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二章 新婚編
四十二 最強の味方だったね
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さて。話はヒムート・ヒースランドとヒースランド王の処遇に戻った。
席に付き直ってもう一度会議を始める。膝の上にはロニエを乗せている。もちろんモフモフして心を落ち着かせている。ヒムートは邪魔なので退席してもらった。
「ヒースランド王をどうするかだけど.......」
「ヒカル様。共有を」
「良いの?」
「ヒカル様ぁ! 寂しいです。繋がってください」
「うん。分かった」
ロニエを持ち上げて玉座ホールドをする。手間取らなかったので特にノートン達には気付かれて無いと思う。アレがロニエの中に入った事により心地の良い快感が思考を刺激する。ロニエがいる。それだけで安心できる。
ーーーヒカル様はヒースランド王をどうしたいのですか?
ーーーう~ん。特にどうしたいとかは無いかな~。
ヒースランド王は過去にロニエに求婚したらしいが玉砕しているし、自分の娘の貞操を襲うような変態だがそれでも俺はロニエが無事だった事が全てだ。
ーーーなら、ヒムートさんはどうしますか?
ーーーさっき盛大にふったけど。ヒムートの好きにさせてあげたいな。
ヒムートは今まで変態親父に酷い目にあわされてたんだから少しは報われても良い筈だ。ヒムートが帰りたくないのなら別に帰らなくても良いと思う。
ーーーつまり。ヒカル様は、ヒムートさんをヒースランドに帰したくなく、ヒースランド王の処遇は何でも良いのですね。
ーーーロニエ。あんまり酷いことをするのは駄目だよ。
ーーー分かっています。ヒカル様。ここはロニエに任せてください。
心での作戦会議を終えて会議室にいるメンバーを見る。
「ヒムートさんは国賓として迎え入れましょう。ヒースランド王は戦死したことにします」
「戦死で良いの?」
「はい。ヒムートさんにヒースランド王が何をしたのか公言してもらえれば特に問題はありません。他国との軋轢も起きないでしょう。そして問題なのは千人のヒースランド兵ですが.......」
ジークがたった一人で薙ぎ倒した捕虜達のことだ。確かに良く考えるとそんなに沢山の捕虜を養うことなど出来ない。
「一番簡単なのは奴隷にしてしまう事ですが.......」
「それは駄目だよ」
「というので、仕方ありません。解放しましょう」
ロニエの話はこうだった。まず大方の兵士を解放してヒースランド王国に今回の事件の全容を伝える。その際にこちらに戦争する意思は無いことを伝えて、再度話し合いを求める胸の伝書を送る。ヒムートが居ることも伝える。
問題があるのか無いのか、俺には分からないけど非人道的な事をする訳では無いので反対する必要は無い。しかし一人だけロニエの考えに異を唱えた。
「女王。それでは戦争になる可能性がありますぞ」
「分かっています。それでもヒカル様は捕虜を傷つける事も、ヒースランド王を殺す事もヒムートさんを政治的に利用することも望まないのです。ジークさんを使って戦争をしないようにです」
口を挟むつもりは無かったけど少し気になってた事があるので聞くことにする。
「ジークって、実際どれくらい強いの?」
返事は沈黙で返された。なのでロニエ聞く。
ーーーなんかまずい事を聞いたかな?
