虹色の薔薇が咲く場所は

如月 りん

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2章 セカンドライブ

112話 大丈夫でしょ

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全員運動会が終わりレッスン再開。
1週間なのにすごく久しぶりな気がする。
「舞、教科書開いてなにしてるの?」
休憩中、僕が声をかけると舞は教科書から
顔を上げた。

「恥ずかしいことに最近、勉強に少し遅れている気がして」
(真面目だな)
「雪希は大丈夫なの?」
「多分、」
そう答えると舞は呆れていた
「雪希、アイドルだからって学校の勉強にも熱を入れないと」
「う、はい」
舞のごもっともな意見に反論できない
「舞、成績悪いのか?」
蓮が割り込んできた。
「蓮、先週にやった小テストの点数が
ちょっと低くて」
「何点?」
「88、」
「それで少し低いって考えがおかしいと
僕は思うけど」
「え!?かなり低いの部類に入る?」
「そうじゃなくて」

「俺から言わせたら普通だと思うけど」
トイレから戻ってきた類、
「普通、」
「はい、休憩終わり」
杏奈さんが戻ってきてレッスン再開。
マイクを持ち歌う。
(やっぱりこの時間が好きだな)

ーレッスン終了後ー
「今日の夕飯はどうしようか」
そう切り出したのは舞
「棚にツナ缶があったから、
ツナのクリームパスタとかどう?」
類の言葉に舞は頷き
「そうだね、じゃあスーパーでパスタ
買っていこ」

帰宅して舞はパスタを作り、その間
僕は勉強して、類は食器を出したりしていた。蓮もすぐに部屋に籠ったから勉強してると思う。

約20分後
「蓮ー、雪希ー。」
類に呼ばれて下に降りたけど、
蓮が降りてこない。

俺が上がって行って
部屋をノックする
「蓮、パスタできたけど」
「うん、今いいところだからキリが良くなったら行くから先食べてて。」
「・・・うん」
他は何も言わずに下に降りる。

降りてきた類の後ろを見たが蓮はいなかった
「蓮、後で食べるって」
「そっか、大丈夫かな、蓮」
「特別、今日だけ宿題が多かった
だけじゃない?」
「それならいいけど」
類の返しに舞は納得していないようだった。
2人とも食べ終わり蓮の分はラップをして
冷蔵庫に入れといた。
ーパスタは冷蔵庫に入ってるー
とメモを置いて。

(本当に大丈夫かな)
「おはよう、雪希」
「おはよう、れ」
振り返ると蓮の目の下にクマができていた。
「蓮!?どうしたの!?」
「あー、宿題が夜中までかかっちゃって。
でも大丈夫だよ。電車で少し寝るから」

蓮は笑って言ったが辛そうだ
「でも」
「大丈夫だから、雪希は気にしないで」
遮られてなにも言えなくなる。
少しして類と舞が降りてきて朝食になった。
「「「「ごちそうさまでした」」」」
蓮は昨日のパスタを少し食べて舞と一緒に
学校に行った。

蓮は電車に乗り席に座ると
私に体を預けてすぐに寝落ちした。
(やっぱり疲れるよね、)
イヤホンでSTEPの曲を聞く。
(やっぱりすごいな、STEP。
個々の主張がはっきりありながらもバランスは崩れてない)

最寄り駅で蓮を起こして
電車を降りる。
「ありがとう、舞。」
あくびして眠そう。
(電車のこと、拡散されたらどうしよう。
いや、まさかね)
「おは、なに?」
教室に入ると、クラスメイトの視線が一斉に
私に向けられる。
「ねぇ、これ。」
鈴川さんが見せたのはとあるSNS。

(あ、)
嫌な予感がすると、電車で蓮が寝ている
ところだった。
(とうかこれ盗撮にならないの?)
ハッシュタグには激レアショットと
書いてある。
「なにこれ、」
結構閲覧数がありコメントも多い。
・盗撮なんて常識なさすぎ
・非常識!
・アイドルだって普通に寝るでしょ
・電車で寝るなんて普通でしょ
と投稿者を非難する声がほとんど。
しかし
・絵になる
・羨ましい
と言う声もちらほら。 

「高坂先輩も似たような状況になってるん
じゃない?」
「あー、まぁ大丈夫でしょ」
その場で軽く流してスマホでそのSNSを
スクショする。

2時間目の授業中、
保健室の先生が教室の外から様子を
伺っている。
先生が気づいて教室の外へ、
(先生に用かな)
ぼんやりと思っていると
「日比谷」
そう呼ばれて見ると手招きしていて
廊下へ。

先生はすぐに教室に戻り授業再開。
保健室の先生からは
「高坂くんが倒れた」
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