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二章 新婚編

五十四  予想外だよね

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 会議室に入るとヘワタが沢山の人に取り押さえられていた。

 「やめなさい!」
 「ロニエちゃん!」
 
 ロニエがそれを一喝すると、俺達の到着に気付いたのか困惑顔でヘワタから離れる。
 ヘワタは相当怖かったのか泣きながらロニエに抱き着こうとする。

 「い、嫌! ヒカル様!」

 全力でそれを嫌がるロニエ。

 「燃えなさい」
 「へへへへ、熱っーーーーっ」

 それを見て抱き着こうとするヘワタをセレナが燃やす。

 「ヘワタ! セレナ! 辞めてヘワタは大丈夫だから! ヘワタが死んじゃう」
 「アレは今貴方の妻に襲い掛かろうとしたのよ!」
 「そうですヒカル様。ロニエはヒカル様のロニエなのに、他の人に抱かれる所でした」
 「ヘワタ~、燃えてる~」

 警戒を解かないセレナ。そして取り乱すロニエ。いつも通り楽しそうなヒムート。

 「セレナ。ロニエ。ヘワタで遊ぶのやめてあげて」
 「遊んでないわ、私は本気よ!」
 「.......そうですね。セレナさんヘワタさんは大丈夫なので辞めてください」
 「先に言いなさいよ!」

 ロニエが言うと素直に従うセレナ。ヘワタは炎が消えると、今度は俺にだきついてきた。

 「ビックボス~。遅いです。殺されるかと思いました」
 「ヘワタは良く頑張った。でもロニエに抱き着くのは駄目だよ」
 「へい。ロニエちゃんが天使に見えました」
 「その気持ちはわかる!」
 「ヘワタさん。私をロニエちゃんと呼んで良いのはヒカル様だけと言いましたよね」
 「へい!」

 ヘワタの気持ちは痛いほど分かるので怯えるヘワタの頭を撫でる。男の趣味は無いが最近抱き着かれると頭を撫でるのが癖になっている。ロニエとヒムートが良く抱き着いて来るからね。ロニエは一日の殆ど抱き着いているけど。

 「ロニエもヘワタの頭ぐらいなら撫でても俺怒ん無いよ」
 「そうですね。ヒカル様の為に頑張ったのですからそれくらいはするべきですね」

 そういって人差し指の先の方でよしよしするロニエ。

 「ロニエちゃん! ビックボス! ロニエちゃんをください!」
 「.......ヘワタお前。最近調子乗ってるだろ。セレナやっちゃて」
 「燃え~ろ」
 「ギャーぁあああ」

 よし、ヘワタは仕留めた。ロニエに着くムシは排除する。
 ヘワタの悲鳴に満足していると、セレナが俺のそでつんつんする。

 「私も撫でてくれるのよね」
 「..............」

 うるうると心配そうにせがまれると.......つい

 「そうだな」

 撫でたくなる。セレナの青い髪に手を伸ばす。嬉しそうに頭を突き出すセレナが可愛い。

 「王様~。私も~」
 
 とそこで、ヒムートが抱き着いてきたので反射的にセレナへ向かっていた手をヒムートの頭に載せる。

 「今のは私の番でしょ!」
 「諦めてください。ヒムートさんに悪気は無いのです」
 「余計悪いわよ!」

 ヒムートの頭を撫でながら辺りを見回す。百人近くの視線がヒムートと俺を好意の眼差しで見ているが、その半面。ロニエは視界に入れようともせず、セレナにいたっては憎悪の眼差しを向けられている。

