虹色の薔薇が咲く場所は

如月 りん

文字の大きさ
上 下
43 / 267
1章 ファーストライブ

43話 どうだろうな

しおりを挟む
(天然なのか。あれ、俺がおかしい?)
「どうかしたの?類」
「いや、別に」
食べ終わり、会計をして廊下に出る。
前を歩く舞と隣を歩く雪希。
チラッと雪希を見ると、口角が上がっているように見えた。
舞はまた自分のクラスに戻っていった。
俺と雪希は体育館で、パフォーマンスをやっていると舞から聞いたので見に
行くことに。
遮光カーテンで中は暗く、ステージだけが明るかった。

パイプ椅子がたくさん並んでいたが、ほとんど埋まっていたから
出入り口のすぐ横で立って見ていた。

ダンスやマジック、スライドショーなど
ステージは盛り上がっていた。
そして最後には、凝った衣装を着た、
今回限りのアイドルチームがステージの上で
ショーをしていた。

「僕たちが同じ学校だったら、
ステージでのライブとか簡単に
できそうだよね」
雪希は軽く笑った。
「まぁ、それでも事務所の許可は必要だろうな。
学校でライブをしようと思うって言ったのは嘘なんだ。」
「え、嘘?」
サラリと言った言葉に雪希は面食らった。
「じゃあ、なんであんなこと言ったの?」

「・・・どんな反応するかなって思って」
「ふーん、」
ステージが終わり、体育館が明るくなる。

パフォーマンス終了と退場を促すアナウンス
を聞き流して、外に出る。
ずっと暗かったから目がチカチカする。

蓮と舞は制服に着替え、楽しそうに
駄弁っていた。
チラと雪希をみると、
寂しそうな顔をしていた。
(もしかして)

蓮と舞は片付けがあるからと学校に残り
俺たちは先に寮に帰ることに。

電車を降りた帰り道。
「人って簡単なことで繋がるよね」
「いきなりどうした」
突然のことに苦笑する。

「人って簡単なことで繋がるよね」
「いきなりどうした」
突然のことに苦笑する
「僕がオーディションを受けなかったら
もちろん3人には出会わなかった。
その気になれば誰とでも繋がれるん
だなって」

「っ、・・・うん、」

ー繋がりは必ず良いだけのものじゃないー
言いそうになって、グッと堪えた。

寮に帰って、2階に行こうとする雪希を
呼び止める。

「ねぇ、雪希って舞の事、好き、
なの?」

「好き、って言ったら、どうするの?」
雪希は真剣な顔で返した。
「どうもしないよ、ただこれからの活動に
支障が出るようなことは辞めてくれ」
「大丈夫、言うつもりはないし。匂わせる
ようなこともしないよ」
(間接キスは匂わせじゃないのか?)
「間接キス?」
「声に出てた?」
「思いっきり」
「たこ焼きとレモンソーダの時、」

控えめに言うと、少し考えた雪希の顔は徐々に赤くなる。 
「~っ。僕、何も考えないで」
「大丈夫、舞も気づいてないよ、多分」
「多分!?」
驚き顔でツッコんでから真剣になる
「僕は舞が好きだよ。チームメイトとしても。それ以上としても」
(やっぱり)

「1人の女の子として好きだけど、このチームでいる方が居心地がいいんだ。だから言わない。この関係を壊すことになるようなことは絶対にしないよ」
「そっか、雪希の答えが聞けて安心した」
(多分、蓮も)

「類は、舞のことどう思ってるの?」
「俺?俺は特に何も、恋愛感情はないよ。
ただチームメイトとして大切にしたい」
「そうなんだ、僕、部屋戻るね」
雪希が2階に上がってから俺はソファに座る
急に睡魔に襲われて目を閉じる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

「南風の頃に」~ノダケンとその仲間達~

kitamitio
青春
合格するはずのなかった札幌の超難関高に入学してしまった野球少年の野田賢治は、野球部員たちの執拗な勧誘を逃れ陸上部に入部する。北海道の海沿いの田舎町で育った彼は仲間たちの優秀さに引け目を感じる生活を送っていたが、長年続けて来た野球との違いに戸惑いながらも陸上競技にのめりこんでいく。「自主自律」を校訓とする私服の学校に敢えて詰襟の学生服を着ていくことで自分自身の存在を主張しようとしていた野田賢治。それでも新しい仲間が広がっていく中で少しずつ変わっていくものがあった。そして、隠していた野田賢治自身の過去について少しずつ知らされていく……。

無敵のイエスマン

春海
青春
主人公の赤崎智也は、イエスマンを貫いて人間関係を完璧に築き上げ、他生徒の誰からも敵視されることなく高校生活を送っていた。敵がいない、敵無し、つまり無敵のイエスマンだ。赤崎は小学生の頃に、いじめられていた初恋の女の子をかばったことで、代わりに自分がいじめられ、二度とあんな目に遭いたくないと思い、無敵のイエスマンという人格を作り上げた。しかし、赤崎は自分がかばった女の子と再会し、彼女は赤崎の人格を変えようとする。そして、赤崎と彼女の勝負が始まる。赤崎が無敵のイエスマンを続けられるか、彼女が無敵のイエスマンである赤崎を変えられるか。これは、無敵のイエスマンの悲哀と恋と救いの物語。

隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)

チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。 主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。 ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。 しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。 その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。 「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」 これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。

ほつれ家族

陸沢宝史
青春
高校二年生の椎橋松貴はアルバイトをしていたその理由は姉の借金返済を手伝うためだった。ある日、松貴は同じ高校に通っている先輩の永松栗之と知り合い仲を深めていく。だが二人は家族関係で問題を抱えており、やがて問題は複雑化していく中自分の家族と向き合っていく。

将棋部の眼鏡美少女を抱いた

junk
青春
将棋部の青春恋愛ストーリーです

隣の優等生は、デブ活に命を捧げたいっ

椎名 富比路
青春
女子高生の尾村いすゞは、実家が大衆食堂をやっている。 クラスの隣の席の優等生細江《ほそえ》 桃亜《ももあ》が、「デブ活がしたい」と言ってきた。 桃亜は学生の身でありながら、アプリ制作会社で就職前提のバイトをしている。 だが、連日の学業と激務によって、常に腹を減らしていた。 料理の腕を磨くため、いすゞは桃亜に協力をする。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...