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3章 サードライブ
163話 別件
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夏休みが明けて新学期。
俺は仕事に学校生活に精を出し、
会長について悶々としながら
過ごしていた。
「ん、蓮。蓮!聞いてる!?」
「あ、ごめん。考え事してて」
大輝の声にハッする。
「ちゃんと聞いててよ。
もう一回言うよ、今度の、ーーー」
クラスのグループ発表の話し合い。
でも、全然集中できない。
集中しないといけないのに。
「蓮、おーい、聞こえる?」
大輝が手をヒラヒラさせたのが
視界に入る。
「大丈夫?具合悪い?保健室行く?」
「あ、いや。平気」
「でもさっきからそんな調子で」
「ホントに大丈夫だから」
気持ちを切り替えないと。
数日後、グループ発表はうまくいって
一安心。
そして翌日、俺はクラスメイトの女子に
階段の踊り場に呼び出された。
(なんだろう。告白、はないだろうし)
「ごめんね、教室だと
騒ぎになりそうで」
(こっちの方が騒ぎになりそう)
「それで、なに?」
「あ、これ」
手渡された黄色の無地に白のライン が入ったおしゃれな封筒。
「あのファンレター、なら事務所に」
「ファンレターじゃないらしいの」
(らしい?)
「昨日、私高坂くんより遅くに
帰ったんだ。それで校門を出た時に
これを渡されて、高坂蓮って人に渡してくれませんか、て」
(他校の生徒?)
「私もそういうのは事務所じゃないと
ダメって言ったんだけど、急いでた
みたいでファンレターじゃないですって押しつけられちゃったから」
「ファンレターじゃない?」
「うん、あの子そう言って
走っていっちゃって」
「あの子?高校生じゃないの?」
「うん、ここら辺で見ない制服だけど
中学校の制服だってことはわかったよ」
(中学生、なら益々不思議だ)
悩んでいると、
「あ、そういえばその子、まりって言ったらわかりますって、」
「まり・・・」
「いたっ、」
反応して彼女の手首を掴んでハッとした
「ご、ごめん」
「あ、ううん。びっくりしただけ。」
手を振って苦笑した。
「そのまりって子、知ってるの?」
控えめに聞いていた。
「うん、まぁ」
確定してないから返事が生半可になる。
「その封筒、もらってもいい?」
「え、それはもちろん。」
「ありがとう。
このことは秘密ね」
人差し指を立てて、声をひそめる。
「あ、うん」
気のせいか彼女の頬は染まっていた
気がする。
手紙を受け取って彼女が階段を
降りていくのを見送る。
手紙を制服の内ポケットに入れて、
階段を降りて教室に戻る。
今日は仕事が休みで急いで家に帰り、
階段を駆け上がり部屋に直行した。
表面にも裏面には何も書いていない。
シールを剥がして、便箋を開く。
「予定がなかったら土曜日の
10時に○△カフェに来てください。
ピンクと白の封筒を持っていたら、
持ってきてきていただけたら幸いです」
とそれだけだった。
(急いでたって言うからよっぽど
忙しいのかな。
でも茉里って確証はないし。
まぁ会わないことには何も分からないし)
予定はレッスンだけ。
でも午前中だし。
(ダメ元で連絡する)
ワンコールで千鶴さんは出てくれた
「珍しいですね、
あなたから連絡なんて」
「あの、千鶴さん。
今度の土曜日って4人一緒、ですよね」
「そうですけど」
「あの急に別件が入ってしまって、
その」
「あなたが別件と言うならよっぽど
なんですね。わかりました、杏子さん には私から伝えておきます。
でも終わり次第、急いでくださいね」
「はい、すみません。」
「あ、杏子?蓮くんも別件で時間
遅れるって」
電話越しの声は不満そう。
「え~、蓮も?舞といい
どうしたんだろう」
「土曜日がいいんだろうね、
たまには大目に見ていいんじゃない?」
「それは、そうだけどさ。