ーーーいえ。ヒカル様は違う世界から来たので知らなくて当然ですよ。
「ジークさん。ヒカル様の質問に答えてくれますか?」
「.......そうですな。私の強さと言うより。ヒカル王には剣王の意味を説明した方が良いでしょうな」
ジークは語った。剣王について。剣王の称号はどうやらこの世界で最強の剣士に贈られる称号らしい。色々と説明されたけど要約するとそういうことだ。そこでもう一つの疑問が頭を過ぎる。
「じゃあ何で剣王があんな街道のノートン達が倒せる。イノシシに苦戦してたの?」
「恥ずかしい話ですが、あの時点で私は既にかなりの損耗をしてました」
「何で?」
「まず大量の追っ手に追われて寝ることもままなりませんでしたな。それにあの魔物に会う前に伝説の魔物グランドドラゴンに襲われまして負傷してしまったのです。とても満足に戦うことは出来ませんでしたな」
そういう事情があったのか。グランドドラゴンがどれくらい強いのか知らないけども、怪我をしていたのは確かだ。
ーーー痛そうでしたからね。
「ジークは今まで通り普通の国民で良いの?」
「そうですな~。畑仕事を辞めるつもりは有りませんが、やはり剣の道を捨てたくも有りませんな」
「そうだよね。せっかく頑張って世界一の強さを手に入れたんだからね.......。ジークは道場でも開けば?」
パッと思い浮かんだ事を良く考えもせずに言う。
「道場とは何ですか?」
「ああ。ごめん。その前にジークはもう戦争とかしたくないんだよね」
「そうですな」
「でも剣を置くことはしたくないんだよね」
「めんどくさいですね」
ロニエが口を挟むが無視。
ーーーヒカル様ぁ! 無視は酷いです。
ーーー.......ロニエ。俺のこと以外にも興味持とうよ。
ロニエは俺以外の事に対して雑過ぎる。今も色々と考えて居るけどそれは全て俺の為に考えてるだけだ。それは良いことなのか.......ロニエを縛っているのかも知れない。頭に過ぎるのは過去何度も思った事だ。俺がロニエと結婚してから考えないようにしてきた事だ。
それは、俺とロニエは本当に一緒にいて良いのかどうかだ。一緒に居ることで俺達は少し依存し過ぎてるのかも.......。ロニエ?
ーーー.......何ですか?
ーーー何も言わないの?
ーーー言ったらまた、ヒカル様の考えがずれてしまいます。ロニエはヒカル様の考えを邪魔するみたいですから。
ロニエが俺の考えを邪魔する? ロニエの存在が俺の考えを邪魔してる。そうかもしれない。何時からか、俺はロニエが居ないと何も出来ないようになっていた。考える事も何もかもそれはある意味呪い。ロニエの存在が呪い。って。ふざけるな!! ロニエが呪いな訳が無い。もうやめよう。
ーーーごめんね。ロニエ酷いことを考えて。
ーーー.......ヒカル様にとって.......いえ。ロニエはヒカル様のロニエですよ。
考えてしまった事を頭から切り離すためにジークを見る。
「道場ってのはね。剣を教える場所の事だよ」
「私が剣を教えるそれは考えもしなかったですな」
「きっと沢山教えて欲しいって来るよ。最強の剣士に教われるんだからね。勿論、慈善家じゃないからねある程度お金を貰って良いんだよ」
「剣を教えて生きるのですな。それは良さそうですな。やってみますぞ」
「うん。最初はノートン達にも参加してもらえば良いよ。復興も進むかもね」
ジークに剣を教えて貰うために全国から剣士達が天野の国に来る。かなり良い案では無いだろうか?
「ジークさん。教えるのは天野の国民限定でお願いします」
「わかりました」
ロニエが補填してくれるから.......。
「ロニエ。大好きだよ」
「ヒカル様。また不安になってしまったのですね。大丈夫ですよ。ロニエはここに居ますよ。ヒカル様の側にずっと居ますよ」
「うん。居なくならないで。例えそれが間違いであっても」
もう分かってる。ロニエと俺は確実に依存しあっている。これは良いことでは無いのも分かってる。一度距離を置くべきなのももう分かってる。でもそれは嫌だ。子供みたいな理由だけど。ただ嫌だ。
「大丈夫ですよ。ヒカル様。ロニエとヒカル様なら間違っていても必ず幸せにたどり着けます」
ーーーだって天国から帰ってこれたでは無いですか。
確かにあの時は間違いだらけだった。そもそもロニエと結婚してはいけなかったのに、結婚してしまった。そして
ーーー離婚しないと一度ヒカル様と離れないと出れない筈だったのに、ヒカル様は離婚してくれませんでした。
そう。最後の最後でそれをやめた。お陰で十年も天国に居ることになったが。それでも今は
ーーーはい。ロニエは幸せです。
ーーーうん。俺も幸せだよ。
だから離れる必要など無いのだ。例えそれが間違っていたとしても、俺とロニエなら幸せにたどり着けるのだから。
「ヒースランドの対要はロニエの言う通りにするよ。ヒースランド兵は殆どを解放する。その時にジークの力が必要だよ」
「はい。お任せを」
「そして、ヒムートは国賓として迎えるよ。もしそれで戦争になりそうになったら国を捨ててでも生き残らないと駄目だよ」
「へい」
「そしてヒースランド王を死んだ事にするのは良いけどその後はどうするつもり?」
「そうですね。解放する訳にはいけませんから。しばらく拘留しておきましょう」
「うん。分かった。じゃあ皆。事後処理はこれぐらいにしようか」
そういって皆が背筋を伸ばしたので。
「そうそう、思ったんだけどね」
と切り出した。
ーーー何も思って無いじゃないですか!
