157 / 231
六章 大戦編
百五十四 ハーレムは修羅場ばかりだよね
しおりを挟む
デリカ、イリア、セレナと立て続けに犯した事で一応の収束をした俺は、セレナの機嫌回復のためにヒムートを怒らせヒムートの機嫌回復のために、ロニエをからかった。そしてロニエは自力で立ち直ってもらった。
「ロニエ、ありがとう」
「フフフ、ヒカル様。ロニエはヒカル様のロニエです。だからヒカル様はロニエに何をしても良いんですよ」
何度も聞いたロニエの台詞をロニエの肉体を抱くことによって俺の感謝を伝える。
やっぱりロニエが大好きだと思う瞬間だった。
「さてと。メルディ。君髪の毛何色が良い? 髪型は? ショート。ロング? セレナみたく長い三つ編み? それともロニエみたいに、ウェーブの効いた綺麗なプロンドの長髪? ヒムートみたいな美しい銀色のストレート? それともーー」
「ヒカル様......いくらメルディさんが珍しい黒髪で染めやすそうでもそれは酷いですよ。ありままを受け入れてあげましょう」
ロニエのせいで遇えて描写してこなかった、髪の色が明らかになってしまった。
初登場から実に百話以上も引っ張ってきた事なのにこうもあっさりとは。
「天野様?」
「メルディ。思い出したよ。君のこと、大きくなったね。俺とぶつかった時は腰くらいしか無かったのに。今ではヘソ位だよ」
「!」
そう俺は、思い出した。というかメルディを抱き上げたときに途中で思い出した。
かつて、セントラルの奴隷として城に幽閉されていた少女の一人だ。覚えている。
あの時、ロニエが記憶を失って俺が死のうとまで思っていたとき。何度も部屋に来てくれた少女だ。
俺の手を握ってくれた少女だ。
「ごめんね。わざわざ会いに来てくれたのに、気づけなくて。確か天野王国でロリコン......ヒーストランド王の所で生活してたんじゃ無かったけ? そこから来てくれたんでしょ?」
「え......あ......ぁ。天野様......」
「ん? どした?」
少女の瞳からぽたぽたと涙が溢れている。そこまで俺に会いたいと思ってくれて居たのかな?
それともあのロリコンに相当酷いことをされていたのかな?
メルディはおぼつかない足取りで一歩また一歩近づいてくる。それを微笑ましそうにロニエが見守り、セレナが手を伸ばす。そしてヒムートは。
「王様に抱き着くのはヒムートです!!」
と言って、セレナを蹴散らし飛びついてきた。
ロニエは間一髪ヒムートを交わしている。
いや......ヒムートそこは空気読もうよ。俺ちょっと覚悟してたのに。まあ良いけど。
「え? あ......! すみません、すみません。天野様。ヒムート様。わたし今天野様に会えて嬉しくて身体が勝手に」
メルディは頭が冷えたのか自分が何をしようとしたのかを思い出したのか顔を真っ赤にして頭をブンブン下げまくる。
それが小さいメルディが俺にぶつかった。時に酷似しているように見えて口元を綻ばせてしまう。
懐かしい記憶の一部だ。
「ヒムート。降りて」
「はい。王様」
ロニエが潰れそうなのでとりあえずヒムートに降りてもらう。ヒムートは俺に飛びつきたかっただけだから素直に降りてくれる。そんなヒムートの頭を撫でてあげると気持ち良さそうな顔をしてくれる。
「メルディ。一つ聞きたいから呼んだんだけど、良いかな?」
「わたしに答えられる事ならなんでも答えます」
聞きたいから呼んだだけとか俺も相当偉くなったもんだと、改めて思う。まあ実際偉いんだけど。
だって王だし。なんか覇王とか言われてるし。
メルディは俺の問いに答えるために肩を縮めている。何を言われるのか怖いかな?
