ラブラブまじっくプリンセス? のーせれくとっ!

「ハジメさま。内容紹介をしてください」

 いきなり連れて来られたと思ったら……

「なんで俺ですか? お姫サマ」
「主人公だからです。貴方さま」

 俺が? 特別な力も特殊な能力も強い個性もない、普通の高校二年生の俺が!?
 ……何だそれ、絶対に面白くねぇ~だろ。
 でも、お姫サマにやれと言われたらやるしかないか。
 だって彼女、本物のお姫様だし。

 しかも、魔法の世界から日本にやってきたまじっくプリンセス。
 粗相をしたら冗談抜きで処刑される。

「仕方ないですね。やりますよ。でも、いきなり言われても困るんですが……カンペください」
「そんなものはありません。が……私がサポート致します」
「チェンジ! ニフネくーんっ! コネコちゃーんっ! へるぷ!」
「無駄です。私とあなた以外は、ここに来れません」

 ……なん……だと!?
 
「では先ずは、この作品の良いところを――」
「そんなものはない!」
「……」

 普通の高校生を主人公にした小説が面白い訳がない。
 と言うか、俺の心を不特定多数のキモい奴に、覗かれたくない!
 どんな羞恥プレイだ!

「うん。絶対、誰も読むなよ!」
「本当に、誰も読んでくれませんよ?」
「構わない」
「……そろそろ真面目にやってくれませんか?」
「俺は何時だって真面目だ!」
「……」

 ん? お姫サマが拳を握って――

「ごぶぅ!」

 俺を! 主人公の俺を殴りやがった!

「では、駄主人公の代わりに、この作品のメインヒロイン。エルティア・エル・エルメテルが内容を紹介致します」

 こんな奴、ヒロインじゃない。
 俺の話にヒロインなんて要らない!

「私が魔法の国から交流の為、日本の高校へ転入、致します」
「そして、お姫サマはボッチになります」
「為りません。そこで、この駄主人公様に出会います」
「俺に一目惚れします」
「有り得ません。一目惚れするのもボッチになるのはあなたです」
「為らないし、有り得ない。俺はお前が! 大嫌いなんだ!」
「~~っ! 私だって貴方が大嫌いですっ!」
「と、言いながら、このお姫サマは作中、俺にメロメロになります。告白してきます。フラれます。終わり」
「と、このお方は気取っておりますが、作中、鼻水を垂らしてみっともなく泣きわめきます。逆ギレしてきます。逃げまくります。私にメロメロになります。終わります」
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