ーーーうん。でも思ったんだよ。お風呂作ろうって。この世界お風呂有るんだっけ?
ーーー温水に浸かる事はありますが、大体は冷水で身を清めます。
ーーーロニエが身を清めるとか言うと何か興奮するよ。
ーーーそれはヒカル様がエッチなだけです。
しかし、この国は水の豊富な国では無い。川は遠いし、井戸も無い。つまり。
「ノートン。川の水を引っ張って来れる?」
「ボス。それは今の人数では無理ですぞ」
無理らしい。でも諦めない。お風呂が無い国に誰が住んでくれるものか。
「なら。温泉を掘ろうよ。火山近くにあるから掘れば出て来ると思うんだよね」
「火山が近いと温泉が湧くのですか?」
「何と無く湧きそうな気がする。詳しくは知らないけど多分大丈夫だよ」
「なら大丈夫ですね」
ロニエが簡単に納得してくれた事に驚く。
「ノートンさん。必ず温泉を見つけてください。ヒカル様が有るといったらあるのです」
「ロニエボス。そりゃあ無茶ですぜ~」
「何か言いましたか?」
「何でも無いぜ。なぁヘワタ」
「ロニエちゃん恐いっす」
何故かヘワタがロニエの事をロニエちゃんと呼んでいるが可愛いから良いか。
「なるべく地下水がありそうな所を掘るんだよ。今度、皆で温泉掘り大会でもしようか」
「楽しそうですね」
「ロニエ。見つけたら一番風呂に一緒に入ろうね」
「はい。必ず見つけましょう」
さて、そろそろ会議を終わらせるとしようか。
「会議を終わらせるけど、何かある?」
と聞くとノートンが手を挙げた。
「ボス。俺も女が欲しいです」
「ロニエどう思う?」
「そうですね。頑張ってくださいとしか言えないです」
ノートンは何だろう。童貞なのかな? そんなに焦らなくてもいい子が見つかると思うけどな。
「ヒムートが狙い目だよ。ノートン。今。失恋で落ち込んでるから」
「ボスの女に手を出せね~よ」
「ヒムートは俺の女じゃない! 俺の女はロニエだけだよ」
「ヒカル様ぁ~。ロニエはヒカル様の女ですね」
何かロニエが喜び出した。頭を撫でてあげる。ふわふわしてて撫で心地が最高だ。
「ボス。俺にもボスにいい女が欲しいです」
「ロニエをいい女だと言ったのは良いことだけど.......。ノートンお前は間違っている。ロニエは女では無い」
「ヒカル様!?」
ロニエが何か青ざめてしまったけどそのまま頭を撫でる。撫でる度にロニエの良い匂いが鼻孔を刺激する。
「ロニエは最高の女の子だよ。そう簡単に、いや。ロニエクラスの女の子はこの世界に存在しない。諦めてくれ」
「ヒカル様~」
今度は甘えたような声でもじもじしはじめた。もじもじされるとアレが刺激される。ずっと入れっぱなしだったからそろそろ限界なんだけど。
ーーー良いですよ。
ーーー良いの?
ーーーヒカル様。ロニエはもう怒ってませんよ。そんなに気を使わなくても大丈夫ですよ。
ーーーでも俺ロニエに酷いことを.......