「そんな固くならなくて良いよ。ただ単に、もう一度メルディが会いに来てくれた理由を聞きたかっただけなんだよ。教えてくれる?」
そう聞きたいのは理由。どうしてメルディが遠く離れた天野の国からセントラルまで俺に会いにきたのか、それを聞きたかった。なぜならそれを聞く前にメルディは気絶してしまったから、いや少し言っていたか。
「は、はい。わたしは......わたしは。天野様に会いに来ました」
「うん。あってどうしたかったの? なにかお願いでもあった? セレナに何でもないとかやらせるよ。ロリコンになにかされた? それとも」
「わたしは......天野様に会うことを目的としていました。ずっともう一度あうそれだけを夢見て......」
メルディはやっぱりそうなのだろう。ロニエが妻候補とか言うからもしやと思ったけど。
メルディは本当に俺に会いたいその思いだけで俺に会いに来てくれたんだ。
この魔物蔓延る危険な旅を越えて。
俺に会いたいそれだけのために.......
「メルディ。この後特に予定も目的も無いならさ、俺と.......俺達と一緒に暮らさない? ロニエじゃないけど、メルディが望むなら本当に妻になってくれたりしたら嬉しいし、そうじゃなくても.......いや」
これは俺の悪い癖だなと思う。決断を他者に委ねて何度後悔しただろうか?
数え切れないほどの後悔を経験してそれでも俺は踏み出す事をしないのか?
メルディは今ここにいる。俺に俺だけに会いに来てくれている。側室選考会でそんな人は居なかった。誰一人俺を求めてくれる人は居なかった。でもメルディは俺を求めて来てくれた。
そんなメルディに俺が言う言葉は。
「メルディ。俺メルディを好きなった。もう何処にもいかず一緒に暮らそう」
「!」
目を見開くメルディの前には二択しかない。そういうふうにした。だけどまだ二択だ。
ここから更に!
「はい! 天野様お願いします」
「って! 良いの? メルディ」
「これで天野様と毎日一緒居られます。わたし.......夢見ているようで.......天野様。私なんか良いのでしょうか?」
「うん。メルディで良いんだよ。俺はメルディに恋したから、メルディ俺はメルディを独り占めしたい。そう思ったから、ほらおいでメルディ。というか来て.......メルディ? 聞こえてる? おーい」
「はっ! すみません、すみません。天野様。すぐに!」
一瞬処理落ちしていたメルディが我に戻り、ベッドに上がって俺の腕に躊躇無く入り込んだ。
そんなメルディを俺は優しく抱きしめた。
「ヒカル様。ロニエ達に相談は無しですか?」
「え? メルディ駄目? こんないい子なのに。俺メルディを誰かに渡したく無いんだけど」
「いえ。メルディさんが素晴らしい方なのは分かっていますが、それでも形式は守ってください。ロニエと約束したことは破ったら駄目です」
「うん。分かった」
ロニエとの約束とは、ハーレムに加える前に妻達から許可を得ること。
ロニエは認めてるらしいから、セレナから行くか、はぁ.......セレナは怒るかもしれない。「勝手になにしてるのよ!」 とか言いそうだ。
「セレナ.......良いかな?」
「ダーリンが好きになったのなら構わないわよ。メルディよろしくお願いするわ。改めて名乗るわね。私は、天野セレナ、ダーリンの一番の女のよ。仲良くしてほしいわ」
「! セレナちゃん! 嘘は駄目です。メルディちゃん。今のはセレナちゃんの嘘です。ヒムートも名乗ります。天野ヒムート。王様の一番の女です」
「! ヒムート! 嘘は良くないわ! ダーリンの一番は私よ。そういっていたから間違いないわ。訂正しなさい」
「セレナちゃん! ヒムートは今さっき言われたばかりです。セレナちゃんこそ訂正です」
何故か、セレナとヒムートが一番談義で揉めはじめた。
今はその話はいい。メルディの方だ。折角の新ヒロインを差し置いて、俺のトリプルヒロインの二角が揉めているとか少し残念だ。
セレナとヒムート、そしてロニエは俺の中で特別だと言うのに。もっと心を広く持ってほしい。
「まあ、セレナがいいって言うなら基本的に後も大丈夫.......あ! デリカはヤバいかも。ってセレナ! ヒムート! いつまでやってるんだよ。 メルディが怯え照るだろう。立場的に上なんだからしっかりしてよ」
「立場なんてあってないようなものじゃない! 敬われた事なんて無いわよ! そんなものよりダーリンに抱かれる方が大事だわ」
「王様の一番と偽るセレナちゃんの図々しさがヒムートの立場を狂わしてます。ヒムートは第二王妃です」