 「天野様。ヒムート様。お楽しみ中失礼しますが、何故遅れて来たのか説明して貰えますか?」
 
 そう声をかけてきたのは、ヒムートの補佐的立場の名前はクルスケだった筈。

 「ボスが楽しんでるときに邪魔をするんじゃね~」

 それに対して答えたのはノートンだった。敵意を剥き出しにしている。ヘワタもいつのまにか復活してノートンの隣で眼足れている。

 「ふん。.......盗賊風情が調子にのりおって」

 俺に聞こえるように言ったのでは無いのだろうが聞こえた。

 「セレナ。死なない程度にやっちゃって」
 「良いわよ」
 「ヒカル様! 抑えてください!」
 「そうだぜ。ボス。俺は悪口にはなれているぜ!」

 ロニエが止めるのなら仕方ない。浮いてるセレナを引き寄せて耳打ちする。

 「ニヤニヤ、ばれない程度に恥ずかしいこと出来る?」
 「出来るわよ。任せなさい。ニヤニヤ」

 クルスケのズボンがすぽっと落ちてアレが御拝謁した。百人の視線がクルスケのアレに集まる。

 「流石は、ヒムートの補佐役だね。良いものを持っている」
 「クルスケのちんこ大きい~」
 
 ケタケタ笑うヒムートの発言に戦慄したが、それどころでは無いので突っ込むのは辞めておく。
 クルスケは急に落ちたズボンをあげて至って冷静にセレナを見た。

 「天野様。貧相な物を見せてしまい申し訳ありません。して、それは魔女ですか?」

 焦る素振りもしないで、返すその手腕に素直に驚く。セレナの頭をもう一度近づけてコソコソ話す。

 「おい、ばれてるぞ。どうするんだよ。ロニエに怒られちゃうよ」
 「そ、それは困るわね。ばれないと思ったのだけど」
 「コホン!」
 「「ひぃ!」」

 ロニエのわざとらしい咳にひびる俺とセレナ。

 「ロニエはヒカル様の事は怒りませんよ」
 「わ、私は怒るのね!」

 俺に優しく微笑んでくれたので安心する。いけにえにセレナをロニエに投げる。

 「いいえ。ヒカル様の願いを叶えた貴女のことも怒りませんよ。感謝しているぐらいです」
 「そ、そうなんだ! よかったわ」

 セレナがふわふわとロニエから離れて俺の所に戻って来る。

 「良くも見捨てたわね」コソコソ
 「危なそうだったら止めたよ」コソコソ
 「そうなの? ならいいわ、ねぇあの子は誰に怒っているのよ」コソコソ
 「さぁー?」コソコソ

 誰にせよ。ロニエを怒らせるなんて無謀なことをする奴だ。

 「クルスケさん。お久しぶりですね」
 「ロニエ様もお元気そうで何よりです」

 ニコニコとロニエがクルスケに微笑み、クルスケもロニエに微笑むが全然和やかじゃない。

 「遅れてきてすみません。来る途中にヒカル様が襲われたのです」
 「それは大変ですな。お怪我はありませんか?」
 「運よく全員無事ですよ」

 何か、わからないけど、ロニエとクルスケの間で高度な闘いが繰り広げられている気がする。

 「ロニエ。何言ってるの?」

 分からないので聞いてみた。

 「つまり。ロニエはこの中に刺客を放った方がいると言っているのですよ」
 「いくらロニエ様でもそれは聞きづてなりませんな! 我々にヒカル様を害するつもりはありませんぞ」
 「そのようですね。なら誰を害するつもりだったのでしょうか?」
 
 それを聞いて怒りが芽生えた。ロニエの言っている意味が分かったから。

 「ロニエを殺そうとしたのか!」
 「違います」

 違うらしい。全然わかってなかったらしい。恥ずかしい。ロニエに慰めて貰いたいけど、ロニエが真剣なので辞めておく。
 セレナにつんつんされた。

 「私がいるじゃない!」

 両手を広げているセレナ。抱き着けと言うことか。仕方ないのでセレナを抱き寄せて.......

 「ヒカル様。セレナさんを投げ飛ばしては駄目ですよ」
 「え? 何で?」

 力の限り投げ飛ばそうとした所でロニエに止められた。

 「狙われているのはセレナさんですから」
 「わ、私なの!」

 投げられなかったので抱き寄せたままのセレナが胸元で突っ込む。

 「はぁ~。セレナさんは頭が良いのですから、もう少し自分のことにも頭を使ってください。ヒカル様を守るだけでは駄目ですよ」
 「分かったわ! 私が魔女だから狙われているのね! そのオジサン目付きが私を襲った人達に似ているもの。犯すつもりでしょ! 嫌よ! もうこの人以外には犯されてあげないわよ。消し炭にしてあげるわ!」

