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4章 ファイナルライブ
259話 膝枕
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とある日の深夜
「改めて見るとすごい量」
「こんなにくるなんてすごいね」
「これをまずは仕分けるのか」
リビングのテーブルに山盛りの封筒。
軽く100は超えている。
「この中から決めるのか」
木の遠くなる作業に4人のため息が
重なる。
数時間前、事務所にて。
テーブルの上の封筒。
「これってもしかして」
「お泊まり会の時に話した着てもらい隊のデザイン画」
「これ、全部確認するんですか?」
「もちろん!あ、あとデジタル版の
方もチェックお願い。
仕分けはもうしてあるから。千鶴が!」
類の若干引いた声に七瀬さんは元気に 答える。
「人をここぞとばかりにこき使い
やがって」
(千鶴さんのクマと目つきと口の悪さの
原因はこれか)
とりあえず持ち帰り今に至る。
「はじめようか」
類の声で適当に四頭分にしてから
仕分けをする。
「類、類、僕、舞、蓮・・・」
「私、蓮、雪希、雪希、」
「舞、俺、俺、蓮、」
「雪希、類、舞、雪希、俺」
数十分後、
「やっと終わった」
一息ついたところタイミングを
見計らっていたのかと思うほど
4人のスマホが一斉になる。
(これは徹夜かな)
そのあとはそれぞれ部屋に戻って、
一つ一つ、封筒を確認する。
「あ、これかわいいな。
こっちはかっこいい。
この中から一つ選ぶのか」
確認しながら整理していく。
そしていつのまにか眠っていて
気がついたら日が昇っていた。
学校は休みで仕事は午後からだから
問題ない。現在9時30分。
類と蓮は午前中からで、
テーブルの上には2人で作り置き
適当につまんだ、と類の字で書いた
メモが置いてあった。
(それは構わないけど。
・・・珍しいな、雪希がまだ起きて
こないなんて)
なんて思っていると部屋のドアが
開いた。
足取りは重く、でも体はふらついている
「雪希、どうしたの?」
「あたま、痛くて、目が、まわる」
息を吐きながら絞り出す声に相当
きついんだと思う。
まだパジャマ姿で眉間に皺を
寄せている。
冷蔵庫からお茶を出して飲む。
「また2階にいくの?」
「いや、面倒だからソファで寝る」
「ふーん」
先にソファに座って太ももを叩く。
「雪希」
「?」
「枕に使っていいよ」
雪希は体を丸めてゆっくり頭を膝に
乗せる。
「寒い?」
小さく頷いたから着ていたカーディガンを脱いでかける。
(舞は善意だけで他意はない。
柔らかくて、暖かくて、でも虚しい。
今はこんなに近くにいるのに舞は、
何も思ってないんだろうな)
チラッと見ると、視線があって
微笑んだ。なんだか嫌ですぐに逸らす。
(惨めだな、僕って。)
頭が痛い、目眩がする。
それでもやっぱり好きだって気持ちが
込み上げることはなくて。
(ただ、今は眠ろう。
少しでも回復させないと。)
眠った雪希の髪を耳にかける。
(髪サラサラ、まつ毛ながっ、
え、まつ毛何もしてないよね。綺麗。
じっくり観察することなかったから
気づかなかった。)
雪希を見てると私も眠くなってきた。
(2時に出れば大丈夫だし、
念の為アラームかけとこう)
「舞、お昼だしそろそろ起きなよ。
雪希も。」
肩が重い、それで暖かい。
「・・・ん、」
顔の近さに瞬時に反対を向く。
(待って、なんで蓮が隣で寝てるの!?)
