虹色の薔薇が咲く場所は

如月 りん

文字の大きさ
上 下
101 / 267
2章 セカンドライブ

101話 寂しかった?

しおりを挟む
「翔、来てくれるかな、」
 そわそわしてると
「大丈夫だって、舞。翔さんシスコン
だから来てくれるよ、多分」
「最後の多分は要らなかったかな、蓮」

少し背が伸びた蓮。昨日慌てて丈を
直されていたが、間に合ってよかった。
雪希と類はスタッフさんのところに確認を
しにいっている。
「蓮、舞、そろそろ」
顔を出した類の言葉に気持ちを切り替えて
ステージに向かう。
「こんにちは、Rainbow Roseです!」
会場は歓声が湧き上がる。

新しい振り付け、新しい曲、
このライブのために沢山努力をした。
みんなミスはなく確実に成長していることを実感する。
最後の曲まで歌いきり、会場の熱が冷めないうちに次のアイドルと交代してステージを
降りる。

ー控え室ー
「疲れた」
「終わって開口1番にそれ?」
類と雪希が話していても話が入ってこない
「舞?」
「分からなかった、翔」
「それだけ、ライブに集中してたって
ことじゃない?」
「そうだね、蓮。私。いつかSTEPと
同じステージに立つことが目標なんだ」
「そうか、」
蓮は目を細めて言った

「仲間の目標は俺たちの目標でもある、」
雪希と話してたと思ってた類はいつのまにか
着ていたジャケットを脱いで椅子に
掛けていた。
「僕たちがSTEPと肩を並べられるように
頑張らないとね」
「雪希、そうだね」
(本当にみんなと出会えて良かった)
余韻に浸っていると、メールが入る。

翔からだ。
ー今、少し話せる?ー
「ん?・・・ねえ、
ちょっと出てきていい?」
「うん、でも早めに戻ってきなよ」
類からOKが出たからロビーの端っこで
電話をする
「もしもし」
「久しぶり、舞」
「どうだった?」
「見違えたよ、1年前とは大違い」
「私、寮に入ってから一度も家に
帰ってないんだ」
「あー、俺も忙しくて帰れてないな」
「このライブが終わってから3日くらい休みなんだ。だからその時に掃除しに帰ろうと
思ってるんだ」
「そっか、俺も帰れたら良かったん
だけど、別の仕事が入ってて。」
「有名なんだもん、仕方ないよ。今日の
ライブも忙しいからこれないんじゃないかなって思ってたからよかった」
「ふーん、つまり、寂しかった?」
「そ、そんなわけないよ、
馬鹿じゃないの?」
言い当てられてムキになった。

「なんか、毒舌になったな」
呆れられたがすぐに、
「でもそんな仲間に巡り会えて良かったな」
「うん、それは本当にそう思う」
「あの、チケットって約束があった、
から?」
「約束、・・・約束なんかしたっけ?」
一瞬息を呑んだように思えたけど、類に
手招きされてこれ以上は無理だと分かった
「ごめん、翔。そろそろ行かないと」
「え、あ、うん。またな」
元気だった翔の声が急に萎んで気になったが
電話を切る。

偶然は怖いな、
舞に悪気があったわけじゃない。純粋に兄に
自分の姿を見て欲しかったというのは嫌と
いうほど理解している。

でもどこにぶつければいいんだろう。
思い出してしまった後悔と舞の仲間が
両親を葬った張本人の息子だという憤りを。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

「南風の頃に」~ノダケンとその仲間達~

kitamitio
青春
合格するはずのなかった札幌の超難関高に入学してしまった野球少年の野田賢治は、野球部員たちの執拗な勧誘を逃れ陸上部に入部する。北海道の海沿いの田舎町で育った彼は仲間たちの優秀さに引け目を感じる生活を送っていたが、長年続けて来た野球との違いに戸惑いながらも陸上競技にのめりこんでいく。「自主自律」を校訓とする私服の学校に敢えて詰襟の学生服を着ていくことで自分自身の存在を主張しようとしていた野田賢治。それでも新しい仲間が広がっていく中で少しずつ変わっていくものがあった。そして、隠していた野田賢治自身の過去について少しずつ知らされていく……。

無敵のイエスマン

春海
青春
主人公の赤崎智也は、イエスマンを貫いて人間関係を完璧に築き上げ、他生徒の誰からも敵視されることなく高校生活を送っていた。敵がいない、敵無し、つまり無敵のイエスマンだ。赤崎は小学生の頃に、いじめられていた初恋の女の子をかばったことで、代わりに自分がいじめられ、二度とあんな目に遭いたくないと思い、無敵のイエスマンという人格を作り上げた。しかし、赤崎は自分がかばった女の子と再会し、彼女は赤崎の人格を変えようとする。そして、赤崎と彼女の勝負が始まる。赤崎が無敵のイエスマンを続けられるか、彼女が無敵のイエスマンである赤崎を変えられるか。これは、無敵のイエスマンの悲哀と恋と救いの物語。

隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)

チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。 主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。 ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。 しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。 その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。 「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」 これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。

ほつれ家族

陸沢宝史
青春
高校二年生の椎橋松貴はアルバイトをしていたその理由は姉の借金返済を手伝うためだった。ある日、松貴は同じ高校に通っている先輩の永松栗之と知り合い仲を深めていく。だが二人は家族関係で問題を抱えており、やがて問題は複雑化していく中自分の家族と向き合っていく。

将棋部の眼鏡美少女を抱いた

junk
青春
将棋部の青春恋愛ストーリーです

隣の優等生は、デブ活に命を捧げたいっ

椎名 富比路
青春
女子高生の尾村いすゞは、実家が大衆食堂をやっている。 クラスの隣の席の優等生細江《ほそえ》 桃亜《ももあ》が、「デブ活がしたい」と言ってきた。 桃亜は学生の身でありながら、アプリ制作会社で就職前提のバイトをしている。 だが、連日の学業と激務によって、常に腹を減らしていた。 料理の腕を磨くため、いすゞは桃亜に協力をする。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...