 取り合えず五月蝿いので、手を離す。

 「そんな事はありませんが?」
 「クルスケさんは違うようですね」

 あれ? ロニエがちょっとがっかりしてる。予想と違ったのかも知れない。

 「それより、セレナさん。ここにはヒカル様の敵意がある方はいないのですね」
 「そうね。貴方達に敵意のある人はいないわね」
 
 だから、さっきからツッコミに回っていたのか、セレナの警戒心が薄れて。

 「なら、ここだけ貴方に対して敵意のある人を対象に出来ますか?」
 「そんなことをしたら危険よ!」
 「ヒカル様。良いですか?」

 セレナが危険と言ったから、俺に確認を取ったのだろう。

 「ロニエが俺から離れなければ良いよ」
 「セレナさんやってください」

 ロニエが俺をがっちりと抱きしめてから言った。

 「嫌よ! 何かあったらどうするのよ」
 「ジークさん、ノートンさん。ヘワタさんもいます。大丈夫です」
 「.......分かったわよ」

 渋々というていで納得して、セレナがぶつぶつと聞き慣れない言葉を喋ると、透明の波動が会議室全体を包んだ。すると

 「ぐふ!?」

 ジークが膝をついた。ジークだけではない。会議室に列席していた殆どの奴が呻きをあげる。平気そうにしてるのは、数人だ。

 「何をしたのだ! 魔女! ぐふ!」

 クルスケも平気そうにしていたがセレナに詰め寄ったら倒れた。

 「.......セレナ。大丈夫か?」
 「大丈夫よ。これが普通なのよ。貴方達が特別なだけよ」
 
 その光景を一番悲しそうに眺めているのは他ならないセレナだった。既に完全に平気なのは、俺と、ロニエ。ヒムート。ヘワタ、ノートン。しかいない。言い換えればセレナはそれ以外の全てから悪意の対象にされているのだ。それが平気の訳が無い。これが、世界の魔女に.......セレナに対する認識なのだ。
 無意識にセレナを抱きしめる。

 「セレナ。大丈夫だから。セレナはここにいても良いからね」
 「.......貴方はこれを見せたくなかったから、私を城に閉じ込めてたのね」

 その通りだった。例え王様である。俺が魔女を差別するなと言ったところで、意味など無いのは分かっていた。ノートン達は、認めていたけど、ジークはいつも警戒していたし。この世界の魔女に対する差別を無くしたいなんて事を考えるのは、無茶な事なのかもしれない。

 「セレナさん。もう良いですよ」
 「そうね。また何人か殺してしまったわ」
 「.......すみません」
 「貴女のせいじゃないわよ。貴女もこれがわかっていたのでしょう?」

 パチンと指を鳴らすと、たちまち透明の波動が会議室を再び包む。そして、唸りをあげていた人達が戻り。更に強い憎悪の目でセレナを見る。

 「ごめん。連れて来た俺が馬鹿だった」
 「違うわよ。ついて来たのは私よ」

 後悔する。セレナに自由を与えたくて、連れて来た結果がこれだ。ロニエは言っていた。連れていかないと。俺がロニエに頼んだ。連れて行くと。俺の責任だ。セレナをまた傷つけたのは俺だ。ロニエの命の恩人を何度傷つければ良いのだろうか?

 「貴方は、これがあるから私と結婚してくれないのね。すればこれは貴方や、貴女達に向くから」
 「それは!!」

 違うとは言えなかった。俺は俺の気持ちなんてわからない。でもロニエとヒムートに憎悪の目が行くことを避けてたのはあるのかもしれない。

 「やっぱり私はここに居てはいけないのかもしれないわね。居心地が良いから長居してしまったわ」
 「行くのか?」
 「その方が良いもの。貴方達の為にも私の為にもね」

 もう、俺には止められなかった。これ以上セレナを止めることなんて出来ないから。ロニエとヒムートを天秤にかけていた俺には。

 「貴方と貴方達と会えたことはそれだけは私にとって幸せな事だったわ」
 「セレナ.......」

 俺には止められない。悲しそうに去ろうとするセレナを止める資格は無い。

 「セレナさん!! 駄目です!! 許しません」

 しかし、ロニエは違った。セレナを止めた。

 「ヒカル様を嫌いになったのならどこへでも好きに行ってください。でもヒカル様を愛しているのなら、行っては駄目です!!」
 「駄目よ。私の存在は貴女達を不幸にするわ、そんなこと出来ないわ、それだけは出来ないわ」

 セレナの気持ちが痛いほど分かる。共有してないのにそれだけで涙が出た。
 そんな中ロニエが叫んだ。

 「ああもう。ヒカル様とセレナさんはそんなところまで似ています。何で二人とも好きな人から離れようとするのですか? セレナさんも一人で考えては駄目な人です。その気持ちは全部忘れてください」

 言われて気付いた。確かにそうかもしれない。

 「良いですか? セレナさん」
 「何よ」
 「ヒカル様がセレナさんと結婚しないのは、ロニエとヒムートさんを守るためではありません。まずそこから違います」
 「じゃあなんでよ」
 「そんなのは知りませんよ! セレナさんの頑張りが足りないのです」
 「貴女にも分からないの!?」
 
 セレナがかなり驚く。ロニエが俺のことを分からないのがそんなに不思議なことなのかな?