「あ、起きた。舞、よく眠れた?」
「・・・今何時?」
「12時10分。
俺はこの後3時ごろにまたいくけど」
類は笑いを堪えている。
「とりあえず類、助けてくれない?」
「えー、どうしようかな」
今度は笑っている。
その顔にイラついて蓮に八つ当たり。
お腹を殴る。
「ぐっ!、・・・いきなり何」
すぐに覚醒して体を丸める。
服の上からもわかる腹筋の存在に
また苛立つ。
雪希を起こして昼食。
雪希の気分もすっかり落ち着いていた。
「改めて見るとすごい量」
「こんなにくるなんてすごいね」
「これをまずは仕分けるのか」
リビングのテーブルに山盛りの封筒。
軽く100は超えている。
「この中から決めるのか」
木の遠くなる作業に4人のため息が
重なる。
数時間前、事務所にて。
テーブルの上の封筒。
「これってもしかして」
「お泊まり会の時に話した着てもらい隊のデザイン画」
「これ、全部確認するんですか?」
「もちろん!あ、あとデジタル版の
方もチェックお願い。
仕分けはもうしてあるから。千鶴が!」
類の若干引いた声に七瀬さんは元気に 答える。
「人をここぞとばかりにこき使い
やがって」
(千鶴さんのクマと目つきと口の悪さの
原因はこれか)
とりあえず持ち帰り今に至る。
「はじめようか」
類の声で適当に四頭分にしてから
仕分けをする。
「類、類、僕、舞、蓮・・・」
「私、蓮、雪希、雪希、」
「舞、俺、俺、蓮、」
「雪希、類、舞、雪希、俺」
数十分後、
「やっと終わった」
一息ついたところタイミングを
見計らっていたのかと思うほど
4人のスマホが一斉になる。
(これは徹夜かな)
そのあとはそれぞれ部屋に戻って、
一つ一つ、封筒を確認する。
「あ、これかわいいな。
こっちはかっこいい。
この中から一つ選ぶのか」
確認しながら整理していく。
そしていつのまにか眠っていて
気がついたら日が昇っていた。
学校は休みで仕事は午後からだから
問題ない。現在9時30分。
類と蓮は午前中からで、
テーブルの上には2人で作り置き
適当につまんだ、と類の字で書いた
メモが置いてあった。
(それは構わないけど。
・・・珍しいな、雪希がまだ起きて
こないなんて)
なんて思っていると部屋のドアが
開いた。
足取りは重く、でも体はふらついている
「雪希、どうしたの?」
「あたま、痛くて、目が、まわる」
息を吐きながら絞り出す声に相当
きついんだと思う。
まだパジャマ姿で眉間に皺を
寄せている。
冷蔵庫からお茶を出して飲む。
「また2階にいくの?」
「いや、面倒だからソファで寝る」
「ふーん」
先にソファに座って太ももを叩く。
「雪希」
「?」
「枕に使っていいよ」
雪希は体を丸めてゆっくり頭を膝に
乗せる。
「寒い?」
小さく頷いたから着ていたカーディガンを脱いでかける。
(舞は善意だけで他意はない。
柔らかくて、暖かくて、でも虚しい。
今はこんなに近くにいるのに舞は、
何も思ってないんだろうな)
チラッと見ると、視線があって
微笑んだ。なんだか嫌ですぐに逸らす。
(惨めだな、僕って。)
頭が痛い、目眩がする。
それでもやっぱり好きだって気持ちが
込み上げることはなくて。
(ただ、今は眠ろう。
少しでも回復させないと。)
眠った雪希の髪を耳にかける。
(髪サラサラ、まつ毛ながっ、
え、まつ毛何もしてないよね。綺麗。
じっくり観察することなかったから
気づかなかった。)
雪希を見てると私も眠くなってきた。
(2時に出れば大丈夫だし、
念の為アラームかけとこう)
「舞、お昼だしそろそろ起きなよ。
雪希も。」
肩が重い、それで暖かい。
「・・・ん、」
顔の近さに瞬時に反対を向く。
(待って、なんで蓮が隣で寝てるの!?)
「あ、起きた。舞、よく眠れた?」
「・・・今何時?」
「12時10分。
俺はこの後3時ごろにまたいくけど」
類は笑いを堪えている。
「とりあえず類、助けてくれない?」
「えー、どうしようかな」
今度は笑っている。
その顔にイラついて蓮に八つ当たり。
お腹を殴る。
「ぐっ!、・・・いきなり何」
すぐに覚醒して体を丸める。
服の上からもわかる腹筋の存在に
また苛立つ。
雪希を起こして昼食。
雪希の気分もすっかり落ち着いていた。
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