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裏切り者 その4
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裏切り者 その4
『パブリックブレイク現象』とは。
ストレスの積み重ねによって、普通の社会人がある日、突然、発狂して怪物や異能者になってしまう現象の事である。
政府は、このパブリックブレイク現象で怪物もしくは、異能者になってしまった人間を、『パブリックモンスター』と命名した。
工藤リンカは大地の断罪剣ガイアセイバーで作り出した、石と土で出来た巨大な竜で、あえて、ヨシノを襲った。
レオンは、姉のヨシノが自分のせいで傷つき、死にかける姿がストレスとなり、再び、パブリックモンスターになり、暴走する。
ここまでが、すべて、工藤リンカの作戦だったのだ。
レオンを殺すのに十分な理由を作り出した、工藤リンカは、断罪剣ガイアセイバーの『パブリック・クラッシュ』で暴走したレオンを消滅させる。
暴走したレオンから、ヨシノを守った工藤リンカの頬に、ヨシノのビンタが直撃した。
「ひどいなぁ...私がせっかく、先輩のこと、助けてあげたのに...」
「アンタがわざと、レオンをパブリックモンスターにしたんでしょ!」
「バレちゃいました?」
ヨシノが再び、リンカの頬に向かって右手を伸ばす。
しかし、リンカがヨシノの右手を腕をつかみ、ビンタの直撃を阻止する。
「ダメですよ、先輩、友達の顔を殴るなんて...」
リンカはヨシノ右手を愛しそうに頬ずりをする。
「おい、おかっぱメガネ...」
ヨシノの背後に、山神ムサシが立っていた。
「おや、てっきり気絶していたと思っていたんですが...」
山神ムサシが断罪剣ライフセイバーをリンカに向かって突きつける。
「どうして、レオン君をパブリックモンスターにした...どうしてレオン君を殺した...!」
「今となっては、その議論に意味があるとは思えませんが...」
山神ムサシが断罪剣ライフセイバーをリンカに向かって振り下ろす。
しかし、リンカの断罪剣ガイアセイバーが振り下ろされた断罪剣ライフセイバーを受け止める。
リンカの膝蹴りがムサシの腹部に直撃する。
「どうやら、あなたは、断罪剣士との戦いは初めてのようですね...斬り合いだけが、戦いだと思っているなら、大間違いですよ」
リンカの拳や蹴りが俺の全身に直撃する。
「山神ムサシ、あなたが何度、断罪剣の力で、パブリックモンスターを人間に戻しても、さっきのレオンのように、再びパブリックモンスターになってしまえば、あなたの努力は無駄になる。つまり、あなたの戦いは、はっきり言って無意味です、あなたの断罪剣は悲劇を繰り返すことしかできない」
リンカの足がムサシの頭部を踏みつける。
「おねがい、リンカ!もう、やめて!」
「ヨシノ先輩、降参しないのであれば、このまま山神ムサシを痛めつけます」
「PGSは断罪剣士を殺さないんじゃなかったの?」
「その通りです、でも、場合によっては両手足を切断した状態で生かすことも可能です」
「わかったわ...降参する...もう、レオンもいなくなっちゃったしね...」
「ヨシノ、ダメだァ!PGSに戻ったら、何をされるかわからんぞ...ゴフッ!」
「よくしゃべるゴミですねぇ」
「安心して山神ムサシ、さっき言った通り、PGSは断罪剣を使える人間を特別視しているから、私は死なないわ...」
「では、迎えのヘリが来るまで、楽しませてもらいましょうか」
「リンカ!約束が違うわよ!」
「この男のせいで、ヨシノ先輩が変わってしまった...」
地面に仰向けに倒れた状態のムサシが勝ち誇った笑みを浮かべながら、自分を見下ろすリンカに告げる。
「白...!」
「白...?きゃあぁぁぁぁッ!」
ムサシに下からスカートの中を覗かれていた事に気付いたリンカが、断罪剣ガイアセイバーをムサシの頭部に向かって突き刺そうとする。
「リンカ!だめぇぇぇぇぇッ!」