 「分かりませんよ。ロニエが聞きたい位です。なんでそこまで大切にしてるのに答えてあげないのですか!」
 「何となく」
 「分かりましたか? セレナさん。ヒカル様はこういう方なんです。何となくの理由なんてロニエに分かる筈無いでは無いですか! ロニエは自分で言っていて悔しいですよ!」
 「た、大変ね。貴女も」

 セレナがロニエの絶叫に気圧されている。

 「それでセレナさんはヒカル様と離れたいんですか?」
 「嫌よ」
 「ならそうしてください」

 キッと俺の事を見るロニエ。

 「ヒカル様はセレナを止めたいのですよね」
 「うん」
 「なら止めてくださいよ! ヒカル様はヒカル様の好きにしていいのですから」

 そして、今度はヒムートを見る。

 「ヒムートさんの時はヒカル様は止めようとも思わなかったのですよね」
 「はい。王様は嬉しそうにしてました」

 ギクリ。してたかな? してたかも、めんどくさいモブとしか思ってなかったし。

 「それでどうするのですか? まだこの茶番を続けるのですか?」

 ロニエに問われて思う。ロニエは好きなようにしろと言った。なら。

 「セレナはまだまだ外出禁止だ。どこにも行くな!」
 「横暴ね。でもそうね分かったわよ。貴方がそういうのならそうするわ」

 良かったと心の中で呟いて。
 
 「ヒカル様。そろそろセレナさんの気持ちに応えませんか?」
 
 そうだなとセレナを見る。今ので分かった。

 「確かに俺はセレナの事が好きみたいだ。居なくなってほしくない」
 「本当!? 結婚してくれるのね」
 「でも何と無くまだ早い気がするから、却下」
 「何よそれ! いつまでも私が貴方を好きでいると思わないでよね」
 
 まあ、その通りなのだけど。

 「いつまでも好きでいてくれないの?」
 「.......わからないわよ」
 「ならやっぱり駄目だよ。俺以外の好きな人を探して」
 「城から出ずにどう探すのよ!!」

 そこでロニエがへらーっと笑った。

 「そうですか。分かりました。セレナはヒカル様だけを愛する覚悟も無いのですね。ロニエは失望です。もうどこかへいってしまっても構いません」
 「あるわよ! あるに決まってるでしょ! 貴方だけを愛するに決まってるでしょ」
 「なら。誓ってください。セレナさんはセレナさんとして生涯ヒカル様を愛すると誓ってください」
 「セレナとしてで良いの? 私はセレナじゃないわよ」
 「良いですよ。だってヒカル様が好きになったのはセレナさんですから、ヒカル様を愛すると思ったのはセレナさんですから。セレナさんはセレナさんとして誓ってください」

 ロニエが俺以外に誓いを求めたことなど無い。ヒムートにもそんなことを求めなかった。そしてそれは過去にロニエが誓った事だ。

 「そうね。そうよね! 分かったわ、私は貴方を」
 「誰をですか!」
 「.......光を」
 「どの光ですか?」

 ロニエは誓いに関しては細かい。そして厳しい。だからこそ重い。
 セレナがそれに気がついて口をつぐんだ。

 「どうしたのですか? セレナさんはそんなことも誓えないのですか? ヒカル様に抱いてほしいと言ったセレナさんはその程度だったんですか! それじゃあヒカル様も心配で結婚なんてしませんよ。セレナさんを抱くことは一生有りませんよ」

 ロニエに言われて、つぐんだ口が開く。

 「そうね。良いわ。誓うわ、魔女の誓いよ。命を懸けるわ」
 「そこまでしなくても良いんじゃない?」
 「五月蝿いわね! 黙ってなさい腰抜け! もう引けないわ、良いわね」
 「ヒカル様を腰抜けと言ったのは許せませんが、良いでしょう。魔女の誓いをしてください。それくらいヒカル様なら受け入れます」