ーーーヒカル様何をしてもロニエはヒカル様が大好きなんですよ。気を使われてもロニエは困ってしまいます。何時も通りのヒカル様に戻ってください。
ーーーロニエ。俺、ロニエが大事過ぎてもう何かどうしていいか分からなくなってきたよ。
ーーー仕方ないですね。感情共有です。
ロニエの気持ちが伝わって来る。
ヒカル様の事が好きです。ヒカル様が居なくなってしまうのが恐いです。もっとヒカル様と繋がりたいです。ヒカル様に頭を撫でられのが好きです。ヒカル様に突然キスされるのが好きです。ヒカル様に気を使われるのは嫌です。ヒカル様が気持ち良さそうにしてるのが幸せです。ヒカル様が私の中に出してくれるの好きです。ヒカル様の匂いが好きです。ヒカル様がーーー
伝わって来るのは様々な感情。でもその全てが俺の事が好きだと言う気持ち。
ーーーロニエは何時も俺の事が大好きなんだね。
ーーーヒカル様もロニエの事が大好きですね。
ロニエの感情が俺に伝わったように俺の感情もロニエに伝わったようだ。
ーーーヒカル様。少しは安心出来ましたか?
ーーーうん。
ーーーならどうしますか?
問いに行動で返答する。すなわち精液を注入した。
ーーーヒカル様。それで良いのですよ。
ーーーロニエは可愛いな。
俺はロニエにしてもらった事を、そしてロニエの気持ちを全て返すことが出来るのだろうか?
ーーーヒカル様はもうずっと返してくれていますよ。
ーーーそうかな。貰ってばっかりな気がするけど。
ーーーヒカル様はロニエと結婚してくれました。ロニエにプロポーズしてくれました。ロニエを1番にしてくれました。ロニエに1番をくれました。そして今でもロニエを1番大切にしてくれています。これ以上の幸せがありますか?
ーーー俺はもっともっと、ロニエを幸せしたい。この世の全ての幸せをロニエに渡したい。
ーーーヒカル様。ロニエはヒカル様と一緒に居るだけで幸せなんですよ。
ーーー何でも無いような事が幸せなんだろうと思うよ。でももっと特別な幸せだってあげたいんだよ。
ーーーヒカル様。ロニエにとってはヒカル様とこうして幸せに生きてる事が既に特別なんですよ。
これは何度もあった平行線の気配。そうもやもやだ。だから考える。別に何かをする訳ではない。ロニエを説得したい訳でもない。
ーーー確かに俺もロニエと一緒に生きてる事が既に特別な幸せだよ。
ーーーそれで良いのですか?
ロニエの確認は俺のもやもやの正体に気付いているからだろう。今まではそれを言葉にしようとしてきたから当然だ。
ーーー別にロニエと意見が食い違っても毎回同じにしなくても良いじゃん。ロニエはロニエで俺は俺なんだから、俺はロニエの気持ちを理解できるし。ロニエだって俺の気持ちを理解できるんだからさ。
ーーー.......ヒカル様の気持ちを理解できてるのでしょうか?
ーーーロニエ。これからは何度だって間違えよう。でも必ずそれを二人で乗り越えよう。俺はもうそれが出来ると思うんだ。
ーーーそれは分かります。例え間違った回答でも、ロニエとヒカル様なら必ずそれを捩曲げて幸せの最高の回答に出来ます。
ーーーうん。だからこれからもよろしくねロニエ。
ーーーヒカル様。こちらこそよろしくお願いします。
決意を新たに俺達は生きる。間違えることをもう恐れない。間違えていいから前に進む。ロニエと二人で前に進む。俺達が死ぬその時まで。
ーーーーーー以外コメントーーーーーー
最近エッチな描写が少ないと不満を抱いてる人。諦めてください。そういう話では無いです。むしろエッチな描写とか書く気など無かったのです。対象年齢を前年齢向けに書いてた筈だったんですが。
そもそも最初は異世界ハーレムを書きたかったのに、冒険あり戦闘ありの冒険譚です。どこをどう間違ったのか分かりません。この話がどこに向かっているのかももう本気で分かりません。ロニエと光の行動次第では普通にデッドエンドもあります。そういう心構えでこの先を読んでくれると嬉しいです。
席に付き直ってもう一度会議を始める。膝の上にはロニエを乗せている。もちろんモフモフして心を落ち着かせている。ヒムートは邪魔なので退席してもらった。
「ヒースランド王をどうするかだけど.......」
「ヒカル様。共有を」
「良いの?」
「ヒカル様ぁ! 寂しいです。繋がってください」
「うん。分かった」
ロニエを持ち上げて玉座ホールドをする。手間取らなかったので特にノートン達には気付かれて無いと思う。アレがロニエの中に入った事により心地の良い快感が思考を刺激する。ロニエがいる。それだけで安心できる。
ーーーヒカル様はヒースランド王をどうしたいのですか?
ーーーう~ん。特にどうしたいとかは無いかな~。
ヒースランド王は過去にロニエに求婚したらしいが玉砕しているし、自分の娘の貞操を襲うような変態だがそれでも俺はロニエが無事だった事が全てだ。
ーーーなら、ヒムートさんはどうしますか?
ーーーさっき盛大にふったけど。ヒムートの好きにさせてあげたいな。
ヒムートは今まで変態親父に酷い目にあわされてたんだから少しは報われても良い筈だ。ヒムートが帰りたくないのなら別に帰らなくても良いと思う。
ーーーつまり。ヒカル様は、ヒムートさんをヒースランドに帰したくなく、ヒースランド王の処遇は何でも良いのですね。
ーーーロニエ。あんまり酷いことをするのは駄目だよ。
ーーー分かっています。ヒカル様。ここはロニエに任せてください。
心での作戦会議を終えて会議室にいるメンバーを見る。
「ヒムートさんは国賓として迎え入れましょう。ヒースランド王は戦死したことにします」
「戦死で良いの?」
「はい。ヒムートさんにヒースランド王が何をしたのか公言してもらえれば特に問題はありません。他国との軋轢も起きないでしょう。そして問題なのは千人のヒースランド兵ですが.......」
ジークがたった一人で薙ぎ倒した捕虜達のことだ。確かに良く考えるとそんなに沢山の捕虜を養うことなど出来ない。
「一番簡単なのは奴隷にしてしまう事ですが.......」
「それは駄目だよ」
「というので、仕方ありません。解放しましょう」
ロニエの話はこうだった。まず大方の兵士を解放してヒースランド王国に今回の事件の全容を伝える。その際にこちらに戦争する意思は無いことを伝えて、再度話し合いを求める胸の伝書を送る。ヒムートが居ることも伝える。
問題があるのか無いのか、俺には分からないけど非人道的な事をする訳では無いので反対する必要は無い。しかし一人だけロニエの考えに異を唱えた。
「女王。それでは戦争になる可能性がありますぞ」
「分かっています。それでもヒカル様は捕虜を傷つける事も、ヒースランド王を殺す事もヒムートさんを政治的に利用することも望まないのです。ジークさんを使って戦争をしないようにです」
口を挟むつもりは無かったけど少し気になってた事があるので聞くことにする。
「ジークって、実際どれくらい強いの?」
返事は沈黙で返された。なのでロニエ聞く。
ーーーなんかまずい事を聞いたかな?
ーーーいえ。ヒカル様は違う世界から来たので知らなくて当然ですよ。
「ジークさん。ヒカル様の質問に答えてくれますか?」
「.......そうですな。私の強さと言うより。ヒカル王には剣王の意味を説明した方が良いでしょうな」
ジークは語った。剣王について。剣王の称号はどうやらこの世界で最強の剣士に贈られる称号らしい。色々と説明されたけど要約するとそういうことだ。そこでもう一つの疑問が頭を過ぎる。
「じゃあ何で剣王があんな街道のノートン達が倒せる。イノシシに苦戦してたの?」
「恥ずかしい話ですが、あの時点で私は既にかなりの損耗をしてました」
「何で?」
「まず大量の追っ手に追われて寝ることもままなりませんでしたな。それにあの魔物に会う前に伝説の魔物グランドドラゴンに襲われまして負傷してしまったのです。とても満足に戦うことは出来ませんでしたな」
そういう事情があったのか。グランドドラゴンがどれくらい強いのか知らないけども、怪我をしていたのは確かだ。
ーーー痛そうでしたからね。
「ジークは今まで通り普通の国民で良いの?」
「そうですな~。畑仕事を辞めるつもりは有りませんが、やはり剣の道を捨てたくも有りませんな」
「そうだよね。せっかく頑張って世界一の強さを手に入れたんだからね.......。ジークは道場でも開けば?」
パッと思い浮かんだ事を良く考えもせずに言う。
「道場とは何ですか?」
「ああ。ごめん。その前にジークはもう戦争とかしたくないんだよね」
「そうですな」
「でも剣を置くことはしたくないんだよね」
「めんどくさいですね」
ロニエが口を挟むが無視。
ーーーヒカル様ぁ! 無視は酷いです。
ーーー.......ロニエ。俺のこと以外にも興味持とうよ。
ロニエは俺以外の事に対して雑過ぎる。今も色々と考えて居るけどそれは全て俺の為に考えてるだけだ。それは良いことなのか.......ロニエを縛っているのかも知れない。頭に過ぎるのは過去何度も思った事だ。俺がロニエと結婚してから考えないようにしてきた事だ。
それは、俺とロニエは本当に一緒にいて良いのかどうかだ。一緒に居ることで俺達は少し依存し過ぎてるのかも.......。ロニエ?