次の瞬間、リンカの全身を竜巻が包む。
「くっ...前が見えない」
戦闘音に気付いて駆けつけた、風の断罪剣士、風見マイカがボロボロになったムサシを肩に担いで、飛翔する。
「空を飛んでいる...そうか、あれが風の断罪剣士...風見マイカ...」
肩にムサシを担いだマイカが、リンカとヨシノから遠ざかっていく。
疾風の断罪剣フーガセイバーの力で空を飛んでいるマイカがムサシに問いかける。
「ムサシ君、どうして、私を誘ってくれなかったのよ...」
「一応、電話...したんですけど...なにしてたんですか?」
「部室で、副部長とアニメ見てた」
死んでしまえ。
「部長...レオン君...ダメでした...。俺が今まで、やってきたことって、全部、無意味だったんでしょうか...?」
「バカね、竹田君から聞いたわよ」
「なにをですか?」
「ムサシ君が、断罪剣ライフセイバーの力で、パブリックモンスターになってしまった竹田君や、アキちゃんを人間に戻したことよ。その二人だけじゃない、ムサシ君は私の友達の金子さんも人間に戻してくれた、あなたは、断罪剣の力で、みんなの『今』を作ったのよ...」
「『今』?」
「そう。ムサシ君がパブリックモンスターだったレオン君を一度だけ、人間に戻したおかげで、ヨシノは両親の死の真相を知ることができた。それがきっかけで、それまで憎み合っていた姉弟が、ほんの少しの間だけ、分かり合えた。その『今』を作ったのは、ムサシ君なのよ」
「でも、先輩は、俺が命懸けで戦ってた時、部室で副部長とアニメ、見てたんですよね?」「うん、なんか脚本はアレだったけど、作画がすごかったよ」
そういうこと、聞いてんじゃねぇんだよ。
「でも、私が戦闘音に気付いて、駆けつけてなかったら、ムサシ君、多分、死んでたでしょ?」
「まぁ、そうなっちまいますね...」
工藤リンカ...アイツはPGSのルールで断罪剣士の殺害が禁止されていることを知っていながら、俺を本気で殺そうしてきた...。
「とりあえず、ムサシ君は、よく頑張ったわよ...」
俺は部長の言葉に、心の底から、感謝した。
次回予告 歓迎会 その1
『パブリックブレイク現象』とは。
ストレスの積み重ねによって、普通の社会人がある日、突然、発狂して怪物や異能者になってしまう現象の事である。
政府は、このパブリックブレイク現象で怪物もしくは、異能者になってしまった人間を、『パブリックモンスター』と命名した。
工藤リンカは大地の断罪剣ガイアセイバーで作り出した、石と土で出来た巨大な竜で、あえて、ヨシノを襲った。
レオンは、姉のヨシノが自分のせいで傷つき、死にかける姿がストレスとなり、再び、パブリックモンスターになり、暴走する。
ここまでが、すべて、工藤リンカの作戦だったのだ。
レオンを殺すのに十分な理由を作り出した、工藤リンカは、断罪剣ガイアセイバーの『パブリック・クラッシュ』で暴走したレオンを消滅させる。
暴走したレオンから、ヨシノを守った工藤リンカの頬に、ヨシノのビンタが直撃した。
「ひどいなぁ...私がせっかく、先輩のこと、助けてあげたのに...」
「アンタがわざと、レオンをパブリックモンスターにしたんでしょ!」
「バレちゃいました?」
ヨシノが再び、リンカの頬に向かって右手を伸ばす。
しかし、リンカがヨシノの右手を腕をつかみ、ビンタの直撃を阻止する。
「ダメですよ、先輩、友達の顔を殴るなんて...」
リンカはヨシノ右手を愛しそうに頬ずりをする。
「おい、おかっぱメガネ...」
ヨシノの背後に、山神ムサシが立っていた。
「おや、てっきり気絶していたと思っていたんですが...」
山神ムサシが断罪剣ライフセイバーをリンカに向かって突きつける。
「どうして、レオン君をパブリックモンスターにした...どうしてレオン君を殺した...!」
「今となっては、その議論に意味があるとは思えませんが...」
山神ムサシが断罪剣ライフセイバーをリンカに向かって振り下ろす。
しかし、リンカの断罪剣ガイアセイバーが振り下ろされた断罪剣ライフセイバーを受け止める。
リンカの膝蹴りがムサシの腹部に直撃する。
「どうやら、あなたは、断罪剣士との戦いは初めてのようですね...斬り合いだけが、戦いだと思っているなら、大間違いですよ」
リンカの拳や蹴りが俺の全身に直撃する。
「山神ムサシ、あなたが何度、断罪剣の力で、パブリックモンスターを人間に戻しても、さっきのレオンのように、再びパブリックモンスターになってしまえば、あなたの努力は無駄になる。つまり、あなたの戦いは、はっきり言って無意味です、あなたの断罪剣は悲劇を繰り返すことしかできない」
リンカの足がムサシの頭部を踏みつける。
「おねがい、リンカ!もう、やめて!」
「ヨシノ先輩、降参しないのであれば、このまま山神ムサシを痛めつけます」
「PGSは断罪剣士を殺さないんじゃなかったの?」
「その通りです、でも、場合によっては両手足を切断した状態で生かすことも可能です」
「わかったわ...降参する...もう、レオンもいなくなっちゃったしね...」
「ヨシノ、ダメだァ!PGSに戻ったら、何をされるかわからんぞ...ゴフッ!」
「よくしゃべるゴミですねぇ」
「安心して山神ムサシ、さっき言った通り、PGSは断罪剣を使える人間を特別視しているから、私は死なないわ...」
「では、迎えのヘリが来るまで、楽しませてもらいましょうか」
「リンカ!約束が違うわよ!」
「この男のせいで、ヨシノ先輩が変わってしまった...」
地面に仰向けに倒れた状態のムサシが勝ち誇った笑みを浮かべながら、自分を見下ろすリンカに告げる。
「白...!」
「白...?きゃあぁぁぁぁッ!」
ムサシに下からスカートの中を覗かれていた事に気付いたリンカが、断罪剣ガイアセイバーをムサシの頭部に向かって突き刺そうとする。
「リンカ!だめぇぇぇぇぇッ!」
次の瞬間、リンカの全身を竜巻が包む。
「くっ...前が見えない」
戦闘音に気付いて駆けつけた、風の断罪剣士、風見マイカがボロボロになったムサシを肩に担いで、飛翔する。
「空を飛んでいる...そうか、あれが風の断罪剣士...風見マイカ...」
肩にムサシを担いだマイカが、リンカとヨシノから遠ざかっていく。
疾風の断罪剣フーガセイバーの力で空を飛んでいるマイカがムサシに問いかける。
「ムサシ君、どうして、私を誘ってくれなかったのよ...」
「一応、電話...したんですけど...なにしてたんですか?」
「部室で、副部長とアニメ見てた」
死んでしまえ。
「部長...レオン君...ダメでした...。俺が今まで、やってきたことって、全部、無意味だったんでしょうか...?」
「バカね、竹田君から聞いたわよ」
「なにをですか?」
「ムサシ君が、断罪剣ライフセイバーの力で、パブリックモンスターになってしまった竹田君や、アキちゃんを人間に戻したことよ。その二人だけじゃない、ムサシ君は私の友達の金子さんも人間に戻してくれた、あなたは、断罪剣の力で、みんなの『今』を作ったのよ...」
「『今』?」
「そう。ムサシ君がパブリックモンスターだったレオン君を一度だけ、人間に戻したおかげで、ヨシノは両親の死の真相を知ることができた。それがきっかけで、それまで憎み合っていた姉弟が、ほんの少しの間だけ、分かり合えた。その『今』を作ったのは、ムサシ君なのよ」
「でも、先輩は、俺が命懸けで戦ってた時、部室で副部長とアニメ、見てたんですよね?」「うん、なんか脚本はアレだったけど、作画がすごかったよ」
そういうこと、聞いてんじゃねぇんだよ。
「でも、私が戦闘音に気付いて、駆けつけてなかったら、ムサシ君、多分、死んでたでしょ?」
「まぁ、そうなっちまいますね...」
工藤リンカ...アイツはPGSのルールで断罪剣士の殺害が禁止されていることを知っていながら、俺を本気で殺そうしてきた...。
「とりあえず、ムサシ君は、よく頑張ったわよ...」
俺は部長の言葉に、心の底から、感謝した。
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