87 / 100
87話 卒業を
しおりを挟む
なんか前にもあったな。
こんなシチュエーション
「どうして、ここに」
「ヨナガ先生がね」
「ヨナガ先生?」
今日の朝
(今頃、みんな卒業式なんだろうな)
「ナツキ、どうかした?」
「なんでもないよ、ミチル」
これは私の心残り
「ねぇ、誰か来たんだけど」
カケルが私を呼んでる。
「ナツキさんに用があるみたいなんだけど」
「私?」
警戒しながら行くと
「ヨナガ先生」
「お久しぶりですね、ナツキさん」
「どうしたんですか、というかどうしてこの場所が」
誰かにこの場所を言った覚えはない
「申し訳ありませんが時間がないので、飛びながらでいいですか?」
「え、飛びながら?あの、先生?」
「失礼しますよ」
困惑する私をよそにヨナガ先生に持ち上げられる。
地面を軽くひと蹴りすると羽が生え、空に浮く。
ナツキ達が行ってから静寂が訪れる。
「いいのか?あれ。」
「ナツキさんも先生って言ってたしいいんじゃないかな。」
「おばさんには適当に言っとく?」
「そうだね」
嵐のように現れた先生とナツキさんが飛んで行った方をみる。
空の上、少し冷たい風を感じながら
「いろいろ聞きたいんですけど、誘拐って思われません?」
「このことは事前にナツキの親御さんに伝えてある。昨日のうちに了承の手紙をもらっているから問題ないだろう」
私の問いに顔色ひとつ変えず淡々と答えた。
そんなやりとりしてたんだ。
「あと一ついいですか?」
「ああ」
「あの、どうして私を。今、
卒業式の最中では?」
「式はまだ。それに卒業式だからあいつらの、全員揃って卒業式をするというもう
一つのわがままを叶えてやろうと思って」
(もう一つ?)
疑問を抱きながら、私は学校へ
「ということで」
私たちは苦笑するしかなかった。
「今日は叶えてもらってばっかりだな」
そう言って私はナツキに椿のコサージュを
渡す。
「あ、そうだ校長先生」
ジュンが思い出したように言い出した。
「なんですか?ジュンくん」
「その飾り、ロクのは桔梗、カズハは桜、 ナツキのは椿ですよね?」
校長先生は感心したように、
「桔梗、桜、椿で合ってますよ。よく分かりましたね。」
「あの、オレのってなんですか?」
「それは、金糸梅というものです。」
「金糸梅・・・」
「花言葉は悲しみを止める、煌めき、
太陽の輝きなど」
「悲しみ」
ジュンは嬉しそうに呟く。
教室に入ってきたロクは驚いた顔を
していた。
「え、どうしてナツキが」
「実は、」
ナツキが説明するとロクは
「なるほど、だからか」
「何が?というか今までどこに?」
「ジュンとカズハ様と校舎を練り歩き、2人が教室に戻った後、俺は事前にヨナガ先生に頼まれた雑用をこなしていました」
(卒業生に雑用・・・)
そしてジュン、ロク、私、ナツキの順に卒業証書をいただき、卒業式終了。
校舎内をゆっくりと周り、
教室へ戻ってきた。
私たちは校庭でちらほら咲いている桜の前で
写真を撮る。
満開はきっとチヨたちの学年が
上がる頃だろう。
そして、私たちは校門を出た。
(沢山の経験と絆をくれたこの場所に感謝を)
午後は元々休みだったので4人で遊びに行くことにした。
ショッピングモールで映画を見たり、アイスを食べたりして、
帰ってきた。ナツキは今晩はうちに泊まって明日帰るらしい。
そしてナツキが帰って、ジュンが街を出てから数日後。
集合写真が届いた。
多分みんなのところにも。
それぞれの感情を抱き私たちは前に進む。
こんなシチュエーション
「どうして、ここに」
「ヨナガ先生がね」
「ヨナガ先生?」
今日の朝
(今頃、みんな卒業式なんだろうな)
「ナツキ、どうかした?」
「なんでもないよ、ミチル」
これは私の心残り
「ねぇ、誰か来たんだけど」
カケルが私を呼んでる。
「ナツキさんに用があるみたいなんだけど」
「私?」
警戒しながら行くと
「ヨナガ先生」
「お久しぶりですね、ナツキさん」
「どうしたんですか、というかどうしてこの場所が」
誰かにこの場所を言った覚えはない
「申し訳ありませんが時間がないので、飛びながらでいいですか?」
「え、飛びながら?あの、先生?」
「失礼しますよ」
困惑する私をよそにヨナガ先生に持ち上げられる。
地面を軽くひと蹴りすると羽が生え、空に浮く。
ナツキ達が行ってから静寂が訪れる。
「いいのか?あれ。」
「ナツキさんも先生って言ってたしいいんじゃないかな。」
「おばさんには適当に言っとく?」
「そうだね」
嵐のように現れた先生とナツキさんが飛んで行った方をみる。
空の上、少し冷たい風を感じながら
「いろいろ聞きたいんですけど、誘拐って思われません?」
「このことは事前にナツキの親御さんに伝えてある。昨日のうちに了承の手紙をもらっているから問題ないだろう」
私の問いに顔色ひとつ変えず淡々と答えた。
そんなやりとりしてたんだ。
「あと一ついいですか?」
「ああ」
「あの、どうして私を。今、
卒業式の最中では?」
「式はまだ。それに卒業式だからあいつらの、全員揃って卒業式をするというもう
一つのわがままを叶えてやろうと思って」
(もう一つ?)