ーーー.......何ですか?
ーーー何も言わないの?
ーーー言ったらまた、ヒカル様の考えがずれてしまいます。ロニエはヒカル様の考えを邪魔するみたいですから。
ロニエが俺の考えを邪魔する? ロニエの存在が俺の考えを邪魔してる。そうかもしれない。何時からか、俺はロニエが居ないと何も出来ないようになっていた。考える事も何もかもそれはある意味呪い。ロニエの存在が呪い。って。ふざけるな!! ロニエが呪いな訳が無い。もうやめよう。
ーーーごめんね。ロニエ酷いことを考えて。
ーーー.......ヒカル様にとって.......いえ。ロニエはヒカル様のロニエですよ。
考えてしまった事を頭から切り離すためにジークを見る。
「道場ってのはね。剣を教える場所の事だよ」
「私が剣を教えるそれは考えもしなかったですな」
「きっと沢山教えて欲しいって来るよ。最強の剣士に教われるんだからね。勿論、慈善家じゃないからねある程度お金を貰って良いんだよ」
「剣を教えて生きるのですな。それは良さそうですな。やってみますぞ」
「うん。最初はノートン達にも参加してもらえば良いよ。復興も進むかもね」
ジークに剣を教えて貰うために全国から剣士達が天野の国に来る。かなり良い案では無いだろうか?
「ジークさん。教えるのは天野の国民限定でお願いします」
「わかりました」
ロニエが補填してくれるから.......。
「ロニエ。大好きだよ」
「ヒカル様。また不安になってしまったのですね。大丈夫ですよ。ロニエはここに居ますよ。ヒカル様の側にずっと居ますよ」
「うん。居なくならないで。例えそれが間違いであっても」
もう分かってる。ロニエと俺は確実に依存しあっている。これは良いことでは無いのも分かってる。一度距離を置くべきなのももう分かってる。でもそれは嫌だ。子供みたいな理由だけど。ただ嫌だ。
「大丈夫ですよ。ヒカル様。ロニエとヒカル様なら間違っていても必ず幸せにたどり着けます」
ーーーだって天国から帰ってこれたでは無いですか。
確かにあの時は間違いだらけだった。そもそもロニエと結婚してはいけなかったのに、結婚してしまった。そして
ーーー離婚しないと一度ヒカル様と離れないと出れない筈だったのに、ヒカル様は離婚してくれませんでした。
そう。最後の最後でそれをやめた。お陰で十年も天国に居ることになったが。それでも今は
ーーーはい。ロニエは幸せです。
ーーーうん。俺も幸せだよ。
だから離れる必要など無いのだ。例えそれが間違っていたとしても、俺とロニエなら幸せにたどり着けるのだから。
「ヒースランドの対要はロニエの言う通りにするよ。ヒースランド兵は殆どを解放する。その時にジークの力が必要だよ」
「はい。お任せを」
「そして、ヒムートは国賓として迎えるよ。もしそれで戦争になりそうになったら国を捨ててでも生き残らないと駄目だよ」
「へい」
「そしてヒースランド王を死んだ事にするのは良いけどその後はどうするつもり?」
「そうですね。解放する訳にはいけませんから。しばらく拘留しておきましょう」
「うん。分かった。じゃあ皆。事後処理はこれぐらいにしようか」
そういって皆が背筋を伸ばしたので。
「そうそう、思ったんだけどね」
と切り出した。
ーーー何も思って無いじゃないですか!
