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1章 ファーストライブ
56話 しっくりくるの
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舞は生活に慣れて僕たちにも少しずつ慣れてくれた。
僕の性別にもあの時と同じ、さらっと受け入れてくれた。
あの事件からあっという間に月日が経ち、
今は2月。
その間、舞は記憶を取り戻すことはなく、
蓮も目覚めない。たまに類と交互に蓮の様子を見に行っている。
(舞にはまだはないと思うから)
2人でソファに座っているとき、
ふと舞が聞いてきた。
「雪希くんって、どうして私を
気にかけてくれるの?」
曇りなき眼でそう問う舞の頬を手を添えて
微笑み
「好きだからだよ、舞のことが」
なんて言ったら困らせるだけだから言わない
「仲間だからだよ、
仲間だからそばにいたいんだ」
これも本心だ。
「仲間、それって3人?」
「え?」
突然の舞の言葉に、間抜けな声が出る。
「私と、雪希くんと類くん、3人?」
「どうして?」
動揺が隠しきれない。
「わからない、でも3人は違和感があって
5人以上だとなんか違う気がして。
4人だとしっくりくるの」
どうすればいい、
これ以上言って記憶が戻るかもしれない。
でも無理矢理思い出して舞が傷つくとしたら?
迷っていると
「ただいま、雪希、舞」
「おかえりなさい、類くん」
「おかえり、類。ちょっと、」
レッスンから帰ってきたばかりの類の手を引き僕の部屋へ。
「どうした、雪希」
「いきなりでごめん、ちょっと気になることがあって」
「気になること?」
類は眉を顰める。
「うん。さっきね、
舞がどうして気にかけてくれるのって聞くから仲間だからって答えたんだ、そしたら舞は3人だけ?4人の方がしっくり
くるって言ったんだ」
「蓮のことはわからない、でもほかに誰か
いることはわかりかけている、てこと?」
「多分、ねえ類。舞ってなんで記憶を無くしちゃったんだろう」
類は控えめに
「あの時、下敷きになった時に蓮は舞を庇
ったんだ。目の前で蓮が怪我をしたことが相当ショックだったんだろう」
「自分のせいで仲間が怪我をしたって感じたんだよね。僕が舞と同じ立場だったら僕は
自分を責める。」
「その結果が、記憶を、」
「ねぇ、僕たち、また4人でライブできるよね。このままだったりしないよね」
類は軽く息を吐き、僕の頭に手を置く。
「大丈夫、どんなに時間がかかっても俺たちはまたステージに立てる。
Rainbow Roseは芽吹いたばかり。
大輪の花になるまで、
俺たちは成長し続ける。」
「類、そうだね」
(類だって不安なんだ、僕が落ち込んでちゃ
駄目だよね)
誰かがステージに立っている。
沢山の観客が手拍子を打っている、
次の瞬間、
ものすごし音がして、私は下敷きになる。
「舞!舞!」
必死に私の名前を呼んでいる。
(ステージに立ってるのは、私?)
そこで私は目が覚める。
不思議な夢を見た、
まるで経験したようなはっきりした夢。
オレンジに近い茶色い髪をした男の子、
髪の影で顔は見えなかった。
「あなたは、、、誰?」
ポツリと呟いた問いはすぐに消えた
僕の性別にもあの時と同じ、さらっと受け入れてくれた。
あの事件からあっという間に月日が経ち、
今は2月。
その間、舞は記憶を取り戻すことはなく、
蓮も目覚めない。たまに類と交互に蓮の様子を見に行っている。
(舞にはまだはないと思うから)
2人でソファに座っているとき、
ふと舞が聞いてきた。
「雪希くんって、どうして私を
気にかけてくれるの?」
曇りなき眼でそう問う舞の頬を手を添えて
微笑み
「好きだからだよ、舞のことが」
なんて言ったら困らせるだけだから言わない
「仲間だからだよ、
仲間だからそばにいたいんだ」
これも本心だ。
「仲間、それって3人?」
「え?」
突然の舞の言葉に、間抜けな声が出る。
「私と、雪希くんと類くん、3人?」
「どうして?」
動揺が隠しきれない。
「わからない、でも3人は違和感があって
5人以上だとなんか違う気がして。
4人だとしっくりくるの」
どうすればいい、
これ以上言って記憶が戻るかもしれない。
でも無理矢理思い出して舞が傷つくとしたら?
迷っていると
「ただいま、雪希、舞」
「おかえりなさい、類くん」
「おかえり、類。ちょっと、」
レッスンから帰ってきたばかりの類の手を引き僕の部屋へ。
「どうした、雪希」
「いきなりでごめん、ちょっと気になることがあって」
「気になること?」
類は眉を顰める。
「うん。さっきね、
舞がどうして気にかけてくれるのって聞くから仲間だからって答えたんだ、そしたら舞は3人だけ?4人の方がしっくり
くるって言ったんだ」
「蓮のことはわからない、でもほかに誰か
いることはわかりかけている、てこと?」
「多分、ねえ類。舞ってなんで記憶を無くしちゃったんだろう」
類は控えめに
「あの時、下敷きになった時に蓮は舞を庇
ったんだ。目の前で蓮が怪我をしたことが相当ショックだったんだろう」
「自分のせいで仲間が怪我をしたって感じたんだよね。僕が舞と同じ立場だったら僕は
自分を責める。」
「その結果が、記憶を、」
「ねぇ、僕たち、また4人でライブできるよね。このままだったりしないよね」
類は軽く息を吐き、僕の頭に手を置く。
「大丈夫、どんなに時間がかかっても俺たちはまたステージに立てる。
Rainbow Roseは芽吹いたばかり。
大輪の花になるまで、
俺たちは成長し続ける。」
「類、そうだね」
(類だって不安なんだ、僕が落ち込んでちゃ
駄目だよね)
誰かがステージに立っている。
沢山の観客が手拍子を打っている、
次の瞬間、
ものすごし音がして、私は下敷きになる。
「舞!舞!」
必死に私の名前を呼んでいる。
(ステージに立ってるのは、私?)
そこで私は目が覚める。
不思議な夢を見た、
まるで経験したようなはっきりした夢。
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髪の影で顔は見えなかった。
「あなたは、、、誰?」
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