「強調するんじゃ無いわよ! 本当は私が第二だったのにヒムートが割り混んだんじゃない!」
激しくなるヒムートとセレナの口論に俺は頭を抱える。メルディに見せたく無い光景だ。
とてつもなく醜い。セレナよ、ヒムートよ。頼むから節度を持ってよ。いきなりこんなの見たらメルディ引いちゃうよ。
「メルディ。幻滅しないで。セレナは基本優しいし、ヒムートも基本おしとやかなんだよ。二人を嫌わないであげて」
「.......すみません。すみません。私少し安心しました。ヒムート様もセレナ様も私と同じだと分かって」
「ん? 同じ.......か。メルディ」
「はい」
『同じ』それは俺とロニエにとって特別な意味をもつ言葉だ。でもセレナやヒムートと同じと言ってくれるメルディをやはり俺は好きなんだと再確認できる。
魔女であるセレナを同じ人間として見てくれる、美すぎて敬遠されるヒムートを同じに見てくれる。
俺のために全てを費やしているロニエをデリカやイリヤはたまに神のように扱う。メルディなら。
「メルディ。ロニエ達と対等な友達になってくれなかな? ああして喧嘩して笑ってられるそんな存在になって欲しい。三人には対等に笑い会える人が少過ぎるんだ。頼むよ」
それがメルディになら出来るような気がした。ロニエの固い外殻を切りぐずしてふざけあえるそんな関係になってほしい。
「む、無理です! 無理です! 私なんかでは! 私ではロニエ様やセレナ様達にはーー」
「メルディさん。ヒカル様の妻となられるのです。ヒカル様の願いには「はい」で答えてください」
「え! そんな.......」
「フフフ、冗談ですよ。メルディさんの自由にしてください。でも一つだけもう『私なんか』は封印してください。メルディさんはヒカル様選ばれたとっても素敵な女の子ですから。それは選んだヒカル様をおとしめる行為に他なりませんから」
ロニエが、メルディに楽しそうに笑いかけた。その笑みは少しだけ俺やセレナ達に見せる笑みに近かった。
「ダーリン! 結局今は誰がダーリンの一番なのよ!」
「王様! 答えて欲しいです! 大事です」
「まだやってたんだ。まあ良いか、なら言うよ」
セレナとヒムートには答えを与えてあげなければ収まらないだろう。そんな二人の様子を伺うと。
セレナは胸を張り自信満々に自分が選ばれることを万に一つも疑っていない。
ヒムートは背筋をピシッと伸ばして真剣に俺の言葉を待っている。
うん。超修羅場。
ハーレムってこういうときどうするかな? 角立たないようにする?
それが無難か。
「セレナリードのロニエが二番手。ついでヒムート、そのしたにデリカ、ルミア、イリヤの順かな、あ! メルディは今回は計測不能で良いかな?」
「そ、んな.......」
カチコチにヒムートが固まってしまった。
角が立たないようにするなら、簡単だ。ロニエといえば誰しもが納得するだろう。
だが、それは誰も幸せにしない。俺はロニエ達にだけは嘘をつきたくない。だって大切だから。ここで濁しても意味ないし、後で傷つくだけだ。俺は好きな人を良く抱くからすぐばれる。
誰しもを幸せにする方法は無くても、
「ふふん。当然ね。でもすごく嬉しいわ。ダーリンの愛を感じるわ」
「っう! ヒカル様の一番はロニエで無ければ.......ヒカル様! ロニエと交わって下さい! ロニエの良さを思い出させてあげます」
誰しもが笑い会える未来は無くても、
「ちょっ! 駄目よ! ロニエ。私が抱かれるのよ! 二番は二番目に抱かれてなさい」
「セレナ。怖いんですね! ロニエがヒカル様と交わると負けると思っているんですね!」
「そうよ! 何か悪いかしら? ロニエとダーリンを抱かせるわけないじゃない。安い挑発には乗らないわ!」
俺は思う。誰しもを愛してあげることは絶対に出来ると、だからこそ真摯にロニエ達には向き合うと。
「ってロニエとセレナが争っている内にヒムートが一番に急上昇! 醜いのは良くないからね。ヒムート抱かせて」
「王様! 嬉しいです!」
「ひど過ぎるわ! 私が一番だったじゃない! 何してるのよ!」
「ヒカル様! そこはロニエがリランクインするところです!」
こうして、楽しい俺のハーレムが続くから。
「じゃあ、三人まとめて抱くよ。おいで、セレナ。ヒムート。ロニエ。俺の一番大好きな妻達」
【完】
ーーーー以下重要ーーーー
はい。長かった。ロリ姫もようやく最終回を迎えられました。
本当に応援ありがとうございます。呼んでくれた方に最大限の感謝を!
さて次の新作は、一般向けの王道ファンタジーを予定しております。そちらもどうか読んでいただけると嬉しいです。
はい。嘘です。終わりません!! もう一度完結ではありません!
普通にまだもう少し続きます。なんかいい感じにまとまりましたがこのままじゃ余りにも物語として中途半端です。打ち切り作品並です。
趣味作品で打ち切りとかないので、もうちょっと付き合ってください。
でもヒヤッとして悲しんでくれた方がいるなら感想かレビュー下さい。ついでにそろそろ評価入れてください。モチベが上がります。
まあ、本当にいい感じに締まったので、ここで六章を終わりにして次から七章に入ります。
世界統一編として書きはじめた予定でしたが、メルディ編と銘打つことにしますね。
メルディというキャラはいいですね。停滞していた。イリヤ達準ヒロインキャラ達を動き出させて、孤独なトリプルヒロイン達と対等に話し合える。様になるかもしれない。ついでにトリプルヒロインの足を掴むかもしれない。そんな新ヒロインとなっております。
はあ。メルディやっとハーレムインしたよ。二章登場時から光に惚れてずっと一途に思い続けてきたメルディの勝利ですね。
ヘワタ嫁のコースもあった中よく独り身で堪えてくれました。感無量です。
はい。七章は、ルミア編と賢者編がかければ良いかな。賢者編はだいたい考えてあるけど、ルミア編はどうしたら良いのか全くわからない。六章で入るつもりだったのに!
まあ序盤戦は折角なのでハーレムネタを入れていきます。
エロもエロじゃない奴も。書くなら今でしょ!
「ロニエ、ありがとう」
「フフフ、ヒカル様。ロニエはヒカル様のロニエです。だからヒカル様はロニエに何をしても良いんですよ」
何度も聞いたロニエの台詞をロニエの肉体を抱くことによって俺の感謝を伝える。
やっぱりロニエが大好きだと思う瞬間だった。
「さてと。メルディ。君髪の毛何色が良い? 髪型は? ショート。ロング? セレナみたく長い三つ編み? それともロニエみたいに、ウェーブの効いた綺麗なプロンドの長髪? ヒムートみたいな美しい銀色のストレート? それともーー」
「ヒカル様......いくらメルディさんが珍しい黒髪で染めやすそうでもそれは酷いですよ。ありままを受け入れてあげましょう」
ロニエのせいで遇えて描写してこなかった、髪の色が明らかになってしまった。
初登場から実に百話以上も引っ張ってきた事なのにこうもあっさりとは。
「天野様?」
「メルディ。思い出したよ。君のこと、大きくなったね。俺とぶつかった時は腰くらいしか無かったのに。今ではヘソ位だよ」
「!」
そう俺は、思い出した。というかメルディを抱き上げたときに途中で思い出した。
かつて、セントラルの奴隷として城に幽閉されていた少女の一人だ。覚えている。
あの時、ロニエが記憶を失って俺が死のうとまで思っていたとき。何度も部屋に来てくれた少女だ。
俺の手を握ってくれた少女だ。
「ごめんね。わざわざ会いに来てくれたのに、気づけなくて。確か天野王国でロリコン......ヒーストランド王の所で生活してたんじゃ無かったけ? そこから来てくれたんでしょ?」
「え......あ......ぁ。天野様......」
「ん? どした?」
少女の瞳からぽたぽたと涙が溢れている。そこまで俺に会いたいと思ってくれて居たのかな?
それともあのロリコンに相当酷いことをされていたのかな?