 いつの間にかに。会議室全ての人間が俺とセレナを見て口をつぐんでいる。誰一人動かない。

 「良い?」
 「良いけど。あんまり危ないのは駄目だよ」
 「危なくないわ、私が貴方を生涯愛すれば良いのだから簡単よ。命をかけて貴方に証明するわ! 私が貴方を愛していることを! そしたら結婚してくれるのよね」
 「そこまでは言っていない。結婚しないかもよ」
 「それでも良いわよ。私は貴方が好きなのだから。誓わせて」

 そして静寂が会議室を包み込む中。俺はうなづいた。
 セレナが地面に着き。自分の足でたつ。

 「魔女としてセレナが誓うわ」

 言葉と共に何かがセレナを包んだ。魔女の言葉には魔力が宿る。

 「魔女セレナは、天野光だけを生涯愛することを魔女として誓う」

 セレナの体に何かが入って行った。そしてセレナから誰もが分かるほどの風が吹く。
 セレナがニヤニヤと笑う。

 「まだよ! まだ終わらない。終わらさせない! 魔女セレナは天野光と結婚出来なければ死ぬことも誓うわ!」

 更に風が吹き荒れる。

 「まだよ。もう逃がさないわ。魔女のプロポーズを見せてあげるわ」
 「セレナ。お前まさか!! 狡いだろ!」
 
 こいつ便乗して結婚までする気だ。そしてそれは断れば。

 「人生最大の見せ場ね。天野光! 私と.......魔女セレナと結婚してください!」

 断れば! 風が収まらない。俺が答えるまで収まらないんだろう。

 「答えなさい。今すぐ答えなさい! どうするのよ!」
 「断ったらどうなるの?」
 「貴方は気にしなくて良いわ。良いからするのか、しないのか、答えなさいよ」

 これは、やばいな。ロニエを見ると微笑まれた。好きにしろということだろう。一応ヒムートも見る。首を傾げられた。そんなものだろう。そして覚悟を決めた。

 「セレナは分かってるよね。俺と結婚する意味を」
 「ごたくは良いのよ!! 答えなさい」

 最終確認をしようとしたけど要らないみたいだ。なら。

 「緊張するね。恥ずかしいし」
 「意気地なし! 私の方が恥ずかしいわよ」

 全然決められない覚悟を決める。締まらないけど締める。深呼吸一回。
 セレナの顔が赤いの恥ずかしいからか。

 「分かったよ。セレナと結婚する」
 「本当!?」
 「いや」
 
 違う。そうじゃない。そうじゃないだろう天野光よ。

 「セレナ。俺にも誓わせてもらう。その風を俺に」
 「やめなさい。魔女の誓いは絶対よ」
 「良いからよこせ!」

 風が俺を包んだ。

 「あれ!? なんで勝手に!? 駄目よ! やめなさい」

 風は俺とセレナを中心に吹く。ロニエとヒムートが飛ばされそうだ。だから二人を抱き寄せる。

 「俺には既に二人の愛する妻がいる。それでも、魔女セレナを生涯愛することを誓う」

 まずはこれだ。風が俺の中に入ったのが感じた。

 「ロニエ。命をかけるよ」
 「良いですよ。ヒカル様の好きにしてください」
 
 ロニエに確認を取り。どうするか考える。何を誓おうか考える。

 「俺は、俺の妻が俺と一緒に居ることで幸福に出来ないのなら死ぬ事を誓う」
 
 こんな所だろう。誰かが幸福じゃなければ意味など無いのだから。
 そして最後に一番大事なことを言う

 「セレナ。俺と結婚してください」
 「はい。結婚します」

 風が入り。誓いを完成させる。

 セレナとキスをする。

 そして風が収まり。
 喚声と拍手に包まれた。



 ーーー以下コメントーーー

 はい。ということです。魔女セレナを嫌いな人はいますか? 好きになってください。お話はまだ続きます。嫌いな人は苦痛を感じるでしょう。ここまで来たら折角なので完成まで読んでください。

 セレナは勝手に結婚しました。そんな事を想像してませんでした。セレナの役目は他に有るのでまだまだ頑張ります。
 

 そして最近気付いたことを一言。最大文字数が一万文字だと思っていたら十万文字だったのですね。いまさら感があります。
 まあそんなに書くと重過ぎて大変ですので多分書きませんが。
 
 通信
 番外編とかイフとか、書きたいです。
 
 


 
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