252 / 267
4章 ファイナルライブ
252話 甘え
しおりを挟む
思ってた返事じゃなかったのか
固まったり、
声が漏れたり驚いていた。
「理由を聞いてもいい?」
真ん中に座っている日向さんは
笑顔を繕った。
「また、ステージに立てるチャンス
をいただけたことは嬉しかったです。
こんなこともう2度とないって
わかってます。
でも、考えたんです。
もう一度参加して
自分たちらしいライブができるか、
本当に良かったのか、
胸を張って同じ場所に立てるのか。
そしたら懸念して後悔してしまって。
自分たちらしいライブはできないと
そう直感したんです。」
「あの、舞さん。」
一区切りして涼太さんが割って入る。
「あなたがアイドルになったのは
翔と、私たちと同じステージに立つことだと思っていましたけど、
もしかして違いましたか?」
涼太さんの問いに首を振る。
「合っています、涼太さん。
アイドルになったきっかけは
兄と同じステージに立ちたかったから。だから、白紙になった時
すごく辛かったです。
でも友達が、仲間が受け入れてくれて
背中を押してくれて
白紙になってわかったことも
あったんです。
夢は一つじゃないって。
生まれ続けるものだって。
白紙がなかったらきっと、
気づくことができませんでした。
優斗さん、私たちを選んでくださったのにすみません。
でもこれが私たちの総意なんです」
「そっか、みんながそう決めたなら
このことについては何も言わない。
雪希くん、」
「あ、はい」
「体調は大丈夫?」
「あ、はい。
心配してくれてありがとうございます。今は大丈夫です」
日向さんはニコリと笑って続けた。
「蓮くん、舞ちゃん、雪希くん、
類くん。俺たちはあと半年後に
終止符をうつ。
でも、君たちはまだ終わらない。
今以上の活躍を期待してるよ」
「「「「はい!」」」」
部屋を出て廊下を歩いていると
呼び止められる。
「ちょっといいかな」
振り向くと、七瀬さんと似た雰囲気の
女性が立っていた。
「蒼葉 類くん。
少し時間いいかな?」
「あ、はい。
みんな先行ってて」
事務所を出て、散策する。
中学生くらいの
女の子たちの会話がすれ違いで
聞こえてくる。
「ねぇ、STEPって知ってる?」
「少しは。7人のアイドルだっけ?」
「そうそう、私の推し、翔くん
だったんだ」
「だった?」
「クールでかっこいいから推してたんだけど、シスコンだったみたいで幻滅。」
気になって立ち止まる。
「へー、シスコンかぁ」
「ちーちゃんだってお兄さんが
デレデレだったら嫌でしょ?」
「まあ、ちょっとウザいかな」
「あーいう二面性ってちょっと嫌だな」
私に気づかないで笑いながら
歩いていく。
「そんなの勝手な理想像でしょ」
呟きは彼女たちに聞こえなかった
「舞?」
いつのまにか振り返っている2人に
小走りで近づいて割って入る。
「何かあった?」
「・・・ううん、なんでもない」
(感じ方はそれぞれだけどなんか
すっきりしない。
方針でこうあるようにって言われて
それに従って、素を見せたら
幻滅とか。
勝手にそうあって欲しいっていう願望で理想が一人歩きしてるだけ。
演じているのも素も自分だってことに
変わりないのに)
近くの雑貨店で各自、店内をまわって
いると類から
グループチャットに連絡が入った。
ー今、どこにいる?ー
蓮が返事を返してその場所の地図を
送る。
合流して帰った。
蓮の話に相槌を打って楽しそうで。
でもどこか浮かない顔をしているように見えた。
「蒼葉くん、うちのチームにこない?」
「・・・え?」
固まったり、
声が漏れたり驚いていた。
「理由を聞いてもいい?」
真ん中に座っている日向さんは
笑顔を繕った。
「また、ステージに立てるチャンス
をいただけたことは嬉しかったです。
こんなこともう2度とないって
わかってます。
でも、考えたんです。
もう一度参加して
自分たちらしいライブができるか、
本当に良かったのか、
胸を張って同じ場所に立てるのか。
そしたら懸念して後悔してしまって。
自分たちらしいライブはできないと
そう直感したんです。」
「あの、舞さん。」
一区切りして涼太さんが割って入る。
「あなたがアイドルになったのは
翔と、私たちと同じステージに立つことだと思っていましたけど、
もしかして違いましたか?」
涼太さんの問いに首を振る。
「合っています、涼太さん。
アイドルになったきっかけは
兄と同じステージに立ちたかったから。だから、白紙になった時
すごく辛かったです。
でも友達が、仲間が受け入れてくれて
背中を押してくれて
白紙になってわかったことも
あったんです。
夢は一つじゃないって。
生まれ続けるものだって。
白紙がなかったらきっと、
気づくことができませんでした。
優斗さん、私たちを選んでくださったのにすみません。
でもこれが私たちの総意なんです」
「そっか、みんながそう決めたなら
このことについては何も言わない。
雪希くん、」
「あ、はい」
「体調は大丈夫?」
「あ、はい。
心配してくれてありがとうございます。今は大丈夫です」
日向さんはニコリと笑って続けた。
「蓮くん、舞ちゃん、雪希くん、
類くん。俺たちはあと半年後に
終止符をうつ。
でも、君たちはまだ終わらない。
今以上の活躍を期待してるよ」
「「「「はい!」」」」
部屋を出て廊下を歩いていると
呼び止められる。
「ちょっといいかな」
振り向くと、七瀬さんと似た雰囲気の
女性が立っていた。
「蒼葉 類くん。
少し時間いいかな?」
「あ、はい。
みんな先行ってて」
事務所を出て、散策する。
中学生くらいの
