虹色の薔薇が咲く場所は

如月 りん

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3章 サードライブ

129話 警告

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「面白い先輩だね」
「会ったことがないから簡単に言えるんだよ、舞。」
家で先輩のことを話すと笑っていた。
「舞、その・・・受験って、どうなった?」
「う、うん。終わったからぐだぐだ
言っても意味ないけど、・・・
上手くいったと思う。」
真顔で言う舞にちょっと笑う。
(いや、上手くいったんだ。流れ的にダメだ
とかもっとやれたとか言うところじゃない?)

「一応、推薦を勧められたけど、
ライブがあったから」
「いや、そこは推薦とったらよかったのに。というか、
推薦されたって初めて聞いたよ。」
呆れながらいうと
「だってライブ前の集中を切らしたら
まずいかなって」
「え、めちゃくちゃ軽いね。」

「あのさ、」
「ただいま~。」
類のことを聞こうとしたらちょうど類が
帰ってきた。
「おかえり、類」
「おかえり、あのさ」
「ん?」

まだ2月、マフラーをして頬を紅くさせた
類が何故か不憫で
「いや、後でいいよ」
「そう?」

類が部屋に入ったのを確認してから舞は
ため息をついた。
「あんまりしつこいと嫌われるよ」
「まだ何も聞いてないよ」
「今、類はイライラしてるからね」
(いつも通りに見えたけどな)
「受験生は気が立っているから。
結果が出るまで落ち着けないんだと思うよ」
(そういうもんなのか)

類はラフな部屋着に着替えて、
ストーブの前であぐらをかいている。
(だんだん素が出てきたな。)

「相談があるんだけどさ、」
類の突然のシリアスっぽい雰囲気に緊張する
「今度のイベント、どう思ってる?」
「え、」
「・・・え、」
イベント?
「受験の相談じゃなくて?」
「うん、というか受験は終わったじゃん」
類は眉を顰めた。
「え、だ、だって舞が」
すぐに舞に聞くが
「え、知らなーい。巻き込まないで」
明らかに舞の目が泳いでる
「ちょっとしらばっくれないでよ、舞!」
「というか、俺が受験で悩むと思う?」
双方に挟まれて白旗をあげる。
「思いません」
(久しぶりに見たな、類のゲス顔)

約2時間後
「ただいまー」
「おかえり、雪希」
2人は部屋に行ってソファでだらけていたら
雪希が帰ってきた。

「どうだった?」
辺里くんと宮本さんと勉強して帰ってきた
雪希は荷物をテーブルの足に立てかけて
俺の隣に座る。

「疲れたよ、でも少しでも合格する確率を
あげたいし、学年が上がってから焦りたくないし
少しの辛抱だと思ってる」
「・・・そっか」
既に頑張っている雪希にそれしか
言えなかった。
(あの時の二の舞にはしたくない。
よく見とこう)  

今まで気になっていたことを聞くために
舞の部屋へ。
ドアをノックして
「舞、ちょっと入っていい?」
と聞くとすぐに返事がきたから入る。

「珍しいね、蓮が私の部屋に入るの」
「まぁ、」
言葉を濁していると
「なんか、困りごと?」
「・・・まぁ、困りごとというか、
気になることがあって」
歯切れが悪い俺に
「奇遇だね、
私も気になってることがあったの」

「2年前の、」
「犯行声明」
意を決して口に出したら舞に遮られた。

「やっぱり。私も気になってたの。
あの後に私たちの周りでおかしなことは
起きなかった。」
「ネットの掲示板を見ても住所のことは何も書いてなかった。
あの人が拡散していないのか、知っててもみんな触れないでいて
くれてるのかはわからないけど」
「でも別の視点を考えてみると」
「あれは脅迫じゃなくて」
「「警告、」」

場の空気が重くなるのを感じる
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