ーーーうん。でも思ったんだよ。お風呂作ろうって。この世界お風呂有るんだっけ?
ーーー温水に浸かる事はありますが、大体は冷水で身を清めます。
ーーーロニエが身を清めるとか言うと何か興奮するよ。
ーーーそれはヒカル様がエッチなだけです。
しかし、この国は水の豊富な国では無い。川は遠いし、井戸も無い。つまり。
「ノートン。川の水を引っ張って来れる?」
「ボス。それは今の人数では無理ですぞ」
無理らしい。でも諦めない。お風呂が無い国に誰が住んでくれるものか。
「なら。温泉を掘ろうよ。火山近くにあるから掘れば出て来ると思うんだよね」
「火山が近いと温泉が湧くのですか?」
「何と無く湧きそうな気がする。詳しくは知らないけど多分大丈夫だよ」
「なら大丈夫ですね」
ロニエが簡単に納得してくれた事に驚く。
「ノートンさん。必ず温泉を見つけてください。ヒカル様が有るといったらあるのです」
「ロニエボス。そりゃあ無茶ですぜ~」
「何か言いましたか?」
「何でも無いぜ。なぁヘワタ」
「ロニエちゃん恐いっす」
何故かヘワタがロニエの事をロニエちゃんと呼んでいるが可愛いから良いか。
「なるべく地下水がありそうな所を掘るんだよ。今度、皆で温泉掘り大会でもしようか」
「楽しそうですね」
「ロニエ。見つけたら一番風呂に一緒に入ろうね」
「はい。必ず見つけましょう」
さて、そろそろ会議を終わらせるとしようか。
「会議を終わらせるけど、何かある?」
と聞くとノートンが手を挙げた。
「ボス。俺も女が欲しいです」
「ロニエどう思う?」
「そうですね。頑張ってくださいとしか言えないです」
ノートンは何だろう。童貞なのかな? そんなに焦らなくてもいい子が見つかると思うけどな。
「ヒムートが狙い目だよ。ノートン。今。失恋で落ち込んでるから」
「ボスの女に手を出せね~よ」
「ヒムートは俺の女じゃない! 俺の女はロニエだけだよ」
「ヒカル様ぁ~。ロニエはヒカル様の女ですね」
何かロニエが喜び出した。頭を撫でてあげる。ふわふわしてて撫で心地が最高だ。
「ボス。俺にもボスにいい女が欲しいです」
「ロニエをいい女だと言ったのは良いことだけど.......。ノートンお前は間違っている。ロニエは女では無い」
「ヒカル様!?」
ロニエが何か青ざめてしまったけどそのまま頭を撫でる。撫でる度にロニエの良い匂いが鼻孔を刺激する。
「ロニエは最高の女の子だよ。そう簡単に、いや。ロニエクラスの女の子はこの世界に存在しない。諦めてくれ」
「ヒカル様~」
今度は甘えたような声でもじもじしはじめた。もじもじされるとアレが刺激される。ずっと入れっぱなしだったからそろそろ限界なんだけど。
ーーー良いですよ。
ーーー良いの?
ーーーヒカル様。ロニエはもう怒ってませんよ。そんなに気を使わなくても大丈夫ですよ。
ーーーでも俺ロニエに酷いことを.......