女の子たちの会話がすれ違いで
聞こえてくる。
「ねぇ、STEPって知ってる?」
「少しは。7人のアイドルだっけ?」
「そうそう、私の推し、翔くん
だったんだ」
「だった?」
「クールでかっこいいから推してたんだけど、シスコンだったみたいで幻滅。」
気になって立ち止まる。
「へー、シスコンかぁ」
「ちーちゃんだってお兄さんが
デレデレだったら嫌でしょ?」
「まあ、ちょっとウザいかな」
「あーいう二面性ってちょっと嫌だな」
私に気づかないで笑いながら
歩いていく。
「そんなの勝手な理想像でしょ」
呟きは彼女たちに聞こえなかった
「舞?」
いつのまにか振り返っている2人に
小走りで近づいて割って入る。
「何かあった?」
「・・・ううん、なんでもない」
(感じ方はそれぞれだけどなんか
すっきりしない。
方針でこうあるようにって言われて
それに従って、素を見せたら
幻滅とか。
勝手にそうあって欲しいっていう願望で理想が一人歩きしてるだけ。
演じているのも素も自分だってことに
変わりないのに)
近くの雑貨店で各自、店内をまわって
いると類から
グループチャットに連絡が入った。
ー今、どこにいる?ー
蓮が返事を返してその場所の地図を
送る。
合流して帰った。
蓮の話に相槌を打って楽しそうで。
でもどこか浮かない顔をしているように見えた。
「蒼葉くん、うちのチームにこない?」
「・・・え?」
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
「南風の頃に」~ノダケンとその仲間達~
kitamitio
青春
合格するはずのなかった札幌の超難関高に入学してしまった野球少年の野田賢治は、野球部員たちの執拗な勧誘を逃れ陸上部に入部する。北海道の海沿いの田舎町で育った彼は仲間たちの優秀さに引け目を感じる生活を送っていたが、長年続けて来た野球との違いに戸惑いながらも陸上競技にのめりこんでいく。「自主自律」を校訓とする私服の学校に敢えて詰襟の学生服を着ていくことで自分自身の存在を主張しようとしていた野田賢治。それでも新しい仲間が広がっていく中で少しずつ変わっていくものがあった。そして、隠していた野田賢治自身の過去について少しずつ知らされていく……。
無敵のイエスマン
春海
青春
主人公の赤崎智也は、イエスマンを貫いて人間関係を完璧に築き上げ、他生徒の誰からも敵視されることなく高校生活を送っていた。敵がいない、敵無し、つまり無敵のイエスマンだ。赤崎は小学生の頃に、いじめられていた初恋の女の子をかばったことで、代わりに自分がいじめられ、二度とあんな目に遭いたくないと思い、無敵のイエスマンという人格を作り上げた。しかし、赤崎は自分がかばった女の子と再会し、彼女は赤崎の人格を変えようとする。そして、赤崎と彼女の勝負が始まる。赤崎が無敵のイエスマンを続けられるか、彼女が無敵のイエスマンである赤崎を変えられるか。これは、無敵のイエスマンの悲哀と恋と救いの物語。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)
チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。
主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。
ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。
しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。
その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。
「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」
これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
ほつれ家族
陸沢宝史
青春
高校二年生の椎橋松貴はアルバイトをしていたその理由は姉の借金返済を手伝うためだった。ある日、松貴は同じ高校に通っている先輩の永松栗之と知り合い仲を深めていく。だが二人は家族関係で問題を抱えており、やがて問題は複雑化していく中自分の家族と向き合っていく。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
隣の優等生は、デブ活に命を捧げたいっ
椎名 富比路
青春
女子高生の尾村いすゞは、実家が大衆食堂をやっている。
クラスの隣の席の優等生細江《ほそえ》 桃亜《ももあ》が、「デブ活がしたい」と言ってきた。
桃亜は学生の身でありながら、アプリ制作会社で就職前提のバイトをしている。
だが、連日の学業と激務によって、常に腹を減らしていた。
料理の腕を磨くため、いすゞは桃亜に協力をする。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
燦歌を乗せて
河島アドミ
青春
「燦歌彩月第六作――」その先の言葉は夜に消える。
久慈家の名家である天才画家・久慈色助は大学にも通わず怠惰な毎日をダラダラと過ごす。ある日、久慈家を勘当されホームレス生活がスタートすると、心を奪われる被写体・田中ゆかりに出会う。
第六作を描く。そう心に誓った色助は、己の未熟とホームレス生活を満喫しながら作品へ向き合っていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる