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文化祭 その10
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文化祭 その10
『パブリックブレイク現象』とは。
ストレスの積み重ねによって、普通の社会人がある日、突然、発狂して怪物や異能者になってしまう現象の事である。
政府は、このパブリックブレイク現象で怪物もしくは、異能者になってしまった人間を、『パブリックモンスター』と命名した。
竹田と『K国』のテロリスト・チュンシクのデートを遠くから見守る俺と部長と副部長。
文化祭の出し物にも目もくれず、屋上に向かった二人を見て、部長が突然持論を展開しまくってセッ●ス‼と騒ぎ始める。
そして、そのノリに便乗した俺は部長に裏切られ、屋上のベンチで話している竹田とチュンシクに目を向ける。
「竹田君は、今のこの世の中をどう思う?」
「世の中?ああ、うん、なんかパブリックブレイク現象のせいで、たぶんもうすぐ、人類が絶滅しちゃう的な話ならよく聞くけど、うん、よくわからん」
「私はね、この世界がキライ」
「なんで?」
「この世界のありとあらゆるものが『お金』で成立してるからよ、愛も物も食料も、お金があれば全部手に入る。それは逆に、お金がないと、この世界ではなにも手に入れることができないってこと、こんな不条理な世の中を勝手に押し付けて私を捨てた両親を私は絶対に許さない...」
「親に捨てられたの?」
「うん、私が異能者タイプのパブリックモンスターであることを知った両親は、私を軍に売ったの、それからはもう訓練の日々よ...私達が頑張っても、どうせ人類は絶滅するのにね...ホントバカみたい...おまけに私たちのK国は発展途上国だから、ごはんも全然食べられない、だからね、最後ぐらいは男の子と恋愛してみたかったのよ」
「なんか、色々と大変なんだね、でもその最後の相手が俺でいいの?」
「いいわよ、別に、どうせ、パブリックモンスターと付き合ってくれる男なんているわけないし、君も、怖くなったのなら、ここから逃げてもいいのよ」
「わかるよ、その気持ち。俺もこんな見た目だからさ、みんなにモンスター扱いされてる、それで、気付いたんだ、俺このままだと一生、女と付き合えないまま死ぬんだなって...だから俺はやけになって出会い系サイトに登録して、君を金で買った。もう女と付き合えればなんでもいいってね」
「なんか似てるわね、私達」
「似てないよ、チュンシクは俺と違ってとても見た目がまともだ、それに美人だし...」
「美人でもパブリックモンスターよ、一生、差別の対象として生きていかなくちゃならない...」
「俺の知り合いに山神ムサシって奴がいるんだ、ムサシに頼めば、パブリックモンスターから人間に戻れるかも!」
「いいの?人間に戻ったら竹田君みたいなブスなんて見捨てて、イケメンの彼氏つくっちゃうわよ」
「いいよ、別に、俺、本当はわかってる、出会い系サイトに登録して金で買った愛なんか意味がないって、でも君はこにままだとあまりにも救いなさすぎる...」
「ごーめん、さっきの冗談。私、人間に戻るつもりないよ」
「え?」
「人間に戻っても、私がテロリストであることには変わりはないもの、PGS(パブリックガーディアンズ)に捕まるぐらいなら最後まで自分の能力で抵抗して戦い続けるわ...それに私の両親、どうやらこの国に移住したみたいなの、だからPGSに殺される前に復讐もしておきたいしね、だから能力を捨てて、人間に戻るつもりはないわ...」
「やっぱり、君はファヨムの知り合いなんだね?」
「どうして、ファヨムを知ってるの?」
「この前、うちの学校を襲ったんだよ、でもムサシの力で能力を失って普通の人間に戻ってしまった...」
「そう、ファヨムのやつ、人間に戻れたのね...」
「うん、でもそのあと自殺した...」
「そう...じゃあ、ファヨムはそのムサシってやつのせいで死んだのね...」
「まさか本当に知らなかっただなんて...」
「どういう意味?」
「俺はてっきり、君がムサシと関りのある俺に近づいたのは、仲間の仇うちをするためだと思ってたんだ...」
「それは、違うわ。私は別に君をだますつもりはなかった。それで、そのムサシはどこ?」「ムサシを恨むのは、すこし、違うと思う...」
