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リンクセンター石間
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リンクセンター石間
私の名前は奈良見ルナ、リンクセンター石間の責任者である。
石間さんの発動した『最後の断罪陣』によって、断罪王現象の元凶である桜原カエデは消滅した。
そして、それと同時に全ての力を使い果たした、石間さんも死んでしまった。
石間さんの発動した『最後の断罪陣』の内側にいたカエデの信者たちは全員、断罪者(社会不適合者)の状態から正常な状態に戻り、断罪者収容所に収監された。
ちなみに新生『孤影』が占拠した国会政議事堂で無事が確認された林カレイも、ほかの信者と共に断罪者収容所に収監され、社会復帰に向けて、リハビリを続けている。
これにより、カエデが率いていた新生『孤影』は壊滅した。
石間さんの発動した『最後の断罪陣』により、世界中の『多くの断罪者(社会不適合者)』が正常な状態に戻ることができた。
しかし、それは、『最後の断罪陣』の内側にいた全ての断罪者(社会不適合者)が正常な状態に戻ることができたわけではないということだ。
これは、あくまで私の仮説だが、林マスニの狂撃毒波動により、瀕死状態に陥った石間さんは自分の体内にある莫大な狂撃波動の一部を使って、自らを蘇生させた。
蘇生の際に使用した莫大なエネルギーの消費が原因で『最後の断罪陣』が完全な状態で発動されなかったのではないかと、私は考えている。
とにかく、まだ世界中には昔ほどではないが、断罪者(社会不適合者)は存在しているし、私たちリンクマスターはまだ、この世界に必要とされている。
*
俺の名前は山下テツヤ。
俺は今、かつて超能力研究部の部室として使われていた、掃除用具の収納などを目的とした空き家の中にいる。
もちろん俺は在校生ではないので、俺のしていることは不法侵入ということになる。
俺は両手に軍手をした状態で部室の床を一部、はがす。
そして、シャベルを両手に持って床下の土を掘る。
掘り続けること、数分後、北原キョウジの白骨遺体が見つかった。
北原キョウジとはカエデに脅迫された先輩が殺してしまったリンクマスターである。
先輩の蘇生が実現不可能であることを知った今、もうこの白骨遺体をこの場所に隠している意味はない。
あとで匿名で警察に通報して、北原キョウジの遺骨を遺族のもとにちゃんと返してあげようと思う。
先輩もきっとそれを望んでいると思う。
俺は用務員を装って、警察に匿名の通報をした。
あとは警察がこの白骨遺体を見つけてDNA鑑定してくれることを願おう。
俺はそのまま、授業中の校舎に不法侵入、そのまま屋上に向かう。
俺は屋上のフェンスを乗り越えて、そのまま地面に向かってダイブしようとする。
もちろん、天国の先輩に会うためだ。
背後から野村の声が聞こえてくる。
『人間、死にたくなっても、生き続けていれば、いつか、死ねるさ』
しかし、後ろを振り向いても、野村の姿はない。
俺は野村のぶんも、もうすこし頑張ってみることに決めた。
死ぬために生き続けるのも悪くない。
こんな時に限って、空はいつもより青く見えた。
*
カエデの消滅を確認した米軍は日本への軍事介入を中止した。
しかし、国のリーダーと、その代わりとなる『国の管理者達』が全員、カエデたちによって殺されてしまった影響により、米軍から派遣された監察官が日本を一時的に管理することになった。
日本は実質的に米軍に支配されたことになる。
しかし、この国はとっくの昔から米軍に支配されていたのだ。
誰もがその現実を知りながら目をそらし、平和ボケしていただけだ。
カエデの発動した『オペレーション・ユートピア』は、失敗に終わるも、結果的には、この国を生きる人々に自身の国の在り方について、あらためて、考えさせることになった。
一方、奈良見ルナが責任者になった石間リンクセンターにはリンクマスター協会から5人程、人員が派遣された。
狂撃刀に頼らずに狂撃波動が撃てる石間コウイチがいなくなった影響により、リンクマスター協会から、奈良見ルナのサポートに必要なリンクマスターが5人派遣されたのだ。
奈良見ルナはその5人とは初対面であったが、今や、リンクマスターの中に石間コウイチの名を知らない者はおらず、すぐに石間コウイチの話題を通して、その5人と親睦を深めることに成功した。
新しいスタッフたちと談笑する奈良見ルナ。
リンクセンター石間の固定電話の呼び出し音が室内に鳴り響く。
奈良見ルナは固定電話の受話器を取って、右耳にあてる、そして元気な声で一言。
「はい、こちら、石間リンクセンターです!」
断罪王現象。それは、ある日突然、普通の社会人が社会不適合者になってしまう現象である。
この現象により社会不適合者になってしまった人々を国は『断罪者』と名付けた。
そして、リンクマスターとは、『断罪者(社会不適合者)』を正常な状態に戻し、社会に再び『LINK』させることを目的とした職業である。
