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3章 サードライブ
178話 二言はない
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学年8位 立花 樹
上位者に目を向けると
(やっぱり、1位は類か。
1番仕事量が多いはずなのに。
すごいな)
私は3位だった。
(2位は麻倉くんか。
この前はプライドズタズタだったら
頑張ったんだろうな。
それでも2位
廊下に張り出されているテストの10位 までの結果表を見て3組へ。
だけど教室に立花はいない。
(どこか行ったのかな)
「うちのクラス何か用?
日比谷」
振り返ると探してた相手が。
「いや、クラスっていうか、
立花に・・・」
(どうしよう、結果どうだったなんて
直近で聞く?)
悩んでいると、
「結果だろ?
少し待ってて」
立花は教室に入って自分の机から
何かを取りすぐに戻ってきた。
(もしかして、)
私に近づくにつれてその手にあるのが
成績表。
何も言わずに差し出し、
恐る恐る受け取る。
488/500(点) 4/32(クラス) 8/(学年)
片面の上の方に成績の書かれた細い
シートが貼られていて、
下は各教科の点数と
今回のテストの個人点と平均点が
レーダーチャートで記されている。
立花は平然を装っているが、
拳を握った手は震えている。
(相当、悔しいんだろうな)
「男に二言はない。
今回は諦めるよ、今度は期末試験で
挑ませてもらうよ」
立花は私の手から成績表を取り上げて
教室に入っていった。
自分のクラスに戻ろうと踵を返すと、
「やっぱり、蒼葉か。」
「すごいよな、あいつ」
「涼しい顔しやがって」
とどのクラスかわからないが
話してるのが聞こえた。
「でも、急成長したのはやっぱり
立花だよな」
誰が言ったかわからない言葉に足を
止めた。
「この前の期末試験の結果、
見せてもらったら24位だったんだよ、
学年で。そこから1桁までって
すごいよな」
「日比谷って子とデートしたかったって。でもダメだったらしい」
「廊下見てきたんだけど、日比谷
学年3位だって」
「すげー、立花と雲泥の差じゃん」
(そっか、立花。
あんなに頑張ったんだ。でも)
(他の奴からしたらくだらない理由。
でも俺はそのために努力した。でも)
((努力すれば/頑張れば
全て報われるわけじゃない))
学祭、当日。
飲食物のクラスは外に屋台を出して提供する。私たちのクラスはクレープバー。
「エクレアみたいだから綺麗に
食べられると思うの」
と女子の学級委員の発案で決まった。
(確かに普通のクレープより一口の幅が
収まりやすいからいいかも)
と大量注文したクレープ生地に、
ホイップを絞りながら考えていた。
「あれ、舞さん。
手に絆創膏そんなに貼って
どうしたの?」
「戸田くん、」
同じく調理担当の戸田くんに手を指差して聞かれた。
「友達の家事スキル向上を手伝っていたらこうなったの」
「もしかして、西宮さん?」
「うん、そう紗南。」
(ごめん、紗南)
話は一昨日に遡る。
学祭直前、私は蓮と特訓をしていた。
「クラスの出し物で決まったとはいえ
思い切ったね、蓮」
目の前にあるのはたこ焼き器。
「本当は、呼び込みとか接客が
よかったんだけどお前がそれをすると
ほんとに忙しくなるからやめて、と一蹴された」
(忙しいのはむしろいいことでは?
というか、屋台だからあまり変わらない気がする)
「まぁとりあえず始めようか」
簡単に終わると思ってた。
変わり種とか入れて雪希と類で
たこ焼き器パーティーできたら
いいなって。
そんなに甘くなかった。
上位者に目を向けると
(やっぱり、1位は類か。
1番仕事量が多いはずなのに。
すごいな)
私は3位だった。
(2位は麻倉くんか。
この前はプライドズタズタだったら
頑張ったんだろうな。
それでも2位
廊下に張り出されているテストの10位 までの結果表を見て3組へ。
だけど教室に立花はいない。
(どこか行ったのかな)
「うちのクラス何か用?
日比谷」
振り返ると探してた相手が。
「いや、クラスっていうか、
立花に・・・」
(どうしよう、結果どうだったなんて
直近で聞く?)
悩んでいると、
「結果だろ?
少し待ってて」
立花は教室に入って自分の机から
何かを取りすぐに戻ってきた。
(もしかして、)
私に近づくにつれてその手にあるのが
成績表。
何も言わずに差し出し、
恐る恐る受け取る。
488/500(点) 4/32(クラス) 8/(学年)
片面の上の方に成績の書かれた細い
シートが貼られていて、
下は各教科の点数と
今回のテストの個人点と平均点が
レーダーチャートで記されている。
立花は平然を装っているが、
拳を握った手は震えている。
(相当、悔しいんだろうな)
「男に二言はない。
今回は諦めるよ、今度は期末試験で
挑ませてもらうよ」
立花は私の手から成績表を取り上げて
教室に入っていった。
自分のクラスに戻ろうと踵を返すと、
「やっぱり、蒼葉か。」
「すごいよな、あいつ」
「涼しい顔しやがって」
とどのクラスかわからないが
話してるのが聞こえた。
「でも、急成長したのはやっぱり
立花だよな」
誰が言ったかわからない言葉に足を
止めた。
「この前の期末試験の結果、
見せてもらったら24位だったんだよ、
学年で。そこから1桁までって
すごいよな」
「日比谷って子とデートしたかったって。でもダメだったらしい」
「廊下見てきたんだけど、日比谷
学年3位だって」
「すげー、立花と雲泥の差じゃん」
(そっか、立花。
あんなに頑張ったんだ。でも)
(他の奴からしたらくだらない理由。
でも俺はそのために努力した。でも)
((努力すれば/頑張れば
全て報われるわけじゃない))
学祭、当日。
飲食物のクラスは外に屋台を出して提供する。私たちのクラスはクレープバー。
「エクレアみたいだから綺麗に
食べられると思うの」
と女子の学級委員の発案で決まった。
(確かに普通のクレープより一口の幅が
収まりやすいからいいかも)
と大量注文したクレープ生地に、
ホイップを絞りながら考えていた。
「あれ、舞さん。
手に絆創膏そんなに貼って
どうしたの?」
「戸田くん、」
同じく調理担当の戸田くんに手を指差して聞かれた。
「友達の家事スキル向上を手伝っていたらこうなったの」
「もしかして、西宮さん?」
「うん、そう紗南。」
(ごめん、紗南)
話は一昨日に遡る。
学祭直前、私は蓮と特訓をしていた。
「クラスの出し物で決まったとはいえ
思い切ったね、蓮」
目の前にあるのはたこ焼き器。
「本当は、呼び込みとか接客が
よかったんだけどお前がそれをすると
ほんとに忙しくなるからやめて、と一蹴された」
(忙しいのはむしろいいことでは?
というか、屋台だからあまり変わらない気がする)
「まぁとりあえず始めようか」
簡単に終わると思ってた。
変わり種とか入れて雪希と類で
たこ焼き器パーティーできたら
いいなって。
そんなに甘くなかった。
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