虹色の薔薇が咲く場所は

如月 りん

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2章 セカンドライブ

93話 センセイ

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あの日、先生に近づく時
俺は僕と入れ替わった。
(よろしくね、サク)
目を閉じると意識が遠のく。

「今の話、聞いてたか、」
「いいえ、僕は何も聞いていませんよ」
(でも意識は共有してるから咲が聞いていれば分かります。僕が直接、聞いたわけじゃないから嘘じゃないですよね)

あの2人にバレると厄介だから遠ざけた。
「センセイ、僕にもその話聞かせて
くださいよ」
「辺、里?」
咲がセンセイと呼んでいた人が 
スマホを落とした
「どうしたんですか?そんなに怯えて」
「辺里、だよな?」
「はい、僕は僕ですよ。
変なこと言わないでくださいよ」

クスリと笑うとセンセイは青ざめて歯が
ガチガチと鳴っている。
「大丈夫ですか?顔色が悪いですよ、
 センセイ」
近づくとセンセイは冷や汗がダラダラ
流しながら後退りをする。
「何が怖いんですか?僕は僕、ですよ」
ニコリと微笑むと逃げ出そうとしたので、
服を掴んだ。

「センセイ、僕は別にユキとタツヤに対する発言はどうでもいいんです。でも俺がお怒りなのでお灸を据えさせてもらいますね。
センセイ、さっきの言葉ですけど障害者
だったら認められるんですか?
男は男らしく、女は女らしくの基準って
なんなんですか?
見た目だけでその人の中身を知ろうとも
せず勝手なことを言って古い価値観でしか
人を見ることができないあなたが1番の、
障害者、ですよ?」

目の焦点があってなく返事がなかったから
「わかりましたか?」
と聞くと
「分かった!分かったから!頼む、
離してくれ!!」
と涙で汚くなった顔で懇願したから服を話すと、全力で校舎に走っていった。

(終わりましたよ、サキ。疲れちゃいました。眠いから早く交代してください)
(お疲れ様、ありがとう、サク。
ゆっくり休んで)
僕は眠りについた。

再び目を覚ますと自転車小屋にいたから急いで校舎に向かった。

帰り道で雪希からさっき撮ったやつを送ってもらい、翌日校長先生に話して罰してもらおうと思ったけど休みだった。そして今日
かなり早めに学校に行き、職員室に向かうと
大騒ぎだった。
1年の学年主任がさっき、
退職届けを出して学校を去ったようだ。

(サク、何やったのかな。穏便に済ませようと思って雪希から送ってもらったのに。
まぁいいか、入れ替わる時しか会話は
出来ないし。)

解離性同一障害、馴染みがあるようにいえば
二重人格、又は多重人格。
サクは俺の思考、やろうとしていること、
して欲しいことがわかるみたいだが俺はサクがやったことがわからない。

俺の中にサクが現れたのは確か5年前。
5年前、サクを身代わりにしたいほどの
トラウマがあったと思うが思い出せない。

(まぁ思い出せなくて不便なことはない。
知ろうと思わないし、このまま誰にもサクのことを悟らせないようにしないと)
「俺は何もしていないよ」
そう言った時、雪希の表情が恐怖で歪んで
いた気がした。
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