あの2人にはその分、今度のレッスンの時しばいてあげようかな」
冗談のような口振りだが、
本当にやりそう
俺は仕事に学校生活に精を出し、
会長について悶々としながら
過ごしていた。
「ん、蓮。蓮!聞いてる!?」
「あ、ごめん。考え事してて」
大輝の声にハッする。
「ちゃんと聞いててよ。
もう一回言うよ、今度の、ーーー」
クラスのグループ発表の話し合い。
でも、全然集中できない。
集中しないといけないのに。
「蓮、おーい、聞こえる?」
大輝が手をヒラヒラさせたのが
視界に入る。
「大丈夫?具合悪い?保健室行く?」
「あ、いや。平気」
「でもさっきからそんな調子で」
「ホントに大丈夫だから」
気持ちを切り替えないと。
数日後、グループ発表はうまくいって
一安心。
そして翌日、俺はクラスメイトの女子に
階段の踊り場に呼び出された。
(なんだろう。告白、はないだろうし)
「ごめんね、教室だと
騒ぎになりそうで」
(こっちの方が騒ぎになりそう)
「それで、なに?」
「あ、これ」
手渡された黄色の無地に白のライン が入ったおしゃれな封筒。
「あのファンレター、なら事務所に」
「ファンレターじゃないらしいの」
(らしい?)
「昨日、私高坂くんより遅くに
帰ったんだ。それで校門を出た時に
これを渡されて、高坂蓮って人に渡してくれませんか、て」
(他校の生徒?)
「私もそういうのは事務所じゃないと
ダメって言ったんだけど、急いでた
みたいでファンレターじゃないですって押しつけられちゃったから」
「ファンレターじゃない?」
「うん、あの子そう言って
走っていっちゃって」
「あの子?高校生じゃないの?」
「うん、ここら辺で見ない制服だけど
中学校の制服だってことはわかったよ」
(中学生、なら益々不思議だ)
悩んでいると、
「あ、そういえばその子、まりって言ったらわかりますって、」
「まり・・・」
「いたっ、」
反応して彼女の手首を掴んでハッとした
「ご、ごめん」
「あ、ううん。びっくりしただけ。」
手を振って苦笑した。
「そのまりって子、知ってるの?」
控えめに聞いていた。
「うん、まぁ」
確定してないから返事が生半可になる。
「その封筒、もらってもいい?」
「え、それはもちろん。」
「ありがとう。
このことは秘密ね」
人差し指を立てて、声をひそめる。
「あ、うん」
気のせいか彼女の頬は染まっていた
気がする。
手紙を受け取って彼女が階段を
降りていくのを見送る。
手紙を制服の内ポケットに入れて、
階段を降りて教室に戻る。
今日は仕事が休みで急いで家に帰り、
階段を駆け上がり部屋に直行した。
表面にも裏面には何も書いていない。
シールを剥がして、便箋を開く。
「予定がなかったら土曜日の
10時に○△カフェに来てください。
ピンクと白の封筒を持っていたら、
持ってきてきていただけたら幸いです」
とそれだけだった。
(急いでたって言うからよっぽど
忙しいのかな。
でも茉里って確証はないし。
まぁ会わないことには何も分からないし)
予定はレッスンだけ。
でも午前中だし。
(ダメ元で連絡する)
ワンコールで千鶴さんは出てくれた
「珍しいですね、
あなたから連絡なんて」
「あの、千鶴さん。
今度の土曜日って4人一緒、ですよね」
「そうですけど」
「あの急に別件が入ってしまって、
その」
「あなたが別件と言うならよっぽど
なんですね。わかりました、杏子さん には私から伝えておきます。
でも終わり次第、急いでくださいね」
「はい、すみません。」
「あ、杏子?蓮くんも別件で時間
遅れるって」
電話越しの声は不満そう。
「え~、蓮も?舞といい
どうしたんだろう」
「土曜日がいいんだろうね、
たまには大目に見ていいんじゃない?」
「それは、そうだけどさ。
あの2人にはその分、今度のレッスンの時しばいてあげようかな」
冗談のような口振りだが、
本当にやりそう
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