虹色の薔薇が咲く場所は

如月 りん

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3章 サードライブ

155話 真実

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約束の日、俺は1人で指定された
カフェへ。入店する前に
先で席で待っています
と送る。
ドアを引くとカランカランと鈴が鳴り
店員さんが出てきた。

「いらっしゃいませ、一名様ですか?」
「あ、いえ。
待ち合わせで後から1人来ます」
「失礼しました」
ニコリと笑って席に案内してくれた。

席についてすぐに水の入ったグラスを
持ってきてくれて頭を下げて
グラスを向かい合わせに置く。

エゴサしていると
すみません、10分くらい送れます
と返信が来た。
大丈夫と送ろうとしたけど余計
急かしそうだし返信を見る時間すら
惜しいと思わせそうでやめた。

ニュースを見たり去年、雪希がつくった
オリジナル曲を聴いたりした。

好きに生きなきゃもったいない、
1番は普通じゃないことに
気づいた戸惑い、
2番は鏡に映る自分への不信感、
落ちサビで拒絶、自暴自棄
ラスサビでは自分の在り方、
1人じゃないこと、誰かにとってそれは
普通だと思っていいこと。
まさに雪希の本音を全てぶつけた曲。

落ちサビまでは暗く、ラスサビは
とても明るい。
MVでは髪をバッサリ切って黒の
ジーンズにグレーのTシャツで落ちサビまで暗い表情だったからコメントは
騒然としていた。

ラスサビ後で自分らしい服装で
鏡で笑った映像を見て
可愛い、自分らしいを体現した曲、
映画のようだったという好意のコメントで溢れた。

感慨に浸っていると
鈴の音と待ち合わせをしているという声が聞こえた。
振り返ると、20代後半らしい若い男性
だった。
俺と目が合って店員さんに会釈して
こっちに向かってくる。

「Rainbow Roseの方ですか?」
「はい、そうです」
男性は安堵のため息をついて向かいの
椅子に座った。
「すみません、呼び出して遅れて
しまって」
「いえ、そもそもこちらの都合で
あなたの予定を変えてしまったので」

沈黙の中、何も頼まないのはと思い
テーブル脇のメニューに手を伸ばし
少し見て男性に向きを変えて、
「よかったら」
と渡す。

「あ、ありがとうございます」
と男性はひたすら視線を左右に動かす。
(沈黙がキツいのかメニューで迷ってるのかどっちだろう、)

店員さんを男性が呼んで
「紅茶とフルーツタルトを」
(甘党なのかな)
視線を向けられ慌てて
「アイスコーヒーとチーズケーキを」
注文して再びの沈黙。

「あの、すみませんでした」
と急に頭を下げた。
訳が変わらず
「あ、いや」
と焦った。

頭を上げて
「3年前のこと、当時ニュースで
見ました。あなたが怪我をしたことと
舞さんという方が記憶喪失になったと」

(記憶喪失は知ってたけど
ニュースになってたのか)
「あの、違ってたらすみません。
あの奇妙な手紙を送ったのは
あなたですか?」
「はい、私です」
正直聞きたいことは山ほどが
まずは話を聞くことに。
「当時、私はあのステージの設営に
関わっていました。そこで聞いたんです。Rainbow Roseと言うアイドルを
このライブで潰すと、」

潰す、躊躇のない言葉にゾッとする。
「それは、誰でしたか?」 
「同じ設営に関わっていた人です。
でもその直後に捕まりました」
「捕まった?」
「警察の調べて彼がボルトを緩く閉めたと自白しました。」
(そうなのか、そういえば類から
詳しいことは聞いてないな)

「でも、なんで怪文書じみたものを」 
「その方が脅迫感が増して出場を
やめると思ったんです」
(たしかにあれは怖かった
でも、それを押し切って出たから
やっぱり自業自得かな)

お互いに頼んだものがきたから
話は一区切りつけた。
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