メルディはおぼつかない足取りで一歩また一歩近づいてくる。それを微笑ましそうにロニエが見守り、セレナが手を伸ばす。そしてヒムートは。
「王様に抱き着くのはヒムートです!!」
と言って、セレナを蹴散らし飛びついてきた。
ロニエは間一髪ヒムートを交わしている。
いや......ヒムートそこは空気読もうよ。俺ちょっと覚悟してたのに。まあ良いけど。
「え? あ......! すみません、すみません。天野様。ヒムート様。わたし今天野様に会えて嬉しくて身体が勝手に」
メルディは頭が冷えたのか自分が何をしようとしたのかを思い出したのか顔を真っ赤にして頭をブンブン下げまくる。
それが小さいメルディが俺にぶつかった。時に酷似しているように見えて口元を綻ばせてしまう。
懐かしい記憶の一部だ。
「ヒムート。降りて」
「はい。王様」
ロニエが潰れそうなのでとりあえずヒムートに降りてもらう。ヒムートは俺に飛びつきたかっただけだから素直に降りてくれる。そんなヒムートの頭を撫でてあげると気持ち良さそうな顔をしてくれる。
「メルディ。一つ聞きたいから呼んだんだけど、良いかな?」
「わたしに答えられる事ならなんでも答えます」
聞きたいから呼んだだけとか俺も相当偉くなったもんだと、改めて思う。まあ実際偉いんだけど。
だって王だし。なんか覇王とか言われてるし。
メルディは俺の問いに答えるために肩を縮めている。何を言われるのか怖いかな?
「そんな固くならなくて良いよ。ただ単に、もう一度メルディが会いに来てくれた理由を聞きたかっただけなんだよ。教えてくれる?」
そう聞きたいのは理由。どうしてメルディが遠く離れた天野の国からセントラルまで俺に会いにきたのか、それを聞きたかった。なぜならそれを聞く前にメルディは気絶してしまったから、いや少し言っていたか。
「は、はい。わたしは......わたしは。天野様に会いに来ました」
「うん。あってどうしたかったの? なにかお願いでもあった? セレナに何でもないとかやらせるよ。ロリコンになにかされた? それとも」
「わたしは......天野様に会うことを目的としていました。ずっともう一度あうそれだけを夢見て......」
メルディはやっぱりそうなのだろう。ロニエが妻候補とか言うからもしやと思ったけど。
メルディは本当に俺に会いたいその思いだけで俺に会いに来てくれたんだ。
この魔物蔓延る危険な旅を越えて。
俺に会いたいそれだけのために.......
「メルディ。この後特に予定も目的も無いならさ、俺と.......俺達と一緒に暮らさない? ロニエじゃないけど、メルディが望むなら本当に妻になってくれたりしたら嬉しいし、そうじゃなくても.......いや」
これは俺の悪い癖だなと思う。決断を他者に委ねて何度後悔しただろうか?
数え切れないほどの後悔を経験してそれでも俺は踏み出す事をしないのか?
メルディは今ここにいる。俺に俺だけに会いに来てくれている。側室選考会でそんな人は居なかった。誰一人俺を求めてくれる人は居なかった。でもメルディは俺を求めて来てくれた。
そんなメルディに俺が言う言葉は。
「メルディ。俺メルディを好きなった。もう何処にもいかず一緒に暮らそう」
「!」
目を見開くメルディの前には二択しかない。そういうふうにした。だけどまだ二択だ。
ここから更に!