ーーーヒカル様何をしてもロニエはヒカル様が大好きなんですよ。気を使われてもロニエは困ってしまいます。何時も通りのヒカル様に戻ってください。
ーーーロニエ。俺、ロニエが大事過ぎてもう何かどうしていいか分からなくなってきたよ。
ーーー仕方ないですね。感情共有です。
ロニエの気持ちが伝わって来る。
ヒカル様の事が好きです。ヒカル様が居なくなってしまうのが恐いです。もっとヒカル様と繋がりたいです。ヒカル様に頭を撫でられのが好きです。ヒカル様に突然キスされるのが好きです。ヒカル様に気を使われるのは嫌です。ヒカル様が気持ち良さそうにしてるのが幸せです。ヒカル様が私の中に出してくれるの好きです。ヒカル様の匂いが好きです。ヒカル様がーーー
伝わって来るのは様々な感情。でもその全てが俺の事が好きだと言う気持ち。
ーーーロニエは何時も俺の事が大好きなんだね。
ーーーヒカル様もロニエの事が大好きですね。
ロニエの感情が俺に伝わったように俺の感情もロニエに伝わったようだ。
ーーーヒカル様。少しは安心出来ましたか?
ーーーうん。
ーーーならどうしますか?
問いに行動で返答する。すなわち精液を注入した。
ーーーヒカル様。それで良いのですよ。
ーーーロニエは可愛いな。
俺はロニエにしてもらった事を、そしてロニエの気持ちを全て返すことが出来るのだろうか?
ーーーヒカル様はもうずっと返してくれていますよ。
ーーーそうかな。貰ってばっかりな気がするけど。
ーーーヒカル様はロニエと結婚してくれました。ロニエにプロポーズしてくれました。ロニエを1番にしてくれました。ロニエに1番をくれました。そして今でもロニエを1番大切にしてくれています。これ以上の幸せがありますか?
ーーー俺はもっともっと、ロニエを幸せしたい。この世の全ての幸せをロニエに渡したい。
ーーーヒカル様。ロニエはヒカル様と一緒に居るだけで幸せなんですよ。
ーーー何でも無いような事が幸せなんだろうと思うよ。でももっと特別な幸せだってあげたいんだよ。
ーーーヒカル様。ロニエにとってはヒカル様とこうして幸せに生きてる事が既に特別なんですよ。
これは何度もあった平行線の気配。そうもやもやだ。だから考える。別に何かをする訳ではない。ロニエを説得したい訳でもない。
ーーー確かに俺もロニエと一緒に生きてる事が既に特別な幸せだよ。
ーーーそれで良いのですか?
ロニエの確認は俺のもやもやの正体に気付いているからだろう。今まではそれを言葉にしようとしてきたから当然だ。
ーーー別にロニエと意見が食い違っても毎回同じにしなくても良いじゃん。ロニエはロニエで俺は俺なんだから、俺はロニエの気持ちを理解できるし。ロニエだって俺の気持ちを理解できるんだからさ。
ーーー.......ヒカル様の気持ちを理解できてるのでしょうか?
ーーーロニエ。これからは何度だって間違えよう。でも必ずそれを二人で乗り越えよう。俺はもうそれが出来ると思うんだ。
ーーーそれは分かります。例え間違った回答でも、ロニエとヒカル様なら必ずそれを捩曲げて幸せの最高の回答に出来ます。
ーーーうん。だからこれからもよろしくねロニエ。
ーーーヒカル様。こちらこそよろしくお願いします。
決意を新たに俺達は生きる。間違えることをもう恐れない。間違えていいから前に進む。ロニエと二人で前に進む。俺達が死ぬその時まで。
ーーーーーー以外コメントーーーーーー
最近エッチな描写が少ないと不満を抱いてる人。諦めてください。そういう話では無いです。むしろエッチな描写とか書く気など無かったのです。対象年齢を前年齢向けに書いてた筈だったんですが。
そもそも最初は異世界ハーレムを書きたかったのに、冒険あり戦闘ありの冒険譚です。どこをどう間違ったのか分かりません。この話がどこに向かっているのかももう本気で分かりません。ロニエと光の行動次第では普通にデッドエンドもあります。そういう心構えでこの先を読んでくれると嬉しいです。
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「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
【R18】追放される宿命を背負った可哀想な俺、才色兼備のSランク女三人のハーレムパーティーから追放されてしまう ~今更謝ってきても
ヤラナイカー
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【R18】段階飛ばしの異世界転移ヤンキーと乙女たち~エッチ1回ごとにお互いLv1アップして異世界を最下層から駆け上がる
アニッキーブラッザー
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異世界に転移しても好きなことをヤッて生きていく。
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大衆娯楽
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