女達のプライドに火をメラメラ燃やしてしまったのだった。

 ■■■■■■■■

 「ヒカル様.......遂に始まってしまいましたね」
 「うん.......」

 俺の膝の上で俺の胸に背中を押し付けて寛ぐロニエが、積年の想いを込めた様に眼下に広がる光景を見ながら囁いた。
 俺はそれに歯切れ悪く答える。

 「まさか、最強決定戦を始めるとは思わなかったよ」
 「そうですか? やるに決まってるではありませんか。皆さんヒカル様の一番になりたいのですから」

 そう。俺のあの言葉が切っ掛けで、誰が一番強いのか戦って決めることになった。
 妙にセレナがノリノリだった。そりゃあセレナが一番強いだろうし......

 『ダーリン! 優勝賞品はダーリンの膝の上を占領する権利! とダーリンと一緒に行くメンバーになれるでいいわね!』

 とまぁ。そんな感じで勝手に優勝賞品にされてそれを奪い合うために俺の嫁誰もが名乗りをあげた。 
 もちろん、ロニエやヒムートだ。

 何時も俺の近くにいる二人が参加する意味がよくわからないけどね。

 「フフフ。ロニエからこの場所を奪うと言うのですね。良いでしょう。返り討ちにしてあげますよ」

 と、何故かラスボス気味にロニエはそういい。ヒムートは。

 「王様! ヒムートも一緒に行きたいです! 置いて行かれたくないです! ロニエちゃん。ヒムートは勝ちます! 勝って王様の膝と王様と共に巫女の神殿へといくんです!」
 「フフフ。もはや! 言葉は不要! ロニエから奪いたいのなら実力で奪うってください!」

 と。何かロニエとヒムートがラスボスと勇者的な因縁のライバル的な感じでノリノリだった。
 いやいや、ロニエもヒムートも戦闘力ゼロだよね? とは言えないので突っ込まない。

 どうせ優勝するのセレナだし。セレナを膝の上に載せるのは何時ものこと。

 「フフフフ。フフフフ。ロニエ。その余裕どこまで持ちますかね。私はこの時をずっと待っていたのですよ!」

 そこで急にイリアが立ち上がり俺の肩に手を置いた。そして膝まつき。

 「アマノ様! 数々のご無礼お許しください!」
 「良いよ。別にそれよりイリアは俺に怒ってたんじゃないの? 嫌われてるのかと思ってたよ」
 「そんな筈! ありません!! この不肖イリア。この身この心は全てアマノ様へと捧げました。しかし!」

 しかし? え? まだつづくの?

 「その程度は到底アマノ様を囲う上位三王妃には想いも覚悟も届き得ないと理解し! 私は新たな境地にたどり着いたのです!」
 「その心は?」
 「足り無いのはアマノ様への絶対的な愛! 愛こそ全て! アマノ様! 私はこの戦いに必ずや勝利することを今ここに誓います!!」

 誓うんだ! ロニエとイリアの姉妹の誓いはそう簡単では無い重いものだ。

 「だからどうかアマノ様! 優勝した暁には! どうか私をアマノ様と運命を共にする事をお許しください」
 「ん? つまり?」
 「一日中。我が妹ロニエの様にアマノ様と共に居る権利。いつでもどこでもどんな場所にでも私を連れていくと誓いください!」
 「良いよ」
 「ありがたき!」

 とまあ。こんな感じだった。イリアはこの何か間違った方向に突き進む感じが可愛いよね。
 誓いも何もイリアを嫁にしたその時から俺はイリアを自由にのびのびと生きて貰うことを決めていた。イリアが俺ともに来たいというならどこへでも連れていく。

 そんなことも覚悟せずにイリアをもらってなんていやしない。
 
 イリア上位王妃とか言いながらロニエ達との差別を計ったけど実際俺はロニエ以外はそこまで差別していない。可愛いと思うセレナを抱き。可愛いと思うヒムートを側に置いていることが多いだけだ。
 
 まあ、ロニエは特別で何時でもどこでも俺の側にいてもらってるけど。それをイリアが望むなら俺はそれを叶えてあげたい。

 「フフフ。姉様がヒカル様と? 笑止!! その浅はかな考えを蹴散らしてあげます!」
 
 とまあ。ロニエはこんな感じでノリノリ過ぎる。
 めっちゃ楽しそうにしている。

 「セレナ。ワタシはあんたを越えちゃうわぁ! そして光をセレナのかわりに守るわぁ」
 「ふふん。ダーリンを守るのは私よ。やれるものならやってみなさい。絶望すら生温い力の差を見せてあげるわよ」

 一方。セレナにデリカは敵意をビンビン燃やしている。大穴はデリカだな。是非是非頑張ってセレナの伸びた鼻を叩いて貰いたい。

 「グルルルル! グルル」
 「はい! 私は私はただ天野様の近くに入れればそれで良いのです。おっきな狐さん。お互い頑張りましょう」
 「グルルルル」

 まあそんな感じで幕は開いた。

 天野王家公認! 何でもありの最強決定戦開幕である。
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