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1章 ファーストライブ
64話 失礼します
しおりを挟む「どんなに頑張っても認めてくれない人の
ために努力するのって無駄じゃない?
そういう人には諦めるじゃなくて
見切りをつけたって言い聞かせればいいよ。
少なくとも俺は認めてるよ」
類は雪希に視線を送る。
「親に認められなくてもいいんじゃない。
なにも認めてる存在が親だけって縛りはない。
兄弟でもいい、祖父母でもいい、
友達でもいい、仲間でもいい。」
雪希は微笑んだ、が
「どうして、どうして俺を認めてくれる?」
「どうして、かぁ」
視線を落とし項垂れる俺に
今度は舞が話し出す。
「認めるってさ、難しいよね。
だってこれをこうしたら認めるって基準が
ないんだし。
私が一番単純な考えだけど好きかどうか、
かな。好きだからだから一緒
にいたいし、活動したいって思ってる。
これじゃだめかな?」
舞は頬を掻き、眉を下げて言った。
(こんな、こんな近くにいたんだ。
認めてくれる、いや、
認めてくれていた存在が3人も)
「ありがとう、」
「僕たちだけじゃないよ」
「え?」
訳がわからないまま、寮へ戻る俺たち。
テーブルの上には大量の
「これは?」
「ファンレターだよ」
類はそう言って一つを手に取り俺に渡す
宛名はRainbow Roseの蓮くんへ。
シールを丁寧に剥がし便箋を読む。
ファンレターを書くのは初めてでこれで合っているのかわかりませんがどうしても伝えたくて出させてもらいました。
デビューライブを娘と一緒に見ました。
初めてのライブで緊張しているのか
声も振りも震えているのを感じました。
でも頑張っている姿に勇気をもらいました。
最近は仕事と家事の板挟みで軽いノイローゼ
気味でしたか、Rainbow Roseの特に蓮くん
に前を向ける力をもらいました。
ありがとうございます。
前回のライブで姿が見えなかったので
心配しました。学業との両立、大変かもしれません。私も娘も応援しています。
丁寧な字で綴られた便箋、封筒の中には
俺の担当色のクレヨンでがんばれと拙い字で書いてあった。
(俺を認めて、応援してくれる人がこんなにいるんだ)
感無量で潤む目を擦る。
「これでも、まだ認められたないって思う?」
類の問いに首を振る。
(誰かに認められたくて
俺はアイドルになったんだ)
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