疑問を抱きながら、私は学校へ
「ということで」
私たちは苦笑するしかなかった。
「今日は叶えてもらってばっかりだな」
そう言って私はナツキに椿のコサージュを
渡す。
「あ、そうだ校長先生」
ジュンが思い出したように言い出した。
「なんですか?ジュンくん」
「その飾り、ロクのは桔梗、カズハは桜、 ナツキのは椿ですよね?」
校長先生は感心したように、
「桔梗、桜、椿で合ってますよ。よく分かりましたね。」
「あの、オレのってなんですか?」
「それは、金糸梅というものです。」
「金糸梅・・・」
「花言葉は悲しみを止める、煌めき、
太陽の輝きなど」
「悲しみ」
ジュンは嬉しそうに呟く。
教室に入ってきたロクは驚いた顔を
していた。
「え、どうしてナツキが」
「実は、」
ナツキが説明するとロクは
「なるほど、だからか」
「何が?というか今までどこに?」
「ジュンとカズハ様と校舎を練り歩き、2人が教室に戻った後、俺は事前にヨナガ先生に頼まれた雑用をこなしていました」
(卒業生に雑用・・・)
そしてジュン、ロク、私、ナツキの順に卒業証書をいただき、卒業式終了。
校舎内をゆっくりと周り、
教室へ戻ってきた。
私たちは校庭でちらほら咲いている桜の前で
写真を撮る。
満開はきっとチヨたちの学年が
上がる頃だろう。
そして、私たちは校門を出た。
(沢山の経験と絆をくれたこの場所に感謝を)
午後は元々休みだったので4人で遊びに行くことにした。
ショッピングモールで映画を見たり、アイスを食べたりして、
帰ってきた。ナツキは今晩はうちに泊まって明日帰るらしい。
そしてナツキが帰って、ジュンが街を出てから数日後。
集合写真が届いた。
多分みんなのところにも。
それぞれの感情を抱き私たちは前に進む。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
薔薇と少年
白亜凛
キャラ文芸
路地裏のレストランバー『執事のシャルール』に、非日常の夜が訪れた。
夕べ、店の近くで男が刺されたという。
警察官が示すふたつのキーワードは、薔薇と少年。
常連客のなかにはその条件にマッチする少年も、夕べ薔薇を手にしていた女性もいる。
ふたりの常連客は事件と関係があるのだろうか。
アルバイトのアキラとバーのマスターの亮一のふたりは、心を揺らしながら店を開ける。
事件の全容が見えた時、日付が変わり、別の秘密が顔を出した。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
金沢ひがし茶屋街 雨天様のお茶屋敷
河野美姫
キャラ文芸
古都・金沢、加賀百万石の城下町のお茶屋街で巡り会う、不思議なご縁。
雨の神様がもてなす甘味処。
祖母を亡くしたばかりの大学生のひかりは、ひとりで金沢にある祖母の家を訪れ、祖母と何度も足を運んだひがし茶屋街で銀髪の青年と出会う。
彼は、このひがし茶屋街に棲む神様で、自身が守る屋敷にやって来た者たちの傷ついた心を癒やしているのだと言う。
心の拠り所を失くしたばかりのひかりは、意図せずにその屋敷で過ごすことになってしまいーー?
神様と双子の狐の神使、そしてひとりの女子大生が紡ぐ、ひと夏の優しい物語。
アルファポリス 2021/12/22~2022/1/21
※こちらの作品はノベマ!様・エブリスタ様でも公開中(完結済)です。
(2019年に書いた作品をブラッシュアップしています)
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
夕暮れカフェ◆ 公園通り恋物語◆
まゆら
キャラ文芸
桜ヶ丘公園通りで双子の姉妹夕陽と夕凪が営むカフェと下宿屋さざなみハイツの住人等、彼女たちを巡る人々の人間模様、恋模様。
可愛いもふもふ達も登場します!
のんびり、ゆったりとした物語。
まほろば荘の大家さん
石田空
キャラ文芸
三葉はぎっくり腰で入院した祖母に替わって、祖母の経営するアパートまほろば荘の大家に臨時で就任した。しかしそこはのっぺらぼうに天狗、お菊さんに山神様が住む、ちょっと(かなり?)変わったアパートだった。同級生の雷神の先祖返りと一緒に、そこで巻き起こる騒動に右往左往する。「拝啓 おばあちゃん。アパート経営ってこんなに大変なものだったんですか?」今日も三葉は、賑やかなアパートの住民たちが巻き起こす騒動に四苦八苦する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる