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19話 遊園地

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朝、着物の帯を結んでいるとロクが入ってきた。
「おはようございます。カズハ様」 「おはよう、ロク」
「今日は、お出かけですか?」
「うん、ミズキさんが遊びに行こうって」
「そうですか。楽しんできてください。」
「ありがとう、ロク」
「それじゃあ行ってくるね」
「いってらっしゃいませ、カズハ様」
宿屋を出ると、ミズキさんが待っていた

「すみません、遅れて」
「大丈夫だよ」
「着物なんだね」
「え、ダメでしたか?」
「いや、いつもの服装じゃないから珍しいなと思って。その着物も綺麗だ」
「ありがとうございます」
「いつも気になってるけどその簪は?」
「これですか?」
私は頭にある簪を触る。
「これはロクがくれたんです。」
「へぇ」
ミズキさんは顔がにやけていた。
「どうかしたんですか?」
「男性が女性に簪を送る意味って・・」
「意味?」
「いやなんでもない。そろそろ行こ。」
そう言って歩き出す。
「どこに行くんですか?」
「最近できた遊園地があって。そこに行こうかなと」
(いつもの服装の方が良かったかな?でもミズキさん、袴だし、大丈夫かな?)
少し心配しながらも列車に乗り、20分ほど揺られていたらみえてきた目的地。
少しレトロな感じでおしゃれな遊園地だ。
観覧車にコーヒーカップ、
メリーゴーランドにミラーハウス
などがある。
「ミズキさん、どこに行きますか?」
「あの馬のやつ気になるな」
「なら、最初はあれにしましょう」
5分ほど並んで、私たちの番になった。ミズキさんは袴でまたがることができたが、私は着物だったので横向きに棒を掴み、片手でバランスをとりながら座った。
「カズハは何乗りたい?」
「わたしは・・・」
私たちはコーヒーカップに座っている。
カップが動き出し、ゆったり回っている。
「ミズキさん、回してもいいですか?」
カップの真ん中のハンドルに手を掛けながら聞く。
「いいよ、回して」
私は遠慮なく思い切り回す。
世界が勢いよく回り出す。
風が気持ちいい。
この数ヶ月、忙しくて大変ながらも凄く楽しい日常を過ごすことができた。
新しい出会いもあった。
これからも、こんな日常が続けばいいな。

私たちはベンチで休憩している。
コーヒーカップで私が調子に乗って回しすぎたせいでミズキさんが、酔ってしまった。
「ごめんなさい、ミズキさん。
調子にのりすぎました。」
「いや、平気。カズハ、三半規管つよいんだな」
「ありがとうございます?飲み物買ってきましょうか?」
「うん、お願い」
自販機で炭酸飲料を買いミズキさんに渡し隣に座る
「炭酸飲めますか?
あ、暖かいのがよかったですか?」
「暖かい炭酸は美味しいのかな?。それに雪女だから、普通の倍以上寒さに強いから大丈夫。・・・今日、ありがとうな付き合ってくれて。」
「いえ、私の方こそありがとうございます」
「アタシ、誰かとこうして遊ぶの久しぶりなんだ。カズハのこと振り回すかもしれない」
「私も初めてですよ。誰かと遊ぶの。ミズキさん、私のこと振り回してくれて構いません。目一杯楽しましょう。」
ベンチから立ち上がり、私に手を差し出す
「ああ、覚悟しとけよカズハ」
わたしは手を取り立ち上がる。
その手はとても暖かかった。



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