「......そうね、そう言われてみれば、先にあなた達を襲ったのはファヨムだもんね、でもファヨムは、私と同じ境遇で軍隊で一緒に戦っていた友達だったのよ...」
次の瞬間、屋上を激しい揺れが襲う。
そして、屋上におにぎりカフェのメイド服を身にまとった大地の断罪剣士・工藤リンカが入ってきた。
リンカの突然の出現に俺と部長が驚愕する。
「工藤リンカ...どうしてここに...」
「メイド服着てるってことは、あの子、ちゃんとおにぎりカフェの店番やってたのね、見直したわ...」
「見直してる場合じゃないですよ、おそらくリンカの狙いは...」
メイド姿のリンカが竹田とチュンシクに告げる。
「まさか、この底辺高の文化祭でテロリストに、また遭遇するとはね、ああ、どうしてここがわかったのって顔してますね...この底辺高には学園のスタッフのふりをしたPGSのスタッフが何人かいるんです、つまり通報を受けて、ここにきたってことです」
チュンシクが恐るおそるリンカに訪ねる。
「また遭遇って...文化祭に私の仲間が来ていたの?」
「ええ来てましたよ、カルってやつが、あともうちょっとでダルマにして捕虜できそうだったんですけどね、なんか勝手に自殺しました、というより、あなたのお仲間はそろいもそろって拳銃自殺がお好きですね、『K国』じゃ自殺が流行ってるんですか?」
「ごめん竹田君...」
「チュンシク...?」
「ファヨムのことはともかく...アイツは...アイツだけは...ちょっと許せないかも...」
チュンシクの言葉を聞いたリンカが問う。
「許して欲しいと私があなたに頼みましたか?」
「そうね...頼まれてないなら、むしろ好都合かもね...」
工藤リンカが屋上に大地での断罪剣ガイアセイバーを出現させる。
大地の断罪剣ガイアセイバーが屋上の地面に突き刺さる。
断罪剣ガイアセイバーがリンカに語りかける。
『さぁ、ぬきなさい...』
地面から大地の断罪剣ガイアセイバーの大剣を引き抜いてリンカがチュンシクに襲いかかる。
そして、リンカの振るった大剣がチュンシクに直撃する寸前に、山神ムサシの生命の断罪剣ライフセイバーが受け止める。
「なにするんですか!やめてください!」
「また、あなたですか...山神ムサシ...そういえば、先程、殴られた件のお返しをまだできてませんでしたねぇ...」
「ヨシノのメイド服でチャラじゃなかったのかよ...」
次回予告 文化祭 その11
『パブリックブレイク現象』とは。
ストレスの積み重ねによって、普通の社会人がある日、突然、発狂して怪物や異能者になってしまう現象の事である。
政府は、このパブリックブレイク現象で怪物もしくは、異能者になってしまった人間を、『パブリックモンスター』と命名した。
竹田と『K国』のテロリスト・チュンシクのデートを遠くから見守る俺と部長と副部長。
文化祭の出し物にも目もくれず、屋上に向かった二人を見て、部長が突然持論を展開しまくってセッ●ス‼と騒ぎ始める。
そして、そのノリに便乗した俺は部長に裏切られ、屋上のベンチで話している竹田とチュンシクに目を向ける。
「竹田君は、今のこの世の中をどう思う?」
「世の中?ああ、うん、なんかパブリックブレイク現象のせいで、たぶんもうすぐ、人類が絶滅しちゃう的な話ならよく聞くけど、うん、よくわからん」
「私はね、この世界がキライ」
「なんで?」
「この世界のありとあらゆるものが『お金』で成立してるからよ、愛も物も食料も、お金があれば全部手に入る。それは逆に、お金がないと、この世界ではなにも手に入れることができないってこと、こんな不条理な世の中を勝手に押し付けて私を捨てた両親を私は絶対に許さない...」
「親に捨てられたの?」
「うん、私が異能者タイプのパブリックモンスターであることを知った両親は、私を軍に売ったの、それからはもう訓練の日々よ...私達が頑張っても、どうせ人類は絶滅するのにね...ホントバカみたい...おまけに私たちのK国は発展途上国だから、ごはんも全然食べられない、だからね、最後ぐらいは男の子と恋愛してみたかったのよ」
「なんか、色々と大変なんだね、でもその最後の相手が俺でいいの?」
「いいわよ、別に、どうせ、パブリックモンスターと付き合ってくれる男なんているわけないし、君も、怖くなったのなら、ここから逃げてもいいのよ」
「わかるよ、その気持ち。俺もこんな見た目だからさ、みんなにモンスター扱いされてる、それで、気付いたんだ、俺このままだと一生、女と付き合えないまま死ぬんだなって...だから俺はやけになって出会い系サイトに登録して、君を金で買った。もう女と付き合えればなんでもいいってね」
「なんか似てるわね、私達」
「似てないよ、チュンシクは俺と違ってとても見た目がまともだ、それに美人だし...」
「美人でもパブリックモンスターよ、一生、差別の対象として生きていかなくちゃならない...」
「俺の知り合いに山神ムサシって奴がいるんだ、ムサシに頼めば、パブリックモンスターから人間に戻れるかも!」
「いいの?人間に戻ったら竹田君みたいなブスなんて見捨てて、イケメンの彼氏つくっちゃうわよ」
「いいよ、別に、俺、本当はわかってる、出会い系サイトに登録して金で買った愛なんか意味がないって、でも君はこにままだとあまりにも救いなさすぎる...」
「ごーめん、さっきの冗談。私、人間に戻るつもりないよ」
「え?」
「人間に戻っても、私がテロリストであることには変わりはないもの、PGS(パブリックガーディアンズ)に捕まるぐらいなら最後まで自分の能力で抵抗して戦い続けるわ...それに私の両親、どうやらこの国に移住したみたいなの、だからPGSに殺される前に復讐もしておきたいしね、だから能力を捨てて、人間に戻るつもりはないわ...」
「やっぱり、君はファヨムの知り合いなんだね?」
「どうして、ファヨムを知ってるの?」
「この前、うちの学校を襲ったんだよ、でもムサシの力で能力を失って普通の人間に戻ってしまった...」
「そう、ファヨムのやつ、人間に戻れたのね...」
「うん、でもそのあと自殺した...」
「そう...じゃあ、ファヨムはそのムサシってやつのせいで死んだのね...」
「まさか本当に知らなかっただなんて...」
「どういう意味?」
「俺はてっきり、君がムサシと関りのある俺に近づいたのは、仲間の仇うちをするためだと思ってたんだ...」
「それは、違うわ。私は別に君をだますつもりはなかった。それで、そのムサシはどこ?」「ムサシを恨むのは、すこし、違うと思う...」
「......そうね、そう言われてみれば、先にあなた達を襲ったのはファヨムだもんね、でもファヨムは、私と同じ境遇で軍隊で一緒に戦っていた友達だったのよ...」
次の瞬間、屋上を激しい揺れが襲う。
そして、屋上におにぎりカフェのメイド服を身にまとった大地の断罪剣士・工藤リンカが入ってきた。
リンカの突然の出現に俺と部長が驚愕する。
「工藤リンカ...どうしてここに...」
「メイド服着てるってことは、あの子、ちゃんとおにぎりカフェの店番やってたのね、見直したわ...」
「見直してる場合じゃないですよ、おそらくリンカの狙いは...」
メイド姿のリンカが竹田とチュンシクに告げる。
「まさか、この底辺高の文化祭でテロリストに、また遭遇するとはね、ああ、どうしてここがわかったのって顔してますね...この底辺高には学園のスタッフのふりをしたPGSのスタッフが何人かいるんです、つまり通報を受けて、ここにきたってことです」
チュンシクが恐るおそるリンカに訪ねる。
「また遭遇って...文化祭に私の仲間が来ていたの?」
「ええ来てましたよ、カルってやつが、あともうちょっとでダルマにして捕虜できそうだったんですけどね、なんか勝手に自殺しました、というより、あなたのお仲間はそろいもそろって拳銃自殺がお好きですね、『K国』じゃ自殺が流行ってるんですか?」
「ごめん竹田君...」
「チュンシク...?」
「ファヨムのことはともかく...アイツは...アイツだけは...ちょっと許せないかも...」
チュンシクの言葉を聞いたリンカが問う。
「許して欲しいと私があなたに頼みましたか?」
「そうね...頼まれてないなら、むしろ好都合かもね...」
工藤リンカが屋上に大地での断罪剣ガイアセイバーを出現させる。
大地の断罪剣ガイアセイバーが屋上の地面に突き刺さる。
断罪剣ガイアセイバーがリンカに語りかける。
『さぁ、ぬきなさい...』
地面から大地の断罪剣ガイアセイバーの大剣を引き抜いてリンカがチュンシクに襲いかかる。
そして、リンカの振るった大剣がチュンシクに直撃する寸前に、山神ムサシの生命の断罪剣ライフセイバーが受け止める。
「なにするんですか!やめてください!」
「また、あなたですか...山神ムサシ...そういえば、先程、殴られた件のお返しをまだできてませんでしたねぇ...」
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