上 下
101 / 266
2章 セカンドライブ

101話 寂しかった?

しおりを挟む
「翔、来てくれるかな、」
 そわそわしてると
「大丈夫だって、舞。翔さんシスコン
だから来てくれるよ、多分」
「最後の多分は要らなかったかな、蓮」

少し背が伸びた蓮。昨日慌てて丈を
直されていたが、間に合ってよかった。
雪希と類はスタッフさんのところに確認を
しにいっている。
「蓮、舞、そろそろ」
顔を出した類の言葉に気持ちを切り替えて
ステージに向かう。
「こんにちは、Rainbow Roseです!」
会場は歓声が湧き上がる。

新しい振り付け、新しい曲、
このライブのために沢山努力をした。
みんなミスはなく確実に成長していることを実感する。
最後の曲まで歌いきり、会場の熱が冷めないうちに次のアイドルと交代してステージを
降りる。

ー控え室ー
「疲れた」
「終わって開口1番にそれ?」
類と雪希が話していても話が入ってこない
「舞?」
「分からなかった、翔」
「それだけ、ライブに集中してたって
ことじゃない?」
「そうだね、蓮。私。いつかSTEPと
同じステージに立つことが目標なんだ」
「そうか、」
蓮は目を細めて言った

「仲間の目標は俺たちの目標でもある、」
雪希と話してたと思ってた類はいつのまにか
着ていたジャケットを脱いで椅子に
掛けていた。
「僕たちがSTEPと肩を並べられるように
頑張らないとね」
「雪希、そうだね」
(本当にみんなと出会えて良かった)
余韻に浸っていると、メールが入る。

翔からだ。
ー今、少し話せる?ー
「ん?・・・ねえ、
ちょっと出てきていい?」
「うん、でも早めに戻ってきなよ」
類からOKが出たからロビーの端っこで
電話をする
「もしもし」
「久しぶり、舞」
「どうだった?」
「見違えたよ、1年前とは大違い」
「私、寮に入ってから一度も家に
帰ってないんだ」
「あー、俺も忙しくて帰れてないな」
「このライブが終わってから3日くらい休みなんだ。だからその時に掃除しに帰ろうと
思ってるんだ」
「そっか、俺も帰れたら良かったん
だけど、別の仕事が入ってて。」
「有名なんだもん、仕方ないよ。今日の
ライブも忙しいからこれないんじゃないかなって思ってたからよかった」
「ふーん、つまり、寂しかった?」
「そ、そんなわけないよ、
馬鹿じゃないの?」
言い当てられてムキになった。

「なんか、毒舌になったな」
呆れられたがすぐに、
「でもそんな仲間に巡り会えて良かったな」
「うん、それは本当にそう思う」
「あの、チケットって約束があった、
から?」
「約束、・・・約束なんかしたっけ?」
一瞬息を呑んだように思えたけど、類に
手招きされてこれ以上は無理だと分かった
「ごめん、翔。そろそろ行かないと」
「え、あ、うん。またな」
元気だった翔の声が急に萎んで気になったが
電話を切る。

偶然は怖いな、
舞に悪気があったわけじゃない。純粋に兄に
自分の姿を見て欲しかったというのは嫌と
いうほど理解している。

でもどこにぶつければいいんだろう。
思い出してしまった後悔と舞の仲間が
両親を葬った張本人の息子だという憤りを。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

義姉妹百合恋愛

沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。 「再婚するから」 そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。 次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。 それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。 ※他サイトにも掲載しております

投稿インセンティブで月額23万円を稼いだ方法。

克全
エッセイ・ノンフィクション
「カクヨム」にも投稿しています。

カイリーユと山下美那、Z(究極)の夏〜高2のふたりが駆け抜けたアツイ季節の記録〜

百一 里優
青春
【3x3バスケに打ち込んだ"くすぶり系"男子は、幼馴染の美男系バスケ女子の心を掴めるのか? 随時更新】リユこと森本里優は横浜の高2男子。わけありでテニス部を辞めた今は、密かに小説を書きつつ、バイトをしてバイク購入も目指している。近所で幼馴染の同級生・山下美那(ミナ)はバスケ部の中心選手で人気者の美形女子だ。美那とは、仲良しだった幼稚園以後は付かず離れずの友達関係にある。 夏至も近い夏の日、美那が「親が離婚しそうだ」と、父親のDVで親の離婚を経験しているリユに相談する。さらに、自分をもてあそんだ大学生のストリートボーラーをバスケで見返す気の美那は、なぜか経験のないリユを3x3バスケチームに誘う。 その日を境にリユの人生が大きく動き出す。 憧れのバイクの入手、3x3バスケの特訓、泊りがけの夏休みのバイトに、図書室の美少女との恋、さらには高校生2人+大学生2人のチームで3x3大会への出場。美那との距離も次第に縮まり、幼なじみから親友、そして……。 そのほか、カメラや写真、建築、LGBTなどの話題も出てきます。 舞台は主に神奈川県横浜市ですが、長野県の軽井沢、松本市などは撮影助手バイトでの旅先、また東京や横須賀、三浦半島なども登場します。 リユの欲しいバイクはカワサキZ250。憧れのバスケ選手はNBAのカイリー・アービング。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体等とは一切関係がありません。 ※参考文献:『1冊でわかる3X3バスケ入門 ルールから戦術、練習法まで』著者・中祖嘉人、発行所・株式会社マイナビ出版、2021年5月31日初版第1刷発行

JCでもできる!はじめての悪の首領

虚仮橋陣屋(こけばしじんや)
青春
あたし、真野麻央、中学二年生。死んだおじいちゃんから託されたのは、VRゴーグルと指輪。湧き上がる好奇心から、試しにそれを装着してみたら……! え? これがあたし!? 長年住み慣れた下町に建つ真野家の地下に広がっていたのは、非現実的なVRワールドだった! その中での麻央の役割は「悪の首領アーク・ダイオーン」その人であり、さまざまな容姿・特技を持った怪人たち・構成員を統率するエラーイ人なのだという。 そんなムツカシーこといわれても、中学生の麻央には分からないことだらけでとまどうばかり。それでも麻央は、自分に与えられた役目を果たそうと奮闘するのだった。 JCが悪の首領だってイイじゃない!