この物語はフィクションであり、実在する人物及び団体とは一切関係ありません。
私の名前は奈良見ルナ、リンクセンター石間の責任者である。
石間さんの発動した『最後の断罪陣』によって、断罪王現象の元凶である桜原カエデは消滅した。
そして、それと同時に全ての力を使い果たした、石間さんも死んでしまった。
石間さんの発動した『最後の断罪陣』の内側にいたカエデの信者たちは全員、断罪者(社会不適合者)の状態から正常な状態に戻り、断罪者収容所に収監された。
ちなみに新生『孤影』が占拠した国会政議事堂で無事が確認された林カレイも、ほかの信者と共に断罪者収容所に収監され、社会復帰に向けて、リハビリを続けている。
これにより、カエデが率いていた新生『孤影』は壊滅した。
石間さんの発動した『最後の断罪陣』により、世界中の『多くの断罪者(社会不適合者)』が正常な状態に戻ることができた。
しかし、それは、『最後の断罪陣』の内側にいた全ての断罪者(社会不適合者)が正常な状態に戻ることができたわけではないということだ。
これは、あくまで私の仮説だが、林マスニの狂撃毒波動により、瀕死状態に陥った石間さんは自分の体内にある莫大な狂撃波動の一部を使って、自らを蘇生させた。
蘇生の際に使用した莫大なエネルギーの消費が原因で『最後の断罪陣』が完全な状態で発動されなかったのではないかと、私は考えている。
とにかく、まだ世界中には昔ほどではないが、断罪者(社会不適合者)は存在しているし、私たちリンクマスターはまだ、この世界に必要とされている。
*
俺の名前は山下テツヤ。
俺は今、かつて超能力研究部の部室として使われていた、掃除用具の収納などを目的とした空き家の中にいる。
もちろん俺は在校生ではないので、俺のしていることは不法侵入ということになる。
俺は両手に軍手をした状態で部室の床を一部、はがす。
そして、シャベルを両手に持って床下の土を掘る。
掘り続けること、数分後、北原キョウジの白骨遺体が見つかった。
北原キョウジとはカエデに脅迫された先輩が殺してしまったリンクマスターである。
先輩の蘇生が実現不可能であることを知った今、もうこの白骨遺体をこの場所に隠している意味はない。
あとで匿名で警察に通報して、北原キョウジの遺骨を遺族のもとにちゃんと返してあげようと思う。
先輩もきっとそれを望んでいると思う。
俺は用務員を装って、警察に匿名の通報をした。
あとは警察がこの白骨遺体を見つけてDNA鑑定してくれることを願おう。
俺はそのまま、授業中の校舎に不法侵入、そのまま屋上に向かう。
俺は屋上のフェンスを乗り越えて、そのまま地面に向かってダイブしようとする。
もちろん、天国の先輩に会うためだ。
背後から野村の声が聞こえてくる。
『人間、死にたくなっても、生き続けていれば、いつか、死ねるさ』
しかし、後ろを振り向いても、野村の姿はない。
俺は野村のぶんも、もうすこし頑張ってみることに決めた。
死ぬために生き続けるのも悪くない。
こんな時に限って、空はいつもより青く見えた。
*
カエデの消滅を確認した米軍は日本への軍事介入を中止した。
しかし、国のリーダーと、その代わりとなる『国の管理者達』が全員、カエデたちによって殺されてしまった影響により、米軍から派遣された監察官が日本を一時的に管理することになった。
日本は実質的に米軍に支配されたことになる。
しかし、この国はとっくの昔から米軍に支配されていたのだ。
誰もがその現実を知りながら目をそらし、平和ボケしていただけだ。
カエデの発動した『オペレーション・ユートピア』は、失敗に終わるも、結果的には、この国を生きる人々に自身の国の在り方について、あらためて、考えさせることになった。
一方、奈良見ルナが責任者になった石間リンクセンターにはリンクマスター協会から5人程、人員が派遣された。
狂撃刀に頼らずに狂撃波動が撃てる石間コウイチがいなくなった影響により、リンクマスター協会から、奈良見ルナのサポートに必要なリンクマスターが5人派遣されたのだ。
奈良見ルナはその5人とは初対面であったが、今や、リンクマスターの中に石間コウイチの名を知らない者はおらず、すぐに石間コウイチの話題を通して、その5人と親睦を深めることに成功した。
新しいスタッフたちと談笑する奈良見ルナ。
リンクセンター石間の固定電話の呼び出し音が室内に鳴り響く。
奈良見ルナは固定電話の受話器を取って、右耳にあてる、そして元気な声で一言。
「はい、こちら、石間リンクセンターです!」
断罪王現象。それは、ある日突然、普通の社会人が社会不適合者になってしまう現象である。
この現象により社会不適合者になってしまった人々を国は『断罪者』と名付けた。
そして、リンクマスターとは、『断罪者(社会不適合者)』を正常な状態に戻し、社会に再び『LINK』させることを目的とした職業である。
この物語はフィクションであり、実在する人物及び団体とは一切関係ありません。
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