「はい! 天野様お願いします」
「って! 良いの? メルディ」
「これで天野様と毎日一緒居られます。わたし.......夢見ているようで.......天野様。私なんか良いのでしょうか?」
「うん。メルディで良いんだよ。俺はメルディに恋したから、メルディ俺はメルディを独り占めしたい。そう思ったから、ほらおいでメルディ。というか来て.......メルディ? 聞こえてる? おーい」
「はっ! すみません、すみません。天野様。すぐに!」
一瞬処理落ちしていたメルディが我に戻り、ベッドに上がって俺の腕に躊躇無く入り込んだ。
そんなメルディを俺は優しく抱きしめた。
「ヒカル様。ロニエ達に相談は無しですか?」
「え? メルディ駄目? こんないい子なのに。俺メルディを誰かに渡したく無いんだけど」
「いえ。メルディさんが素晴らしい方なのは分かっていますが、それでも形式は守ってください。ロニエと約束したことは破ったら駄目です」
「うん。分かった」
ロニエとの約束とは、ハーレムに加える前に妻達から許可を得ること。
ロニエは認めてるらしいから、セレナから行くか、はぁ.......セレナは怒るかもしれない。「勝手になにしてるのよ!」 とか言いそうだ。
「セレナ.......良いかな?」
「ダーリンが好きになったのなら構わないわよ。メルディよろしくお願いするわ。改めて名乗るわね。私は、天野セレナ、ダーリンの一番の女のよ。仲良くしてほしいわ」
「! セレナちゃん! 嘘は駄目です。メルディちゃん。今のはセレナちゃんの嘘です。ヒムートも名乗ります。天野ヒムート。王様の一番の女です」
「! ヒムート! 嘘は良くないわ! ダーリンの一番は私よ。そういっていたから間違いないわ。訂正しなさい」
「セレナちゃん! ヒムートは今さっき言われたばかりです。セレナちゃんこそ訂正です」
何故か、セレナとヒムートが一番談義で揉めはじめた。
今はその話はいい。メルディの方だ。折角の新ヒロインを差し置いて、俺のトリプルヒロインの二角が揉めているとか少し残念だ。
セレナとヒムート、そしてロニエは俺の中で特別だと言うのに。もっと心を広く持ってほしい。
「まあ、セレナがいいって言うなら基本的に後も大丈夫.......あ! デリカはヤバいかも。ってセレナ! ヒムート! いつまでやってるんだよ。 メルディが怯え照るだろう。立場的に上なんだからしっかりしてよ」
「立場なんてあってないようなものじゃない! 敬われた事なんて無いわよ! そんなものよりダーリンに抱かれる方が大事だわ」
「王様の一番と偽るセレナちゃんの図々しさがヒムートの立場を狂わしてます。ヒムートは第二王妃です」
「強調するんじゃ無いわよ! 本当は私が第二だったのにヒムートが割り混んだんじゃない!」
激しくなるヒムートとセレナの口論に俺は頭を抱える。メルディに見せたく無い光景だ。
とてつもなく醜い。セレナよ、ヒムートよ。頼むから節度を持ってよ。いきなりこんなの見たらメルディ引いちゃうよ。
「メルディ。幻滅しないで。セレナは基本優しいし、ヒムートも基本おしとやかなんだよ。二人を嫌わないであげて」
「.......すみません。すみません。私少し安心しました。ヒムート様もセレナ様も私と同じだと分かって」
「ん? 同じ.......か。メルディ」
「はい」
『同じ』それは俺とロニエにとって特別な意味をもつ言葉だ。でもセレナやヒムートと同じと言ってくれるメルディをやはり俺は好きなんだと再確認できる。
魔女であるセレナを同じ人間として見てくれる、美すぎて敬遠されるヒムートを同じに見てくれる。
俺のために全てを費やしているロニエをデリカやイリヤはたまに神のように扱う。メルディなら。
「メルディ。ロニエ達と対等な友達になってくれなかな? ああして喧嘩して笑ってられるそんな存在になって欲しい。三人には対等に笑い会える人が少過ぎるんだ。頼むよ」
それがメルディになら出来るような気がした。ロニエの固い外殻を切りぐずしてふざけあえるそんな関係になってほしい。
「む、無理です! 無理です! 私なんかでは! 私ではロニエ様やセレナ様達にはーー」
「メルディさん。ヒカル様の妻となられるのです。ヒカル様の願いには「はい」で答えてください」
「え! そんな.......」
「フフフ、冗談ですよ。メルディさんの自由にしてください。でも一つだけもう『私なんか』は封印してください。メルディさんはヒカル様選ばれたとっても素敵な女の子ですから。それは選んだヒカル様をおとしめる行為に他なりませんから」
ロニエが、メルディに楽しそうに笑いかけた。その笑みは少しだけ俺やセレナ達に見せる笑みに近かった。
「ダーリン! 結局今は誰がダーリンの一番なのよ!」
「王様! 答えて欲しいです! 大事です」
「まだやってたんだ。まあ良いか、なら言うよ」
セレナとヒムートには答えを与えてあげなければ収まらないだろう。そんな二人の様子を伺うと。
セレナは胸を張り自信満々に自分が選ばれることを万に一つも疑っていない。
ヒムートは背筋をピシッと伸ばして真剣に俺の言葉を待っている。
うん。超修羅場。
ハーレムってこういうときどうするかな? 角立たないようにする?