【完結】Nurture ずっと二人で ~ サッカー硬派男子 × おっとり地味子のゆっくり育むピュア恋~

丹斗大巴
青春
 硬派なサッカー男子 × おっとり地味子がゆっくりと愛を育むピュアラブストーリー  地味なまこは、ひそかにサッカー部を応援している。ある日学校で乱闘騒ぎが! サッカー部の硬派な人気者新田(あらた)にボールをぶつけられ、気を失ってしまう。その日から、まこの日常が変わりだして……。 ✴* ✴* ✴* ✴* ✴* ✴* ✴* ✴* サッカー部の硬派男子 未だ女性に興味なしの 新田英治 (やばい……。 なんかまだいい匂いが残ってる気がする……) × おっとり地味子  密かにサッカー部を応援している 御木野まこ (どうしよう……。 逃げたいような、でも聞きたい……) ✴* ✴* ✴* ✴* ✴* ✴* ✴* ✴*   便利な「しおり」機能をご利用いただくと読みやすくて便利です。さらに「お気に入り」登録して頂くと、最新更新のお知らせが届きますので、こちらもご活用ください。

僕の周りの人達には秘密がある

ノア オリバー
青春
ぼくの周りの人たちには、何か秘密がある。例えば横の席の子とか前の席の子とか。女の子に囲まれたぼくは一人一人の秘密を解決していくのだった。 「僕に話してみなよ」 これは優しい声音で聞く、優しく頼りになる彼を好きになっていく少女達の恋物語。

バス・ドライバー日記

深町珠
青春
愛紗は、18歳で故郷を離れ、バスガイドとして働いていたが 年々不足する路線バスドライバーとして乗務する事を志願。 鉄道運転士への憧れが、どこかにあったのかもしれない。 しかし、過酷な任務。女子であるが故の危険性。会社は 長閑な田舎への転属が適当ではないかと判断する。 複雑な感情を抱き、彼女は一週間の休暇を申し出、帰郷する。 友人達と共に旅しながら、少しづつ、気持ちを開放していく愛紗。 様々な出会いがあり、別れを経験して・・・。 現役路線バスドライバーであった方の手記から、現実を背景に描く セミドキュメンタリードラマ。 日生愛紗(21):バスガイド=>ドライバーへ転身中 藤野友里恵(20):同僚ガイド 青島由香(20):同僚ガイド。友里恵の親友。 石川菜由(21):愛紗の親友。寿退社=>主婦 日光真由美(19):人吉車掌区乗務員。車掌補。 荻恵:21歳。熊本在住。国鉄熊本車掌区、車掌。 坂倉真由美:19歳。熊本在住。国鉄熊本車掌区、車掌補。 三芳らら:15歳。立野在住。熊本高校の学生、猫が好き。 鈴木朋恵:19歳。熊本在住。国鉄熊本車掌区、車掌補。 板倉裕子:20歳。熊本在住。国鉄熊本車掌区、車掌。 日高パトリシアかずみ:18歳。大分在住。国鉄大分車掌区、客室乗務員。 坂倉奈緒美:16歳。熊本在住。熊本高校の学生、三芳ららの友達・坂倉真由美の妹。 橋本理沙:25歳。大分在住。国鉄大分機関区、機関士。 三井洋子:21歳。大分在住。国鉄大分車掌区。車掌。 松井文子:18歳。大分在住。国鉄大分車掌区。客室乗務員。

彼女たちをトップアイドルに育てるのが俺が生まれた大きな理由の一つだったりするわけであり。

てたまろ
キャラ文芸
主人公、雨木川還流(あまぎかわかえる)の前に現れた宝城キルト、彼の持っていた見たことの無い不思議な人形が還流(かえる)の夢の中に出て来て運命を感じる。 その人形をきっかけに還流とキルトは女の子を集めネオ・アイドルという新しいジャンルに挑戦するが様々な妨害により事務所が倒産寸前の危機に追い込まれてしまう。 デビュー曲、セカンドシングルと惨敗で後がない、サードシングルで起死回生を図る。 ネオ・アイドルグループ『プリミアムフォー』個性豊かな4人の女の子たちの成長物語でもある。 王城臣(おうぎおみ) 小学5年生、小1から事務所に入所、テレビの教育バラエティー番組に出演していた、明るいキャラで人気もあり多くの支持を集めている。主人公とは兄妹の様な関係。 許斐心(このみこころ) 高校1年生、中三の時ひょんなことから舞台に立つことになりそのまま事務所へ入所、本人はアイドル志望ではなく女優として活動していきたい。 須賀彗夏(すがすいか) 高校2年生、プリミアムフォーのリーダー、積極的で行動力がありメンバーをまとめる力がある、ダンサー志望でストリートダンスをしていた所スカウトされる。 出雲伊莉愛(いずもいりあ) 高校2年生、彗夏とは中学からの付き合い、身長170、5センチ、高身長から見せるダンスはダイナミックで迫力があり定評がある。アニメや漫画が好きでオタク、妄想癖あり。 多くの涙や恋愛模様その他夢や目標に向かって進んでいく、そんな物語です。

処理中です...