それが無難か。
「セレナリードのロニエが二番手。ついでヒムート、そのしたにデリカ、ルミア、イリヤの順かな、あ! メルディは今回は計測不能で良いかな?」
「そ、んな.......」
カチコチにヒムートが固まってしまった。
角が立たないようにするなら、簡単だ。ロニエといえば誰しもが納得するだろう。
だが、それは誰も幸せにしない。俺はロニエ達にだけは嘘をつきたくない。だって大切だから。ここで濁しても意味ないし、後で傷つくだけだ。俺は好きな人を良く抱くからすぐばれる。
誰しもを幸せにする方法は無くても、
「ふふん。当然ね。でもすごく嬉しいわ。ダーリンの愛を感じるわ」
「っう! ヒカル様の一番はロニエで無ければ.......ヒカル様! ロニエと交わって下さい! ロニエの良さを思い出させてあげます」
誰しもが笑い会える未来は無くても、
「ちょっ! 駄目よ! ロニエ。私が抱かれるのよ! 二番は二番目に抱かれてなさい」
「セレナ。怖いんですね! ロニエがヒカル様と交わると負けると思っているんですね!」
「そうよ! 何か悪いかしら? ロニエとダーリンを抱かせるわけないじゃない。安い挑発には乗らないわ!」
俺は思う。誰しもを愛してあげることは絶対に出来ると、だからこそ真摯にロニエ達には向き合うと。
「ってロニエとセレナが争っている内にヒムートが一番に急上昇! 醜いのは良くないからね。ヒムート抱かせて」
「王様! 嬉しいです!」
「ひど過ぎるわ! 私が一番だったじゃない! 何してるのよ!」
「ヒカル様! そこはロニエがリランクインするところです!」
こうして、楽しい俺のハーレムが続くから。
「じゃあ、三人まとめて抱くよ。おいで、セレナ。ヒムート。ロニエ。俺の一番大好きな妻達」
【完】
ーーーー以下重要ーーーー
はい。長かった。ロリ姫もようやく最終回を迎えられました。
本当に応援ありがとうございます。呼んでくれた方に最大限の感謝を!
さて次の新作は、一般向けの王道ファンタジーを予定しております。そちらもどうか読んでいただけると嬉しいです。
はい。嘘です。終わりません!! もう一度完結ではありません!
普通にまだもう少し続きます。なんかいい感じにまとまりましたがこのままじゃ余りにも物語として中途半端です。打ち切り作品並です。
趣味作品で打ち切りとかないので、もうちょっと付き合ってください。
でもヒヤッとして悲しんでくれた方がいるなら感想かレビュー下さい。ついでにそろそろ評価入れてください。モチベが上がります。
まあ、本当にいい感じに締まったので、ここで六章を終わりにして次から七章に入ります。
世界統一編として書きはじめた予定でしたが、メルディ編と銘打つことにしますね。
メルディというキャラはいいですね。停滞していた。イリヤ達準ヒロインキャラ達を動き出させて、孤独なトリプルヒロイン達と対等に話し合える。様になるかもしれない。ついでにトリプルヒロインの足を掴むかもしれない。そんな新ヒロインとなっております。
はあ。メルディやっとハーレムインしたよ。二章登場時から光に惚れてずっと一途に思い続けてきたメルディの勝利ですね。
ヘワタ嫁のコースもあった中よく独り身で堪えてくれました。感無量です。
はい。七章は、ルミア編と賢者編がかければ良いかな。賢者編はだいたい考えてあるけど、ルミア編はどうしたら良いのか全くわからない。六章で入るつもりだったのに!
まあ序盤戦は折角なのでハーレムネタを入れていきます。
エロもエロじゃない奴も。書くなら今でしょ!
0
お気に入りに追加
218
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
社長の奴隷
星野しずく
恋愛
セクシー系の商品を販売するネットショップを経営する若手イケメン社長、茂手木寛成のもとで、大のイケメン好き藤巻美緒は仕事と称して、毎日エッチな人体実験をされていた。そんな二人だけの空間にある日、こちらもイケメン大学生である信楽誠之助がアルバイトとして入社する。ただでさえ異常な空間だった社内は、信楽が入ったことでさらに混乱を極めていくことに・・・。(途中、ごくごく軽いBL要素が入ります。念のため)
【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)
幻田恋人
恋愛
夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。
でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。
親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。
童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。
許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…
僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる